ボーンシリーズ

ボーン・アイデンティティー

WOWOWで見たのが最初かな・・と思い込んでいたが、「ジョニー・イングリッシュ」のDVDを買った時、漏れなく当たるというプレゼントで手に入れて見たようだ。DVDには非売品というシールが貼ってある。タダだから本編のみでも文句は言えないが、そんなケチくさいことはせず、コメンタリーその他豊富な特典付き。サンキュー!公開当時テレビで紹介してたし、新聞批評でもほめてたから、興味はあったけど、結局映画館には行かなかった。その頃はマット・デイモンはあまり好きじゃなかった。何しろ「青春の輝き」ではブレンダン・フレイザーを陥れるずるいキャラ。第一印象がめっちゃ悪かった。しかも・・ブレンより人気あるみたいだし、出演作も続々。雑誌でもひんぱんに取り上げられる。こんなことがあっていいのか!!でも・・今ではマット好きですよ。ブレンは・・どこ消えちゃったのかしら(涙)。二、三作目になると人気出て大がかりになったはいいけど、画面はチカチカせわしないし、揺れっぱなし。ボーンはありえないくらいスーパーマンになってて、もうついていけないわけよ。内容こってりぎっしりで何が何やら。その点一作目はまだ作り手も手探り状態。あっさりもっさり感があるし、大がかりと言うより中がかりくらいなところでがんばってるのが好もしい。画面の揺れも遠慮がち。古本屋で原作買って、ずっとほったらかしにしてたけど、このほどやっと読んだ。文庫本二冊の長編で、どことなく「ジャッカルの日」に通じるものがある。二作目以降のはまだ手に入れてない。一作目をちゃんと読んで、内容頭に入れてから。あわてて買うと二重買いしちゃったりする。特に上下に分かれているのは要注意。新刊で買うと高いので、古本屋でめぐり合うまで気長に捜すつもり。原作は1970年代の設定。リチャード・チェンバレン、ジャクリーン・スミスによるテレビムービーもあるらしい。1988年製作と言うと、チェンバレンは50過ぎてるぞ。当然のことながら「アイデンティティー」の方は現代が舞台。登場人物も事件もぐっと減らし、変更してある。メインはCIAの陰謀と言うより、ボーンの自分捜し。おうちへかえりたい。で、そのボーンのキャラが非常に魅力的に仕上がっているし、アクション系にはとても見えなかったマットが、肉体改造して挑んでいるので、クライマックスが少々しょぼくて、何となく終わっちゃっても、さほど失望しない。

ボーン・アイデンティティー2

冒頭・・嵐の海に漂う男。運良く漁船に引き上げられたが、銃弾浴びてるし、体に何か埋め込まれてるし。原作だと海に漂ってた理由がはっきりしないが、こちらは後でちゃんと説明される。体は回復したものの、男は記憶が戻らない。たった一つの手がかりは体に埋め込まれていたカプセルのようなものだけ。何やら番号が・・。親切な船長がくれたお金でチューリッヒへ向かう。季節は冬で雪が降ってる。お金は列車代で消えたのか、公園のベンチで野宿。警官二人に見とがめられるが、自然に体が動いてあっという間に倒してしまう。銃の取り扱いも自然に手が動く。彼がただ者ではないことが、ここでわかる。銀行が開くのを待つのも道路脇で。寒くて空腹で一文無しで、その上自分が誰だかわからない。でも彼は冷静だ。数字は貸し金庫の口座番号。開けてみるとパスポートに身分証。自分はジェイソン・ボーン・・住所はパリ・・ここまではよかったが、札束に複数のパスポート、それに銃まで出てきた。コンタクトレンズのケースもちゃんとあったな。原作だと彼はカメレオンと呼ばれるほど変装が得意。顔も整形ずみ。話を戻して、彼の出現はCIAのコンクリン(クリス・クーパー)の知るところとなる。彼はボーンの記憶喪失を知らないから、面倒なことになる前に始末しようと動き始める。ボーンはパリへ行きたいが、足がない。そこで大使館で見かけたマリー(フランカ・ポテンテ)の車に乗せてもらうことにする。誘拐同然の原作とは違い、こっちは暴力も脅しもなし。マリーは、カナダ人ということ以外は全部変更されており、比重のかかり具合も違う。映画の方はあくまでもボーンが中心。恋仲にはなるものの、深入りはせず、途中で追っ払う(←?)。その方がボーンものびのび、思いっきり行動できる。原作にはカルロスという正体不明の凄腕暗殺者が出てくる。ボーンは彼をおびき出すための囮。そのために過去の自分を消し、別の人間として生きる(原作では彼の本名はデヴィッド・ウェブで、ジェイソン・ボーンは彼が殺した男の名ということになっている)。映画はカルロスのカの字もなし。コメンタリーによると、この映画でボーンが見せるのはカリという武術。フィリピンの武術らしい。身を守る、あるいは攻撃する方法であるだけでなく、ボーン自身の土台になっているのだそうな。

ボーン・アイデンティティー3

相手の力を利用するので、自分は疲れない。無駄なことはしない・・つまり何かあってもパニックにはならず、かえって冷静になる。迷ったり回り道はせず、簡単で効果的な方法を瞬時に判断する。大使館では壁に貼ってある見取り図をさっと取る。非常時の避難経路を知るためだ。腕時計を見て逃げるための時間をさっと計算する。盗むために壊した車の窓は、テープを張って補修。歩く時は歩数を数え、まわりの人数や位置を記憶。触れた場所を覚えておき、後で指紋を拭き取る。その場にあるものは何でも利用する。殺し屋が飛び込んできた時に使ったのは筆記具?速すぎて見えないがたぶん・・シャープペンシルやボールペンの芯でもけっこう痛い。途中で立ち寄ったマリーの知人(昔の恋人?)イーモンの家では、引き出しに弾があるのを見つけた。オモチャのようなものは低い位置に。銃のような危険なものは子供の手の届かない高い位置が常識。銃の置き場所一つにも、作り手はこれだけ考えてる。ハデなカーチェイスなんかより心に残るのはこういう部分だ。ジュリア・スタイルズ扮するニッキーは原作には出てこない。トレッドストーンのパリ支部・・ビルの一室で、たぶん一人で切り盛りしてる。電話の盗聴、情報の取りつぎ。地味で根気のいる、表に出ない仕事。まずいことになりそうだとすぐたたんでドロン。書類をシュレッダーにかけてたけど、間に合うのかね。シュレッダーって熱くなるとすぐ止まっちゃうし。スタイルズはこの頃はまだ知名度が低く、脇役扱い。そのせいか私は「ボーン・スプレマシー」を見た時、この人誰?って思って。一作目に出ていたこと完全に忘れてた。マットはボーン役で新境地を開いたけど、見かけはそんなに変わらない。冬のヨーロッパということで服装ももっさり。割れた腹筋見せるわけじゃない。髪はさっぱりと短めで、一晩たってもヒゲも伸びない。何から何まで清潔でシンプルで実用的なたたずまい。ポテンテはこの頃すでに名前が売れていたのか。「ラン・ローラ・ラン」で注目されたが、私は見ていない。こういう感じの顔つきの人って日本にもいるよな・・と、親近感の持てる顔立ち。ほら、中山麻理さんとか、武田真治氏とか。ボーンを生み出したアボット局長役はブライアン・コックス。

ボーン・アイデンティティー4

コンクリンの部下の一人が「プレデターズ」のウォルト・ゴギンズ。あら、ここに出ていたのね。殺し屋の一人がクライヴ・オーウェン。普通なら彼との対決がクライマックスのはずだが、ちょいとずらしてある。そのせいで、せっかくの起用なのにあっさりやられてしまい、拍子抜け。スタイルズ同様まだ知名度低かったのかしら。もっともあまり出番多いと、マットがかすむおそれがある。と言うわけでパリ支部での対決がいちおうクライマックス。ボーンとコンクリンが顔を合わせ、ボーンの過去が一部明らかになる。でも今いち盛り上がらない。で、三人目の殺し屋がまだ残ってるから、ボーンは最後にこいつと対決するのだ・・と見ている全員期待するのだが・・あらら、コンクリンを殺しちゃったぞ。この殺し屋とイーモンがよく似てるんだよなあ。ちなみに原作ではコンクリンではなく、アボットが死んじゃう。で、まとめてみると・・我々はボーンを始末するために腕利きの殺し屋が三人差し向けられたと思ってるわけ。でも違ってた。最初パリのアパルトマンに現われたバイク男がボーン担当。オーウェン扮する教授は、ボーンが失敗したウォンボシの暗殺を完遂。ウォンボシはCIAの暴露本を出すと公言している亡命者。ボーンは彼の船に乗り込み、暗殺するはずが、そばに子供がいたため、ためらう。逆に撃たれて海へ・・そこから物語は始まる。このウォンボシは原作には出てこない。教授はバイク男が失敗したため、ボーンの始末を引き継ぐが、これまたやられてしまう。で、三人目が・・と思わせるけど、実は彼はアボットの命令で動いていて。失策続きのコンクリンを始末し、トレッドストーン計画は失敗、もっといい方法があると、恥ずかしげもなく次の計画持ち出す。一方ボーンはそんな薄汚い世界とはおさらばだ。冬のパリから陽光まぶしいギリシャのミコノス島へ。そこにはマリーがいる。自分が誰だか知りたかったけど、明らかになるのはろくでもないことばっか。もう過去なんか知りたくない。自分が帰るところはマリーのそばってわかったし。「スプレマシー」で悲劇が待ってるけど、この時点ではハッピーよ。さてと・・「ボーン・レガシー」という映画が公開されるらしい。マットは出てないみたいで・・もう出ないのかしら。

ボーン・スプレマシー

シネコンなので見たのは一回だけ。ジョアン・アレンが好きなので見に行った。新聞の批評ではかなりほめていたけど、私はそれほどとは思わなかったな。マット・デイモン扮するボーンはよかった。それは確か。ムダ口をきかない。緊急時の備えは万全(働いていなさそうなのに何でお金いっぱいあるの?)。行動にムダがなく人の心理を先読みしてはずれるということがない。いつも身ぎれいにしている(逃亡生活なら髪型やヒゲでイメチェンすると思うが)。それらの描写は見ていて快かった。ダメだったのは戦うシーン。マットはこの役で新境地開いたんでしょ?格闘技の特訓受けたんでしょ?それなのに何であんな細切れの、地球滅亡みたいな大ゆれのうつし方をするのか。戦っている本人達の体がゆれているからこそカメラがゆれるんでしょ?でもあれだと戦っている二人にはおかまいなしに、ただただカメラがかってにゆれているのよ。不自然なんだってば!マットが本当にすばらしいアクションできるって言うのなら、カメラ固定してワンカットでとってみろ、こら!あたしゃそれを見るまでボーンが格闘技のエキスパートだっていうの信じないからね!もう一つダメだったのはカーチェイス。まあ確かにすごいんだけどはっきり言ってやりすぎ。全く無関係の人々事故に巻き込んでアンタ達いいかげんにせーよ!描写をエスカレートさせればいいアクション映画になるってわけでもないことに気がつけよ!ボーンを狙う殺し屋キリルはカール・アーバン。パンフ1ページ使って紹介してるけど「ロード~」で有名になったから?本来ならジョアン・アレンを紹介するべきでしょ?女性から見てもジョアン扮するパメラは魅力的な女性だと思う。ある意味ボーンと共通しているところがある。ムダのなさとかね。彼女と対立するアボット(ブライアン・コックス)。出てきた時から彼が黒幕だってわかっちゃう。話は世界中あちこちに飛び、テンポの速い曲がかかり、めまぐるしくて何が何だか・・。見ている人を置き去りにするような作り方は感心しないな。キリルを雇った人(「バレット モンク」の悪役)のことがよくわからない。マリーとニッキーに何であんな顔のよく似た人を使うのかな。・・とまあいろいろ欠点はあるけど、けっこう楽しめた。エンドロールの、うわべは冷静だけど心の中は燃えている、そんなボーンを表わすかのような力強い歌もよかったヨ。

ボーン・アルティメイタム

この映画はあんまり見たくなかったのよ。マット・デイモンは魅力的だけどうつし方がアレでしょ。今回はさらにエスカレートしているみたいだし。しかもそれ(カット数の多さ)を売り物にしているみたい。思い違いもいいとこだわ。こんなの少し待ってWOWOWで見りゃいいのよ。でもこの作品私のツボ突いてくるのよ。ジョアン・アレンとデヴィッド・ストラザーンが出ている。しかもストラザーンは悪役みたいだし・・うわッ、どうしよう、これじゃ見ないわけにはいかないわ!・・ってなわけでシネコンへ。お客は12~13人。まあ・・とにかく・・忙しい映画よね。ゆれっぱなしの映像・・アクションシーンだけでなく、普通の会話シーンでもゆ~らゆ~ら。「息子のまなざし」みたい。ボーンとニッキー(ジュリア・スタイルズ)が大事な会話してるのにゆ~らゆ~ら。見る側の注意そぐと思うが。隠し撮りかよ・・みたいな。覗き見しているようで居心地悪かったのは私だけ?屋上から窓に飛び込むシーンは予告でもCMでもいやと言うほど見せられていて、まあ画期的なんだろうけど、「ダイ・ハード4.0」のDVDが出たので見ていたらあっちでも同じようなシーンがあって・・。カーチェイスも例によってハデにやってくれるけど、もうちっとも驚かない。ああまたまわりの車に迷惑かけてるな・・ってそれだけ。ストーリーも特に・・。そりゃたいていのアクション映画よりは出来がいいんだろうけど。私が感心したのはボーンの行動。彼は確かに他の多くの主人公とは違っているということ。やることはちまちまっとしているけど、それが普通の人にはなかなかできないことで。モロッコのタンジールでの追跡劇。市場の中を走りながら、さっとスプレー缶盗んで火にくべる。爆発するから警官足留めできる。屋上走りながら洗濯物引っつかむ。泥棒よけのガラスの破片まいてあるから、手をついた時ケガしないよう手に巻きつけるのだ。他の映画だとあんまりこういう細かいところまで描写しない。一方ではCIAが衛星とか大量の最新鋭機器(監視カメラ、コンピューターなど)使って新聞記者のロスやボーンの居どころあぶり出したり追跡したりする。電話での会話盗聴し、一つの言葉「ブラックブライアー」が引っかかるとか。膨大な情報が流されているけど、その中から一つを選び出せるほど監視網は張りめぐらされているのか。

ボーン・アルティメイタム2

膨大な量と言えば、この映画自体膨大な量の情報流す。いろんな人が出てくるし、世界中あちこちに飛ぶ。正直言ってこんなにあちこちに話飛ばす必要あるのか?と首傾げたくなった。場所が飛ぶってことは、飛行機とか列車とか。国が違えば入国審査とか。そういうのにかかる時間文字通り飛び越えちゃって、話が世界中に飛ぶので、おまえらエスパーか!テレポートできるのかよ!・・と突っ込み入れてましたぜ。とは言え、それらを実に手際よく捌いていたのも確か。キオスクのオバちゃんみたい(何のこっちゃ!)。見ている我々がその情報を全部うまくキャッチできたかどうかは別として、まあ近頃こんな大量の情報最初から最後まで流し続けた映画は他に思い当たらない。そこに感心したと言うか(いい意味で)呆れたと言うか。さて、この映画ではボーンの過去が明らかになるが、その一方であいまいな部分もある。ニッキーとの関係である。ジュリア・スタイルズはあんまりぱっとしない顔立ち。一作目での彼女は覚えていない。二作目でも何でマリーと似た人出してくるの?まぎらわしい・・と呆れたほど。二作目でも彼女はぱっとしない。そして今回・・なぜかボーンを手助けするニッキー。ボーンが理由聞いても答はあいまい。でも・・言葉を濁しても彼女の目は語りかけている。訴えかけている。私とあなたは恋人どうしだったのよ!私を思い出して!・・ってね。結局最後まで二人の関係が実際のところどうだったのか明らかにされない。でもニッキーはボーンの恋人だったんだろうと思う。ボーンが記憶を失い、マリーと恋仲になったのを知った時にはショックだったと思う。そのマリーも死に、ボーンは記憶を取り戻しつつある。チャンスだ。でもニッキーは黙っている。普通なら言う。実は・・ってね。でも言わない。完全に思い出してボーンの方から言い出すのを待っているのか。それともCIAに追われている今、そんなこと話したってボーンのためにならないからか。一緒に逃げれば足手まといになるのは必至。ボーンだって一流のスパイなんだから何かしら気づいているはず。でも口に出さない。ここらへんがよかったな。目と目で語り合う。膨大な情報・・情報交換の手段・・でも一番効果的なのは目・・まなざしかも。一番原始的だけどね。

ボーン・アルティメイタム3

なぜボーンがマリーと(やすやすと)恋に落ちたのか・・ニッキーに似ていたから。なぜボーンとニッキーは別れたまま終わるのか・・四作目で再会するから。そんな妄想起こさせるラストシーンでもあった。とにかく途中であっさりボーンと別れたおかげでニッキーは生きのびる。生きてさえいればいつか再会し、結ばれるチャンスはあるさ!一緒に逃げて、途中でニッキーが死んじゃうようなドラマチックな設定にして、涙を強要するような手段取らなかった作り手に拍手!だからラストシーンは余韻があって好感持てた。それにしてもマット・デイモン・・若い頃は何となく一癖ありげな、ずるい感じの役ばっか。だからあんまり好感持てなくて・・。でも今はね、スカッとして誠実そうなのがいい。何だかんだ注文つけつつも、見てよかったと思う。手際のよさと言うか。世界中に張りめぐらされたアンテナ、大容量のコンピューター・・。でも鍛え方によっては人間一人でそれらに対抗できちゃう。それがボーンなのだ・・みたいな。音楽もよくてサントラ買ってしまった。エンドクレジットで流れる歌が「ボーン・スプレマシー」と同じで、これまたうれしかった。出演者はえらく豪華。マリーの兄役で、ダニエル・ブリュールが出てきたのにはびっくり。あのシーンはなくてもいっこうにかまわないし、ダニエルはその後全く出てこないし、もったいないと言うか、いったい彼の存在は何だったんだろうと言うか・・。出演シーンがカットされちゃって、あれだけ残ったのかな・・と、勘ぐりたくなるような変な使われ方。CIA長官役スコット・グレンも変だったな。実は彼がすべての黒幕、張本人だった・・って後でわかるんだけど、出番が少なすぎてぴんとこない。長官であることも、後でパンフ見てやっとわかったほど。彼も出番削られたのかな。アルバート・フィニーはパンフに紹介すら載っていない。今回ボーンと戦う暗殺者二人は似たようなタイプで印象うすい。一作目のクライヴ・オーウェン、二作目のカール・アーバンみたいに印象に残る俳優出してきて欲しかった。それこそダニエルに演じさせるとかさ。今回の二人が出来悪いわけじゃないけど、やっぱり敵もそれなりの人出してきて欲しいわけよ。あの二人じゃどっちがどっちだか区別つかん。

ボーン・レガシー

これにはマット・デイモンは出ていないというのは知ってる。同名の文庫本が出てるけど、内容は全然関係ないらしい。冒頭アラスカで何やら訓練中のアーロン(ジェレミー・レナー)。定期的に薬を飲み、血を取る。そのうち連絡員みたいな男(オスカー・アイザック)に会う。厳しい環境の中でのサバイバル訓練か。男との会話はさほどはずまない。その一方であっちこっちであわただしい動き。「ボーン・アルティメイタム」とほぼ同時期の設定らしいが、パッパッと見せられてもこちとら何が何だかわからない。要するにボーンのせいで、進行中だったいくつかの作戦が中止に追い込まれたってことらしい。アーロンはそのうちのアウトカムとかいう作戦をやるはずだったらしい。彼はナンバー5で、男はナンバー3、他に韓国人の若い女性、黒人男性などもメンバーらしい。それがみんな殺されてしまう。小屋が攻撃され、男は死ぬ。アーロンは危ないところを助かったものの、薬が切れそうなので不安だ。精神を強めるブルー、体力を高めるグリーン、二種類の錠剤だ。研究所らしきところが出てきて、ある日そこで働くフォイトというのが銃を乱射。同僚を殺しまくる。からくも生き延びたのがマルタ(レイチェル・ワイズ)。ここらへんはまるで「バイオハザード」だ。とにかくあっちへ飛び、こっちへ飛び、次から次へといろんな人が出てくる。せっぱつまった状態が描写されるが、何がどうなってるのかわからないので、ハラハラのしようもない。作り手に説明する気がないのだから、理解しようとがんばるだけ無駄。と言うわけで二つのことだけに注目する。一つはキャスト。出るわ出るわあっちからもこっちからも知った顔が続々と。それでいてほとんどの人は顔見せ程度。スコット・グレン、コーリイ・ジョンソン、アルバート・フィニー、デヴィッド・ストラザーン、ジョアン・アレン。一人顔の四角いのがいるけど、ステイシー・キーチらしい。「エスケープ・フロム・L.A.」だったっけ?太って面影なしだわ。作戦中止してCIAなどへの被害をできるだけ食い止めようとするバイヤーがエドワード・ノートン。お久しぶり~いや、私が映画見てないだけだろうけど。

ボーン・レガシー2

バイヤーはアーロンを育てた恩師ってところか。彼のことはちゃんと覚えているが、私情を挟むわけにはいかないのがこの世界の掟。国のためだと工作員を始末しまくる。まあ、なんですな。ここで描かれるようなことが現実に起こっているのだとしたら、アメリカは途方もない無駄を出し続けているってことですな。儲けも途方もないけど、失うものもけた違い。せっかくスカウトし、養成した工作員をいとも簡単に切り捨てる。少し様子を見るとかはしない。説明もしない。まずいことになる前にとにかく殺せ。本当にまずいのか、他に方法はないのかもなし。アーロンやマルタを殺すために送り込まれる連中だって、いつ立場が変わって始末されるかわからない。こういう・・味方を殺すっていうのは・・どこかが間違っていると思うが。二つ目の注目点はレナー。彼を最初に見たのは「S.W.A.T.」。この時のギャンブルは、何でも人のせいにするタイプだったから、共感できなかった。次に見たのが「28週後...」。黙々と戦い、死んでいく男の役で、これはすごくよかった。「ハート・ロッカー」は見たことなし。だから今回で三度目か。目の間が広くて、ちっともハンサムじゃない。泥臭くて、特殊部隊の隊員とかがはまる。間違っても安全な後方から指示を出すようなタイプじゃない。無線機と銃持って走り回る方。「コンバット」のサンダース軍曹みたいな。アラスカでは裸になって水に飛び込むなどかなり大変な演技。ナンバー3役のアイザックもいい。アーロンとの会話は、腹の探り合いみたいな感じ。彼はともかく、アーロンの方は相手がナンバー3だとは知らないのでは?そういうよくわからないところも印象的。あっという間に理由もわからず殺されてしまう理不尽さ。マルタは乱射事件が起きるまでは何も疑問を持たず暮らしていたようだ。フォイトがおかしくなったのはブルーの液体に触れたせいか。このフォイトやってるジェリコ・イヴァネクもよく見かける人。マルタが引きこもっている家・・すごいなあ、よっぽど高給もらってるんだろうなあ。自分にはただの研究、お国のためと言い訳して深く考えないようにしているんだろうけど、やばい研究だってのはわかってるはず。

ボーン・レガシー3

秘密保持の誓約をし、学会には出られないし、論文も発表できない。だからこその厚遇だが、もしもの時のことは考えないのかな。妹のところへ行こうとしていたら、四人ほどどやどやと押しかけ、その時点でもうすごく危険。誰かにこのことを話したか・・うわ~赤ランプ点灯。結局自殺に見せかけて殺されそうになるが、映画だからタイミングよくアーロンが助けに現われる。四人のうちの一人コニーは見覚えがある。エリザベス・マーヴェル・・「エレメンタリー」に出ていたようで。で、お定まりのアーロンとマルタの逃避行。アーロンはすでにアラスカで死んだと思わせるのに成功しているから、普通ならそのまま姿隠していればいい。でも彼は薬を飲み続けないと・・と、不安になってる。でもマルタによれば、それは工作員にそう思わせるためであって(裏切らないように薬で繋ぎとめるということか)、実際は飲まなくても・・。少なくともグリーンの方は大丈夫らしい。でもブルーの方は・・。ここらへんもよくわからないが、逃げるためには頭の働きをよくしておかないとということなのかな。普通に説明すればいいのに、マルタに余計なことさせる。そりゃ危うく殺されそうになったのだからヒステリー起こして当然だが、アーロンには助けてもらったのにお礼言わないし、言い訳ばっかしてる。そのうち逆ギレして、車から下りるとわめく。でもそれだと話にならないので下りないんだけどさ。とにかく自分は被害者だから、同情されてあたりまえって思ってるんだよな。マルタによれば錠剤は研究所にはなく、マニラまで行かなきゃならないらしい。で、国外脱出となるけど、アーロン一人なら何とかなるけどマルタも一緒だから足がつくわけ。なぜもっと変装しないのか。金髪のカツラかぶるとか、詰め物して体形変えるとか。メガネだけじゃだめだってば!何でノコノコ新聞を手に取ったりするのか。監視カメラにもうつるし。そのせいでアーロンが生きてることも行く先がマニラだってのもばれちゃったじゃないか!とは言えマルタがいないとマニラの工場へ入り込めないんだけどさ。

ボーン・レガシー4

舞台がマニラに移ると、バイヤーの存在感は薄くなる。何をやるにしても海を挟んでだから歯がゆい。マニラの連中だのみ。ここでもよくわからないのだが、何とかウイルスを注射すると、もうブルーの錠剤もいらなくなるらしい。二人を始末するために送り込まれたのが凄腕の殺し屋・・ん?どこかで見たような・・「プレデターズ」のルイ・オザワだ!すごい、こんなメジャーな作品に。ネットを見るとたいていの人は退屈とか物足りないとか書いていて。でも、バイクのチェイスシーンはよかったとほめていて。ここでやっとボーンシリーズらしくなったとか。でも私は違う。チェイスが始まったとたん、ああ、またかよ・・とうんざりしたわけ。その前の屋根の上を走るとか、迷路のような細い道での追いかけっこもそう。こちとらデイモンの時と同じものなんか見たくない。異国の町、大勢の人、ひしめく車。その中で屋台引っくり返したり車巻き込んだり、私こういうの嫌なんです人に迷惑かけるような描写。「ターミネーター2」と同じで、アーロンは猛スピードでバイク走らせながら何度も後ろを振り返るんだけど、もうほとんど超人になってるとは言え、そんなの無理でしょう。おまけに殺し屋は後ろの座席のマルタのひと蹴りでやられちゃうんですの。ルイ君が出てきた時点で、彼とレナーとのガチンコ試合を期待した私がバカでした。追っかけて蹴られて終わりですよ。作り手は凄まじいチェイス見せることしか考えてない。素手での戦いなんてちらりとも思い浮かばない。ラスト・・何とか追っ手をまいて、小康状態になるとマルタはもうリゾート気分。アーロンと二人きりで過ごしたい・・なんとまあノーテンキな。一方パメラ(アレン)は気の毒に。正しいことをしたのに。命の危険もあるし。てなわけで終わるけど、「2」も作られるのかな。異国で平穏に暮らしていた二人が・・なんて「ボーン・レガシー・スプレマシー」にならないようお願いしますぜ。で、ワイズですけど、彼女の起用はビミョー。彼女の重さが合っていないという意見ももっともで。意外と体は動くけど、表情とかしゃべり方のせいでもたつく。ますます美しく、すてきな女優さんなのは確かだけどね。

ジェイソン・ボーン

九年ぶりらしい。もうあなたとのことは終わったのよ、どうして今頃になって・・と、観客は思ったはず。でもボーンにとっては終わっていなかったのだ。第一まわりが終わらせてくれない。ほうっておいてくれないんだぜい。ニッキーが接触してきた時、余計なことする女だな~と思ったのは私だけ?でも彼女はボーンの父親リチャードのことを知らせてあげたい。いちおうボーンは目立たないように暮らしている。拳闘で稼いでいるらしいから、人前には出てるけど。別にアメリカ国内で展開してもいいと思うけど、ボーンシリーズは世界中あちこち飛ばなきゃならないことになってるとばかり、めまぐるしく動く。見ているこっちはついていけないが、そのうちついていく必要もないのだと気づく。どこへ行ってもやってることは同じ。追跡・対決・逃亡のくり返し。カーチェイス、バイクチェイス、逆走、大事故小事故。まともな人間ならこんなに死傷者、物的被害出すくらいなら、自分捜しはあきらめ、一生身を潜めて隠者のように暮らそう・・となるはずだが。それでもボーンの方はまだできるだけ死者を出さないようにしているけど、アセット(ヴァンサン・カッセル)の方は民間人だろうが味方だろうが殺しまくる。CIA長官デューイ(トミー・リー・ジョーンズ)の指令も時々無視する。ボーンのせいでひどい目にあった過去があるとかで、恨みまくっている。サイバー部のリー(アリシア・ヴィカンダー)は野心家で、スキあらばデューイを葬りたいと思っている。デューイのようなタイプはもう古い。これからは私のような新しい世代の時代。やっきになってボーンを殺そうとするのではなく、国のために働くよう説得するべきだ。彼は愛国者だからCIAに戻る可能性はある。それでだめなら消せばいいのだ。ボーンに協力し、一見デューイよりはマシに見えるリーだが、結局ボーンはリーを信用しなかったようで。つまりCIAへ戻る気はないようで。デューイを裏切ったリーは、たぶんボーンのことも裏切る。人は同じことをくり返すものだ。まあボーンにはこのまま姿を消して欲しいものだ。次はリーと対決!なんてのはやめて欲しい。お金をかけてきっちり作ってあるけど、四作目ともなれば何をやっても既視感がある。相変わらずチャカチャカと揺れる画面も腹が立つ。せっかく格闘大好きの(たぶん)カッセルが出ているのに。リチャード役はグレッグ・ヘンリー。ディソルト役ヴィツェンツ・キーファーは、どこかヴァンサン・ペレーズ似。