刑事ダルグリッシュシーズン1

刑事ダルグリッシュ

1ナイチンゲールの屍衣

これはまだ原作入手してない。ここ数年東京の古本屋めぐりできていないからなあ。あ、図書館で捜せばいいのか。ナイチンゲール看護師養成施設で、実習中突然患者役やってたピアースが急死。後で牛乳にトイレの殺菌剤が入れられていたとわかる。患者役をするはずだったファロンは風邪か何かで病棟のベッドにいる。もし彼女が標的だったら・・と、身辺に目を光らせていれば、続いて起こったファロンの死も防げたかも。どうも見ていて全体的にゆるい感じだ。重大なことが起こって、これからも起きる可能性があるという、危機感のようなものがあまり感じられない。聴取されても、ウソをついたり隠し事をしたり。ダルグリッシュは真面目で地味な感じ。若いのから中年まで女性がぞろぞろ出てくる。看護師長テイラーはなかなか魅力的で、ダルグリッシュとお似合いだが、もちろん彼は捜査のことしか考えていない。禁欲的な雰囲気が漂っている。私を誘惑しようとしてもダメだぞ光線を発射している。全く逆なのがマスターソンで、上司に対する敬意ゼロ。ボクいつだって誘惑されちゃいます光線を発射しており、途中で看護師のパードゥと関係するなど、自分の立場をわかっていない。パードゥだって容疑者の一人なのに。サッチャーとヒースの名前がニュースで出ていたが、いつ頃の話か。戦後30年くらいたってるらしいが。何と言うかある時期まではナチスの残党が帝国の再興を企んで・・とか、逃げていたのが見つかって・・とか、そういうのがあったけど、今みたいに2022年まで来てしまうと、そういう題材は使えないと。みんな老いて死んじゃってるから。そう、今回は逃亡した若い女性戦犯がカギになってる。でも私の印象に残ったのは朝食のシーン。オレンジジュースにゆで卵、こんがり焼かれたトーストがまあおいしそうで。次に出てきた朝食シーンではまるい小さなパンだったな。捜査のため泊まり込んでいたダルグリッシュもトレイに取るけど・・ん?あんな少し?イギリス人って朝からたっぷりしっかり食べるんじゃないの?あんな少しじゃ昼まで持ちませんぜ。私なんか東京で朝食バイキングのホテル泊まった時なんかパンは最低でも5~6個食べるぞ。ゆで卵一個、コーヒー(紅茶)、ジュース、スープはそれぞれ二杯ずつ飲んで、宿泊料の元を取るのだ。どうだまいったか!

黒い塔

AXNミステリーでやったのだが、間にはさまれるCM見ても、刑事とか警部とかまあいっぱいあること。とても全部は見てられない。ダルグリッシュは小説読んでるから見ただけ。演じているバーティ・カーヴェルは知らない人。でも調べたらルーファス版「蒼ざめた馬」のオズボーンらしいんだよな、びっくり。あっちも早く感想書かなきゃ。私のダルグリッシュのイメージは「ミス・マープル」でクラドック警部やったジョン・キャッスル。金髪で四角くて知的で端正な感じ。カーヴェルは見ていてもどうも違うなあと思いっぱなし。19世紀末のパイプくわえたホームズって感じ。原作は読んだはずだが内容はもう忘れてる。最後の方のルルドへの巡礼が麻薬の密輸に利用されてるとかそんなところで、ああそう言えば・・と思い出した。原作と大きく違うのはここでミスキンが出てくること。上司は無能でことなかれ主義けど、影響されることなくちゃんと真面目に仕事する。ダルグリッシュに頼まれて動き回ることについては、上司はいい顔しないが、気にしない。ダルグリッシュが身体障害者用施設トイントン・グレンジを訪ねたのは、昔父のところで副神父務めていたマイケルから、相談したいことがあるという手紙を受け取ったから。しかしマイケルはすでに病死、他にヴィクターという患者も自殺したらしい。長ウィルフレッドはルルドの奇跡で難病が治ったので、そのお返しとしてここでの仕事にすべてを捧げているよう。患者は四人で、他に医師のエリックと妻マギー、看護師のヘレンに看護人デニス。敷地内のコテージを借り、会計を見ているというジュリアス。不倫、中傷の手紙、不審な点のある二人の死。原作だとダルグリッシュは入院し、死も覚悟し、回復したものの仕事を続けるかどうか迷っている状態。こちらでは妻子の死に打ちのめされ、まだ立ち直っていない状態。いちおう原作を読み返したが、映像を見てからだから、頭への入り方もスムーズ。とは言え何を言ってるのかよくわからない文章も相変わらずあるけどね。ミスキンがダルグリッシュのピンチを救うところがいい。ダルグリッシュが手がかりとして残すのはペンではなく、原作通り財布の方がいい。ペンじゃ小さすぎて見つける可能性低すぎる。ウィルフレッド役スティーヴン・マッキントッシュは「アンダーワールド」シリーズでタニスやってた人。

3死の味

これは実は一回感想書いたんだけど、どうも違ってるような気がしてもう一回見たのよね。そしたら案の定思い違いだらけで。こういう入り組んだ内容って感想書きにくいのよ。まあこれに限らずどの推理物もそうだけど。ストーリーを追うのではなく、その人ごとに書いた方がいいのかしらって思って、そうしてみるけど。まずダルグリッシュ。「黒い塔」を二回見て、こっちの「死の味」も結局は二回見て、要するに四回見たことになるから、バーティ・カーヴェルのダルグリッシュにも慣れてきた。「ナイチンゲールの屍衣」を書いてないのは録画し損なったから。まさかダルグリッシュが放映されるなんて思いもしなかったから、気づくのが遅かった。再放送を待っているけど、ちっともやってくれない。などと愚痴っていたら・・今日の新聞に載ってた忘れないようにしないと。・・議員のベロウン卿が辞職したのは、一時期彼の屋敷で働いていたジーニーが溺死し、しかも妊娠していたというスキャンダルのせい。彼は鬱状態になり、ふと訪れた教会で癒されたのか、聖具室に泊めてくれるよう神父に頼んでいた。原作だとダルグリッシュはベロウンに似ていると言われたりする。外見は似てないんだけど、雰囲気が。でもこちらではそういうのはなし。ベロウンの憂鬱は鬱病のせいだし、ダルグリッシュの苦悩は妻子を失ったせい。一年たつようだが、彼のアパートの一室には用意されたものの、使われることはなかったベビーが詰まった段ボール箱が・・。途中ランパートに会うため産科医院を訪れるシーンがあるが、そこにはもちろん妊婦がいるわけで、さぞ彼の心は重くなったことだろう。このように彼の抱える暗い過去が強調されるわけだが、もう一つ強調されるのは、差別は許さないという強い信念。前回出会ったミスキンを自分のチームに加えるが、おもしろくないのがマスターソン。女性で黒人で生まれもよくないのに明らかに自分より有能で、ダルグリッシュに信用されている。ベロウンの屋敷へ行きたいのに、そっちは彼女で、自分は少年ダレンの家へ行かされる。子供の世話なんてそれこそ女性の仕事じゃないかと思えて不満がつのる。ラスト近くでマスターソンのせいでミスキンがピンチに陥ったのを知ったダルグリッシュは、強い非難のまなざしを向ける。マスターソンの方は知らんぷり。ここでのダルグリッシュはよかったな。

死の味

信心深いウォートンと、なぜか彼女になついているダレンは、ベロウン卿とホームレスのハリーの死体を発見する。二人とも喉を切り裂かれ、ベロウンの手には凶器とおぼしきカミソリ。ウォートンは独身の老女で、誰にも迷惑はかけまいと遠慮しいしい生きてきた。これまで何もいいことはなかったし、これからもないだろうが、道を踏みはずすこともなく神を信じている。ダレンがなついてくれるのはうれしいが、学校の方はどうしているのだろうと心配でもある。教会へ行く度献金箱へ小銭を入れるが、今朝はダレンが入れてくれた。しかしダレンは代わりに落ちていたボタンを入れ、小銭はくすねてしまう。マスターソンに隠し事はするなとか言われたが黙っていた。それでもいつまでも持ってるのはヤバいと思ったのか、フィッシュ・アンド・チップスを買って使ってしまった。これでもう安心。この部分は原作にはなし。クライマックスでは彼は犯人にナイフを突きつけられてさんざん怖い思いをする。さぞ盗みをしたせいでこんなことになったのだと悔やんだことだろう!この部分も原作にはなし。で、何を言いたいかというと、神を信じて正直に生きてきたウォートンは何も恥じることはないが、ダレンは人生の最初の方でつまずきかけているということ。母親が娼婦とかそういう境遇もあるけど、なかなか真っ当な人生を送りきるのは難しい。この二人に比べ、家柄もよく財産もあるベロウン達は幸せかというと、決してそんなことはない。こういう人達を見ると、何で普通に暮らせないのかと不思議に思う。それでも原作に比べれば少しはシンプルにしてある。ベロウンの娘は出てこないし、彼の愛人も出てこない。ベロウンの妻バーバラは、いとこの産科医ランパートと浮気している。元々はベロウンの兄ヒューゴと結婚するはずだった。彼が死に、ベロウンも妻をくし・・となって結婚。交通事故の際、運転していたのはベロウンなので、それもうわさのもとになった。原作だとバーバラは非常に美しく、それでいてなかみは空っぽ。こちらはそれほどひどくもない。彼女は妊娠しているが、原作だとランパートは手術をしていて、おなかの子の父親ではない。浮気も本気じゃない。ベロウンの愛人が、おなかの子の父親はベロウンと知って愕然とする描写もある。自分だけが彼を理解し、癒してあげられてると思ってたのにぃ~!

死の味

こちらではおなかの子の父親はランパート。お互い愛し合っているが、ベロウンは死の直前遺言書を書き換えていたし、ランパートは過去の裁判で借金を負い、医院のローンもあるなど経済状態はよくない。バーバラは遺産が入ったら意地悪なラヴィニア(ベロウンの母)を追い出し、ランパートと結婚・・なんて思っていたけど。結局二人が今後どうするかは不明。私としてはお金はなくても愛情持ってるし、子供も生まれる、複雑でドロドロした屋敷や財産なんかよりそっちの方がよっぽど大切・・となって欲しかった。ラヴィニアの運転手ハリウェルはジーニーの事件の際、ずぶれのベロウンを目撃しており、彼がジーニーを殺したのだと思っている。原作ではちゃんと説明されるが、こちらではスルーされていたな。原作を知らない人は、なぜずぶれだったのか不思議に思うかも。さて、結局犯人は・・バーバラの兄ドミニクでした。この人ベネディクト・カンバーバッチによく似ている。背が低いのは原作通り。バーバラが離婚されると、今までのような贅沢な暮らしができなくなるからというのが動機。でも遺言書は書き換えられちゃったから、殺しても無駄?ハリーがあそこにいたのは証人が二人必要なため。もう一人はハリウェルがサイン。つまりドミニクが現われる直前聖具室には、ラヴィニアやハリウェルがいたというわけ。そういうの黙ってたりウソをついたりするから捜査する方も大変だ。原作だとドミニクはベロウンの態度が気に入らなくてとか、そんな感じ。すべてがいやになっていたベロウンにとって、ドミニクの存在なんかどうでもよくて。それでバカにされたと怒って殺したわけだが、原作だとドミニクはミスキンのアパートに現われ、彼女の祖母を撃ち殺すなど悪あがきをする。こちらではダルグリッシュの説得でナイフを捨て・・わりと殊勝な感じ。この時のダルグリッシュ・・椅子から立ち上がり、ポケットに手を突っ込み、私も妻子をなくした・・と説得にかかる。何だかお尻がムズムズしちゃった。芝居がかってて。てなわけで、まあ全体的には悪くない感じ。今のところ3話で終わりなのか。もっと続きを作って欲しい。と言っても原作みたいに新しい恋人はできて欲しくないけど。いつまでも孤独の影をまとっていた方がダルグリッシュらしい。