CURE キュア

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「リング」や「貞子」と言ったジャパニーズ・ホラーには興味ないけど、こういうのは見てもいいかな・・と思って。原作はあるのかな?ノベライズがあるの?読みたいな。1997年だからみんな若いな。中には大杉漣氏や中川安奈さんのように故人となられた方も。本庁の刑事高部(役所司氏)は、相次ぐ殺人事件で忙しい。今日もホテルで売春婦が殺されたが、男の衣類や免許証があって・・つまり容疑者は服を着てなくてしかも身元バレバレ。隠れていたけどすぐ見つかる。何も細工してない。と言うかなぜ殺したのか自分でもわからない。同じ手口の事件は二ヶ月の間に三件起きてる。首を十文字に切り裂くというのはマスコミには公表していない。それぞれの犯人には接点がないが、偶然の一致には思えない。高部には精神を病んでいる妻文江(中川さん)がいる。家に帰るといつも洗濯機の音がしている。中は空っぽだ。高部が止めても文江はまた(空っぽのまま)回し始める。外に出ると道に迷ってしまうこともある。何だか若年性認知症に思えるが、心の病らしい。たぶん高部の仕事中毒が原因だろう。今の仕事が終わったら旅行に・・などと高部は約束するが、これが初めてではあるまい。彼の仕事が終わることはない。千葉の海岸に記憶をなくしたらしい青年が現われる。小学校の教師花岡が自宅へ連れ帰るが、どうして警察か病院へ連れて行かないんだろう。自分一人ならともかく、家には妻のとも子もいる。危ないとは思わないのかね。翌朝とも子は殺され、花岡が逮捕されるが、彼はなぜ妻を殺したのかわからない。次に交番で警官が同僚を殺す。内科医の宮島が公衆トイレで男を殺す。映画の前半はこのように次から次へと殺人が起きる。犯人はすぐつかまる。くり返しだから普通ならだれるが、ライターの火とか水とか相手に暗示をかける手段が少しずつわかってくるので、見ている者を飽きさせない。謎の男間宮(萩原聖人氏)はしつこく質問をくり返し、相手の話を引き出すが、自分のことは話さない。後でわかるが、彼は中が空っぽなのだ。高部の取り調べを受けるようになってもその態度は変わらない。精神科医の佐久間(うじきつよし氏)は深入りするなと忠告するが、高部は聞かない。

CURE キュア2

彼は踏切の警報機の点滅を見て、犯人達は誰かから暗示を受けたのではと思いつく。そのうち間宮のことも少しずつわかってくる。三年前まで医科大学の精神科の学生で、メスマーと催眠暗示の研究をしていたらしい。アパートには関連書物がいっぱいあった。彼は高部の妻のことも知っていた。どうやら若い刑事がしつこく聞かれてしゃべってしまったらしい。高部はその刑事をボコボコに殴るが、その後どうなった?この頃から高部もおかしくなってくる。急に不安になって家へ戻ると、文江が首を吊っている。しかしそれは幻覚だった。間宮との会話で、高部には妻の世話が重荷になっていることがわかる。病状は進んでいるようで、入院させる。佐久間は高部を呼び出し、ビデオを見せる。19世紀末、ヒステリー患者の村川という老女が暗示によって息子を殺したとか。ここらへんから緻密さがなくなり、取りめがなくなってくる。佐久間までおかしくなり、自殺しているのが見つかるが、手錠を使うなどよくわからない。取りめがないというのはたぶんわざとだと思う。今まではじっくり見せたものを見せない。だから佐久間は自殺なのか、高部が殺したのか。間宮はなぜ脱走できたのか。文江を殺したのは誰か。高部はどうやってウエートレスに暗示をかけたのかと言った疑問が見ている者を悩ませる。ネットではいろんな意見があって、中でおもしろいなと思ったのは、佐久間が同性愛者で、その対象が高部だという。専門家である佐久間が間宮につけ込まれるとは考えにくいが、高部への思いを見透かされたとなれば話は違ってくる。自分は暗示にかけられ、高部を殺すかもしれないと思えば、自分を手錠で拘束するのもわかる。それが自殺につながったのか、あるいは高部が彼を殺したのか。文江は高部が殺したんだろうし、ウエートレスへの暗示はたぶんタバコだろう。彼女は高部がタバコに火をつけるところは見ていないようだが・・。ただ、間宮は暗示はかけるが、自分自身では手を下さなかった。でも高部は自分で手を下すこともある・・そういうことになるのかな。まあはっきりしたことはわからないまま。殺人の連鎖はこれからも続く。エンドレス。でもそれがこういう映画にありがちな後味の悪さにはつながらないのが珍しいかな。