妖怪大戦争(1968)
これはだいぶ前に見たことがある。古代バビロニアの妖怪ダイモンが墓荒らしによって甦り、伊豆の代官兵庫を殺して取りつく。血を吸うというのがドラキュラ風味。ダイモンは大魔神風味。要するに何でもあり状態。兵庫役神田隆氏は珍しくいい人役かと思ったら、ダイモンのせいで悪人に。用人佐平次役木村玄(元)氏も同様。いい人だったのに悪人に。私最初は兵庫の娘千絵が佐平次といい仲なのかと思ったくらい。千絵役は川崎あかねさん。田村正和版「眠狂四郎」など、脱ぎっぷりがいいイメージがあったので、いつ脱ぐのかなと思って見ていたが、脱ぎませんでした(こらこら)。新八郎役は青山良彦氏。千絵ともっとラブラブでもよかったと思うけどそんなでもなかったな。そういうことより妖怪の方に重心かかってる感じ。妖怪は河童、油すまし、ろくろ首など。太鼓腹にテレビみたいに情景がうつる雲外鏡が珍しいかな。ダイモンは生き血が必要なので、奉公と称して子供達をさらってくるが、途中で出てくる兄妹はそれっきり出てこなくて。あと、漫才の若井はんじ、けんじコンビが出ていたな。妖怪の中ではろくろ首の毛利郁子さんが印象的。新八郎のおじで修験者大日坊が内田朝雄氏。すぐやられちゃったけど。私みたいな年代だとこういうもったらもったらした展開でも平気だけど、CGに慣れた今の人には物足りないかも。ぎこちない演技も妖怪なら当然だ。私はスピードやスマートさよりももっと大事なものがあると思っている。それは他の国にはない日本特有のもの。神棚とか仏壇、修験道、子供の腹掛けとかお守り、そしてもちろん妖怪。クライマックスでは日本中の妖怪を集めろ!となるが、さっぱり盛り上がらない。妖怪ってさほど強大な力持ってるわけじゃない。人間が怖がってくれるから威力があるように見えるだけで。ダイモンは巨大化したり、分身を作ったりとなかなか手ごわいが、何とか退治に成功する。でも、この後が大変だと思うよ。兵庫に続き、新代官伊織も着任早々変死。どうやって幕府に説明するのだろう。何よりも子供を殺された親達は黙っていないだろうなあ。
東海道お化け道中
妖怪シリーズ三作目。見るのは初めてかな。火車一家の親分勘蔵は、宮守一家の親分仁兵衛と子分の長助を惨殺。待ち伏せたのは鬼塚付近で、塚守の甚兵衛はここで殺生をすると祟りがあると必死に止めたが、彼も殺されてしまう。勘蔵の目的は自分の悪事が書かれた書付を奪うこと。偶然そばにいて命を狙われるはめになったのが甚兵衛の孫お美代。まだ7歳の彼女は、死んだと聞かされていた父親が実は生きていると知る。甚兵衛の今はの際の言葉を頼りに、由井の宿を目指す。仁兵衛には百太郎という腕の立つ子分がいて、つかまりそうになったお美代を助けたことから、一緒に旅をすることに。彼はまだ仁兵衛の死は知らないが、妙な夢を見たし弟分の賽吉はいきなり襲ってくるし。実は賽吉は自分が仁兵衛の後釜に・・と手引きをした裏切り者。もっとも勘蔵は百太郎の次は賽吉も始末し、シマの乗っ取りを企んでいる。1969年なので、悪役の皆さんもまだ若い。悪役なのにそんなに悪い人に見えない。特に賽吉役戸浦六宏氏は、途中で彼がお美代の父親なのでは?と思えてくる。お美代を背負って森の中を歩くシーンで、もしかして・・と。肝腎の妖怪の方は今作は全然ダメ。いちおう出てくるが、何が何やらはっきりしない。すぐ殺されちゃう甚兵衛役左卜全氏の方がよっぽど妖怪に見える。いやこれはほめ言葉ですけど。本郷功次郎氏扮する百太郎がこれまたパッとしない。時々あら?どこへ行ったの?って感じで出て来なくなる。その分賽吉の方がドラマチック。お美代が持っていた父の形見だという二つのサイコロを見て、驚く。彼が死んだ妻の骨で作ったものだからだ。自分は仕置きされてもいいから娘は助けてくれと嘆願するシーンは泣かせる。百太郎やお美代は死ぬはずないが、賽吉は殺されるかもしれず、見ていてハラハラする。馬子の新太役で「丸出だめ夫」などの保積ペペ氏。せっかくならお美代とのコンビで彼をもっと活躍させて欲しかったけど、今回は子供向けと言うより大人向けテイストだったな。父と子の涙の再会人情物。お美代役古城門昌美さんは、顔だけでなく体全体が・・着ているものも含めて全部がけなげだった。雨宿りのシーンとか、ワラジの緒が切れて困っていたのだとわかり、見ていてせつなくなった。他の出演は五味龍太郎氏、伊達三郎氏、上野山功一氏など。