ゴーストシップ/ヴァイラス
「ゴーストシップ」を見てきたがお客さんは10人ほどしか入っておらず、ちょっと意外。知られた人が出ていないからかな。普通どんな映画でも見ていると名前は知らなくてもどこかで見たような・・という人が必ず数人は出てくるものだが、この映画はガブリエル・バーン以外は知らない人ばかり。ドッジ役の人はてっきり「X-メン」に出ていた人だと思っていたら違ったし。トイレに入っていたら「どんな映画なのかしらね、すごく楽しみ。きのうの夜は眠れなかったくらい」なんていう話し声が聞こえてきて、その微笑ましさにこちらの顔も思わずゆるんだ。映画を見る前の期待でちょっとドキドキした状態というのは、何度行っても毎回経験することだ。さて今回題を二つにしたのは、両者に共通点が多いからだ。「ゴースト」の冒頭のむごたらしいシーンの後、一転してタグボートがブイを引っ張るシーンになった時には「ヴァイラス」そのまんまじゃん・・と思った。漂流中の船を見つけてこれで大金持ちだ・・と喜ぶところも、女性乗組員が大活躍するところも同じだ。違うのは戦う相手がエイリアンかサタンか・・ということだけ。「ヴァイラス」は予告編だけは劇場で何回も見た。その頃「8MM」を見に映画館に通っていたので・・。「8MM」が終わって「ヴァイラス」が始まったと思っていたら、またいつの間にか「8MM」に戻っていて、これでまた「8MM」を見られるぞ・・ラッキー!なんて喜んだものだが、こんなこともあるのかと不思議でもあった。「ヴァイラス」はよっぽどお客が入らなかったのだろうな。私は本編はWOWOWで見たが、それなりにおもしろく楽しめた。最近民放でもやったのでまた見たが、CMでブツ切れでも画質が悪くてもやっぱりおもしろかった。ジャミー・リー・カーチスは「エイリアン」のリプリーばりの大活躍だし、他の映画だと女たらしにしか見えないウィリアム・ボールドウィンも頼もしくカッコいい。内容はいろいろ気持ちの悪いもの、つまり死体がたくさん出てくるので、残酷すぎて引いてしまうところがある。ロシアの科学者役のジョアンナ・パクラがきれいで、彼女の存在がこの映画では大きな救いとなっている。ジャミーの活躍には感心させられるが、彼女には残念ながらあんまり華がない。どんなに汚い格好をしていても美しい女性の存在も映画には不可欠なんだな・・と思う。ラストは「キャリー」を思い出させる作り。
ゴーストシップ/ヴァイラス2
ハッピーエンドとはほど遠いムードで、エイリアンが本当に全滅したのかあいまいなままにしておくのはいいテだが、後味は悪い。ピンチに立たされて自分が助かることしか考えない男性陣と違い、女性二人はエイリアンをここから出さないようくい止めることをまず考える。そこが非常に印象的だった。「ゴースト」にくらべれば「ヴァイラス」の気持ち悪い度は大人しいものだ。さすがの私も「ゴースト」の冒頭部分と缶詰のシーンは、二回目は目をつぶっていた。「バイオハザード」にも似たようなシーンはあったけれど、こっちの方が数倍ひどい。それらを除けば手堅く作られたおもしろい作品だと思う。ガブリエルが途中で死んでしまったのは残念だったが、彼が出演していたおかげで映画が引き締まったことは確か。ヒロインのモーリーンは男まさりで性格さばさば。体つきがっちりで、横から見ると体の厚みが目につく。「ヴァイラス」で男性乗組員がヒロインを「いい女だ」と言うシーンがあって、これほど説得力のないセリフも珍しいな・・と見ていて思ったが、「ゴースト」でもヒロイン自らが「こんないい女がなぜこんなところに」とか何とか言うシーンがあった。見ながら「よく言うよ」と心の中で突っ込みを入れていたが・・。まあ男ばかりの船の上じゃどんな女性も実物よりはきれいに見えるんだろうが、セリフとして聞くとやっぱりヘンだ。私はドッジ役の人が気に入ったので、二回目は彼ばかり見ていた。彼はモーリーンを密かに愛しているのだが、注意して見ていると細かいしぐさ、表情にそれが現われている。画面の後ろや隅に小さくうつっている時でもちゃんとそういう演技をしているのには感心した。マンダー役のカール・アーバンは「ロード」のキャンペーンで来日したようで、テレビにうつっていた。一緒にうつっていたヴィゴ・モーテンセンはウチのダークリーの恋敵ですの。・・さて話は飛びますけど1975年に作られた「魔のバミューダ海域」というテレビムービーがある。海難救助隊がバミューダ海域で漂流中の船を発見するのだが、中では死体が宙に浮いていたりとかとても常識では考えられないことが起こっている。たった一人女性の生存者が見つかるが、何があったのかはよくわからない。そのうちに救助隊員も・・というコワイ内容。まあ私には内容よりもその女性を演じた往年の美女キム・ノヴァクの老けぶりの方が怖かったですけど。
ゴーストシップ/ヴァイラス3
死体が宙に浮いていたのも、人が一瞬の後には消えたりしたのもこれこれこういう理由で・・と合理的な説明がなされて、いろんな怪奇現象も心理的なものだったのか、やれやれ・・と一度は思わせといて最後に引っくり返る。生存者の女性から主人公の男性に役目が移り(ラストでは彼が唯一の生き残りとなる)、そして彼を救助した船でまた同じことがくり返され、犠牲者が増えていく・・ってこれは「ゴースト」でのジャックの役どころと同じ。助け上げられた唯一の生存者が若くて線の細いちょっと見はかわいいコってのは、映画に行く前日WOWOWで見た「ヴィドック」にも通じる。見る方は非力な若者の奮闘に肩入れし、彼が悪魔だなんて夢にも思わない。でもこうやって続けて似たようなものを見せられると、どうしてもアイデアの枯渇という印象を受ける。さて幽霊役の少女は非常にうまい。大人ばかりのパーティでのつまらなそうな顔。船室には壁にたくさんの絵が貼られ、ひとりぼっちの船旅の心細さを何とかまぎらわそうと努める彼女のいじらしさが伝わってくる。惨劇の中悲鳴を上げて逃げ惑うケイティー。幽霊になってからのクールな表情。一番印象的なのはモーリーンに船で起こった一連の出来事を見せるシーン。自分の悲鳴を聞く時のキューッとしかめた顔を始め、ここらへんの作りは秀逸。モーリーンが船を爆破し、とらわれていた魂が解放されるシーンも感動的。特撮使いまくりの「ヴィドック」と違い、見せ場を心得ている。でもやっぱりここで感動しながらも「ブレス」を思い出していた。ドッジは生き残るかと思ったら死んじゃった。あの状況で「殺せばおまえも地獄行きだ」なんて言われても他に方法がないじゃないの。殺さなければ悪魔に殺されるだけでどっちにしろ助からない。あらここらへんは「ロスト・ソウルズ」に似ている。この映画の評価として使われる手堅いって表現は、結局こういうこと。いろんな映画の寄せ集めで内容や設定に目新しさゼロ。それでいてけっこう楽しめる。フィルムの逆回しみたいにパーティ会場ができていくところもうまい。でもやっぱりここで「ダークシティ」でビルができていくシーンを思い出してしまう私。結局悪魔は滅びていなくて金の延べ棒と共に上陸する。それを見たモーリーンはきっとあばれて鎮静剤を打たれるんだろうけど、起きた時にはそれまでのことは忘れているといいね。覚えていても地獄なだけだもの。
ヴァイラス(別バージョン)
この映画の感想は、そのうち単独で、ちゃんと書きたいとずっと思ってた。こういう、船を使った映画ってお金かかるんだろうな。撮影も大変なんだろうな。出演者は本当にみんなよくやってるし、内容も悪くない。退屈させないようあれこれ気を配ってる。でも・・大コケなんだよな、何で?ジャミー・リー・カーティスじゃなくて、もっと若くて美人のヒロインならヒットした?日本でもすぐ打ち切り。私はテレビで何度か見て、中古ビデオ買って・・DVDも出てるけど高くて・・そしてつい最近テレビ東京でもやって・・でも、何度見てもおもしろい。一番の売りは気持ち悪さ?最初見た時はかなり強烈だったけど、今は慣れたせいか平気。台風のせいで積荷を切り離さざるをえなくなったシースター号。全財産なくした船長は自殺図ろうとするが、ロシア船発見の知らせが入る。公海上での無人船・・ロシア政府に引き渡せば3000万ドルは払ってもらえる。一人あたま300万ドル・・夢のような話だ。でも生存者がいれば礼はなし?これじゃ金が欲しけりゃ人を殺せって言ってるようなもの。出演者はなかなか豪華。特に船長役ドナルド・サザーランドがすばらしい。さっさと自殺図ろうとしたことでもわかるが、耐え忍んでも生き延びるってタイプじゃない。こっちの方が有利・・と判断すると、エイリアン側に回る。フォスター(カーティス)は曲がったことが嫌い。偉いのは「私は女よ」的な部分が全くないこと。男と互角・・いや、それ以上に働く。男のほとんどはブーブー不満垂れるし、チャンスがあればさぼろうとするし、怖がりのわりには不注意だったりと、犠牲者コースまっしぐら。リッチー役の人はタイガー・ウッズそっくり。リッチーは血の気が多く、破滅型。その一方で救世主。クリフ・カーティス扮するヒコはわりとまともだが、印象が薄い。スティーヴ役はウィリアム・ボールドウィン。こういうまともなキャラは珍しい。しかし何と言っても心引かれるのはナディア役ジョアンナ・パクラだろう。彼女が犠牲になるのは何度見ても心が痛む。エイリアンは、電源を切ってしまえば・・という弱点があるので、さほど強大な感じはしない。ただ、今は洋上で大した力も発揮できないが、これが陸だと話は違ってくる。どこかしら電気は通じてるし、バカな人間はわんさかいる。