エアポート・シリーズ

大空港

なぜか縁がなく今まで見たことがなかったが、DVDをレンタル。リンカーン空港は大雪。着陸した旅客機の車輪が埋まり、メイン滑走路が使えなくなる。他の滑走路を使うと付近の住民に騒音被害が出る。皿が割れたりするのだ。きっと健康にもよくないだろう。空港の責任者メル(バート・ランカスター)にはそれ以外にも頭痛の種が。妻(ダナ・ウィンター)との不和。今夜も一緒に出かける約束だとうるさいが、こっちはトラブル続きでそれどころじゃない。子供達も両親の不和には気づいている。そのうち上の娘が家出。でも行き先は友人の家とわかっているからひとまずは安心(仕事に専念できる)。彼は仕事を口実に家に寄りつかない。妻はあきらめ離婚を切り出す。彼女には他に思っている人がすでにいる。それを聞いたメルは気が楽になる。前々からタニア(ジーン・セバーグ)と引かれ合っていたのだ。これでおおっぴらに仲良くできる。やれやれ・・。メルの妹と結婚しているパイロットのバーン(ディーン・マーティン)は、スチュワーデスのグエン(ジャクリーヌ・ビセット)と浮気している。グエンには子供ができた。やれやれ・・。メルはメイン滑走路から旅客機をどけるためパトローニ(ジョージ・ケネディ)を呼び出す。不和だの不倫だのそんなのばっかでうんざり中だが、パトローニは美人でもない古女房とアツアツ。そこらへんは微笑ましくていいが、彼は口が悪くてかなりムチャをするタイプ。あんまり近づきたくないな。スペアを用意ずみのメルや、献身的な妻をないがしろにするバーンもいやなやつだ。救いはタニアやグエンが立場をわきまえ、控えめなこと。自分かってでハデ好きなメルの妻だって、かなりのがまんを強いられていたのだろうと推察できる。さてベテランの税関員(ロイド・ノーラン)は挙動不審な男が気になる。落ち着きがなくカバンをしっかりかかえている。その男ゲレロ(ヴァン・へフリン)は飛行機を爆破し、妻に保険金を残すつもり。カバンの中はダイナマイト。彼は頭をケガして以来怒りっぽくなり、どの職場も長続きせずにいる。妻は酒場か何かをやっていて、夫がちゃんと働いてくれるよう願っている。そのうち夫が何かやらかそうとしているのに気づき、不安になって空港へ。しかしもう飛び立った後だった。メルやタニアもだんだん不安になってくる。ゲレロの隣りのクォンセット夫人(ヘレン・ヘイズ)はただ乗りの常習者。

大空港2

リンカーン空港でつかまったものの、か弱い老女を装った芝居で逃げ出し、この機に乗ったのだ。席に落ち着くと編み棒を取り出し編み始めるが、私だったら彼女の隣りはごめんだ。乱気流で機がゆれたら・・。この頃はタバコやパイプは吸い放題だしダイナマイトは持ち込めるしただ乗りはできるし。お客の数が合わないと確認しているグエン達にバーンはガソリンの無駄遣いだと言い、離陸してしまう。こういうのもなあ・・。ヘイズはこの役でアカデミー賞をとったが、私はこういうずるがしこくて罪の意識の薄い老人にはなりたくないね。子供や孫に会うためただ乗りするわけだが、子供は不審に思わないのかしら。年金で細々とやってるわけだし。クォンセットの隣りの男性は「タイムトンネル」に出ていた人だ。爆発で重傷を負ったグエンを手当てする医師は「アンタッチャブル」・・と言ってもテレビの方だが・・に出ていたポール・ピセルニ。爆発で機体に穴があくが何とか飛行を続けている。もう一人のパイロット、アンソン(バリー・ネルソン)はバーンとは対照的。誘惑の多い職場であることを自覚し、家庭を大事にすると決めている。子供が七人もいて、中には予定外のもいるが、生まれてみればどの子もかわいい。それを聞いてバーンの心に変化が起きる。グエンを本当に愛していることに気づく。でも元々が浮気者の彼、そのうちグエンも裏切ると私は思うな。第一自分の妻のこと全然考えてないじゃん。まあとにかく真面目でまともなアンソンの存在に少しホッとさせられる。航空士はゲイリー・コリンズだ。おっさんばかりの中では若くてハンサムな方。彼がうつるとうれしかった。今のパニック映画にくらべれば物足りない内容だがそれなりにドキドキさせられる。各地の管制塔とのやり取り、夜で荒天で視界が悪いこと。一人文句の言い続けで騒ぎを大きくする迷惑なのがいて、温厚な牧師もさすがにキレて頬をぴしゃりとやるのが笑えた。再びリンカーン空港へ戻ってきた客達。心配してかけつけた妻が見たのはグエンに寄り添う夫の姿・・ガーン!!同じく気の毒だったのはゲレロの妻。誰彼の区別なくあやまって回る。彼女のせいではないけど、それでもあやまらずにはいられない。これが普通の人間の心理だよ、「フライトプラン」のカイルよ。ラストは仕事をほっぽり出してタニアと空港を離れるメル。娘のこともほっぽり出しかよ、いい気なもんだぜ!!

エアポート’77/バミューダからの脱出

大富豪スティーヴンス(ジェームズ・スチュワート)は自分の美術館の開館式のため、自家用ジェットで招待客と絵画をパームビーチへ運ばせる。機長のギャラガー(ジャック・レモン)はスティーヴンスの秘書イヴ(ブレンダ・ヴァッカロ)と結婚したいが、彼女は迷っている。副操縦士チャンバース(ロバート・フォックスワース)は客室乗務員二人と組んで絵画の強奪を企んでいる。ところが途中でジェットは墜落、バミューダの海に沈んでしまう。中盤は危険が迫る機内の様子、終盤は海軍や沿岸警備隊による救助の様子。ストーリーは架空だが、救助技術や装備は現実のものらしい。気球を使って機体を浮き上がらせるのだ。「大空港」「エアポート’75」に続く三作目なのだそうで、ジョージ・ケネディが同じパトローニ役で出ているが、出番はほとんどなし。レモンはコメディー映画の印象が強いので、こういうシリアスな役には違和感持つ人も多いようだ。ミスキャストと書いてる人もいるくらいだ。でも彼はシリアスな役もちゃんとできるのだ。レモンだけでなく、設計技師バチェック役ダーレン・マクギャヴィン、海洋学者ウォレス役クリストファー・リーもいい味出している。三人とも50代の男盛り。体は動くし思慮深く頼りになる。特にリーは印象に残る。ウォレスは知的で行動派、人の役に立ちたいという高潔な紳士。一方妻カレン(リー・グラント)は酒に溺れ、夫の助手と浮気する。今も、他の人達なんかどうでもいい、自分と夫さえ助かればとか、人助けなんかどうでもいいから自分のそばにいて欲しいとか、自己中心的。お互い愛し合っているのだが、どうも気持ちがすれ違ってうまくいかない。今もウォレスは妻の手を振りきって他の人のために行動する。その彼はあっさり死んでしまい、自暴自棄になったカレンは非常用ドアを開けようとする。そんなことをしたら海水が流れ込んでみんなが溺れてしまう。全く迷惑な女だ。富豪のエミリー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)は昔の恋人(たぶん)ニコラス(ジョゼフ・コットン)と再会。コットンはやや精彩がなかったな。スティーヴンスの娘ジュリー役パメラ・ベルウッドと、リサ役キャスリーン・クインランは同じ顔をしている。チャンバースと、一味の一人バンカー(モンテ・マーカム)も同じ顔。何でこんなキャスティング?二度ほどうつる目のぱっちりした通信士はレモンの息子クリスかな。

エアポート’80

エアポートシリーズ四作目で、これが最終作。これ以降の「エアポートなんちゃら」は無関係らしい。原題は「エアポート’79」か。売りはアラン・ドロンとシルヴィア・クリステルの夢の共演。ドロンが機長なんてありそうでいてなかなかない。スチュワーデスと問題起こしまくりに思えるけど、40代半ばともなれば浮ついた感じはなくなり、美しさの中にも中年の渋みがあって、いい感じ。今回は一度別れたイザベル(クリステル)と誠実に向き合う。宣伝のわりにはクリステルの扱いは軽く、ドロンもカゲが薄い。「エアポート’77」ではほとんど出番なかったパトローニ(ジョージ・ケネディ)が前に出まくり、画面を占領する。ドロンとクリステルとコンコルドのおフランスムード期待したのに、クマみたいなオッサンが前に立ちはだかる。今回の悪役はロバート・ワグナー。ハリソン(ワグナー)は武器の違法輸出をしている。証拠書類を入手したのは愛人のマギー(スーザン・ブレイクリー)。ニュース・キャスターの彼女に公表されたら会社は終わりと、ハリソンは飛行機もろとも始末しようとあの手この手。ミサイル、戦闘機、整備員による細工。ミサイルと標的機はどう見たってアニメ。それにしてもコンコルドの寿命は短かったな。優美で迫力があって個性的で。映画の出来はともかく、コンコルドを見ることができるのは貴重。パトローニは妻を事故でなくしたらしい。メトラン(ドロン)が中年女性腐乱死ーぬ・・じゃない、フランシーヌ(ビビ・アンデルセン)を紹介。最高の夜を過ごすが、彼女が娼婦と知って拍子抜け。会ったその日に関係を持つという、コンコルドも顔負けの速さ。でもねえここらへんはねえ・・笑えませんてば。コンコルドのトイレに入ってばかりいる老女は笑えるけど。何と言うかアメリカではドロンもクリステルも知名度が低く、扱いが軽いと言うか、魅力を引き出していないと言うか。メトランを豪放磊落なパトローニとは対照的な生真面目で寡黙なキャラにするとか・・。イザベルをもっと活躍させるとか何か方法があったと思うが・・。イザベルよりマギーに比重かかってるんだよな。他の出演者は航空会社社長でエディ・アルバート、オニールが「オーメン」のデヴィッド・ワーナー、記者のパーマーが「最高にしあわせ」のジョン・デヴィッドソン。医師のストーン役ニコラス・コスターはどこかで見たような。ところであの犬はどうなったのかしら。貨物室に入れられたとしたら・・。