アッシャー家の崩壊(1948)
何度も映画化されているらしいが、見るのは初めて。誰もが陰鬱な屋敷から始まると思うが、あれ?車が出てきたぞ。現代に置き換えてあるのかな?いやいや違った。この冒頭のクラブシーンはなくてもいいものだが、描写は悪くない。ゆったりとくつろぐ紳士達。チェスを一人でやる者、怖い話をするグループ。本だってちゃんと揃ってる。タバコ、酒、女性のいない気楽さ。いいですな。で、怖い話ならポーとなって、ここからが本編。友人ロドリックに手紙で呼ばれ、屋敷に着いたジョナサン。未来がわかれば引き返していたものを・・。あら、私だってどんな映画かわかっていたら引き返したわよ。ロデリックはやつれ、精神的にもまいっているような。音や光、繊維、食べ物の味・・とにかく刺激がだめ。過剰に反応・・ってこういう病気あるよな。彼には双子の妹マデリンがいて、重い病にかかって衰弱している。まあここらへんまでは原作通りだが、その後はとんでもない方向へ。マデリンは起きてピアノを弾いている・・元気じゃん!グラスに入った白い液体を飲むが、牛乳か薬か不明。このグラスや白い液体は何度も出てきて、いやでも毒を連想させる。屋敷には主治医のコードウェルも泊まり込んでいる。彼が兄妹暗殺を企んでいるとなってもおかしくない(ハリウッド映画だし)。ロデリックは死ぬけどラストでジョナサンとマデリンが結ばれるとなってもちっとも驚かない(ハリウッド映画だし)。旅の疲れでジョナサンはぐっすり眠る。どのくらいぐっすり眠ったかは、その後全く姿を見せないことでもわかる。あたしゃてっきりここからは屋敷の毒にあてられた彼の夢の中の出来事だと思ったくらい。夜中、コードウェルはいきなり兄妹の病気・・無気力、衰弱、強硬症などは実は呪いによるものと言い出す。二人の母親には恋人がいて礼拝堂で会っていたが、父親が気づいて乗り込み、間男の首をはねたと。ここでアッシャーではなく、あっちゃ~となる。間男は死ぬ前に呪いをかけ、そのせいで兄妹は30歳までしか生きられないと。やばッ!オレ来月30じゃん!何とかしなくちゃとなるロデリック。礼拝堂へ向かう二人を追いかけるマデリン・・元気じゃん!礼拝堂の中には正気を失った母親が、恋人の首を守っている。お面にしか見えんが。翌日今度は若い庭師リチャードを連れて礼拝堂へ。見てる人全員何でジョナサンじゃないの?と不思議に思う。まだ寝てるのか。
アッシャー家の崩壊2
礼拝堂の中は拷問部屋みたいで、母親は鎖でつながれてるわけでもなく自由。食べ物とかどうしてるんだろう。トイレは?彼女はナイフを持っていて、ロデリックは腕をケガする。トラバサミにかかったリチャードを見捨てて二人は逃げる。後で不審に思ったマデリンが尋ねても、遠くへやったとかごまかす。信じられないほど薄情なやつら。後でリチャードの死体がうつるが、その後もほったらかしにされるのだろう。それにしてもリチャードを捜し回るマデリン・・元気じゃん!また夜になって・・ジョナサンまだ出てこない・・マデリンは礼拝堂へ。中へ入るとナイフを持った女に襲われ、押しのけて・・元気じゃん!屋敷へ走って戻る途中さすがに気絶。ベッドの中、何度も飲まされる白い液体。そのうち母親は礼拝堂を出て屋敷へ向かう。全く毎晩呼びもしないのにやってきやがってうるさくてしょうがないから、こっちから行ってやると思ったかどうかは不明だが、戸締りしてあっても抜け道知ってるから平気。恋人に会うため昔使ったのかも。本棚の後ろから姿現わし、マデリンの部屋へ。しかし彼女が悲鳴をあげたため何もしないで退散。彼女は女が母親だとは知らないわけで。翌朝やっとジョナサンが出てくる。昏睡状態から覚めたのかと思ったら、たまげたことに彼はロデリックの憂鬱を慰めるため努力していたらしい。そう、原作に書かれているのはそれで、その裏では・・ジョナサンの知らないところでは呪いだの狂女だのがうごめいていたのだった!!ってホントかよッ。あれ?ロデリック、ケガしてないぞ。数日後ジョナサンはマデリンが死んだと聞かされる。あんなに元気に動き回っていたのにねえ。棺は地下室に安置。ロデリックが釘を打つ。それから八日ほどたって嵐の夜、惨劇が起きる。ロデリックは医者を撃ち殺し、現われたマデリンに何発も撃ち込み・・いったい何連発銃なんだろう。ボヤ~ッとしているだけのジョナサン。まあ数ある映画の中でも一、二を争うくらいのボケナス、あんぽんたん、役立たず。アッシャー家の崩壊と言うより、映画そのものが崩壊していたのでありました。マデリン役グウェン・アトワースはジャンヌ・モロー風味。グレンダ・スカッキもちょっと入っております。ネットの批評ではジュディ・オングなんて書いてる人も。鼻から口のあたりは似てますな。ヒクソン版「ミス・マープル」の「書斎の死体」のバントリー夫人。