ハイ・ライズ

ハイ・ライズ

これは原作も読んだ。建物などは特撮技術が進んだからそれらしく映像化できるけど、内容の方はどうなのかね。何が何だかさっぱりわからないで終わるんじゃないかね。原作によるとこのタワーは40階建てで一千戸、2000人住んでる。10階(映画では15階)にはスーパーマーケット、ヘアサロン、プール、トレーニングジム、リカーショップ、小学校がある。35階にはもう一つ小型プールがあり、サウナとレストランもある。最上階のペントハウスにはマンションの設計者ロイヤルが妻アンと住む。25階に住むのが医学部講師のラングで、2階に住むのがテレビプロデューサーのワイルダー。この三人が上層、中間層、下層の代表だ。ラングは離婚したばかりで、まわりにわずらわされないここを気に入って入居する。ところがある日、見かけとは違うものがタワー内に進行しつつあることに気づく。機能的で完璧なはずだった住まい。でも中に住む人間は完璧じゃない。住人はだんだんおかしくなり、破壊活動に喜びを見出すようになる。引っ越そうと思えばできる。でもこの狂った生活にとどまる。周囲の荒れようにパトカーが来ても、何も問題はないと追い返す。夜になって何も起こらないとかえって不安になる。騒ぎが起きるとホッとする。建物から離れると不安になるので、仕事に行かなくなる。原作に書かれているこのような描写は、ばかばかしいと思いつつ、そういうこともあるかも・・と思わされる。ゴミに埋もれ、体が臭っていても慣れてしまうのが人間だ。でも映像化して見ている人を納得させるのは難しい。私がこれを見たのは毎日新聞の批評に「キャストは美形揃い」と書いてあったからだ。でも・・ラング役トム・ヒドルストンくらいだな美形は。いちおうワイルダー役でルーク・エヴァンスが出ているが、髪型とヒゲのせいで美形には見えん。パングボーン役ジェームズ・ピュアホイは美形と言うにはくたびれている。あとはロイヤル役でジェレミー・アイアンズ。女性陣はアン役でキーリー・ホーズ、シャーロットがシエナ・ミラー。「G.I.ジョー」に出ていた人かな。最初ラングがタワーを気に入って住み始める部分がいい。手引きにはちゃんと間取りが書いてある。原作にある通り、廊下が省かれているように見えるのがニクイ。全裸で日光浴しているシーンもいい。もちろん隠しているけど。いいのはそこまでで、あとは下降線をたどる。