哀しみのトリスターナ
テレビ放映は1977年とある。45年前か・・。覚えているのは二階からトリスターナが下にいるサトゥルノに向かって胸を見せるシーンだけ。でも今回見たら胸はうつってなくて、トリスターナの表情だけ見せてたな。冒頭での彼女は16歳。母をなくし、ロペに養女として引き取られる。彼女はなぜか鐘楼の鐘がロペの生首になってる夢を見る。ラスト近くでもその夢を見ていたから、何年もずっと見続けているらしい。ロペはそのうちトリスターナと関係を持つが、いつも家に閉じ込められているのがいやになった彼女は外出するようになる。ある日出会ったのが若い画家のオラシオで、恋に落ちた二人は町を去る。二年後病気になったトリスターナは家で死にたいと町へ戻ってくる。片足を切断後は氷のように冷たい女に。ロペと結婚するが、彼を寄せつけず、発作を起こした彼を見殺しにする。監督はルイス・ブニュエル、トリスターナ役はカトリーヌ・ドヌーヴ。当時からけっこう評判はよかったけど、今見るとどうなんだろう。好色で、一人の少女の運命を狂わせたロペには反感を持つが、別に彼女をレイプしたわけではない。その頃の彼は姉が財産を管理していて、生活は苦しかった。その後姉が死んで裕福になり、そうなると余裕が出てきて性格も丸くなる。戻ってきたオラシオも画家として成功したようで、性格も穏やかになってる。変わったのはトリスターナ。元々彼女はピアノ教師くらいはできるが、経済的自立は難しい。オラシオは結婚を望んだが、彼女は拒み、手術後は心も離れ、オラシオにはどうすることもできない。トリスターナに結婚を強く勧めたのは神父で、彼女は最初その気はなかった。でも結婚すれば・・ロペは老齢だし・・遺産が入って生活の心配はない。この頃になると見ている方はもう少しロペに親切にしてやればいいのに・・と思う。オラシオはあのまま何も言ってこないのだろう。こう言っては何だが、結婚してなくてよかったね。ロペ役はフェルナンド・レイ。「汚れなき悪戯」のイメージがあるから、こういうエロジジイは違和感ある。オラシオ役はフランコ・ネロ。1970年頃だと美男と言えばアラン・ドロンで、不動の人気誇ってたけど、私はネロの方が美男だと思っていたな。てなわけで、心の中に冷たい風がピューピュー吹くような映画。見て楽しいってことはないです。