パラサイト・クリーチャーズ
オーストリアの作品なので知らない人ばっか。環境破壊、謎の微生物、異種交配で新しい種・・「アイス・ハザード」とか「地獄の変異」、「遊星からの物体X」、それにもちろん「エイリアン」。ま、要するに寄せ集めですな。たぶんここはアルプスで、標高3500メートルにある研究所。ある日見つかった赤い氷河。未知の微生物がうごめき、この生物によって作られた謎のバケモノが人々を襲う。なぜそんなことになるのかはっきりしないが、気候変動で氷河が溶け、微生物が含まれた水を動物が飲むとか。動物は主に昆虫を食べるから、合体したようなバケモノができるのだとか。新しい種・・もしかしたら人魚や狼男は本当にいたのかも。てなわけでヤギのバケモノやら巨大なダンゴムシやらいろいろ出てくるが、見せ方はうまくない。暗くて何がうつっているのかわからないことも多い。研究所には大臣が視察に来ることになってる。管理人のヤネクは中止しろと主張するが、学者達は反対する。大臣に自分達の活動をアピールしたい。それでいて謎の微生物のことは秘密にしておきたい。パニックが起きるからと言いつつ、ホンネは手柄を横取りされたくない。科学史を覆す大発見かもしれないのだ。大臣についてくる記者に嗅ぎつけられたくない。しかし大臣一行も途中でバケモノに襲われていて。途中いきなり軽装の若い女性がワシのバケモノか何かに襲われるシーンが入ってびっくりする。別の映画が始まったのかと・・。だってここは3500メートルの高地。研究所や観測所しかないはず。でも近くに村があるんだそうで。じゃあそこも当然襲われるはずだが・・。ヤネクは一行の中にタニアがいると知って胸中は複雑。氷河学者の彼女は、三年半前理由も告げず彼の前から姿を消したのだ。後でわかるが、彼女は彼の子を宿し、中絶したらしい。そのことを今でも悔やんでいる。ヤネクの犬ティニーが産んだ子犬を連れ帰るのはそのせいか。と言うか、この子犬が半分人間のように見えるのはなぜなんだろう。キツネと犬の合成というのならわかるが・・。でも映画はそんなことはどうでもいいとばかりにあっさり終わる。問題だけ提示して答は出さない。人間どもは騒いだり争ったり疑ったり見苦しいが、ティニーは大人しく、最後までヤネクを信頼しきる。そこはけなげでよかった。