ヒッチコックのファミリー・プロット

これはヒッチコックの最後の作品らしい。ほめてる人もいればけなしている人もいて、評価はまちまち。毒気が抜け、グロテスクさもなく、ストーリーも含め全体的にあっさりしていて見やすい。血もほとんどなし。なしと言えばすばらしい美男も絶世の美女も出てこない。ストーリーよりも美女をとることに固執していたヒッチコックはどこへ行ってしまったのか。もっとも「フレンジー」にも美女は出ていなかったが。インチキ霊媒師ブランチと、タクシー運転手ジョージのカップルは、レインバード夫人の甥を捜し出し、１万ドルの礼金をいただこうと、あれこれ嗅ぎ回る。夫人は妹ハリエットが未婚のまま産んだ赤ん坊を、家名を守るため養子に出したことを、年老いた今になって悔やんでいる。跡継ぎはいないし、悪夢のせいで眠れない。罪滅ぼしに全財産を継がせたいが、表立って捜すのは避けたい。だからブランチの霊能力に頼る。ジョージが調べると、養父母は火事で焼死。養子のエドワードも一緒に死んだようだが、どうも不審なところがある。何か知っていそうなマロニーに近づくが、あべこべに命を狙われ・・。エドワードはアーサーと名前を変え、今は宝石店の店主におさまっている。それだけでは飽き足らず、フランと組んでは誘拐をくり返し、身代金としてダイヤを要求する。今まではうまくいっていたが、マロニーから嗅ぎ回っているのがいると知らされ・・。アーサーがレインバード夫人の莫大な財産を相続し、ブランチ達が礼金をもらってめでたしめでたしとなることもできた。でも、アーサーにはマロニーの協力で養父母を殺した過去があるし、今は誘拐をやっている。後ろ暗いことをやっているから、疑ったり勘違いしたりして結局は幸運を逃す。ブランチ役バーバラ・ハリスは知らない人。サリー・フィールドによく似ていて、ヒゲを生やしたアーサー役ウィリアム・ディヴェインがバート・レイノルズに見えてしまう。ジョージ役はブルース・ダーン。いつもうさんくさい役ばっかだけど、今回はコミカルな感じで、時々ウィル・フェレルに見える。フラン役はカレン・ブラック。マロニー役エド・ローターは青い目が美しい。石屋のおっさんは見たことある顔。「デビルスピーク」の校長やってたチャールズ・タイナーだ！