ブリッツ

ブリッツ

ジェイソン・ステイサムは好きな俳優なので、わりと録画するが、なかなか見ている暇がない。これもだいぶほったらかしにしてあった。前知識はゼロ。サウスイースト署のブラント(ステイサム)は、正義感は強いが、暴力的でもある。たびたび問題を起こし、停職中(たぶん)の今夜も車上荒らしの若者三人をホッケーのスティックでたたきのめす。上から警告されても逆にクビになったら何をするかわからんぞと脅すほど。その彼も同僚には心を配る。妻をなくしたばかりのロバーツ警部(マーク・ライランス)を慰め、麻薬の囮捜査官だったフォールズの相談に乗る。ある日警官のベイツが射殺される。休暇を取ったロバーツの代わりに来たのがナッシュ(パディ・コンシダイン)。彼はゲイで、そのため署の連中からいやがらせを受けている。フォールズのところへ少年が来て、インド人を殺したかも・・などと言う。ブラントに相談すると、ストークスを紹介される。ここらへんは、ベイツを殺したのはこの少年?でもインド人と言ってるしどういうことなんだろうと混乱する。しかしすぐにポスト紙のダンロップに電話がかかってくる。そうかこれが犯人で少年は警官殺しとは無関係か。次に警官のネルソンが射殺されるが、この映画ではわりと簡単に犯人を出してくる。タレコミ屋のラドナーの情報で、バリーという男が浮かぶ。彼のアパートを急襲するが、もちろん手がかりはつかめない。犯人は誰かという興味も、動機は何かという興味もこの映画では抱く余地はない。犯人はバリーだし、動機は・・。質問しているうちにブラントは彼のことを思い出す。一年前ビリヤード場でたたきのめして、病院送りにしたやつだ。今まですっかり忘れていた。どうもブラントは自分が忘れるのだから相手も忘れるものだと思っているようで。暴力を受けた方は決して忘れず、恨み続けるとは思わないらしい。ラドナーに対する仕打ちもひどい。こういう関係だとタレコミ屋の方は決して欲をかきすぎてはいけない。警官の方はある程度の見返り(礼金)を惜しんではいけない。持ちつ持たれつがルールのはずだ。ブラントの態度が違っていればラドナーはその後の大変な発見をダンロップの方へ持って行かず、事件も早期解決したかも。

ブリッツ2

さて、ブラントはナッシュの部屋を訪ねるが、恋人と一緒だと困るけど一人だったので安心する。彼の食事を見て「だこれ」とか、部屋を見て「日本風に言うとミニマリスト」とか、そんな会話が楽しい。そのうち時々記憶を失う・・と話し始める。いわゆるブラックアウトというやつだ。上司や犯罪者にはすごんでいても、一方ではそういう悩み抱えているんだとわかる。この映画ではみんなよく酒を飲む。ビールではなくウィスキーだ。ブラントもロバーツもフォールズもみんな悩みを抱えてる。普段穏やかなナッシュも珍しく内面をさらけ出す。以前ある男を、犯人とわかっていて逮捕できなかったこと、ゲイであるがために受ける様々ないやがらせ。ストレスが重なり、燃え尽き→休暇→配置換えとなった。その翌日二人してバリーのところへ行くわけだが、前にも書いたように決め手があるわけじゃない。しかしバリーはすぐに逃亡の準備にかかる。それをラドナーが見ている。本来ならブラントかナッシュが見張っていなきゃならないところだ。揺さぶりをかけたのだから。バリーはロバーツをハンマーで殺し、部屋に火をつけて自分の痕跡を消す。ダンロップに電話し、”ブリッツ(稲妻)”と名乗る。ラドナーはバリーの車のトランクを探り、銃や制帽等を見つける。思いがけない収穫にホクホクし、やはりダンロップに電話をかけ、特ダネと引き換えに5万ポンド要求する。こりゃ大きく出たな。ダンロップはいつも新聞でブラントをたたいている記者。一方フォールズはストークスと会う。ゲゲッ、すごいハンサム、もしかしてルーク・エヴァン?な、なぜ彼がこんなところでこんな役で出てくるんですかッ。しかもなぜかストークスはフォールズに一目ぼれしたようなんですわ。食事の約束なんかしてるぞこら。どうせならナッシュと恋に落ちるとか・・。さて、調子に乗りすぎたラドナーはバリーに殺される。ダンロップは犯人の名前を聞き損ね、5万ポンドは取られ・・と、踏んだり蹴ったり。ま、誰も同情しませんけど。バリーはストークスと食事するフォールズを監視。たいていの映画だと食事の後はベッドに倒れ込んだりするものだが、フォールズはなぜかストークスに突っかかり、何じゃこの女、当代きっての美形に何てことするんじゃいと見ている者をいぶかしがらせる。

ブリッツ3

一人で自宅へ入ろうとしたフォールズはバリーに襲われるが、少年が身代わりになって殺されてしまう。話をしようとしてもフォールズは相手にしてくれず、それでたぶん彼は彼女の帰りをじっと待っていたのだろう、気の毒に。いちおう彼は不良で、フォールズは彼を立ち直らせようと苦心していたようだが、彼女自身潜入捜査官の仕事の後遺症で悩んでいて。その頃ブラントはバリーの経歴調べていてあることに気づく。彼は軽い罪で何度もつかまっているが、ベイツもネルソンもロバーツもフォールズもみんな彼をつかまえた警官。で、彼女が危ないとなって駆けつけたが、犠牲者が出てしまったというわけ。その後フォールズは麻薬に手を出したり、ストークスにやさしく世話されたり。何だよこんな役じゃもったいないじゃないかよ、せっかくの美形が。その後あれこれあるが、イギリスなので銃撃戦とはならず、追いかけっこの末バリーを逮捕。逮捕したはいいけど決め手はなく、結局釈放することに。釈放される時例の大金を所持品として返されるが、追いかけっこの時これを持っていたの?さて、バリーはロバーツの葬儀にまぎれ込む。何しろ彼から盗んだ制服、制帽、おまけに銃まである。途中で式を抜けたブラントを尾行し、今度こそ・・。ところが・・ここはわりとありきたりなどんでん返し。前、釈放される時、ブラントは中にいた方が安全だと警告していたけど、その通り。外に出たバリーはブラントを狙えるけど、ブラントもバリーを狙えるわけで。警官としてのルールに縛られなければ。つまりバリーと同じ位置に立てば。ここらへんは反則とも言えるけど、不快と感じる人もいるだろうけど、映画だしステイサムだし。いつの間にかブラントとナッシュは息もぴったり。この映画だけじゃもったいないな、このコンビ。ラストはダンロップも(忘れず)お仕置き。コンシダインは「ホット・ファズ」や「ボーン・アルティメイタム」に出ていたらしい。バリー役はエイダン・ギレン。どこかで聞いたような・・調べたら「モンタナの目撃者」に出ていた人。「ブリッツ」では髪が黒く、ドニー・イェンとアダム・サンドラーをミックスしたような感じ。ダンロップ役デヴィッド・モリッシーは「リーピング」に出ていた。「氷の微笑2」はまだ見てない。