フロストバイト

フロストバイト

「ロッタちゃん」シリーズのグレーテ・ハヴネショルドが出ているの(だけ)が売り。ま、スウェーデン映画史上初のヴァンパイア物でもあるらしいが。画面は・・暗い。冒頭1944年ウクライナでのシーンは、何がどうなってるのかさっぱり見えない。現代に話が移っても極夜という設定なので太陽の出番なし。引越してきたばかりのアニカ、サガ(ハヴネショルド)母娘。アニカは離婚したのか。彼女は医師で病院で、サガは学生でパーティで、それぞれピンチに陥る。あれこれあるのだが、散漫でのんびりしている。多くのことははっきりしない。説明されても不十分である。あるきっかけで猛スピードで感染が広がり、ヴァンパイアが増えていく。一番の退治法である太陽が望めないので、人間は不利である。どういうふうに広がっていくかにしても、スウェーデンの若者の堕落ぶりを見せつけられるので後味は悪い。乱暴な運転、ケバい化粧、酒やタバコは常識、簡単に手に入る麻薬。・・と言うか、それらしい錠剤見つけるとなかみも確かめず飲んでしまうムチャぶり。こんな命知らずの連中がどうなろうと知ったこっちゃない。サガはうぶで、少しはまともだが、ヒロインらしい活躍するわけでもない。この映画の主役は誰なんだろう。ハヴネショルドは若い頃のジョディ・フォスターをほうふつとさせる透明な美しさを持っている。細くてひ弱で演技は硬いが、いい女優になって欲しい(と言っても見る機会はないだろうが)。もう一人終盤になってマリアという少女が出てくる。彼女はヴァンパイアで、医師のベッカートがウクライナから連れてきた。もう一人交通事故で昏睡中の患者がいて、彼女に噛まれてアニカはヴァンパイアになってしまう。ベッカートもウクライナで噛まれてヴァンパイアである。もう何が何だかわからんが整理する気にもならん。作り手は特殊メイクやCGに力を注ぎ、他はもういいやとでも思ったのか、ストーリーは投げ出してしまっている。何も解決せず後始末もしない。戦いが始まったところで終わってしまう。続編でも作るつもりだったのか。映画の救いはマリアの存在。ダコタ・ファニングに似ているが、こましゃくれたところはなく、顔立ちが整っていて神秘的で力強さもある。出番はわずかだが強い印象を残す。彼女とハヴネショルドでいい続編ができるだろうがまだ作られていない。マリア役の子はもう成長しちゃっただろう。