イーオン・フラックス

イーオン・フラックス

似たような映画を作るものだなあと思う。「ウルトラヴァイオレット」とそっくり。「リベリオン」にも似ている。「ウルトラ」と「イーオン」は、現代的な美女が近未来を舞台に華麗なアクションを見せる。CGばっかりだが、美しい肢体は楽しめる。二人とも肉づきがよいのがいい。そりゃガリガリよりはねえ。ウイルスのせいで人類の多くは死んだ。子供も生まれない(「トゥモロー・ワールド」かよ)。自分が産んだとばかり思っている赤ん坊は、誰かのクローン。人々を支配しているのはグッドチャイルド家のトレヴァー。反乱を起こそうとしているのがモニカン。モニカンの指導者ハンドラー(フランシス・マクドーマンド)のことはさっぱりわからない。モニカンってファジーみたいなものですか?トレヴァー暗殺の命をおびたイーオンは途中で気が変わり、支配者側からもモニカン側からも追われる。これも「ウルトラ」と同じ。あんまり同じなのでいつキャメロン・ブライト君が出て来るのかと待っていたくらい。ミラジョボのヘソしか思い出せないように、この映画もシャーリーズ・セロンの180度開脚とよつんばい走りしか思い出せん。イーオンの妹ウーナ役は「ナイン・ライブス」のアメリア・ワーナー。イナリやジローという人名、家紋のような模様、桜の木など日本の影響少々。ソメイヨシノは結実しないので接ぎ木で増やすらしい・・何かクローンと同じだな。私がこれを見たのはジョニー・リー・ミラー目当て。兄トレヴァーを蹴落とし、自分が支配者になろうと企む弟オーレン役だが、ミラーは悪玉というにはちょっと小粒。トレヴァーは登場した時から悪人には見えない。実は彼はイーオンの・・と、ここらへんはひとひねりしてあるが、どれもこれも説明不足なので深みがなく、伝わってくるものがない。かろうじてトレヴァーのキャラだけは・・。彼はいろんなものをかかえ込んでいる。記憶・責任・使命・孤独。演じているマートン・ソーカスがまた渋くて・・。彼をつつみ込んでいる憂いのベールが見える。画面はくっきり鮮やかだけど、トレヴァーのまわりには何かが立ち上っている。それが演技力というものだ。彼は「トリプルX」や「タイムライン」に出ている。さて「ウルトラ」も「イーオン」もお金かけたわりにはヒットしなかったようだ。セクシーボディの美女にアクションやらせたからってヒットしないのだ。ストーリーがちゃんとしていなけりゃね。