ルイス警部3

オックスフォードミステリー ルイス警部

ルイス警部3の1 愛とファンタジー

冒頭白い馬が走り、黒髪の若い女性に迫る。女性は心の中で賭けでもしてるように動かず、強い目で馬を見つめる。寸前で馬は止まり、女性はやさしく鼻をなでる。馬の乗り手らしい金髪の女性が道の向こうに現われる。このシーンは何を表わしているのだろう。金髪の女性は後で出てくるジニーだろうか。それとも別の人(よく見えん)?黒髪の女性・・マリナと白馬だけなら、引きこもりの少年ヘイデンの空想にも思える。マリナと白馬のフィギュアを作っていたから。オックスフォードの研究員ドリアンの書いたファンタジー、「ボックスランド」の出版記念パーティがあって、ルイスも本にサインしてもらう。娘のリンがファンらしい。それにしてもドリアン・クレインという名前はドリアン・グレイを連想させるな。彼の婚約者アリスは列車の遅れのためにパーティには遅刻して来る。彼女の父で、医師のジェムは急患で呼び出され、パーティを途中で抜ける。ホテルにはマリナが来る。そのマリナが殺される。ホテルを出て帰る途中・・妙なことに凶器は鏡だった。話はそれるけど、自分の今までを振り返ってみると、ファンタジーにはほとんど無縁で過ごしてきたなあと思う。いちおうアニメの「指輪物語」を見たけど、今考えるとなぜ見に行ったのかよくわからない。こういう文学にも触れておかなきゃとでも考えたのか。結果は見事に失敗。全然おもしろくなかったせいで、映画をきっかけに文学へという次のステップはありませんでしたとさ。「ロード」も「ナルニア」も見てないし、読んでない。私の場合早い段階でファンタジーではなく、SFの方へ行っちゃって、そのまま現在へ。せめてルイス・キャロルの作品くらいは読んでおかなきゃとは思うけど。話を戻して、鏡、アリスと来れば、狙われたのはアリスだったのではというのはすぐわかる。もっともマリナはパブで働いているものの、副業として娼婦もやってるから、そっちのセンで狙われていたとも考えられる。死体のそばに落ちていた紙に書かれた血文字はファンタジー絡み。ルイスはこういうのは苦手なようで。今回ハサウェイがケンブリッジの神学科の出身で、本もよく読んでいることがわかる。それと今回はローレンスの父親ジェームズ・フォックスがディーリング教授役で出ている。こうして見ると、似てないね。

愛とファンタジー2

事件の方は鏡や血文字のせいでドリアンが疑われるけど、彼には身に覚えがない。パブでマリナを見かけたことはあるが、それ以上のことは何もない。彼はハーバードへ招かれているのか。若くてハンサムで才能があるから、女も寄ってくるのか。教え子のメラニーとはどの程度の仲なのか。彼を愛しながらもアリスの心は揺れる。そのうちドリアンが殺され、アリスは大ショック。別れ話をしようとドリアンの部屋を訪ねたメラニーは何者かに頭を殴られる。他にもホテルの客室係で、マリナが部屋を使うのに便宜を図っていたレイニーがいる。次から次へと若い女性が出てくるので、見ていて混乱する。例によってあの人もこの人も隠し事をしているので、捜査ははかどらない。アリスもマリナもケータイがないとか、ここらへんは意味がよくわからない。途中でイノセント警視が、ルイスとジニーをくっつけようとする。ジニーはバツイチで、よくわからんが教師なのは確かだ。イノセントとは同級生らしい。ルイスもジニーもその気はなく、特にルイスは彼女にその気がないと知って明らかにホッとしている。アリスやマリナの香水で、亡き妻のことを思い出したりする。さてアリスはドリアンとの仲がうまくいかず、彼の母親であるジニーに相談したりする。その際、ドリアンは里子で、ジニーは養母・・つまり二人には血の繋がりはないことをドリアンに聞いて知ってると話す。ジニーと話したことですっきりして、仲直りをしようと決心したのに・・ドリアンは殺されてしまい・・。そのうち、マリナはアリスと間違われて殺されたらしいこと、ディーリングもジェムも、鏡の持ち主ハミードも、みんなマリナの客だったことがわかる。他にディーリングはドリアンにも言い寄っていたようで、フォックスはこういう役がなぜか多いな。父親が娼婦を買っていたことにアリスはショックを受ける。「ママが死んでさみしかったんだ」と言うジェムに、「私達がいるのに?」・・わかってないなあ、アリスさんよ。あんたはドリアンがいてラブラブだっただろうからそれでいいかもしれないけど、男には娘や息子では埋められない部分もあるんだぜい。ヘイデンは気づいていて、逆にマリナを美化してフィギュアにしたりする。そこらへんの屈折ぶりがいじらしい。

愛とファンタジー3

結局犯人はジニー。夫に捨てられ、ドリアンと慰め合っているうちに・・。彼が大学へ入ると、このままじゃいけないと関係を断ったけど、彼の作品に自分も寄与しているという自負がある。それがいつの間にかアリスに取って代わられて憎しみが芽生える。間違えてマリナを殺したことは何とも思っていないようだ。ドリアンを殺したのは、里子だってのを話したのなら、そのうち自分との関係も話すのでは・・と恐れたため。たぶんイノセントはこれに懲りて、二度と恋の橋渡し役には手を出さないだろう。見ている間中、ジニー役のアナスタシア・ヒルがストレイカー司令官ことエドワード・ビショップに見えて仕方なかった。ホントよく似ている。ドリアン役サイモン・マイソンはテレビシリーズの「スリーピー・ホロウ」でイカボッド役をやっていたようだ。少し前どこかの局で放映していたっけ。ネットで調べるとヒゲを生やしているけど、せっかくの美形が・・。このドリアン・・ディーリングは本の内容は寄せ集めだと言っているし、ジニーが犯行直前に彼に言われたのも何かの引用だったらしい。本当に才能があるのか、それともそれらしく見せかけているだけなのかはっきりしないところがあって、そこが・・変に思えるかもしれないけど魅力的で。虐待とまではいかないけど両親には親としての資格がなく、里子に出される。養父母に引き取られた時には、今度こそ両親に愛してもらえると思ったはず。でも養父に捨てられ・・。彼のような過去の持ち主は、誰かを好きになってもまた捨てられるのでは・・と、常に思っていたはずで。メラニーのことは、アリスのことはどう思っていたのか。アリスは、夫婦の間には秘密はあってはならないという主義。ジニーとの過去を隠しているのは、ドリアンにとっては重荷だったろう。一方マリナはボスニアの出身で、戦禍で両親をなくし、生きるために体を売る。苦悩も大きかっただろうが、したたかでもある。アリスではなく、マリナとドリアンがめぐり合っていたら・・などと空想してしまうのは私だけ?マリナ役カティア・ウィンターもテレビの「スリーピー・ホロウ」に出ているらしい。アリス役の人はレイチェル・ワイズ似。柱みたいな形の鼻が残念。ヘイデン役オリー・アレクサンダーはかわいい。

ルイス警部3の2 シェークスピア殺人事件

今回はルイスとハサウェイコンビの描き方はすごくよかったけど、殺人事件の方はちょっと尻すぼみ。学生による「ヴェニスの商人」の試演が行なわれている最中、シャイロック役リチャードが殺される。凶器は小道具のナイフ。観客や出演者はアリバイがあるようなないような。芝居を見ていた、芝居をしていた・・でも野外だから出入り自由。リチャードの評判は悪い。演劇の才能はあるが、女たらしで手癖が悪く、借金まみれでクスリもやってる。例によってゾロゾロ出てくるので、顔と名前を覚えるのが大変だ。演出のエマは上演中止を恐れている。彼女にとっては飛躍のチャンスなのだ。リチャードの代わりにはジョーが入り、評論家や記者向けの上演は大成功。打ち上げパーティが行なわれるが、卒業生でゴシップ記者のアマンダが殺される。最後の方まで犯人が誰なのかわからない。遺体のそばにシェークスピアの作品の文句が残されていたり、グレグソンの書斎が荒らされたりする。エマは博士論文の盗作が発覚するが、そんなのどうでもいいと思っている。グレグソンもよくあることと気にしてない。それにリチャードを殺して芝居が中止になったらエマにとっては元も子もない。役を得るためという動機が考えられるジョーだが、彼はゲイで、リチャードとも関係があり、可能性は薄い。ちょっと変わっているのはフィル。中退したけど、今でもエマや他の連中と一緒にグレグソンの家にいる。グレグソンは一人で住むには広すぎるからと屋敷に学生達を下宿させているのだ。フィルは菜園で働き、アルバイトもしている。彼は演ずる方ではなく、製作や脚本の方。エディンバラ演劇祭ではパソコンを盗まれ、リチャードが疑われたが、証拠はなくうやむやに。そういう相手とその後も同じところに住むかなという気もするが・・。フィルは部屋にカギをかけず、レーニンやマルクス(たぶん)の写真が飾ってある。変わった性格なのだ。グレグソンは彼に罪を着せようとしていたようだ。フィルのパソコンには日記とかいろいろ入っていたようで、リチャードはそれをネタにゆすっていたのかな。グレグソン夫妻の夫婦ゲンカの記事を書いたのはアマンダだが、実際には刃物を持ち出してのことらしい。元夫が体面を考えて表沙汰にしなかったのだが・・これが彼女の犯行の動機?教授の地位が危うくなるから?

シェークスピア殺人事件2

今回はルイスの妻をひいた犯人がわかる。彼は今でも妻を愛していて、墓参りを欠かさない。モンクフォードが試演を見にきたのは偶然だ。実際はアリバイ作りのため。まずホテルに荷物を預け、外出する。妻と名乗る女性が荷物を取りにくるが、戻ってきたモンクフォードは妻はいないと主張。ホテル側は困惑するが、荷物がなくなって補償金を支払わせられる詐欺事件が起きていて、今回もそれなのではないかと思っている。と言って客を詐欺師扱いするわけにもいかないし。副支配人はルイスに調査を頼む。このモンクフォードが観客の一人だとわかり、ハサウェイが調べることに。モンクフォードはあまり巧妙な方ではなく、すぐカタがつくが、ハサウェイは彼が五年間カナダに行っていたというのが引っかかる。親指が痛むと言っていたけど、クリスティーの「親指のうずき」と同じかね。モンクフォードの共犯は妹で、彼女によるとモンクフォードは人をひいたらしい。その日付を聞いたハサウェイにはぴんとくるものが。ルイスに伝えようか迷ったあげく、イノセント警視に相談。「当たって砕けろ」と言われてルイスに打ち明けると、なぜ黙っていたと怒られる。とは言えルイスにもハサウェイに当たるのは筋違いだとわかっているのだ。私には気持ちが揺れるルイスよりも、ハサウェイの方が印象に残った。感情の爆発には行かず、どこかでセーブするタイプ。冷たそうな外見だけど、中は温かくて礼儀正しく真面目。演劇界ではオックスフォードよりケンブリッジが優勢と聞いた時の表情、ルイスがグレグソンに推理を披露するのを聞いている時の表情・・うれしそうで何ともかわいい!思いきって「警部、話があります」と切り出すと、ルイスに「聞こう、結婚か?」と言われてしまうところもいいわあ・・。フィル役はブライアン・ディック。「ブラッドウルフ」「殺しのナンバー」「ミス・マープル」の「無実はさいなむ」・・彼が出てくると目が行ってしまう。モンクフォード役ロナン・ヴィバートは爆笑問題の田中さんに似てるかな。こちらのエピソードはよかったけど、殺人事件の方がはっきりしなかったのは残念。

ルイス警部3の3 許されざる嘘

これはまたみんなしてウソをつき合って、みんなして不幸になって、いったい何をやっているのかね。冒頭いくつかのシーンが出てくる。プールに浮かぶ女性。ジムでトレーニングする青年二人。歩いている時、車にぶつかりそうになって・・でも、よくあること。ドライバーはそのまま走り去る。でも青年の一人の表情が変わる。相手の顔に見覚えがあるのだ。ボディガードの目を盗み、窓から抜け出し、恋人とクラブで踊る女性。車の中で愛人と一緒の人妻。もちろん一回目に見ている時には何が何やら。よっぽどのファンか、こうやって感想書くためでなければ、見直したりしない。人妻と別れた金髪のイケメン青年は、帰宅早々殺される。熱湯に漬けられ、溺死させられる。彼、スティーヴン・マランは日焼けサロンのスタッフ。ルイスは名前に聞き覚えがある。そのうち思い出す。交通事故を起こし、若い女性を下半身不随にしたやつだ。マランは無神論者トムの車に10トントラックをぶつけてやったが、乗っていたのはトムではなく娘のジェシカ。刑務所から出所・・こりゃトム一家が疑われるわな。娘をあんな目にあわせたのにもう出所して自由だなんて許せない!実は冒頭のドライバーはトム。トムは気づかなかったけど。マランと不倫していたマディはショックを受けるが、もちろん最初に見ている時は理由がわからない。私は、車の中にいたのがマディだとは見直すまで気づかなかった。夜だし車の中だしで、顔がよくわからない。クラブで踊っていた二人かな・・でも男性の方の髪の色が違うみたいだし・・なんて思ってた。関係者のアリバイはあるようなないような。ウソついてるのもいるし。と言うか、マラン自身ウソをついていたんだけど。一方署ではフィオナという女性が警部に昇進し、しかもヤードに異動。ハサウェイが浮かない顔をしているのは、先を越されたからか。いやいやどうも彼はフィオナと付き合っていたらしい。私は「ルイス警部」はところどころの回しか見てないから、どこかでフィオナと仲良くなっていたのかな・・と思ったが、ネットの感想見ると、みんなもいつの間にとか書いてるから、今回突然元カノとして出てきたようで。彼女は出世主義だから、予想はしていたものの、心はモヤモヤ。こういうのに気づけとルイスに期待するのは無理。ハサウェイだって恋くらいする・・なんて思ってもいないようで。

許されざる嘘2

彼自身若い女性には無関心。ローラとは話しやすいが、別に何とも思ってないし。話を戻して、トムは自分のせいでジェシカが歩けなくなったと自分を責めている。と言って神を信じないという自分の信念も曲げたくない。カンター教授と議論を戦わせたりするが、二人は古い友人でもある。セシルをめぐって争ったが、彼女はトムの妻になった。編集者としてバリバリ働いていたセシルは、キャリアを捨て、ジェシカのリハビリに取り組む。息子のダニエルはホープと婚約する。彼女の父親はアメリカの国務長官。冒頭ホープにボディガードがついていたのはそのせいだ。一家はマランのことは忘れたわけではないが、それぞれの問題に心を奪われているようでもある。セシルがジェシカに厳しくあたるのは、甘やかしていたのではいつまでたっても歩けないからだ。息が詰まりそうに感じているジェシカが解放感を感じるのは、プールにいる時だけ。ダニエルはなぜかピリピリしていて、特にカンターに突っかかる。あのデートの時、婚約指輪を忘れ、家に取りに戻ったけど、なぜか3時間もかかった。婚約に不安を感じたからと説明したけど実際は・・。ホープの方も何となく不安を感じている。イギリスへ来れば姿を消せる・・マスコミに追い回されずにすむのではと思ったけどだめだった。パパラッチされ、マスコミにつきまとわれる。たぶんダニエルと恋に落ちたのは解放感のためだろうけど、プロポーズされてかえって不安になる。まだお互いに相手のことよく知らないのに・・。マランの隣室に住むアレックスは・・冒頭ジムで一緒にトレーニングしていた青年だ・・マランの死が信じられない様子。それにしてもマランの部屋はヌード写真やらマリファナやら・・更生に励むにしては・・と、ルイスは首をひねる。そのうちとんでもないことがわかる。マランはアレックスで、アレックスはマランで。つまり犯人は人違いで殺したのでは?・・となる。マランの名前を思い出した時点で、当時の事故記録を調べていたら・・死体は別人だとすぐわかっただろうに。マディの夫マークが、不倫相手を殺したというセンもある。彼はマディを殴るような暴力亭主だし。でも彼にはアリバイがあった。名前の交換で俄然怪しくなってきたのはアレックス・・と言うか、本物のマラン。ああ、ややこしい!どうもアレックス(本物の方)はマディとの不倫がばれ、違う名前で勤め始めたらしい。

許されざる嘘3

わざわざ亭主の店に勤め、スリルを味わう。一方マラン(本物の方)は、出所して一から出直すのに名前変えたらどうかと持ちかけられ、承諾。二ヶ月の約束なのに何ヶ月もなので、いささか頭にきていたところらしい。でもアレックスを殺すなんてとんでもない。マランはルイスの前に現われて説明したものの、まだ何か隠しているようだ。ルイスの説得は聞かず、「一日くれ」と言って姿を消す。もうこの時点で死亡フラグ。あの時素直に出頭していれば、その後の悲劇も少しは防げたはずなのに。ジェシカの誕生パーティが盛大に開かれる。ホープの両親も出席することになっていて、たぶん婚約発表も。セシルは謙遜しつつも自慢たらたら。ジェシカはパーティを抜け出し、迷路になっている庭園へ。マランも来るが、何者かに刺されて死んでしまう。やっぱりねえ・・。その後トムも自殺。ジェシカが事故にあったその場所で、車ごとトラックに正面から突っ込む。う~ん、同じ死ぬにしても他人に迷惑かけるなよって感じ?どう見たってマランに復讐し、自殺。遺書もある。ダニエルとホープは婚約を解消する。ホープの両親は反対してるし、第一当の二人が迷ってる。ホープは指輪を返し、アメリカへ帰国。それにしてもジェシカは・・会ったこともないはずのマランの死に、大きなショックを受けている。プールで自殺しようとするが、ハサウェイが間一髪救助する。ここでのハサウェイは行動的でカッコイイです。実はジェシカとマランは恋人どうし。本当は憎むべき相手なのに、なぜか恋に落ちちゃった。マランはジェシカに謝罪しようとずっと思っていたけど、いざとなると本名を言い出せずアレックスと名乗ってしまった。ジェシカがいつどうやって彼が当のマランだと知ったのかは不明。新聞記事でも見たのか。また、ジェシカに正体がばれていることにマランが気づいていたのかどうかもはっきりしない。「説明したい」というメールをジェシカに送ってきたのは、今度こそ自分がマランだと言おうと決心したからのように見える。ジェシカ自身は彼がマランだとわかっても気持ちは変わらなかった。二人が会えるのはプールの中でだけ。でもとっても幸せだった。ところがセシルが二人の仲に感づいてしまう。瀕死の重傷を負わせ、将来をメチャクチャにしてしまった憎むべき相手に恋するなんて・・。私はジェシカのためにキャリアを捨てたのに・・。

許されざる嘘4

で、マラン殺害を決意するが、相手は体格のいい若者。女の自分には無理だ。そこで、いまだに彼女を忘れられないでいるおセンチなカンターを誘惑し、マラン殺しを持ちかける。ところが彼は間違ってアレックスを殺害。いやもちろん名前も住所も間違ってなかったんだけどさ、入れ替わってた向こうが悪いんだも~ん。普通ならそこでやめるでしょ。殺人なんてやりつけないことやるもんじゃない。もうやめとこ。そうすれば絶対ばれない。カンターとアレックス、あるいはマランには接触点がないんだもん。でもセシルに誘惑されると・・つい。で、マランを殺す。ダニエルは指輪を取りに家に戻った時、偶然二人の関係を知ってしまった。人違いしたなんてその時点ではまだ気づいていなくて、よくやったわね、ごほうびよとか何とかの場面。だからショックで3時間もウロウロしていたのだろう。パーティでカンターに突っかかったのはそのせいだったのだ。セシルの企みはそれだけではなかった。アレックスとマランを殺したのはダニエル・・と、トムに吹き込む。トムは元はと言えば自分のせいと、息子をかばうため、罪をかぶって自殺する。気の毒と言うか、おっちょこちょいと言うか。これを知ったジェシカもダニエルもセシルを軽蔑。隠していたりウソをついたりでみんなが不幸になるのは見ていてやりきれない。ジェシカだってマランとの仲を隠していたし。ラスト・・ルイスに背中押されてハサウェイはフィオナを訪ねる。窓に二人の影がうつり、やがてくっついて・・もちろんルイスはすぐにその場を立ち去ります。「見えてるぞ~」とか注意してあげればいいのに。と言うか、影はロマンチックと言うよりプッと吹き出したくなります。ハサウェイの横顔は・・間延びしていて馬面で・・。トム役はジュリアン・ワダム。セシル役はジェニー・シーグローヴ。おっかない顔してるけど昔はきれいだった。「新米刑事モース」に出ているし、「シャーロック・ホームズの冒険」の「四人の署名」ではジョン・ソウと共演していたっけ。ジェシカ役オフィリア・ラヴィボンドは「エレメンタリー」のキティだ。彼女は若い頃のイザベル・アジャーニ思い出させる。マラン役ダニー・ミッドウィンターは「アナコンダ4」に出ていた。「斬撃」も早く見なくちゃ・・。ホープ役ゾーイ・ボイルは「ポアロ」の「死との約束」のジニー・ボイントン。アレックス役ドゥガル・アーヴィンはなかなかの美形。

ルイス警部3の4 甦った伝説のロッカー

日曜だってのにルイスは呼び出される。日曜は狩猟禁止なのに、ひんぱんに銃声がして礼拝どころじゃない・・と司教からの苦情。もう13回も申し立てているのに、いっこうに改善されない。音の主は元ロッカー、リッチー。後でわかるが彼は警察の年金基金に多額の寄付をしているとかで、警察も彼には強いことは言えない。イノセントも手かげんするようルイスにクギをさす。ちょうどリッチーの元へは35年前に入水自殺したはずのエスメが現われたところ。ルイスやハサウェイなど無視して再会を喜んだり思い出に浸ったり。その頃ルーカスという15歳の少年の死体が見つかる。犯行現場はリッチーの家の門の前らしいが、イノセントは門の外側では・・と、乗り気じゃない。ルーカスは養護施設にいたが、偶然祖母がいると知り、会いに行ったらしい。その祖母モーリンは勤め先をクビになって、今どこにいるのかわからない。エスメは歌えるうちに再結成したいとリッチー達に持ちかける。1960年代から70年代に活躍したイギリスで三番目のグループ、ミッドナイト・アディクション。ルイスにとっては妻と出会うきっかけとなったのがアディクションのコンサート。エスメの謎めいた魅力はそのままだが、リッチーやボーンはオッサンと化し、絶世の美少年だったフランコも今はシワクチャ。リッチーの弟マックは今は庭師だが、若い頃やったクスリのせいで、何も覚えていられない。「ルックアウト/見張り」の主人公みたいな感じか。・・一世を風靡したスターやグループがカムバックとか再結成というのはよくあるが、シワクチャだったりデブデブだったりと見苦しく、声の衰えも隠しようがなく、当人達がノリノリで張り切れば張り切るほど見ている方はさめちゃったりして・・。こんな変わり果てた姿見たくなかった、あの日のイメージを大事にして欲しかったなんて思ってみたり。リッチー達に感じるのも似たようなもの。豪邸に住み、名車を何台も所有し、生活には困っていないようだ。結婚し、娘も成長したが、たぶんちょくちょく浮気も。いつまでたっても尻が落ち着かない。そのうちボーンが殺される。一見クスリの過剰摂取に見えるが、すぐ他殺とばれるようなずさんな手口。

甦った伝説のロッカー2

一方オックスという変なジイサンがウロチョロする。態度がでかく、気取っていて、若い男性に色目を使うホモジイサン。どことなくイアン・マッケランのホエール連想させるが、もっと下品で小物感ありあり。後でわかるが、彼はアディクションのマネージメントをやっていたらしい。自分が作り、自分が成功させた。再結成すれば成功間違いなしと自信持ってる。エスメの自殺は彼のやらせで、今頃になってリッチーの前に現われたのもオックスの指図。オックスはまた、アディクションに詳しいサマンサにも情報を漏らす。彼女に記事を書いてもらえば、いい宣伝になる。そのサマンサが殺されてしまう。ルーカス、ボーン、サマンサ・・この三人はなぜ殺されなければならなかったのか。あれこれあって、エスメは実はモーリンだったことがわかる。彼女は自分の娘が死ぬ前にルーカスを産んでいたことは知らなかった。姉のエスメが自殺し、自分は天涯孤独な身だと思い込んでいた。そこへオックスが現われ、エスメのふりをするよう言われ、人生の目的ができたような気がして引き受けた。モーリンを訪ねてきたルーカスに会ったオックスは、孫の存在を知ってモーリンの気が変わるのを恐れ、少年を殺してしまう。ボーンやサマンサを殺したのは、エスメじゃないと気づかれたから。オックスはまた、フランコも殺そうとするが、間一髪ルイスやハサウェイが駆けつける。リッチーは、ルイスが連行しようとしたオックスを撃ち殺す。どうもオックスは出たとこ勝負と言うか。感づかれたと殺し、感づかれたと殺し・・これじゃそのうち誰もいなくなっちゃうじゃん。いくら35年たってる、姉妹だから似ていると言っても身代わりは無理がある。しかも歌手。声の違いはどうしようもなく、いつまでもだませるわけがない。いちおうエスメは謎めいたところが売りだったから、モーリンもそういう雰囲気漂わせ、うまく化けていたけどね。別に最初からモーリンで再結成でもよかったと思うけど。妹だし、かえって話題になるかも。ルーカスのこともよくわからない。施設ではモーリンのことわかってるのにルーカスには知らせず、モーリンにもルーカスのことは知らせないってのは変。ルーカスの母親がモーリンには知らせるなと懇願したのか。

甦った伝説のロッカー3

オックスは余裕があるように見せかけているけど、実は借金で首が回らないとか、それなりの理由くっつけた方がよかった。でないとあそこまで殺人をくり返す理由がない。よっぽど頭が悪いのだとしか思えない。と言うか、今回はルイスが真相に行き着く過程が説得力に欠ける。リッチーの娘キトンは、同級生のピーターにゆすられている。五年前、30年ぶりにレコーディングしたが、テープの音源が全部消えてしまったことがあった。実はキトンが幻覚キノコでラリッて消してしまったのだが、ピーターはリッチーに打ち明けようとした彼女を止める。このことを黙っているのは彼女のためを思ってではなく、ゆするため。ゆすり取った金で彼は楽器を買い集める。もちろんルイスはピーターにきつく言い含めるが、リッチーにゆすりをばらすぞと反対に脅してやればよかったのに。ちゃんと返金させないと。途中でニューヨークへ行ってるはずのリッチーの妻キャロラインが現われる。彼女は夫に女の影がちらつき始めると、ニューヨークへ行ったふりをする。自分がいない方が、女との関係が早く終わるからである。なるほどね、妻がそばにいると、今度はいつ会えるかとか、間があくから長引くことに。それに隠れて会うことで刺激があって、やっぱり関係が長引く。妻がいないからしょっちゅう会える、隠す必要もなしとなれば、相手に飽きるのも早いと・・。実はキトンはマックの娘。リッチーが浮気するなら私だって・・ということだろう。何も覚えていられないマックだが、キトンのことはなぜか覚えていられる。ラストの二人のシーンはじーんとさせられる。今回おかしかったのは、ルイスを怒っていたイノセントが、「自分には関係ないって顔してる!」とハサウェイにまで八つ当たりすること。のほほんとした顔してるのは確かだけど、そういう顔立ちなんだから仕方ないよねえハサウェイ。エスメ・・と言うかモーリン役はジョアンナ・ラムリイ。この作品の頃には60をいくつか越しているが、うまく化粧でシワとか見えないようにしている。彼女は「ミス・マープル」に、マープルの友人ドリー・バントリー役で二回出ている。若い頃はドラキュラ物に出たりしたようだ。オックス役サイモン・キャロウは「消えた装身具」のケンプ。ピーター役ハリー・ロイドはほっそりしていてアンドリュー・ガーフィールドとかアンソニー・パーキンス系。フランコ役はアンソニー・ヒギンズ。