グリーンブック

グリーンブック

私はあまりアカデミー賞受賞作品は見ないんだよな。バカデミー賞専門なもんで。でもまあこれにはヴィゴ・モーテンセン出てるし、助演男優賞とったマハーシャラ・アリは「プレデターズ」に出ていた人だしな。1960年代、ジャマイカ系黒人のピアニスト、ドン(アリ)がコンサートで南部をめぐるので、その運転手兼雑用係に雇われたのがトニー(モーテンセン)。彼はイタリア系で、ニューヨークのナイトクラブの用心棒をしている。冒頭の帽子のエピソードは、私には意味不明だったな。さて、クラブは改装のため閉店。金が必要なのでこの仕事やることに。ドンはカーネギー・ホールの上に住んでいて、部屋は様々なものであふれ、彼自身はどこかの王様のような格好をしている。ニューヨークの裏町に一族が固まって住み、ワイワイガヤガヤやってるトニーの暮らしとはかけ離れている。彼にはドロレスという美しい奥さんがいて、二人の息子がいる。八週間も家をあけるのは気が進まないが、金のためだ。ドンはオレグ、ジョージとトリオを組んでいるが、二人とは車もホテルも別。各公演先で落ち合う。つまりトニーはいつもドンと一緒。南へ行くにつれて人種差別がきつくなる。トニーにとっては初めての体験が続く。そのうちドンが南部を回るのが一つの挑戦でもあるとわかってくる。そういう、どちらかと言うと重苦しい問題が描かれるが、教養のある誇り高いドンと、たくさん食べておなかのせり出してきた、食事中もタバコをスパスパやってるトニーとの対比がおかしい。いやホントここでのヴィゴはおなかぽっこりで、しかもそれが目立つような格好ばかりしているのだ。せっせとドロレスに手紙を書くが、DearをDeerと書いて、ドンにそれは鹿だと言われたりする。ドンが文章を考えてやり、ドロレスはロマンチックな文章に胸をときめかす。これがラストのドロレスのセリフにつながって、心地よい後味を残す。この映画で私が感心したのは、ヴィゴの演技。そりゃアリの演技もすばらしいが、ヴィゴの方は自由自在と言うか。職業柄いろんな体験をし、修羅場もくぐり抜け、それでいて根っこの部分は善良で懐が深い。頼りになる。信用できる。ヴィゴに主演男優賞あげて欲しかったな。あ、でもラミ・マレックが受賞してうれしかったのも事実です。