ゴースト・ドッグ

ゴースト・ドッグ

これはちょっと変わった映画。何しろ主人公は「葉隠」を愛読する殺し屋。おまけに演じているのはフォレスト・ウィテカー。大丈夫かね。ゴースト・ドッグ(ウィテカー)は八年前、チンピラどもに痛めつけられ、危うく殺されるところをルーイに助けてもらった。ルーイはイタリア・マフィアの一員で、ゴーストは彼の命の恩人であるルーイのため、殺し屋として働く。やり取りには伝書鳩を使い、したがってマフィアの他のメンバーはゴーストのことは知らない。ささいなことからゴーストを殺せとなっても、黒人の大男でを飼っていることしかわからない。そのせいで人違いで殺される者も。取りあえず殺しとけって感じで、これじゃあ相手もたまったもんじゃない。マフィアと言ってもみんな年寄りで、階段上がるだけで息ががる。鳩の足につけられたメモの字が小さくて読めないとかユーモラスな描写が続くがその一方で人が次々に撃ち殺される。最後にはルーイ以外みんな死んでしまうのだが、ちっともかわいそうじゃない。ゴーストは「葉隠」を読みふけり、車に乗ると必ずCDをかける。いつもトランクを下げていて、公園でレイモンからアイスを買う。レイモンはハイチ出身で、フランス語しか話せない。パーリーンという少女とも知り合う。別の言語でしゃべっているのに、何となく会話が成立してしまうというのはおもしろい。ゴーストが借りを返すためルーイの前に現われたのは四年前。以後四年の間に12回仕事をし、しくじったことはない。今回はマフィアのボスの義弟フランクが標的。ところがボスの娘が一緒にいたためややこしいことに。今度はゴーストを殺せとなるのだが、どうしてそうなるのかさっぱりわからない。無駄に人が死んでいく。彼がなぜ殺し屋にまで成長できたのかは不明だし、ボスの娘が何を考えているのかも不明。と言うか、そもそもボスってどのジイサン?中に一人異彩を放っているのがいて、懐かしやヘンリー・シルヴァ。「ひとりぼっちのギャング」とかさ。新しいところでは「アリゲーター」。今にも死にそうな顔してるけど、20年以上たった今も生きているようだ。彼がボスなのかな?いつもサングラスかけてるソニーはヴァン・ダム似。ウィテカーはビミョー。殺し屋ってアラン・ドロンとかアラン・ラッドとかさ。こういう太ったオッサンじゃなあ。