ヒドゥンシリーズ

ヒドゥン

これを最初に見たのはレンタルビデオだったか・・もう詳しいことは忘れてしまった。その後だいぶたってからDVDを買った。何しろ値段が高くてなかなか手が出ない。偶然半額で売ってるのを見つけ、即買った。ところがその後特典付きで、「2」とセットで発売されたではないか。こういうことはやめて欲しい。最初からちゃんとしたの出して欲しい。「グリズリー」もそうで、高いのやっとの思いで買ったら、特典付きのが出て・・。コメンタリー聞きたいけど、今持ってるのでがまん(とほほ)。さて「ヒドゥン」だけど、見たとたんはまって・・。その後くり返し見てるけどなかなか感想書けない。いろんな思い・・甘酸っぱいような、やるせないような・・がわき上がるけど、それらをうまくまとめられない。「2」なら一回見て、「あっそう、わかった」となるけど。あの愁いを帯びたカイル・マクラクランの美しい表情が忘れられなくて・・。見終わったとたんもう一度見たくなって・・。でもいつまでもそれじゃだめ・・と、今回無理にでも終わらせることにしたんですの。冒頭・・白黒の粒子の粗い画面・・銀行の監視カメラか。題名「HIDDEN」の文字の中にちょこっとうつるのはカイルの顔。意表を突いた出だしだと思う。SF・・宇宙人・・そう思って見ているのに、銀行強盗から始まる。デフリースという男は、平然と銃をぶっぱなし、金を奪い、車で逃走。演じているクリス・マルケイはラッセル・クロウ似。「ツイン・ピークス」に出ている。町には非常線が張られ、フェラーリとパトカーのカーチェイス・・ハデな展開だ。付き添いがあわてて逃げ出し、車椅子の老人がはね飛ばされる。大きなガラス板を持って道路を横断しているところへ車が突っ込む。・・香港映画のノリだ。聞き込みに回っていたべック達も駆けつける。待機している彼らのところへ突っ込んでくる車。いくら撃たれてもひるまないデフリースは狂人か?この時点では、この映画がSFだってこと忘れてる。銀行強盗・・カーチェイス・・銃撃戦・・モロ刑事アクション。撃たれ、焼け、生きてるのが不思議なくらいのデフリースは病院へ。ごく普通の男だったのに、二週間で12人の死者、23人の負傷者を出す。凶悪犯罪をしでかす。ところでこの映画、つじつまのことはあまり考えてない。今まで奪ったお金はどうしたの?なんていう疑問には答えない。

ヒドゥン2

一騒動がすんで、署に戻ると退屈な報告書作りが待っている。ここらへんで警察側の顔ぶれが揃う。べック役マイケル・ヌーリーは「フラッシュダンス」くらいしか見たことがない。発達した上半身、浅黒い顔色・・ハンサムでセクシーである。コメンタリーで監督ジャック・ショルダーはケイリー・グラントのようだと言っている。なぜ人気が出ないのか不思議だったけど、一緒に仕事してみて、その理由がわかったのだそうな。どうも彼は扱いにくい性格らしい。主役はどう見たってカイル扮するロイドだけど、自分が「従」の立場に見られるのが気に食わなかったようだ。ショルダーもだいぶ苦労したようだが、映画を見ていてもそういう裏事情は全く感じない。上司フリン警部補役はクルー・ギャラガー。もう一人の警部補マスターソンの口ぶりだと、べックには他から引き抜きの話が来ているようだ。でもフリンは気乗り薄。要するにここではべックが有能だってことを言いたいのだ。べックの相棒ウィリス役はエド・オロス。もう一人サンチェスはリチャード・ブルックス。「ザ・クロウ」のユダはかなりひどかったが、ここでの彼はとてもいい。途中で押収した火炎放射器をかついで出てくるシーンがあって、これがクライマックスの伏線。他に見覚えあるのは、いつも報告書作成の仕事を押しつけられているらしいブレン役ラリー・セダー。「ナイトウォッチ」のウエーター。「2」のところでも書いたけど、「1」では犠牲者がそれぞれいい演技見せてくれる。デフリースの次は病院で同室のミラー。胃を患っており、重体。隣りに寝ていたデフリースがむっくり起き上がり、口からナメクジ状の生物吐き出し、昏睡状態のミラーの口の中へ。このウゲゲなシーンで、やっとデフリースの異常さの理由がわかる。エイリアンに乗っ取られていたんだ・・やっぱりSFだったんだ・・。ミラー役ウィリアム・ボイエットがまたすばらしい。コメンタリーで、なかみと体がかみ合わない状態だって言ってたけど、そういうぎくしゃくした感じが非常にうまい。このエイリアン・・とにかく欲望に忠実。金が欲しい→銀行強盗。フェラーリ好き→持ち主殺して手に入れる。ロック好き→ラジカセ盗んで大音量。ついでに言うとカントリーは嫌いらしく、プレイヤーぶっ壊す。

ヒドゥン3

たらふく食べるし、酒も飲む。体調悪くなるけど気にしない。体の中から寄生体が飛び出そうとして、変なことになるけど、ガムテープぐるぐる巻いてしのぐ。寄生体なのになぜ外へ出ようとするのかについては、監督も深く考えてないようで。腕から何か出ようとしている・・そういうのおもしろそう・・やってみよう!・・それで終わり。デフリースが死に、ミラーがいなくなった状態での病室・・医者だか看護師だかが蘇生させようと電気ショック与えるシーンでは・・胸がぼちゃんと陥没して、中からエイリアンが飛び出すのでは・・と、あらぬ期待をしてしまった。「エイリアン」「遊星からの物体X」・・胸は陥没するものと決まってる。でも残念ながらそういうのはなし。もうエイリアンはミラーに移っちゃったからね。コメンタリーでは看護師二人の演技がひどい、二流役者とけなしていて、確かに・・。でも私は車を売る店の従業員・・大柄な黒人・・もひどいと思う。何度見てもへたくそだ。真っ赤なフェラーリ手に入れたミラーが向かったのは、車の持ち主バックリーの会社。実は彼、麻薬やら武器やら前科がぞろぞろ。会社の一室は武器でいっぱい。ここでミラーは鏡にうつった自分を初めてじっくり見る。顔に手をやる。コメンタリーによればエイリアンは人間というものに興味しんしん。この後女性・・ブレンダ・・に乗り移るが、そうなると今までとは違った肉体に興味しんしん。ただこういうのはコメンタリーを聞いて初めてわかるのであって、普通に見ている分には単なるお色気、サービスシーンにしか思えない。ストリップバーでミラーはブレンダに目を付ける。もうミラーの体は使い物にならない。原作・・と言うわけでもないだろうが、引き合いに出されるのがハル・クレメントの「20億の針」。この中に「宿主を傷つけるようなことは、絶対にしてはならない」という文章がある。これが寄生体の種族の厳格な掟である。たぶんいい方のエイリアンは、ロイドの体を大切に扱っていたはずだ。でも悪い方はそんなのおかまいなし。だめになったら次の・・だめになったら次の・・。宿主を大事にしない。・・さて、ここまで意識的にカイルのこと書くの避けてきたけど、まあ最初にどうでもいいまわりからかたづけようと思って・・。わざとですのオホホ。

ヒドゥン4

この映画が多くの人に愛される最大の理由は、謎めいたFBI捜査官ロイドを演じたカイルのせい。他の人が演じていたら私もここまではまったかどうか。最初に登場するのは、デフリースが病院送りになって一件落着・・となった時。ドアの前に突っ立っていて、自動で開くのを待っているようにも見える。何となくかみ合っていない・・場違いなところにいる雰囲気が漂うけど、きちんとした髪や身なり、整った顔立ち、感情を表に出さないなど、FBIだと言われれば誰も疑わない。せいぜい何でこんなヒヨッコ寄こすんだ?・・くらいで。どの映画でも小説でも、他の組織の介入は嫌がられる。この場合もそうだ。途中から割り込んで仕切ろうとするFBIめ・・。べックは警戒する。いかにもピカピカで、無菌工場で育てられたみたいなロイド。それでいて暗い宿命、悲哀も感じさせ、見ている者の興味をかき立てる。べックの「次の飛行機で故郷へ帰れ」という嫌味も、初回は聞き流すが、次に聞くと辛いものがある。ロイドには故郷へ帰れない理由があるし、そもそも故郷は地球上にはない。もちろん最初は、彼が本物の捜査官だと思っている。後の「X-ファイル」のおかげで、FBIにそういう部門の捜査官がいてもおかしくない・・と思える。デフリースからミラーへの乗り移りを見て理由・・なぜこんな凶悪犯になった?・・がわかるのと同じで、ロイドの場合もだんだんに正体がわかる。この見せ方、持っていき方がうまい。べックが気づくのも段階的で、それは見ている我々と同じ。凶悪犯を追う捜査官(両方人間)→エイリアンを追う捜査官(片方人間)→エイリアンを追うエイリアン(両方エイリアン)。ここまで行くのに決して急がない。途中でロイドが大きく変わるわけではない。彼はほぼ同じ。でも我々は途中で「そうか、そうだったのか」となる。ロイドは多くのものを失っている。妻、娘、相棒、故郷。ラストで彼は死んだべックに乗り移り、べックの家族、仕事その他いっさいを手に入れる。見方によってはハッピーエンドだ。途中は刑事アクションにはおなじみの展開。エリートとたたき上げ。冷静と熱血。寡黙と毒舌。孤独と家族愛。そのうち反発から協調へ・・。いくら撃っても死なない凶悪犯など、SF的な要素はあるが、基本的にはバディ物。

ヒドゥン5

残酷さ気持ち悪さが強すぎないよう、ちょっとしたユーモア、うるわしい家族愛も描かれ、とてもバランスがいい。これが「2」では、「1」では長所だったところが皆短所になってしまい・・不思議なくらいやることなすことすべて裏目に出ていて。「1」でいいのは、コンビを両方男性にしたこと。普通なら「2」みたいに男女にする。一方は普通に妻と愛し合っているが、もう一方は少女と心を通わせる。両方男性ということで、その気はなくとも何やら怪しいムードが漂うし、ラストのロイドがべックに命を吹き込むシーンは、誰が見たってラブシーン。また、ロイドがべックの娘ジュリエットに注ぐ熱いまなざしは、見ようによってはかなりアブナイ。その奥に隠されたロイドの悲しい過去が明らかになって初めて、アブナサが感動に変わる。でも結局最後までロイドの思いの対象はべックかジュリエット。普通の男女の愛は出てこない。コメンタリーによると、この映画で一番重要なのはロイドとジュリエットの心の通い合いなのだそうな。べックとは一緒に行動するうちに通い合うものが生じるが、こっちは一目見合っただけでわかる。ロイドが見ているのはなくした自分の娘の姿だが、たぶんその形はジュリエットとはかなり違うはずだ。ロイドのそもそもの形がどういうものなのかははっきりしない。ナメクジでないのは確かだが、光というのではこれまたあいまいすぎる。悪いエイリアンを倒す武器・・銀色の銃の形は、三本指の生物が使うような・・というイメージで作られているらしい。でもそれ以上のことは作り手も考えてなくて。そんなの明らかにしなくてもストーリーは進められるから。でも私は「20億の針」のこと思い浮かべる。コメンタリーでは確かこの小説のことは何も言ってなかったと思う。書かれたのは1950年頃。さほどおもしろいわけでもないが、細かいところまで気を配って、ちゃんとした理由いちいちくっつけて、漏れのないよう書いている。寄生体はゼリー状で、口から口へなんて、そんなお手軽な乗り移り方はしない。皮膚からじわじわしみ込んでいく。宿主の中に入ると、限りなく薄く伸びてあらゆるところへ入り込む。故郷の星では寄生体、宿主双方に、共存の理解が行き渡っている。

ヒドゥン6

剥き出しのままでは生きられない寄生体は、栄養や安住の地を得る代わりに、安全や健康を宿主に保障する。長い間共存しているから、宿主にも抵抗感がなく、かえって寄生して欲しいと思っているほど。でも地球へ来た”捕り手”は、そういう観念のない人間の少年ロバートに受け入れてもらうため、あれこれ苦労を重ねる。ちなみに続編「一千億の針」では、長く寄生しているうちにロバートの健康が悪化し・・という内容で、ここらへんはちょっと「2」を連想させる。いいエイリアンも年月がたつと悪いエイリアンに・・という、わけのわからんものになってるけど。で、何が言いたいかというと、寄生体の方はナメクジか光なんだから、銃そのものは扱うことができない・・と。で、三本指というのは、宿主のことで。・・話を戻してジュリエットが代表しているのは純粋さ、無垢さ。目や心に曇りがないから、ロイドが人間ではないことを見抜く。ただ、見抜いてもそれを口に出して誰かに伝えるほどの年齢にはなっていない。だから黙ってる。ラストで、父親が別の人になっているのに気づき、とまどうが、やはり口には出さない。・・何だかママとか他の人がみんな泣いていて、パパがどこか遠くへ行っちゃうのでお別れしなきゃならないみたいなんだけど。アタチもとっても悲しくて心配なんだけど、今見たら目を覚まして元気そう。でも今までのパパとは違ってて、この前おうちに来たやさしそうなおじさんと同じ目をしている。そのおじさんは床に寝ていてぴくりともしなくて、もしかしたら死んじゃったのかしら。でもそのおじさんはパパの中にいるんだし、でもそうすると本当のパパはどこへ行っちゃったのかしら。アタチには何が何だかわかんなくてママに聞きたいんだけど、ママは全然気づかなくて、パパがお目目覚ましたってとっても喜んでいて。じゃあこのまま何も言わない方がいいのかな。もうちょっとたってからパパ・・おじさんに聞いてみようかな。おじさんは誰?パパはどこへ行ったの?ううんでもその頃にはきっとこの変な「なぜ?」も気にならなくなっているかも。忘れているかも。今は取りあえずこのパパでいいや・・とか(妄想終わり)。元々の設定ではべック夫妻には子供はいなくて。恋人の延長・・みたいなカップル。でも、娘を加えたことで、深い愛の世界が広がった。

ヒドゥン7

子供イコール無垢というのはありがちだが、ロイドも無垢なので・・と言うか、カイルが無垢なので!!二人の心の通い合いは素直に受け入れられる。この設定を、なぜ「2」には繋げなかったのだろう。肝なのに・・。女の子がまたヒラヒラの髪にヒラヒラのお洋服で、まつ毛の長いかわいい子で、お人形みたい。奥さんバーバラ役キャサリン・キャノンは知らない人。べックやジュリエットの年齢考えると、普通はもっと若い人出してくる。髪が長くて美人で。でもバーバラは髪は短いし、老け顔だし、美人でもない。ただ知性や常識は感じられる。直情型のべックも彼女なら御することができる・・と納得できる。ロイドのことを知るとすぐに夕食に招待する親切な女性(どうせべックがいじめているだろうから、私が少しでもとりなして、関係が悪化しないようにしなくちゃ!)。べックを深く愛しており、危険な仕事なのを心配している。朝帰りの夫を外で出迎える時は靴下姿だ。何かそういう細かな部分まで気が配られていると言うか・・。素足で飛び出してきてべックに飛びつくとか、そういうのではない、深く静かな愛情。その彼女も、ラスト、絶望的と思われたべックが目を覚ますと、あまりのうれしさに、床に転がってるロイドの死体のことも忘れるという・・。でもべックのなかみはロイドなのだ。しばらくたてば嫌でも気がつくだろうけど、その後どうするのかな。今までのような熱血漢ではない夫・・一度死んだ肉体を動かしているのはエイリアン・・いやいや、想像するのはやめましょう!で、登場して(巻き戻してね、そこまで)、びしっと決めているものの、どこか板に付いていないロイド君。その後も真意のつかめぬ言動が目立つ。当然べックとはうまくいかないが、べックと違うのは、何かあっても声を荒げたりしないこと。調べて欲しい、協力して欲しい・・何となくおねだりモード。べックの家に招かれると、興味しんしんなのは悪いエイリアンと一緒。鏡を見、顔にさわってみる。ただ、その後は違う。向こうは金、武器だけど、こっちは家族の写真に興味を引かれる。家庭の雰囲気を味わうのはたぶん初めてだろう。きれいに飾られた室内は、居心地がいい。食事や会話も慣れてないが、何とかなる。

ヒドゥン8

ここで彼がジュリエットのことを言い出すのは、普通だったら変だ。なぜ幼女にあんなに興味示すのだろう。もしかして変態?ミラーの件で連絡が入った時、ロイドは酔って寝ている。べックに起こされ、水と薬を渡されるが、飲み方がわからない。半分に割って口に入れたところで、水に溶かすのだと言われる。普通だったらそこで吐き出す。行儀がよければ手のひらに。でもロイドは口に入れたまま。こういうちょっとした描写がいい。吐き出すなんて・・そんな見苦しいことはさせない・・みたいな。で、次にアスピリン渡された時には、水に入れて溶けるの待ってる。何でもないシーンだけど、笑えて、そして悲しくやるせない。悲しいと言えば、ロイドがジュリエット見つめて、それから目をそらして、部屋から出て行く時、目をパチパチさせているのが悲しい。たぶんジュリエット見て涙が出そうになったのだ。それをまぎらわしているのだ。見つめている時の、まるで光を発しているようなロイドの顔も印象的だけど、その後の何でもないシーンも気を抜いてはいない。さて・・深夜のストリップバー・・べック家との対照が際立つ。エイリアンが乗り移ったブレンダ。お尻の見える真っ赤なドレス、セクシーな美女がいきなり取り出すショットガン。ミラーに劣らずブレンダは印象的。演じているクローディア・クリスチャンは「奪還 DAKKAN アルカトラズ」に出ていた。少し老けたけど、セガールよりちゃんと働いて(←?)いたぞ。べックとロイドはブレンダの車を追い、マネキン工場へ。これも最初は靴工場の予定だったそうで、変更してよかったね。マネキンは言うまでもなく魂のない人形。操られているブレンダも、それを言えばロイドもマネキンのようなもの。二人とも人間としてはもう死んでいる。いくら撃っても死なないブレンダに、べックもようやく異常さに気づく。とは言えまだ常識が邪魔して事態を受け入れられない。エイリアンはブレンダからマスターソンの愛犬に移っているが、ロイドは気づかない。取り逃がした・・また一からやり直しだ・・とがっくり。その彼をべックは逮捕する。ここらへんはちょっとムチャクチャな流れ。助けてもらったのにお礼言ってないし。

ヒドゥン9

FBIに問い合わせてみると、ロイドがすでに死んでいることがわかる。一ヶ月前友人のストーンと一緒に狩りに出かけ、山火事に巻き込まれたらしい。ロイドの死体はあったが、ストーンは見つかっていない。ストーンの写真見ると・・あの~何でこの写真ちゃんと見せないんですか?ちゃんと見せてよカイルのうるわしいポートレート。たぶんロイドと一緒の写真見せるべきところ、カイルのポートレートで間に合わせたんだわ。大判で遠くからでも見えるからこれにしとけ・・いや、大判だからこそ!見せて欲しいんですってば!!ついでにロイドやストーンのこともう少し詳しく・・。何も言ってくれないからこっちで妄想するしかないじゃないのよ。勝手なこと書きますけどいいですか?ロイド(いや正確にはストーンだけど、もっと正確にはアルハーグだけど)が言うには、地球時間に換算して九年間相手を追っているのだそうな。でも九年間地球にいるってことではないと思う。もしそうならもっと人間のことよく知ってるはず。山火事から連想されるのは宇宙船の墜落。運悪くそこに居合わせたのがロイドとストーン。火事に巻き込まれ二人とも死亡。ロイドの方は死体の損傷が激しく、利用できない。ストーンの方は煙に巻かれて窒息死・・体が無傷だったのでは?悪いエイリアンの方は不明だが(他の人の名前が挙がっていないところをみると、動物に乗り移ったのかも)、いい方はそういう経過で体を見つけたのだと思う。エイリアン達は自分達だけでは何もできない。人間とか動物とか、宿主に何かさせることしかできない。また、そのままの形では空気中に長くいられないのも確かだ(寄生体に丈夫な皮膚は無用だ、長い間に退化しているはずだ)。ストーンのことは何もわからない。FBIの人間ではないだろう。エイリアンはストーンの脳を探って知識を仕入れ、ロイドの身分証や銃を利用した方が得策と判断したのだ。追っている相手は必ず問題起こして人目を引くはずだから、今は取り逃がしてしまったけれど、あわてることはない。たぶんロイドの身分証や銃がなくなり、ストーンの姿が見えないと言うことで、彼は今や重要参考人として追われているのでは?ま、いいけど。

ヒドゥン10

それにしても男二人で狩りですか。「BBM」連想しちゃうじゃありませんか(腐女子かよッ!)。何で男女のカップルが週末を山荘で過ごしていて危禍に会う・・とならないんでしょう!それにしても見つけた入れ物がカイル・・いや、ストーンのような美青年だったのは、何たる幸運!おかげでこの映画は多くの女性に支持され、今日に至っております・・って何のこっちゃ。さてそろそろクライマックスです。エイリアンは犬からマスターソンへ、さらにウィリス、ホルト議員へとめまぐるしく移ります。金とか高級車、武器の段階を経、大統領という地位に目を付けるわけですな。もっとも大統領が何かはよくわかっていないと思うけど。ホテルでの演説会がチャンス・・でもその前に邪魔なアルハーグ(これが善玉の名前らしい)を始末しておかなくては。都合のいいことに向こうは今留置場にいる。で、ここらへんでまたアレ?となる。ロイド(ということにしておく。アルハーグじゃあねえ・・期間限定のハンバーグみたいだ)は、今まではこっちが追っていたけど、自分の存在がわかったからには、今度は向こうからやってくる・・って確信していて。だったら最初から・・新聞広告でも出して・・至急連絡乞う・・とか?留置場にはべックが、続いてマスターソンがやってくる。ぶち込まれている一人がダニー・トレホなのがおかしい。すぐやられちゃうチョイ役。で、ここでやっとロイドもエイリアンだというのがべックにわかる。例の武器は、宿主から抜け出した時でないと効かないという・・非常に融通のきかないもの。ところでこれ、光であるアルハーグにとっても致命的なの?撃たれたマスターソンの額から血が噴き出すのも、見逃してしまいそうなくらい一瞬の出来事だが、ちゃんとやってるのが偉い。次のウィリス・・ゾンビチックなオロスの顔立ちがいっそう不気味。べックにとっては今回が一番辛い。何しろ助け合ってきた相棒なんだから。で、心の迷いに不運(弾切れ)が重なって撃たれて瀕死の重傷。宿敵を追いつめることも忘れ、駆け寄るロイドは、博雅が死んだ時の晴明のよう。よーし、こうなったら泰山府君だ・・違うって!!さて、敵は今やホルトの中。大統領に立候補しようかという議員だ。ウィリスの襲撃のせいで、警備はいっそう厳重に。さてどうやって近づく、ロイド君?

ヒドゥン11

次に現われた時は、火炎放射器を持っている。さんざん撃たれながらもホルトに近づき・・。元々ホルトは、乗っ取られたまま飛行機で去るという結末だったそうな。ロイドの使命はべックに引き継がれ、追跡は続く・・みたいな。でもそんなあいまいなラストじゃ観客は納得しない。悪い者は滅び、正義が勝たなきゃ。「サイバークローン」みたいなラストじゃ気分がどよ~ん。このように「ヒドゥン」は変更がたくさんあったわけだが、そのどれもがいい結果を生んだという稀有な例。ホルトの口から出たナメクジも、もっと大きな怪物になるはずだった。でも結局は小さいまま。それでよかった。クライマックスにしては派手さは足りないものの、見てる人の多く(女性)は怪物なんかどうでもよく、ロイドしか見ていない。きゃ~ロイドがんばって~、あッまた撃たれたかわいそ~、私が盾になってあげた~い、きゃ~どうか助かって~。何てけなげな、何て痛々しい、何て孤独な、何て美しい!いやホント、スローモーションにしてくれてありがとうございますッ!怪物は例の武器で飛び散って息の根を止められたはずが「2」では・・。さて、べックの病室・・ほとんどセリフなしだが、事態が絶望的なのがわかる。別の病室から覗くロイド。扉の陰からそっと・・恋人の病状案じる女性風。本妻に遠慮して・・。一時的にべックのまわりには誰もいなくなって、チャンスだ!彼はもう決心している。自分は人間として生きていくことに決めた。故郷は捨てた。・・ああでも別に乗り移らんでも・・。ロイドのままでもいいじゃん。残された家族を、友人として見守ればいいわけで。でも移る。こっちの方が大変だと思うが。奥さん気づく。・・と言うか、本音を言えばロイド・・ストーン・・カイルのままでいて欲しい!床に転がって忘れ去られているんじゃひどい!ひどすぎるぅ~!さて、ではまとめです。監督が言うには、今の世の中自分の欲望を満足させることしか考えてない自己本位な者が多い。それと対極にいるのがロイドやジュリエットである。無垢で、自分のことより他人のことを思いやることができる。私が思うに、ハデな特撮や、身も凍る残酷描写よりも心に刻まれるのはそういったことだ。作り手が感じて欲しいことを、見る側もちゃんと感じ、支持してくれる。そういう意味でこの映画は、作り手にとっても見る側にとっても幸せな映画であると言える。

ヒドゥン2

10点満点で2.2・・これ(この感想書いてる時点での・・だいぶ前)IMDbでのユーザーの評価。「1」は6.8で、これも高いとは言えないけど、「2」のこの点数はひどいね。日本の某サイトの批評でも「腐った」とか「なかったことに」とか「抹消して欲しい」とかさんざん。まあこういう情報得れば見る気なくすわな普通。でも・・見たんですの。レンタル店には置いてなかったので中古ビデオ買っちまいましたの、私もスキねえ・・。でも・・例え大はずれでも(超大はずれなんですけどさ)105円ならあきらめがつく。ちっとばかし燃えるゴミが増えるだけ・・なんちゃって。いやつまり何も期待しないで見るからさして失望はしませんの。悪い宇宙人が地球に来て人間の体乗っ取って悪の限りを尽くす。体が傷つくとまた別の体に乗り移る。ある日突然普通の人間が極悪人になり、しかもそれが連続して起きるので警察も困惑する。刑事ベック(マイケル・ヌーリー)の前にFBI捜査官ロイド(カイル・マクラクラン)が現われるが、実は彼はいい宇宙人。二人はコンビを組み、悪い宇宙人をやっつけるが、ベックが死んでしまったので、いい宇宙人はベックに乗り移る。悲しんでいた妻と幼い娘は一転喜びにつつまれる。まあ「1」はこんなふうなストーリー。そのうちちゃんと感想書くつもりだが、今はなかなかそこまで手が回らない。原作というわけではないがヒントになったSF小説があって、二作とも(「二十億の針」と「一千億の針」)読んだ。カイルの出ている「ツイン・ピークス」もDVDレンタルして全部見た(ひどい駄作!)。でも・・「1」の感想はまだ。文章考えるヒマがあったらもう一度「1」を見たい!ロイド様を見つめていたい!その点「2」は一度見りゃオッケーなんですの。こういう底の浅いアホ映画はすぐ感想書けちゃう。「2」を見るのは「1」を見て感動した人がほとんどだと思う。もう一度感動したい。いい宇宙人がその後どうなったのか知りたい。いい宇宙人のことは「1」ではあんまりはっきりしない。「2」ではもっと詳しく説明されるのでは・・。悪い宇宙人の方はもうわかってる。何が好きで何が弱点か。たいていの人が期待をこめて見るであろう「2」。でもこの映画は、その期待に全くこたえてくれない。体を次々に取り替える。ただそのくり返し。

ヒドゥン2 2

あとは何もない。「1」では乗っ取られた人達がそれぞれ強烈な印象残す。でも「2」は印象うすい。あまりにもひんぱんに(と言っても「1」より回数は少ないのだが)取り替えるので人間が犠牲になってるという感じがしない。服と同じ。何のために人間を取り替えるのか。悪い宇宙人がナメクジみたいな形している必要があるのか。出たり入ったり時間がかかるじゃないか。いい宇宙人みたいに精神だけの存在である方がよっぽど効率がいい。そりゃもちろん口からナメクジ出入りするのがこの映画の見せ場だから(ウゲェ!)精神だけの存在じゃ困るんだけどさ。「1」では単体だったけど、「2」では増えるというのがこういう続編映画のお約束。でも増え損ねる。予算がないからだろうな。特撮もしょぼい。「ウルトラQ」とか、そっちの方がまだマシ・・みたいな。しょぼい、ひどい、陳腐・・もう何と言ったらいいか・・みじめ。「1」から続いて出ている人はいない。冒頭は「1」のクライマックス部分を借用し、何となくごまかしながら始まる。「1」のベックの娘ジュリエット(字幕ではジュリアになってるみたいだが)は15年後美しく成長している。演じているケイト・ホッジは知らない人。ちょっとバーバラ・ハーシー風。さほど美人ではないが感じはいい。彼女は父親の死を告げられるが死体を見ると全然面影がなく、別人のよう。「1」で35歳なら15年後の今は50歳のはずだが、ジュリアは父はまだ48歳よ・・と言う。じゃこの死体は別人なんだろう・・ってそういうことにはならなくてやっぱりベック本人なのよ(何で35プラス15が48なんだろう)。ジュリアも「1」の15年後なら21か22くらいだろうが、もっと年くってるように見える。母親はすでに死に、今また父が死んで彼女はひとりぼっち。「1」でせっかくいい宇宙人がベックに命与えたのに・・。その晩一人の男が家に忍び込む。普通に昼間会いに行けばいいのにわざとらしく夜・・。しかも銃を突きつけナイフをちらつかせ・・。これが「1」のカイルの代理人なわけですよ。「2」の作り手が唯一努力したなーって思えるのが、このラファエル・スバージ。まあよく見つけてきたわねーって感心するくらいカイルに似ているんですの。ビデオカバー見て私もカイルだとずっと思い込んでたくらい。絶対勘違いして借りた人いたはず。そして失望したはず。誰・・この知らない人は!全体的にはマシュー・ブロドリックに似ている。マシューをもうちょっとハンサムにして、クリストファー・ウォーケンで味つけしてはいできあがり!って感じ。

ヒドゥン2 3

悪い宇宙人は一体だけだが、そのうち散乱・・じゃない、産卵して増え人類を滅ぼしてしまうだろう。だからいい宇宙人は応援頼んだけど、来てくれたのはこのマクラクランだけ。15年もたってから、しかも一人しか来ないなんてよっぽど人手不足なのね。そう、この応援に来た宇宙人マクラクランという名前なんですの。どういうつもりなのかな、ギャグ?「1」の見どころの一つは人間のことをよく知らないいい宇宙人(見かけはロイド)がいろいろ珍妙なことをやって、それが笑いを誘うんだけど「2」も同じ。でも「1」のようには笑えないし物悲しさもないしほのぼのともしないの。わざとらしさだけがつのる。はい、私は宇宙人だからこんなとんちんかんなことやってます、見て見て~、笑って~。同じこと見せられても新鮮さも懐かしさもないの。いい宇宙人は地球に来る度とんちんかんなことをやるのか。地球人に化けるためのノウハウは知られておらず、一から学習し始めるのか。そんなにバカなのか。歯磨きのことは知らないのにビデオの操作は、キスはできるというわけのわからんとんちんかんさ。スバージはいちおうハンサム。内容つまらなくても彼だけ見てりゃいい。でも彼にはサムシングがないんだよな。若くてすべすべで整ってはいるけど、うすっぺらでしまりがない。特に口のあたりがだらしない。ハゲかけているようなヘアスタイルもバツ。宇宙人だからどこか神秘的でエキセントリックで・・。カイルにはそれがあった。見かけの美しさだけでなくなかみがあった。深い悲しみとか、そういうのを表現できた。でもスパージは演技も今いち。ただ、見てくれはいいのでそれで何とかなる。考えてみりゃいい宇宙人がいつもロイドとかマクラクランのような美形の体ばっかり借りるというのもおかしいんだけどさ。何か基準があるのかね。マクラクランが本来どういう人間なのかも説明されない。体を借りてるってことは本人はもう死んでるってこと。ロイドがそうだったようにね。でもなぜ死んだのか。「2」なら少しははっきりさせてもいいだろうに(見る者への)気配りなさすぎ。驚いたことに年月がたつといい宇宙人も悪い宇宙人に変化してしまうらしい。

ヒドゥン2 4

それはもうどうしても避けられないことらしい。宇宙人は元々は一つの種族だった。それが進化の過程で枝分かれして、一方は精神という形態で存在するいい宇宙人、もう一方はナメクジみたいな形の、悪い宇宙人になる。その肉体を持たないはずのいい宇宙人が悪い宇宙人に移行するってことは、体が見えるようになるのか。やっぱりナメクジになるのか。それは地球にいるからそうなるのか。そこらへん全く不明。とにかくベックに乗り移ったいい宇宙人はその後悪くなって連続殺人を犯していたと・・。だから刑事をやめ娘を避け・・。ついでに奥さんが死んだのもそのせいだったりして・・。まあこのように見れば見るほど「1」のファンを果てしなく失望させ続けるわけ。評判のよかった前作の設定を借用して作っているくせに、それを全然生かしていない。大事にしていない。ジュリアにとってロイドとの出会いは衝撃的であったはず。あの時はまだ幼かったけど、人間じゃない、パパじゃない・・ってアンタ思ったはずでしょうが!忘れられない思い出のはずでしょうが!まあそもそも作り手に、作ることにはしたものの何を目指したかったのかがはっきりしていなかったんでしょうな。何となく作りましたって感じありあり。音楽が流れ人が群れるクラブでのゆるい展開・・長すぎる。ジュリアとマクラクランは悪い宇宙人取り逃がしてもちっともあわてない・・無能すぎる。やらなければならない緊急の使命あるのに恋に落ち、長々とラブシーン・・のん気すぎる。かと思えば地球に来たばかりなのにマクラクランにはなぜか悪い宇宙人への移行の徴候が・・早すぎる。もうメチャクチャとほほなストーリー。それでいてはかなくロマンチックなラスト・・と思ったらお約束のラスト。私が思うにジュリアはマクラクランの種宿していると思うな。だっていちいち遠くから来るのめんどくさいじゃん。絶対タネというネタで「3」作るつもりだったと思うよ。今のところ作られてないけどさ。・・そう思って(安心して)いたら、えッ!「ヒドゥン」リメイク!?「THE SEED」という題で?やっぱり「タネ」!!ラダ・ミッチェルとニール・マクドノー主演?でもラダは出演を否定?作らない方がいいと思うが・・。