日の名残り
見る機会はないだろうと思っていたら、NHKBSでやってくれた。売りに出されたダーリントン卿(ジェームズ・フォックス)の大邸宅を、アメリカの大富豪ルイス(クリストファー・リーヴ)が購入。老執事スティーヴンス(アンソニー・ホプキンス)は引き続きとどまることになる。もうすぐルイスの家族も引越してくる。人手が欲しい。そんな時、元メイド頭ケントン(エマ・トンプソン)から手紙が来た。夫とうまくいってないし、娘は結婚した。何だか空しい。会って話せばまたメイド頭として働いてくれるかも。ルイスは車を使っていいと言ってくれた。今までほとんど世間との交渉を持たずに生きてきたスティーヴンス。旅の途中でも思い出されるのは過去のことばかり。ダーリントン卿が中心になり、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの代表が集まった会議。アメリカの代表は若き日のルイスで、彼だけはまわりと違う意見を持っていた。でも他の者は誰も聞こうとしなかった。正義、理想で平和がかなうと思い込んでいた。そう言えば、ダーリントン卿の名付け子で、もうすぐ結婚するカーディナル(ヒュー・グラント)に男女のナニを教えてやってくれと頼まれたこともあったっけ。ケントンとは衝突もあったが、頼りになる女性ではあった。彼女はだんだんスティーヴンスに引かれ始め、彼もそのことはわかっていたけど、執事の品格を保つことの方が彼には重要だった。年老いた父親を副執事として雇ってもらったこともあった。戦後ダーリントン卿はナチスびいきだったというレッテルを張られ、名誉棄損で訴えた裁判にも負け、失意のうちに世を去った。旅の途中、パブでは政府の要人と交渉があったとにおわせたりした。ダーリントン卿に仕えていたことは言えなかった。でも医師のカーライルには見破られて本当のことを言った。原作ではスティーヴンスが思っていたほどケントンは復職のことは考えていなくて、当てがはずれる。映画ではもっとはっきりしていて、ケントンは仕事に戻るつもりでいた。夫とも今度こそ別れると思っていた。ところが夫はやり直したいみたいだし、それ以上に娘に赤ん坊ができた。娘や孫の世話という生きがいが生じた。で、再会した二人はまた元の生活に戻っていく。もう二度と会うことはあるまい。まあよくできてると思うけど、何しろホプキンスだから、晩さん会でも何の肉やら・・と、つい思ってしまうのであった。出演は他にベン・チャップリン、レナ・ヘディ。