トランボ ハリウッドから最も嫌われた男

トランボ ハリウッドから最も嫌われた男

映画館で予告を見たけど見に行かなくて、NHKBSでやってくれたので見た。「「ローマの休日」を仕掛けた男 不屈の映画人ダルトン・トランボ」という本を読んであるので、どういう生涯を送った人なのかはわかってる。戦争に突入した頃の日本とか、中国の文革とか、みんなして変な方向へ流れてしまう時がある。アメリカのアカ狩りもその一つ。脚本家のトランボは一時共産党にいたことがある。そのため国家を危機に陥れる陰謀だの何だの疑われ、召喚されて証言を強要されたり、あげくの果ては服役。出所してからは自分の名前を出さずに脚本を書き、それがアカデミー賞をとったり。代表作は「ローマの休日」「黒い牡牛」「スパルタカス」「ジョニーは戦場へ行った」など。本には彼が手けた全作品が載っていたけど、あたしゃほとんど見てません。彼の仕事と共に描かれるのが家族との絆。結束したりバラバラになったりと、トランボも大変だったけど家族も大変だったのだ。奥さんのクレオはほとんどほったらかし状態だが、アメリカ女性には珍しくヒスも起こさず耐える。時には耐えかねて行動起こすが、その際も会話で。トランボの方も権力と戦う時は会話。監督や俳優の伝記映画はあっても、脚本家のというのは珍しいのでは?タバコをふかし、酒を飲み、アンフェタミンを飲み・・と、命を削るようにして仕事をしまくる。長時間同じ姿勢でタイプライターに向かうから、腰が悪そうなところもさりげなく見せる。トランボだけじゃ内容が地味になるけど、そこはそこハリウッドの映画界。知ってる映画、知ってる俳優が出てきて楽しませてくれる。エドワード・G・ロビンソン、ジョン・ウェイン、オットー・プレミンジャー。中でもカーク・ダグラスはひときわ印象に残る。小柄だが発達した上半身、割れたアゴ、自分の意思を通す強さ、自信。トランボ役ブライアン・クランストンは知らない人。シワとかしゃべり方とかピーター・オトゥールを思い出す。クレオがダイアン・レイン、長女ニコラがエル・ファニング、イアン・ハンターがアラン・テュデイック、ダグラスがディーン・オゴーマン、他にヘレン・ミレン。ゴミ映画専門に作っているジョン・グッドマンのキャラが楽しい。