タイム・トラベラー、時をかける少女

時をかける少女(1983)

これは一度民放で見たけど、かなり前なのでほとんど覚えていない。「タイム・トラベラー」を見た者にとっては、失望以外の何物でもない映画。「ねらわれた学園」もそう。ああ、何でこうなるのって感じ。スキー場、雪の中でクラスメトの深町とぶつかりそうになる和子。あ、彼女は今初めて深町と会ったのだ、気づいてないけど。和子達は16歳。土曜日の掃除当番、理科の実験室、ラベンダーの香り。タイムリープとテレポーテーションの超能力。でもいきなりそんな能力芽生えたってコントロールできない。ここはどこ?今はいつ?久しぶりに原作読み返したけど、こんなに短かったんだとびっくり。とまどい、あたふたしているのがほとんどで、話はあまり広がらない。起きるのは地震と火事くらい。映画での地震の先触れシーン・・人形の目が・・ああ、そう言えばこういうシーンあったな。それにしても・・見ていて感じるのは違和感。懐かしさを感じさせるという尾道の風景も、わざとらしい。前面に出すぎ。子供の頃の思い出。手を切った和子と深町が互いの血を・・ウギャッ、お尻がムズムズするぅ。体育の時の白いブルマー。ゲッ、白なんて。この年頃の女性なら生理の時気になって気になって・・。和子は深町のことが気になる。初恋かしら。ああでもその深町はボーッと突っ立ったままだ。表情も乏しい。そうなのだ、深町なんかどうでもいいのだ。演技なんかへたでいいのだ。どうせ未来人なんだし。それに・・作り手のオジサン達は原田知世さんにぞっこんなのだ。彼女さえかわいく、きれいに、ステキにとれればいいのだ。この知世ちゃん愛、それと尾道愛、この二つがこの映画のキモなのだ。そのせいで見ていて落ち着かない。押しつけられ感が半端ない。それがクライマックスに達するのがエンドクレジット。知世ちゃんショー。うわ~助けてくれ~。結局SF的要素なんかどうでもいいのだ。未来人でも宇宙人でも転校生でもいいのだ。誰かを好きになること、その人と別れる日が来ること、そしてそのことのために少女が大人に一歩近づくこと。オジサン達はそのことを穢れのない、美しい宝物だと思いたい。ただ、オバサン達はそういうの見るとケッ!となる(たぶん)。名優二人(上原謙氏、入江たか子さん)の熱演もアレだったな。しかもクローズアップ。高柳良一氏は容姿はぴったりだったけど残念。尾美としのり氏はさすが。

NHK少年ドラマシリーズ

タイム・トラベラー、続タイム・トラベラー(1972)

これが放映されたのは1972年だから、もう50年たつ。残っているのは最終回分だけ。しかも視聴者から提供されたもの。続編が作られるほど評判よかったのに何で消しちゃったんだよNHK。恨んでる人いっぱいいるだろうなあちゃんと受信料払ってるのにこの仕打ち(とほほ)。続編の方は全く残っていないんだろうなあ。ああ、あと数年早く家庭用ビデオデッキが売り出されていたら・・。私は「明日への追跡」の再放送(二回分をつなげて35分にしたもの)にかろうじて間に合った。298000円。二年のローンを組んでデッキを買った。ローンを組んだのは後にも先にもこの時だけ。さて「タイム・トラベラー」だが、内容はほとんど覚えていない。原作とは別に、「タイム・トラベラー」と「続タイム・トラベラー」のシナリオを本にしたのがあって、それは持ってるから、どういう感じだったのかはわかる。一回目の「ラベンダーの謎」で、早くもラベンダーがタイムトラベルの薬に使われていることが明かされる。二回目「ケン・ソゴルの謎」では深町が未来人であることもはっきりする。原作や映画のような火事、地震はなく、吾郎の存在も薄い。代わりに担任福島の存在が大きい。演じているのは浜田晃氏。最初にこういう役やってるの見ちゃうと、他の番組で悪役やっててもぴんとこない。主演の島田淳子(浅野真弓)さんは当時15歳。小柄でちょっと太めなのが健康的でいい。泣くシーンなど、涙だけでなくハナまで出てるような感じで、そこが真に迫っていてよかった。深町役は木下清氏。この番組が受けたのは、たぶん彼のおかげだと思う。ほっそりしていて、典型的な醤油顔。知的で清潔で謎めいたムード。未来人役にぴったりだ。二年ほど後に二人は「マリコ」でまた共演したけど、そっちは見ていない。何でだろう。NHKの少年ドラマシリーズは全部で99作作られているけど、ちゃんと見たのって意外と少ない。木下氏は「飛び出せ!青春」にゲスト出演していて、それは見たけど他には・・。インタビュー記事読むと、俳優という職業に興味持てなかったようで、ファンからすると何てもったいない!と思うけど、本人に欲がないんだからどうしようもないね。逆に言うといろんな役をやって、年も取ってきて、時には幻滅・・となることもあるわけで。でも、さっと引退したおかげでいつまでもあのケン・ソゴルのイメージのままでいられる。

タイム・トラベラー、続タイム・トラベラー2

続編の方は筒井康隆氏ではなく、石山透氏が書いている。「時をかける少女」と違って写真が何枚かおさめられているのがうれしい。シナリオの方も写真は少し。「タイム・トラベラー」は六回だが、続の方は五回。一回目は和子に呼びかける声だけで、ケンは出てこない。二回目やっと出てきたと思ったら眉がなく変な服装。未来人だからこうなるのだが、見ている方はがっかりだ。素顔の方がずっといい!まあ全編この顔、この格好じゃないけど。どちらかと言うと私は続編の方が内容覚えている。三人の行方不明になった未来人を捜す。でも捜すの和子主体で、ケンの出番少ないのが不満。もっと出てきて欲しいのに。一番印象的なのは、年寄り四人がエネルギー・スクリーン装置をいじくり回し、若返ったりして楽しんでいたのはいいけど、子供を通り越して胎児になって、宙に消えてしまうところ。「2001年宇宙の旅」みたい。それと、バアサンが装置を取り返しに来たケンや和子を、泥棒とか悪い人とか駐在に訴えるところ。無知だから仕方ないんだけど困ったバアサン。演じているのは原ひさ子さん。「タイム・トラベラー」の最終回には戦時中病気でなくした娘を無理に連れ帰ろうとして、タイムエネルギーに消されたバアサンもいたな。田中筆子さん。最終回と言えばだいぶ前「土曜スタジオパーク」で「タイム・トラベラー」やるってんで期待したのよ。DVDは高価だし・・NHKが出すのってみんな高い・・テレビで見られるなら・・って。そしたらくだらんおしゃべりばっかしてて、結局ほんの一部。とほほ・・全部見せてくれたっていいじゃんよ。は~少年ドラマシリーズに関してはこればっか。不満ばっか、後悔ばっか。どうせ消すなら70年代後半になって再放送してから消せばよかったのよ。そうすりゃ誰か誰かが録画しておいてくれる。まあ私も人のことは言えないんだけどさ。「その町を消せ!」と「幕末未来人」は録画しておいたのにいつの間にか消しちゃったという前科がある。おまけに「その町を消せ!」はほとんど見ないまま消しちゃった。ああ~私のバカバカバカ~ン!やれやれいい年こいて何やってるんでしょう私。50年たって今はソフトもあるしデッキもあるし録画も簡単。昔に比べればチャンネルも増えた。でも・・もう見ることのできない「あの番組」の何と多いことか。