土を喰らう十二ヵ月
水上勉氏の作品は「越前竹人形」しか読んでない。もとになった作品があるようなので図書館で捜してみよう。久しぶりにダンナと一緒に映画館へ。年配の夫婦や若いカップルが多く、15人かそれ以上入ってた。私が来る気になったのはチラシのせい。テレビのデカ盛りとかグルメにうんざりしているから、これにうつっているようなスッキリした料理に憧れるわけよ。長野の山荘で暮らすツトム(沢田研二氏)は作家。時々編集者の真知子(松たか子さん)が訪ねてくるが、親子ほども年が離れているのに恋人らしい。子供の頃京都の禅寺にいたツトムは、料理が苦にならない。畑もやっていて季節ごとにいろんな野菜が取れるし、山に入れば山の恵みがある。漬物や保存食も作る。特に梅干は寺にはなくてはならないものだった。13年前に妻をなくし、老犬のサンショと二人暮らし(←?)だが、孤独や不便は感じていない。真知子にせっつかれても小説を書く気にはなれないが、今の暮らしをエッセイ風に綴ってみようかという気になる。近所付き合いはあまりなく、大工(火野正平氏)に普請を頼んだり、一人暮らしの義母チエ(奈良岡朋子さん)を訪ねてみたり。そのチエが突然亡くなり、本来なら息子の隆(尾美としのり氏)が葬式をするべきなのだが、嫁の美香(西田尚美さん)はツトムに全部押しつける。隆は美香に頭が上がらず、言いなり。骨壺まで押しつけられる。こういう人っているよなあ。冠婚葬祭で、自分は何にもせずにすむよううまくすり抜ける人。ツトムは真知子に手伝ってもらい、何とか通夜の料理を用意し、みんなに感心される。そのうちツトムは心筋梗塞を起こす。幸い真知子が見つけてくれたが、もしいなかったら・・。ツトムの入院中一人ぼっちにされてるサンショが気の毒。そのうち真知子も離れていき、ツトムは一人に。妻と義母の遺骨は湖か何かにまいたのか。年齢もあって自分の死も考え始めざるをえない。快適な田舎暮らしも健康であればこそ。いつまでも元気に楽しくとはいかないのがツライところだ。それでも生きていくんだけどさ。いい映画だと思うが画面の暗さには閉口した。昼間も暗くてあれじゃせっかくの料理もよく見えない。おいしそうに見えない。何だかがっかりしちゃった。真知子のテーマみたいなジャカジャカした音楽もうるさかったな。エンドクレジットで流れるジュリーの歌はすごくよかった。