ザ・メッセージ

ザ・メッセージ(2018)

これは全然何も知らないで見たが、なかなかよかった。舞台はシカゴか。最初見ていてもよくわからないのだが、アシュバーン研究所というのがあって、何やら研究していたが、大爆発が起き、多数の死者が出る。ところがこの死者達は幻影となってしばしば現われる。ヒロイン、ロニーは高校生で、事故が起きた時は6歳だった。あの朝父とケンカして、パパなんか嫌いと言ってしまった。ケンカのせいで父は電車に乗れず、車で出勤。そのせいで・・。パパが死んだのは自分のせいと悔やみ、墓参りにもまだ行ってない。その父は毎朝、朝食の席に現われる。何も言わず新聞読んでる。ロニーの方を見ると、そろそろ消える頃だ。自転車で学校へ行く時も、お決まりのゴーストが出る。彼らは残存者と呼ばれる。町中がお化け屋敷のようだ。彼らは同じ時間に同じ姿で現われる。事故以外の残存者もいて、ロニーにはその数が増えてきているように思える。担任のビットナー先生は、授業中ボーッとしているロニーを心配する。成績も下降気味だ。ある日シャワーを浴びていたロニーは、見知らぬ青年の出現に驚く。彼は湯気で曇った鏡に向かい、”逃げろ”と書き残した。授業中には耳から血が出たし、思いきってビットナー先生に相談したけど、信じてくれない。残存者は意思疎通ができないことになっている。ロニーは今度はゴーストオタクのカークに近づく。彼はロニーと同じクラスで、授業で残存者を取り上げた時は熱心にノート取ってた。その時彼女はあの青年に狙われていると話す。何だかわからないけど、ブライアンという名前も浮かんだ。この、狙われているってのが私には意外で。それまではヒロインに降りかかる災いを、超自然的な存在が警告し、助けてくれるのだと思ってた。それがこの後はブライアンがロニーを狙ってる、さあどうする相手はゴーストだし・・となる。そのうち彼がメアリー、エマ、クレアといった若い女性を殺した殺人鬼みたいなことになってくる。最初登場した時パンツ一丁ってのがどうも印象まずくしてるな。さて、カークの他にロニーにべたぼれのチャンドラーにも協力してもらって、まずはブライアンを撮影しようということに。チャンドラーの言うことは(専門的過ぎて)チンプンカンプン。こういうティーン向けスリラーではよくある、いいかげんなように見えるけど実はちゃんと科学的根拠があるんだよ的弁解のためのシーン。

ザ・メッセージ2

準備を整え、カークと二人でブライアンが現われるのを待つ。チャンドラーはなぜかいなくて、以後も出てこない。いいキャラなのに。結局どういう映像がとれたのかは見せてくれないが、四年前のメアリー殺害事件に行き着く。ロニーが”狙われている”と言ったのも的はずれじゃないかも。メアリーの母親の話では、ブライアンと思われる男が娘につきまとっていたと。その後母親が校長に苦情を申し立て、呼び出されたカークは事情を説明するが、その校長が転落死。自殺とされたが、カークは自分が説明したせいだと思ってる。ロニーが父のこと打ち明けたのはこの頃。逆にカークは、父親がなぜ自分の前に現われないのか、その理由を捜している。あちこち捜し回り、自分が生きてるのさえ無意味に思えてくるほど悩んでいる。ただのゴーストオタクではないのだ。そのうちカークは、ロニーの父親が読んでいる新聞に気づく。まあロニーにとっては毎朝のことなので見過ごしていたのも仕方ないけど。父親が死んだのは10年前なのに、その新聞は八年前の日付。しかもクレア、エマの記事が・・。残存者には意思疎通はできず、何も変えられないとされてるのは誤りだ。彼らは何かを伝えたがっている。で、クレアの妹を捜し出し、話を聞くことに。クレアにはブライアンという恋人がいた(やっぱり!)。爆心地一帯は立入禁止だが、入ろうと思えば入れる。行ってみると大勢の人がいて、大部分はゴーストだが、中にはどう見ても昔の人も。馬もいたぞ。ゴーストじゃない、普通の人間もいる。ある時間になると、白いドレスをまとったクレアが現われ、追いつめられ、首を絞められて死に、そして消える。人々はそれを見物しに来るのだ。たぶんクレアの妹もこれを見たことがあるのだろう。誰に殺されたのかはわからない。現われるのはクレアだけ。カークは人々の中にスタイナー博士がいるのに気づく。研究所の責任者で、失踪中だが、ここで暮らしていたのだ。原爆の爆心地で、人のカゲが残されているというのは知られているが、どうやらもっと強力にすればあの世とこの世の出入口がとか何とかアホなこと考え、研究していたようで。あの爆発で、出入口どころか大きな穴があいたのだと。ブライアンは研究助手で、他の人の体使って死んだクレア生き返らせたいと。話し終わるとスタイナーは自殺。

ザ・メッセージ3

その後カークはロッカーに銃があるのが見つかり、つかまる。ロニーはうるう年の2月29日生まれで、犠牲者達と同じなんだけど、あと二日ほどで誕生日が来る。カークと仲違いしてる場合じゃないんだけど、お約束通り二人の心は・・と言うか、ロニーの心が離れてしまう。代わりに親切にしてくれるのがビットナー。こりゃ怪しいぞ。彼は娘エバを例の事故で失った。妻のことは不明。あの事故の後、各家庭には避難部屋が作られている。ビットナーは部屋の壁を黒っぽいシートで覆う。ここにいればゴーストは出ない。ロニーの母親アナは面接のため出かけて留守。もちろん犯人が呼び出したのだ。一方ロニーにふられた(←?)カークは放免になったらしく、手がかりをつかもうと画像検索。ロッカーに銃が入ってたということは、犯人が身近にいるってことで。そして見つけたものは・・。ロニーの方も、シートが鉛化合物でできていると知り・・。結局犯人はビットナー。彼は娘を生き返らせようと、娘と同じ2月29日生まれの女性を狙う。でも今までメアリー、クレア、エマと三回失敗しているわけよね。そもそも何の装置もなく、どうやって生き返らせるの?彼はスタイナーと一緒に例のラボで働いていた。カークが見つけたのはその画像。恋人クレアを殺されたブライアンがメアリーに近づいたのは、警告するためだろう。それに気づいたビットナーが邪魔をさせないようブライアンを殺したと。自殺に見せかけ浴室で・・だからパンツ一丁だったのだ。カークを陥れたのも彼。その後匿名の電話をかけ、ロッカーを開けさせ、ロニーの心をカークから遠ざける。でも彼素手で銃を置いてるぞ。指紋がついてるぞ。まあそこまでは調べないか。カークが前の学校退学になったのも銃を持っていたせい。でも決して人を撃つためじゃない、自分を撃つため。自殺を考えるほど悩んでいたのだ。それを聞いてもロニーは彼のこと信じてあげなくて。カークが駆けつけたのはビットナーの家。様子うかがっているといつの間にか背後に忍び寄っていたビットナーがスコップで殴り倒し、穴に入れられて埋められ、こりゃ大変、彼死んじゃうの?この後ロニーがピンチに陥っても、私そっちの方はあまりドキドキもハラハラもしませんの。だってヒロインが死ぬわけないじゃん。

ザ・メッセージ4

問題はカークの方よ。誰も彼のこと気づいてない。自分から這い出るのは無理だし。逃げるロニー、追うビットナー。気がつけば凍った池の上。もちろんこの後氷が割れて・・と言うか、ロニーは自分から割って、ビットナーともどもドボン。何とかビットナーから逃れようともがく。そこへブライアンともう一人女性(誰だかわからん)が現われ、ビットナーを底へ引きずり込む。それはいいんだけど、この女性ほっぺふくらませて息止めてるの。ゴーストなんだからそんなことするわけないのに。せっかく助けてもらったけど、ロニーはもう上に這い上がる力が残っていない。意識が薄れ、沈みそうになった彼女を引き上げてくれたのは・・カークでした。おおッ、生きていたのねよかったよかった。彼を助け出したのは何と父親のゴースト。息子を助けるため掘って、掘って・・こういう力仕事するゴーストも珍しいな。ラスト・・父親の墓参りをするロニー。カークも父親の墓の前にいる。ロニーの父やブライアンのゴーストはもう出ない。もう思い残すことはないからか。でも代わりに二人を見つめているのは・・ビットナーのゴースト。二人は気づいてないけどね。ロニー役はベラ・ソーン、カーク役はリチャード・ハーモン。ハーモンは癖のある顔立ちで、ジェレミー・レナー風味。悪役やりそう。ビットナー役ダーモット・マルロニーはいい感じに老けてきている。ブライアン役トーマス・エルムスはマット・デイモン系。マットよりハンサムで爽やか系。この映画アメリカでは酷評されたようだが、私は好きだな。こういう映画だと途中でロマンスが芽生えて、ラストではベタベタラブラブとなるところだが、そうはならない。友情から恋愛に変わるかもしれないし、友情のままかもしれないみたいな、そういうところがいい。まだ16歳だしね。ラストでビットナーのゴースト出して、不穏な空気出すのはよくある手。エバのところへ行けたのだからそれでいいじゃんと私なんかは思うけど。原題は「アイ・スティル・シー・ユー」で、それまでは二人の父親とかブライアン達が助けるために見守っている・・となるけど、ビットナーのゴーストの登場でその意味が180度変わっちゃう。温かい雰囲気からぞっとするような冷たい雰囲気に。それを狙ったのかな。