AI崩壊
2030年、日本はAIのぞみによって管理され、人々は快適な日々を送っていた。元々は医療用だが、それ以外の面も担っている。ところがある日突然のぞみは暴走し始める。社会は大混乱、開発者桐生はテロリストとして追われるはめに。おまけにサーバールームには娘心が閉じ込められてしまった。部屋の温度が下がり、このままでは凍死してしまう。しかものぞみは生かすか殺すか命の選別をし始めた。一方警察庁では犯罪防止用AIとして百眼を開発。桐生の義弟西村は警察庁理事官の桜庭からのぞみとのデータ共有を持ちかけられたが、断っていた。個人情報が百眼に流れ、今審議中の国家保安法が成立すればどうなるか。導入に慎重な現総理はペースメーカーの異状で死亡。副総理は推進派・・てなわけで犯人はバレバレですな。それにしても何でみんなああやって同じ方向向いてワッセワッセと突進するんだ?「待てよ?」とか「はて?」とか立ち止まる者はいないのか。いやもちろん定年間近のアナログ刑事合田や、デイリーポストの記者富永のような者はいるけれど。プライバシーも法的手続きもおかまいなしの百眼による捜査に、合田は驚き呆れる。ものすごく効率がいいのは確かだが、これっておかしくないか?富永はAI嫌いだが、だからってデモをやってる連中のように全否定というわけではない。AIに頼りすぎることが問題なのだ。彼にとってAIの暴走や人々の混乱は想定内だ。やっぱりな、言わんこっちゃない。防災訓練や避難訓練同様、AIが使えなかったらどうするのか。そういう訓練をしておくことも大事だと思う。特に病院などでは。正常があたりまえではないのだ。桐生役は大沢たかお氏、桐生が賀来賢人氏。西村が撃たれて死んでしまうのは後味が悪い。彼を誤射した責任は誰が取るのだろう。桜庭は岩田剛典氏、合田が三浦友和氏、富永が毎熊克哉氏。毎熊氏は「光る君へ」に出ていたな。ノベライズには心と仲良くなるシーンが描かれてたけど、映画ではなし。亡くなった桐生の妻が松嶋菜々子さん。ラストはもう一工夫欲しかったな。エンドクレジットの途中か、終わった後で、桜庭の主張を入れ、その後でのぞみの眼をうつせば不気味でよかったと思う。ハッキングや故障による暴走、混乱はこれからも起こると思う。絶対安全・安心ということはないと思う。全部頼っちゃだめ。万一の場合を常に想定してないと。我々の年代だと、今普通にあるものがない時代も知っている。だからそれが使えない場合のこともある程度は想像できる。でも若い人には生まれた時からあるものだから、それがない、使えないなんてことは想像もできないんだろうな。