ライトハウス
19世紀後半、アメリカ、ニューイングランドの無人島。二人の灯台守がこれから四週間過ごす。片方はベテランの老人トーマス、もう片方は若くて素人のウィンズロー。ウィンズローは元きこり。他にもいろんな仕事やったけど、灯台守は給料がいいと聞いてやってみることにした。彼は当然仕事を教えてもらえると思っていただろうし、交代制だろうとも思っていた。ところがトーマスは掃除や石炭の運搬など雑用、重労働はみんなウィンズローに押しつける。灯りは自分の領分と言い張り、灯台室へ入れてくれない。規則では酒も禁止されているようだが、自分が規則だとばかりに無視する。こき使われるばかりでなく、トーマスはことあるごとにウィンズローを犬のように貶める。ひどいパワハラの連続。へたに反抗して日誌に悪評書かれたのでは給料もらえなくなるから、じっと耐えるがそれにも限度がある。前の助手は気が狂って死んだらしい。ベッドの詰め物の中に木彫りの人魚の人形が隠してあったが、ウィンズローも人魚の幻覚を見始める。やっと四週間が過ぎるが、嵐のせいで船が来ない。建物は雨漏りがし、食料は水に浸かってだめになる。ウィンズローが目ざわりなカモメを殺したせいで呪われたのか。登場人物は数人で、映画と言うより舞台に向きそうな題材。珍しく白黒映画で、暗いシーンが多く、見えにくい。ウィンズローは暗い過去を持ち、何とか別の人生を・・と願っている。金を手に入れたら静かに暮らしたい。だからある程度のことはがまんするけど、トーマスはとんでもないクソジジイ。前の助手がおかしくなったのも、トーマスに精神的に追いつめられたせいではないのか。困ったことにトーマスのようなタイプは、死人が出ても反省しない。自分のせいじゃないと思ってるから、次に来た者にもまた同じことする。彼は老人だし足も悪い。ウィンズローは若くて体力もある。いじめ抜かれて爆発し、牙を剥く・・となった時、自分の方が不利だとは思わないのかね。最後の方は殺し合いで、何と言うか全体的に見ていて楽しくない。救いがない。トーマスはウィレム・デフォー、ウィンズローはロバート・パティンソン。二人にとってはたぶん演技のしがいのある役だったことだろう。それにしても・・この島はカモメまでもが性格悪いな。