麒麟がくる

麒麟がくる1 光秀、西へ

大河を見るのは久しぶりだ。ここんとこ視聴率が低迷しているので、気の毒だから見てやるか。なくなっても困るしな。それに戦国時代だから竹中半兵衛が出てくるかもしれないし。美濃明智荘は国境にあるため、隣国から攻め込まれやすい。それだけでなく野盗がひんぱんに襲ってくる。冒頭は襲撃と撃退を長々と見せる。十兵衛は初めて鉄砲を目にし、斎藤道三に願い出て堺・京へ。国を出るのも初めてで、堺のにぎわいに、また都である京の荒廃ぶりに驚く。堺では松永久秀に出会い、入手が難しい銃を手に入れて狂喜する。久秀はてっきり十兵衛を酔わせ、金だけ奪って姿消すかと思ったら・・。それにしても「松永さん」と呼ぶのは・・。殿とか様とか氏(うじ)とか言うんじゃないの?京へ行ったのは、小見の方を見てもらう名医を見つけるため。ここで火事が起き、一回目らしくかなり力の入った描写見せる。全体的に、十兵衛役長谷川博己氏の魅力、美形ぶりを前面に押し出している・・と言うか、大いに頼っている。女性視聴者を引きつけようという魂胆が見え見え。確かに肌はきれいだし、目も血走っていない。涼やかだ。着ているものも黄緑とか爽やか系。ただ、彼の性格が冷静なのか熱血漢なのかごちゃまぜで、それも若いから仕方ないのか。と言うか、十兵衛はいくつの設定なんだろう。久秀が吉田鋼太郎氏・・ちょっともったいつけ過ぎだ。道三が本木雅弘氏、息子義龍が伊藤英明氏。義龍は巨漢だったらしい。伊藤氏も長身だけど、長谷川氏も負けずに長身だからな。後に義龍は道三を死に追いやるけど、今の時点でもう仲がギクシャクしている。鉄砲を扱う宗次郎のところで出会うのが足利将軍の側近三淵。彼は鉄砲は実戦には向かないと結論を出す。弓矢の方がいい。この三淵は細川藤孝の異母兄なんだそうな。演じているのが谷原章介氏なので、目の保養になる。京の医者望月が堺正章氏。ラストは美濃へ攻め込もうとする織田信秀(高橋克典氏)。信長のおとっつぁんですな。あとは菊丸役岡村隆史氏。出番はほんのちょびっと。

麒麟がくる2 道三の罠

一回目の視聴率はまずまずだったようで、よかったね。天文16年尾張の織田信秀が美濃へ攻め入ってくる。望月と駒(門脇麦さん)を連れて戻る途中の十兵衛はそれに気づく。城下は戦に備えてバタバタしている。叔父の光安(西村まさ彦氏)に、織田の軍勢は二万、こちらは4000と聞いてびっくりする十兵衛。道三(実際は利政だけどこっちで統一)は、尾張の兵は金に釣られた寄せ集めだと思っている。そう言えば何かの本で尾張の兵は弱いと書いてあったような。ちなみに強いのは上杉軍。望月は早速小見の方を診察。十兵衛は久しぶりに帰蝶(川口春奈さん)と再会。ところで彼女はすでに土岐頼純に嫁いでいて、あらじゃあ信長とは再婚だったの?知りませんでした。そのうち戦が始まるが、形勢は不利。しばらくすると道三は兵を退かせ、稲葉山城に籠城すると言い出す。相変わらず義龍(実際は高政だけどこっちで統一)は、自分の言うことなど聞いてくれないとこぼす。兵が中へ逃げ込み、門が閉ざされる。押し寄せてくる尾張軍には矢の他に投石。投石機は「タイムライン」にも出てきたな。他に火のついた俵を転げ落とす。信秀はあとは明日と決める。乱破の情報では向こうはもう戦う気ないみたいだし。ところがこれは道三の罠。信秀達を油断させといて一気に打って出る。この時ドンドコドンドコ太鼓を打つシーンが何度も出てくるのが見ていてちょっと。何とか太鼓保存会の皆さんって感じなんだもん。それとエイエイオーも延々と・・。あんまり長いと時間稼ぎに思えちゃう。十兵衛にどれくらい戦の経験があるのかは不明だが、道三に侍大将の首を二つ取ってくるよう言われる。そうすれば京・堺への旅費帳消しにしてやると。で、捜し回るけど、ある武将の首を討とうとしたらそれが光安に見えちゃって、ためらう。彼が武力ではなく、知略によって戦いに勝とうとなるのは、これがきっかけか?信秀は弟信康を失い、命からがら尾張へ逃げ帰る。一方帰蝶は、美濃の守護で夫でもある頼純が、戦だというのに甲冑もつけずにいたのが歯がゆく、面と向かってなじる。実はこの頼純、裏で信秀と手を結び、道三をなき者にしようと企んでいたらしい。出てきたかと思ったら、道三に毒殺されて死亡。あらまあ、なまじ気概があるために。たてまつられて大人しくしていればよかったのにねえ。と言うか、妻としてのあの帰蝶の態度もねえ。

麒麟がくる3 美濃の国

織田軍を撃退し、つかの間の平和が戻る。十兵衛達は野良仕事。彼はいつも同じ着物を着ているな。田起こしで泥がはねても、着物は汚れないらしく、そのまま着続ける。たぶん同じ柄の着物を数着持っているのだろう。着たきり雀に見えて、毎日取り換えているのだ・・なんちゃって。以前十兵衛に助けられた菊丸が、薬草などを持ってお礼に来る。薬草の不足を心配していた駒は喜ぶ。菊丸は駒に心引かれるのか。岡村氏は若く見えるので、駒と並んでも全然違和感がない。帰蝶も明智荘を訪れる。彼女は以前一年ほど十兵衛達のところへ預けられていたらしい。駒と、十兵衛の母親牧(石川さゆりさん)と女三人でおしゃべり。美濃に伝わる古い話を帰蝶が話し、駒は歌を歌う。はいはい、時間稼ぎね~。石川さんも負けずに歌い出すかと思っちゃった「あけち~ご~え~♪」。駒は子供の頃火事にあい、侍に助けられた。その命の恩人に会いたいと願っている。まだ侍の正体は不明だが(後ろ姿なので誰だか不明)、もしかしたら美濃の国の人かも・・となる。一方帰蝶は、道三が夫頼純を殺したことを気に病んでいる。仲むつまじかったわけじゃないけど、殺されるなんてあんまりだわ・・と、悲しんでいるのかと思ったら・・。父親がまわりにどう思われているのか、十兵衛はどう思っているのか気になったようで。な~んだ。少しは悼んでいるかと思ったら違うんかい。道三は義龍と共に、土岐頼芸(尾美としのり氏)のところへ。お飾りでもいいから守護が必要なのだ。頼芸は引き受けるしかない。もちろん義龍に耳打ちして動揺させ、二人が帰ると織田に使いを出す。頼純と同じことをしている。義龍はかねがね道三の自分に対する仕打ちに悩んでいる。自分は道三の息子ではないのではないか。頼芸の息子なのではないか。母親の深芳野(南果歩さん)に問いただすが、否定される。子供の頃からの友人である十兵衛に胸のうちを明かす。道三は戦には強いが、政(まつりごと)は不得手。力で制圧することはできても、人の心をとらえることはできていない。今すぐではないが、自分が代わりに・・と思っている。その時は力になって欲しい。この・・義龍が謀反を起こすまでの心の動きと言うか、そういうのをちゃんと描いているのはいいと思う。逆に道三の方はとらえどころがない。本木氏が道三と言うより信長に見えてしまうのは私だけ?

麒麟がくる4 尾張潜入指令

天文17年、今川義元(片岡愛之助氏)が尾張方と戦うが、痛み分けで終わる。美濃では小見の方の治療が終わり(結局何の病?)、帰蝶も道三も喜ぶ。望月や駒は京へ帰るつもりだが、道三がそうたやすく帰してくれるわけもなく・・。十兵衛は知らなかったが、望月は織田とも深いつながりがあるらしい。双六で負けた借金とか。彼は腕はいいが、ギャンブル大好き人間。そのため駒はせっかく得た薬代をすってしまわないよう、いつも目を光らせている。うわさでは信秀は体調が悪いらしい。道三は駒を人質に取り、望月に信秀の状態を探るよう命令する。十兵衛と菊丸は薬売りの兄弟に化けて尾張へ潜入。信秀は一見健康そうに見えたが、三ヶ月ほど前に肩に流れ矢があたり、昼間は何ともないが、夜になると調子が悪くなるらしい。私は、信秀の件は誤報で、実は彼は息子信長のアホぶりを心配して望月を呼び寄せたのかと思ったりしたけど、違った。ところで、今回まだ幼い竹千代・・後の家康が出てくる。この頃は織田の人質になっていたらしい。母上に会いたい、ここから逃げたいと言う竹千代に驚く十兵衛だが、時機を待つようこんこんと諭す。菊丸は三河の人間なので、織田と今川両方に好き勝手にされている三河の現状には怒りを覚えている。若君も犠牲者の一人なのだ。さて、望月の情報では、信秀は矢に塗られた毒が体に回り、状態はよくないらしい。ただ、その情報を持ち帰る途中、尾張方が追ってきてピンチに。正体不明の一団が石つぶてで追い払ってくれたため、ことなきを得たが、彼らはいったい何者なのだろう。と言うか、薬売りの二人が怪しいとわかったわけで、望月はあの後何ともなかったのか。ここらへんちょっと雑なのが残念。道三は報告を聞いて喜び、駒の身はこれで安全だ。さて、十兵衛は時間を見つけては鉄砲の練習をしている。なかなか的にあたらなかったが、そのうちあたるように。日運という僧の話では、種子島で鉄砲が作られ始めたとか。将軍足利義輝も鉄砲に注目しているとか。まあ・・何ですな、今回見てると医者や僧は職業柄(←?)いろんな情報が入ってくる立場にいるというのがわかりますな。

麒麟がくる5 伊平次を探せ

十兵衛が道三に鉄砲の撃ち方を教える。的にあたって喜ぶ道三。的ったってでっかい壺だけど。威力はあるものの、撃つまでの手間が鉄砲の欠点。何とかならないものかと悩む十兵衛。もっとよく仕組みを知るために分解したい。そんな彼に家臣の藤田が、国友村にいる刀鍛冶、伊平次のことを話す。それを聞いた十兵衛は早速近江へ。駒は望月も戻ってきて京へ帰らなければならず、その前に十兵衛に一目会いたいとやってくるが、入れ違いになってしまい、失望する。応対した牧に、京へは戻りたくない、京は戦ばかりでと、つい本音をもらす。それを聞いた牧はここも戦ばかりですよと諭す。城からお供で菊丸がついてきている。木の下で駒を待っていると、二人の子供が柿をくれる。ぺこりと頭を下げると子供は笑顔で走り去る。牧のシーンもいいけどこのシーンもいいなあ。二人の子供がとにかくかわいい。菊丸がじっと待ってるところもいい。それにしても彼は城で何をしてるんだろう?三河へ帰らなくていいの?今回関の孫六の名前が出てきたりする。その孫六の紹介状があっても、刀鍛冶達は何も教えてくれなかったが、中に一人欲の深いのがいて、金と引き換えに情報をくれる。どうやら伊平次は本能寺で養われているらしい。で、京へ。今回十兵衛は細川藤孝や足利義輝(向井理氏)と出会い、三淵や松永と再会する。藤孝は十兵衛が鉄砲を持っているのを見とがめ、刀をまじえるはめになるが、義輝が出てきてその場をおさめる。三人共同じ剣の流派らしい。義輝が塚原卜伝の教え受けたのは有名だけど・・。さて、視聴率は順調に(←?)下がり続けているらしい。作り手も心配だろうな。見ていても今回なんかなかみ薄いし。と言って毎回合戦もいやだしなあ。まあ私は十兵衛より菊丸のキャラが気に入り始めている。岡村氏はかわいいし、演技も上手。十兵衛は松永の案内でやっと伊平次を見つけるが、鉄砲作りは拒否される。こっちの頼み聞けば今度はあっちがもっとたくさん作れと言ってくるに決まってる。きりがない。ところが十兵衛は、何と伊平次の命の恩人だった!ここはわざとらしいなあ。駒は京に戻っていて、十兵衛らしき侍の後ろ姿を見かけるが、いるはずないわよね・・と。

麒麟がくる6 三好長慶襲撃計画

三好と細川晴元(国広富之氏)が一触即発の状態に。三好は万里小路家の連歌の集いにお忍びで出るが、晴元はこの機会を狙っている。これを教えてくれたのは伊平次。遊女屋にいた時、密談を耳にしたのだ。十兵衛は急いで三淵へ知らせる。藤孝(眞島秀和氏)は、将軍の前でも無礼な態度を取る晴元を嫌っていて、すぐにでも三好に知らせようとするが、三淵の態度はあいまい。三淵を説得しようとする十兵衛。彼は知らなかったが、それを義輝も聞いていた。将軍が一番上にいて、諸大名がその下にいる状態が、世の中が平らかな状態・・平和な状態と十兵衛は考えているようで。十兵衛がそんなこと言うのもちょっと変な気がするが。だって道三こそ土岐氏をないがしろにしている張本人じゃん。すでに襲撃は始まっていて、いくら何でもあれじゃ油断のしすぎだな。太鼓の一つも打って知らせんかい!庭は一面紅葉が敷きつめられたようになって赤い。ここはなかなか凝っている。結局襲撃は失敗し、晴元は悔しがる。十兵衛は肩を負傷し、望月のところへ。目が覚めたのは二日後。道案内していた武士はどうなった?失神した彼を駒が一人で運べるはずもなく、武士が力を貸すのでなければおかしい。駒をクローズアップしたいのはわかるが、こういうちょっとしたことが引っかかる。十日後藤孝がやってくる。京へとどまるよう懇願されるが、十兵衛は断る。京も美濃も同じ状態にあるからと。まわりからは鬼か蛇かと恐れられている松永とうまくいってることを不思議がられるが、十兵衛は松永のことはいい人だと思っている。たぶん今の彼は松永とは利害関係ゼロだからだろう。松永がこういうふうに描写されるのは珍しい。たいていの歴史小説では腹黒い陰謀家として描かれる。その頃美濃と尾張で戦が起きるが、すぐ終わったようだ。信秀の体調はどうなったんだ?とにかく十兵衛は急いで美濃へ。駒は口実を設けてついていく。途中日が暮れ、小屋で一つのムシロの中で夜を明かす。あまりにもわざとらしい設定なので、お尻がムズムズする。それとも見ているみんなは喜んだのか?と言うか、「三好長慶襲撃計画」なんていう堅苦しい題名じゃなく、「初めての夜」とかにしたら?視聴率上がるかもよ、ウヒヒ。今回印象に残ったのは、藤孝役眞島氏の強すぎる眼力。打ち解けた会話をしていても眉と目だけは鋭さびんびん。笑ってしまったのは私だけ?

麒麟がくる7 帰蝶の願い

前回、信秀が道三との戦に決着をつけることができなかったのは、同じ織田の彦五郎というのが、留守を狙って動いたからだった。信秀は今川、彦五郎、道三という三つの敵を抱え、自分の手には余ると考えている。これは自分の体力の衰えを感じるせいもある。例の矢の毒が遠因か。それにしてはききめがゆるやかすぎる気もするが。とにかく信秀は道三と和議を結ぶことにする。一方やっと美濃へ戻った十兵衛。道三から織田へ嫁すよう言われ、拒否した帰蝶が明智荘へ来ている。たぶん途中で、信秀の書状を携えた使者が十兵衛達を追い越していったことだろう。ずいぶん話が早いが、十兵衛もケガのせいでいつもより戻るのに時間かかっただろうし。駒も帰蝶も十兵衛に思いを寄せているが、どちらも叶わない。たぶん十兵衛にはその気はない。とうさんだって・・いや、道三だって娘を戦略道具にはしたくないが、いつだってそれを上回る理由がある。尾張には海がある。国を豊かにするには海を手に入れないと。でも、国が豊かになったって戦は起きるんだけどね。一度は道三に抵抗した十兵衛だけど、その壮大な計画には考えさせられるものがある。一方義龍や稲葉といった連中は、よく言った、和議なんてとんでもないと意気盛ん。美濃も一枚岩とはほど遠い状態。帰蝶は、その目で信長を見てきて欲しいと十兵衛に頼む。いずれは織田へ嫁ぐのも避けられないと帰蝶だってわかってる。京から戻ったと思ったら今度は尾張へ。人使いの荒いお姫様やな~新幹線もないし、疲れるわ~。十兵衛は行商人の格好してるけど、目つきや歩き方が・・あれじゃあバレますぜ。熱田は堺同様活気にあふれている。でもどうやったら信長に会えるんだろ・・と思っていたら、菊丸に再会。で、いよいよ信長登場というところで続く。まあ、何ですな、15分ですむような内容を45分に引き延ばしていると言うか。女性二人のモヤモヤを延々と・・。一人の男性をめぐって本来なら嫉妬やら何やらでメラメラとなるところだが、女性二人はいたって仲良し。ところで、一回目に聞いた時には取りとめがないというか、パンチに欠けるというか、印象薄かったテーマ曲だが、慣れたせいかいい曲だなと思えるようになった。勇ましかった「天地人」のテーマは近くの保育園でよく演奏していたけど、こっちは勇ましいという感じじゃないな。

麒麟がくる8 同盟のゆくえ

海辺で信長(染谷将太氏)を見た十兵衛。奇妙な男だがうつけには見えず、判断に迷う。美濃へ戻ってもすぐには帰蝶に会わない。何と報告したらよいのか。帰蝶は十兵衛が尾張へ出かけた時点ですでにあきらめている。もし自分のことを思っているなら尾張へは行かないはず。また彼女は駒の思いにも気づいている。彼女はなかなか頭が鋭い。結局十兵衛は信長に嫁ぐよう帰蝶に勧めるしかない。帰蝶は稲葉山城へ戻り、道三や光安は大喜び。しかし義龍は激怒し、十兵衛を頼芸のところへ連れていく。ここで十兵衛が言うことは、前回道三が言ったこととほぼ同じ。頼芸は途中で会合を打ち切り、義龍は国衆の前で恥をかかされたと怒りがおさまらない。十兵衛とは以後絶交するのだろうか。頼芸もバカではない。信長はうつけだといううわさだし、帰蝶はあの性格だしで、この婚姻はうまくいくはずはないと思っている。義龍は深芳野に不満をぶつけるが、深芳野は家督を譲られるまでの辛抱となだめる。義龍の弟達はまだ出てこない。この後道三が義龍じゃなくて弟の方に家督を譲ろうとして、それで義龍が謀反起こすわけだ。さて、話が出てから二ヶ月足らずで帰蝶は尾張へ。ところが祝言の席に信長の姿はなし。どこへ行ったのかわからず、あわてまくる守り役の平手政秀。こういう描写は、見ている者にこれからいったいどうなるのだろうという興味を起こさせ、なかなかいいと思う。主役は十兵衛だけど、信長・帰蝶のカップルも気になる。さて、京へ戻ることにした駒。十兵衛は、もういいと言うのにずっと駒を送っていく。帰蝶が稲葉山城に戻る時は見送らなかったのに。本当は行かせたくなかったんでしょ?さあ本当のことを言えこら・・と、駒はしつこい(←?)。で、十兵衛の本音引き出して、それでやっと駒も吹っ切れて、でもそれはそれで悲しくて・・乙女心は複雑でありんす。一方義龍の恐れていたことが起きる。美濃と尾張の同盟を知って今川が動き始める。松平広忠は嫡子竹千代が尾張の人質になっているから複雑な心境だろうなあ。ところで今川の軍師、太原雪斎役伊吹吾郎氏・・「国盗り物語」では細川藤孝やってたんだよな。あれって1973年?47年前・・ウヒョーもうそんなになるの?

麒麟がくる9 信長の失敗

今川は、今が織田を攻める好機ととらえている。ところが松平広忠とその家来が襲われ・・。死体を見つけた菊丸は、広忠の脇差を持って水野信元のところへ。そこには竹千代の母、於大の方もいた。於大は信元の妹らしい。菊丸は、襲ったのは織田の手の者だろうと言う。今回、菊丸が水野の下で働く忍びらしいことがわかる。別にこんなわざとらしい背景くっつけんでもいいと私は思うけど、話題作りのためには仕方ないのかな。さて那古野城で信長が現われないまま朝を迎えた帰蝶。やっと現われた信長は奇妙だがのびのびと明るい性格。驚いたけど別にいやな感じもしない。帰蝶役川口さんがいい。丸くて大きな黒々とした目、薄いピンクの美しい肌。澄んだ容姿の彼女の起用は大成功。信長役染谷氏は知らない人。今までの信長って高橋英樹氏とか高橋悦史氏とかで、こういう子供っぽい顔立ちの人ってあまりいなかったような。帰蝶と信長は信秀、土田御前(檀れいさん)のところへあいさつに行く。ところが信長が引き出物として出したのは・・。てことは広忠を襲ったのは信長なのね。信秀が愚か者めと呆れ、怒るのも無理はない。あまりにも短絡的な行動。信長は、今川が来れば美濃が援護してくれると思い込んでいるけど、あの道三がそんなことするわけない。土田御前は明らかに信長より弟の信勝の方をかわいがっている。幼い竹千代は父が首になって近くにあるとも知らずにいる。彼は信長が好きだが、その信長は機嫌が悪い。帰蝶は早くも織田家に漂う暗い影に気づく。孤独な信長が好ましく思えてくる。まあ彼女は首を見てないからね。今回十兵衛が出てくるのは30分近くたってから。妻となる熙子(木村文乃さん)と再会する重要なシーンがあるのに。帰蝶達の方が明らかにインパクトあって。十兵衛は藤田らを連れて妻木へ。光安に言われて米俵を運ぶが、理由は知らない。彼は幼い頃来たことがあるので、懐かしくてウロウロしていると、若くて美しい女性に出会う。子供の頃彼は大きくなったら嫁になれと熙子に言った。実は米にかこつけて十兵衛を妻木へ行かせたのは光安の案。十兵衛もそろそろ身を固めてもらわないと・・。光安と牧のやり取りはおもしろいが、肝腎の十兵衛と熙子の再会はあまりパッとしなかったな。

麒麟がくる10 ひとりぼっちの若君

信長の腹違いの兄信広が、今川にとらえられる。織田に人質になっている竹千代と交換すると言ってくる。京では美濃から帰った駒の様子がおかしいと、望月が心配する。その駒は伊呂波太夫(尾野真千子さん)と再会する。太夫が率いる芸人一座はあちこち回っている。久秀とも信秀とも知り合いらしい。駒は太夫の妹分として育ち、芸も仕込まれた。綱渡りもできるし、その上で宙返りもできる。もう何年もやってないのに。たぶんこのシーンにはツッコミが殺到したことだろう。太夫は例の侍のことも覚えていた。家紋は桔梗だったと聞いて駒は驚く。命の恩人は明智家の人だった!ん?でも土岐氏も桔梗なのでは?ま、いいや。十兵衛恋しさにぼーっとしてうわのそらの駒。太夫に話しているうちに目がうるんでくる駒。片思いはせつないですなあ。一方道三は十兵衛に織田家の動向を探るよう命じる。織田家の動き次第では同盟も怪しくなりそうだ。熱田の市で菊丸を見つけ、手土産として味噌を調達。帰蝶のご機嫌うかがいという名目で那古野城へ。久しぶりの再会だが、あまり話をしているヒマもなかった。イノシシか何かを仕留めた信長が帰ってきたからだ。彼は海辺で出会った十兵衛の顔を覚えていた。恐るべき記憶力だ。彼は母親に好かれていないことや、弟信勝が好かれていることを口惜しく思っていることなど、あけすけに話す。そのうち竹千代がやってくる。竹千代も以前十兵衛に会っているが、十兵衛がいることには気がつかなかったのかな?竹千代は父親が信長に討ち果たされたことを知っている。恨んでいるかと思ったら違った。母上を離縁し、今川についた父親のことは大嫌いだったと。信長のことをわけのわからんやつだと思っていたら、こんなこましゃくれたのまで出てきたので、十兵衛はますます当惑する。帰ろうとしたら菊丸の姿が見えないが、その菊丸は床下にもぐり込んで信長と竹千代の話を聞いていたようで。信長は信秀が竹千代を今川に引き渡すことには反対したが、竹千代自身は敵である今川の顔を見ておきたいと思っているようで。竹千代の忍耐の日々は始まったばかり・・。ところで色が黒くて元気のいい変顔(←ほめ言葉)染谷氏・・私には信長と言うより秀吉に見えちゃうんだけど。

麒麟がくる11 将軍の涙

ちょっとポケッとしているうちに見てないのがたまっちゃった。竹千代は信弘と交換で今川方へ。義元は武骨一辺倒ではなく、文化にも興味持ってて、竹千代に対する態度もやわらかい。竹千代が義元のことどう思ったのかは不明。1550年、今川が織田を攻めてくる。信秀は自らの体力の衰えが恨めしい。信弘はふがいないし、信長は何を考えているのかわからないし、信勝は若すぎる。美濃では義龍がそれ見たことかと道三を非難する。稲葉達も兵を出す気はない。織田からは平手が援軍を出せとせっついてくるが、こんな有様なので無理。せいぜい米を送るくらいしかできない。使いには十兵衛が行かされる。道三はうまくいかなければ同盟は破棄、今川と手を結ぶと考えている。でもそれでは帰蝶はどうなるのか。行ってみると信長はのん気に相撲なんか取ってる。代わりに応対した平手は、援軍が来ないと知ると冷たい態度に。そのうち信長が来て、京の将軍家にとりなしを頼んだらということになる。以前頼純と頼芸が戦った時、その方法を取った。でも道三はそのために必要な金を出す気がない。仕方なく十兵衛は義龍に頼んで頼芸に会わせてもらう。魚の干物を若君にとか言っていたが、義龍はすでに結婚し、息子がいるのか。もしかして龍興?頼む時にこれからは言うこと何でも聞くからと十兵衛は言ったけど、そんなこと軽々しく言うかね。義龍が道三憎んでいるとわかっていて・・。何とか頼芸に頼んで文を書いてもらい、ついでに仲介料も出させたのかな?十兵衛は京へ。京では晴元と三好長慶が争っている。義輝は三好のせいで近江に落ちのびるはめに。途中十兵衛は偶然藤孝に出会う。彼は義輝が京へ戻れるよう尽力しているらしい。義輝は十兵衛が三淵に話した言葉をよく覚えていた。あの時十兵衛は義輝が聞いていることは知らなかったけれど。こういう位の高い家に生まれると、それに伴う運命を受け入れるしかなくなる。竹千代もそうだけど。将軍を頂点とした組織がうまく機能すれば世の中は平らかになるけど、今は将軍は自分達に有利なように利用する道具としか思われていない。そんな中で自分に何ができるのか。義輝の苦悩の深さは聞いている十兵衛にもこたえたようで。今回は義輝役向井氏の演技と美しさに、十兵衛も信長もかすんでしまいました。

麒麟がくる12 十兵衛の嫁

近江から戻った十兵衛は心ここにあらずという感じで、光安や牧を心配させる。彼の脳裏から義輝の麒麟がなんちゃらの言葉が離れない。こりゃやっぱり嫁をもらわなければだめだと、筋の通らない考え方をする光安は、息子の左馬之助に、十兵衛を誘って妻木あたりで嫁狩り・・じゃない、鷹狩りをするよう言いつける。十兵衛は鷹狩りへ行ってもうわのそらだったせいか、皆とはぐれてしまう。そこへ現われたのが熙子。館へ寄ってくれとモーションかけたのに断られ、みるみる顔が曇る。しかしお見送りをすると一緒に歩いていたら、十兵衛が突然プロポーズ。ってことはお見送りしなかったらプロポーズはなし?子供の頃、大きくなったら嫁になれと言ったからって、すごいな、それだけのことで結婚決めちゃうなんて。私が思うに、前回信長が帰蝶に膝枕してもらってるのを見て、自分もああいうふうに誰かに甘えたいと思ったんだと思う。さて、義輝の仲立ちで織田と今川は和議を結ぶけど、織田に不利な条件でだった。しかも信秀の病は重い。自分が今いる末盛城は信勝に譲り、柴田勝家や佐久間信盛と言った重臣もつける。那古野城を任された信長は大いに不満で、母親に嫌われているせいだと帰蝶の前で泣く。見かねた帰蝶は信秀にじかに織田家はどっちに継がせるのか聞きにいく。こういう・・泣いたりすねたりの信長は珍しいね。その頃京では駒や若い医師らが大忙しで患者の面倒を見ていたが、金の工面をするはずの望月は闘鶏で負け、大きな借金をしょい込む。その望月は信秀に呼ばれる。双六がしたいというのが表向きの理由なくらい、望月にもわかりそうなものだが。信秀の体調が悪いのはずっと前診察した時からわかっていたはず。一方道三は頼芸から鷹を贈られ、上機嫌。ところが鷹の爪には毒が塗ってあり、近習が身代わりになって死ぬ。十兵衛の結婚で牧や光安が大喜びしていると、召集がかかる。道三は頼芸と一戦まじえると宣言する。表立って反対する者はいないが、義龍は十兵衛に自分は父上と戦うと宣言。尾張へ着いた駒は帰蝶から十兵衛が結婚したと聞いて大ショック。望月が参上すると、信秀はすでに息を引き取っていた。主人公の結婚がこんなにあっさり描かれるのは珍しい。なぜ結婚する気になったのか、普通はもっと時間かけるんじゃないの?

麒麟がくる13 帰蝶のはかりごと

「共に父上を倒すのじゃ」と義龍に念を押され、思い悩む十兵衛。それを見て心配する熙子。しかし牧はいつものことと気にしない。この牧が白髪もなく、髪の量もたっぷりなのは不自然。「この頃髪のボリュームが・・」という年代だと思うが。十兵衛は何とか頼芸と道三が衝突しないよう、道三を説得に行く。頼芸は守護だし、道三には恩義がある。光安は道三につくだろうから、そうなると身内どうしで戦うことになる。もっとも道三には初めから戦う気はないようで。かわいがっている鷹を皆殺しにされた頼芸は、六角を頼って逃げ出してしまう。ただ、前回道三を鷹の爪に塗った毒で殺そうとした頼芸が、あのようにのん気にしているのはおかしい。普通なら成功したかどうか固唾をのんで注視しているはずだし、失敗とわかった時点で逃げ出しているはずだ。頼芸はこの後あちこち転々とし、81歳で亡くなったそうな。意外と長生きしたのね。頼芸に忠誠誓った義龍は置き去りにされ、それだけでも無念なのに、これじゃ家督も譲れんと道三にバカにされる。一方信秀の死に乗じて今川が再び進軍してくる。そのため駿河へ向かう望月と駒は関所で足留めを食う。美濃へ行って恩人捜しをするつもりだった駒は、十兵衛の結婚を知って行く気なくしたようで。駒は織田からもらった銭を取り出して見ていたけど、そんな危ないことするかね。盗賊に襲われないようなるべく貧しいフリをするんじゃないの?ここでやたら元気のいい行商の男と出会うが、これが藤吉郎(佐々木蔵之介氏)。大きな荷物を背負い、それでいて本を理解しようと一生懸命。足留めされてる時間も無駄にはしないってことか。織田では彦五郎との争いをおさめようとして平手が切腹。命をかけて信長をいさめるため・・というのが普通だけど、今回は違う。信長が平手を思って泣くシーンもなし。道三からは信長に会いたいという文が来る。表向きは同盟の確認だが、相手は道三、信長の命狙ってるのかも。今の織田は内紛やら今川の進攻やらで弱体化している。聖徳寺で会うことになり、道三は途中で待ち伏せし、信長の器量を確かめることにする。顔を知っているのは十兵衛だけなので、彼もお供する。おびただしい鉄砲衆の数にびっくりし、アホ信長の登場にまたまたびっくり。

麒麟がくる14 聖徳寺の会見

さすがの道三も信長の正体がわからない。鉄砲衆の多さに度肝を抜かれ、奇妙ないでたちで瓜か何かを食べている馬上の男にまたびっくり。とにかく大急ぎで聖徳寺へ先回りするが、今度は信長がなかなか姿を見せず、イライラ。やっと現われた信長はきちんと正装し、態度も落ち着き払っている。帰蝶の名を持ち出すのは、彼女を通じて同盟が成り立っていることをほのめかすためか。金があれば鉄砲を揃え、鉄砲衆も集められる。鉄砲は百姓でも撃てる。家柄や血筋より、戦で力を発揮する人間を。そういう合理的な考え方を信長はする。それは道三も同様ではなかったか。彼は娘婿を大いに気に入り、信長が無事に帰ったので十兵衛もホッとする。その頃駿河には駒と望月がいた。信秀の死で思ったように金が入らず、駿河の大あきんどからも同様。望月は雪斎のところへ。織田を滅ぼすまであと二年生きたいと言う雪斎だが、望月は言葉を濁す。駒は薬種問屋で思いがけず菊丸に再会。彼は味噌売りをやめ、名前も変えている。ショバ代を払わないとひどい目にあっていた藤吉郎にも再会。駒に思いを寄せる菊丸にとってはライバル出現だ。と言うか、岡村氏の方が藤吉郎役に向いてると思うが。村木砦を攻める間、那古野城が留守になるので、守って欲しいと信長が道三に言ってくる。道三はすぐ援軍を出し、十兵衛には信長の戦いぶりを見るよう言う。ところが義龍は反対する。一度会っただけの信長を道三が気に入っているのが許せない。妬ましい。意見を求められた十兵衛は義龍に味方する。また彼は、義龍がすぐ家督を継ぐべきだと思っている。今回の十兵衛は、何を考えているのかよくわからない。信長は今川に勝つが、多くの側近を失う。この戦は初めて鉄砲を使った戦らしい。もちろん十兵衛は近くで戦いぶりを見ている。ある日、深芳野を訪ねた義龍。手に持っているのは干し柿か。いつもとは全く違う穏やかな表情。ところが深芳野がいない。酒に酔ってフラフラ歩き、川で溺れ死んだのか。悲しむ道三に、家督を譲れと迫る義龍。承知する道三。

麒麟がくる15 道三、わが父に非(あら)ず

天文23年、道三は出家。その二ヶ月後、十兵衛は夜更けに光安に呼ばれ、行ってみると道三の次男孫四郎が来ていた。彼と三男喜平次は義龍が家督を継いだのが気に入らない。どうやら密かに帰蝶とやり取りし、義龍を倒す気でいるらしい。味方してくれるよう言われたが、十兵衛も光安も断る。孫四郎達の行動は義龍も気づいている。稲葉山城主として日々の雑事に追われている義龍。彼には戦をしているヒマはないし、戦も好まない。平穏な日々がいい。しかしまわりがそうさせてくれない。家督を継いだのに帰蝶も信長もあいさつなし。反対に孫四郎をけしかける。元々義龍が信長に好意的じゃないからだろう。義龍は信長の敵である彦五郎と仲良くし始めた。十兵衛には頭の痛いことばかり。道三に会い、もう少し道筋をつけてから家督を譲るべきだったと言ったりする。この時に限らず、重大なことを話している時にいつもそばに何人か控えているのは・・いいのかね。人間だもの聞こえてまっせ。何で人払いしないのかね。さて、清須にいる守護斯波義統が彦五郎の家老坂田に暗殺され、嫡子義銀が信長を頼ってくる。帰蝶は信秀の弟信光に彦五郎の手が伸びているのを利用し、彼をそそのかして彦五郎を暗殺させる。美濃では孫四郎達を取り除くよう稲葉が義龍をけしかける。駿河にいる藤吉郎は、尾張へ行くことにする。今川へ仕えようと来たけど、尾張の方が出自に関係なく取り立ててもらえそうだ。これで菊丸も一安心?義龍が病に臥せっていると言うので、孫四郎と喜平次が見舞いに来る。しかしこれは罠で、日根野備中守が襲いかかる。日根野備中守と言えば、義龍の死後その子龍興の側近として、斉藤飛騨守と共に小説では悪役として描かれることの多い人物。竹中半兵衛の稲葉山城乗っ取りの時、斉藤飛騨守は斬られたが、日根野備中守は逃げ出し、関ヶ原の戦いの後まで生きた。話を戻して道三は凶事に驚愕するが、さんざん義龍をいじめ、孫四郎達を甘やかして増長させたのアンタですぜ。もちろん十兵衛も驚愕。ここんとこ十兵衛のカゲが薄いが、歴史の表舞台に出てくるのはまだ先の話だから仕方ないね。

麒麟がくる16 大きな国

そろそろ前半の山場へ差しかかる頃だ。つまり道三の退場。1555年、道三は稲葉山城を出て大桑城へ移る。光安はどちらにつくか困り果てている。十兵衛は帰蝶を訪ねる。戦はすぐ始まるわけではない。準備もあるが、昔は雪が消えてからとか田んぼや畑がすんでからでないと動けなかった。清須での会見はうまくいかなかった。義龍を追い込んだのは帰蝶の行動が関係しているが、自分の軽率さを認めるはずもない。彼女が孫四郎達をけしかけたのはフィクションだろう。少し前信光をけしかけたのもそうだが、そういうのをでっちあげでもしないと、女性は活躍しようがない。歴史のほとんどは男性の記録だから。彼女には彼女なりの考えがあったのだが、今回の行動はどう見たって軽率。孫四郎達をけしかけるのではなく、反対に時期を待つよう止めるのがスジ。信長の力が大きくなれば後押しできる。今の信長は自分の足元が危うく、動けないけれど。十兵衛を追い返した帰蝶は、伊呂波太夫を呼び寄せる。駿河では雪斎が病死。しかしそれを隣国に知られてはまずいので、望月達は足留めを食っている。今回少し大きくなった竹千代改め元信が出てくる。別人のようだ・・って別人なんだけどさ。元信は雪斎に教え受けたんでしょ?もう少し死を悼むとか・・。豆なんか食ってないで。駒は戦が始まる前に美濃へ行きたい。恩人捜しをしたい。いや、違うでしょ。十兵衛の奥さんがどういう女性か見たいんでしょ?さて、美濃へ戻った十兵衛。義龍だって戦がしたいわけじゃない。織田には動いて欲しくない。今の彼は国の中をちゃんとしたい。誰がどれだけの石高なのかもはっきりしない状態を何とかしたい。十兵衛にも力を貸して欲しい。ただ、十兵衛は明智の領地を他へ移すと言われたことがショックで。光安は道三につくことを決意したらしい。十兵衛が道三を訪ねると、伊呂波太夫が帰るところ。越前へ逃げろという帰蝶の勧めを、道三は断ったようだ。あれこれあって迷った末、十兵衛は道三側へつく。家督を継いだ後の義龍の描写を見ていると、国の中を整えたいという思いが伝わってくる。戦で領地を広げ・・という時期は終わったのだ。稲葉達国衆はたぶん領地内のことはわりといいかげん・・前からそうやってるのだからこのままでいい的考えをしていると思う。だから義龍が十兵衛の協力を必要とするのもよくわかる。

麒麟がくる17 長良川の対決

6月半ばで放送いったん休止と新聞に出ていた。今年は見通しの立たないことばかりだ。さて、長良川をはさんで向かい合う道三と義龍。義龍は最後まで十兵衛が自分に味方してくれるのでは・・と思っていたが、だめだった。兵の数はこちらが圧倒的に多いとは言え、道三側が織田と合流するとまずいので、その前に決着つけないと。そう、信長は村木砦の時の借りもあるし・・と、道三援護のため出陣したらしい。今回は戦闘シーンがあるので、またドンドコドンドコ太鼓をたたき、エイエイヤアと合唱(←?)し。上からのシーンはドローンを使ったんだろうな。この戦いは初めから勝負の行方は見えてる。そのうち道三は一騎打ちだと、義龍の陣に単身乗り込んでくる。義龍と槍をまじえながら、何度も「父の名を申せ」と大声で言う。まあ要するに義龍に父親殺しの悪名をかぶせるのが目的。義龍は「父親は土岐頼芸」と言い張るけど、「こいつウソついてるのよん、こういうウソつくやつは信用できないのよん、そのうちみんなもだますからねん、よく覚えておくのよん」てこと。義龍だって本当の父親が道三であることは承知している。深芳野は断言したし、当の頼芸はあまりにもアホで信用できないやつだったし。道三が倒れた後駆けつけた十兵衛が、頼芸のこと一度たりともりっぱだと思ったことはないと言うけど、わざわざ言われなくたって義龍にもわかってる。だけど義龍をここまで追い込んだのは道三で、その道三をいさめる者は誰もいなくて、それで今日こういうことになってしまったのよ。なまじ家族であるせいで、余計こじれちゃって、どっちかを取り除くしかないところまで来ちゃった。「政を助けろ」と言う義龍の申し出を断る十兵衛。二人の仲も決裂だ。この後明智城が攻められ、十兵衛は光安に言われ、落ち延びることを決意。籠城するつもりでいた牧はここに残ると言い張ったが、伝吾が説得。ここらへん延々と続くので、おいおいこんなことしてたら手遅れになりまっせ・・とうんざりする。でも、お涙ちょうだいシーンも入れないと大河じゃない!からね。大河と言うと接近して大声でしゃべる・・どなり合うシーンが多い。汗、涙、唾・・お~い、濃厚接触してるぞ~。

麒麟がくる18 越前へ

光安は明智城と運命を共にしたようだ。十兵衛達は尾張を目指すが、途中で出会った菊丸と駒に、そっちはムリと言われる。伊呂波太夫が来て、抜け道を通って越前へ落ち延びるよう言われる。途中で菊丸は駿河へ戻る。駒に引っ張り出されて来たものの、あまり薬種問屋を留守にするわけにはいかない。十兵衛は伊呂波太夫のことはよく知らないので、信用していいものか迷いがあるが、駒が請け合ってくれる。それにしても落ち延びるにしては熙子はピンクの目立つ着物だし、熙子や牧のかぶる笠は真新しい。もうちょっと目立たない格好するんじゃないの?途中で泊まる小屋もきれいすぎる。ここで例の駒の恩人が牧の亡夫光綱だったことが判明する。会ってお礼を言いたかったのに・・と、ここでお涙ちょうだいシーンが延々と続く。まあこの頃はまだこういう時間稼ぎシーンも必要だったんだろうけど、これからはどうなるのかね。どれくらい放送が中断するのかわからんけど、いつも通り12月で終わらせるのなら、あまりゆっくりもしていられない。たぶん見ている人の多くは、来年までずれ込んでもいいからちゃんとやってくれと思っているだろうけど。さて、一行が到着した越前一乗谷。畿内と違い、ここは戦もなく平和で繁栄している。伊呂波は朝倉義景(ユースケ・サンタマリア氏)とも旧知の仲。義景によると、藤孝があちこちに文・・十兵衛をかくまって欲しい・・を出しているとか。十兵衛はかくまうことによる利点・・織田への影響力・・はないことを正直に話す。また、義景が金をくれるというのも断り、伊呂波を呆れさせる。一行が落ち着いたのは、屋根に穴があいているようなあばら家。まわりは草ぼうぼうだ。それにしても落ち延びる際、お金を持ち出さなかったのか。普段から蓄えておかなかったのか。一方尾張では、勝家が信勝に謀反の気があると知らせてくる。勝家は信勝の家来だから本来ならそんなことすべきじゃないけど、織田家の将来を見すえて仕方なく・・なのか。セリフにはないけど、土田御前がいろいろ口出しするのでいやになったのか。と言うわけで、織田家にも決着をつける日が来たようだ。信長は病と偽り、信勝は見舞いに来る。こういうの罠って気づかないのかね。孫四郎達のことだって聞いてるだろうに、自分の身には起きないと思ってるのかね。持参した霊験あらたかな水も、毒入りって見え見え。お前が飲めって言われるに決まってる。

麒麟がくる19 信長を暗殺せよ

信勝を殺され、嘆き悲しむ土田御前。今後は一生信長を呪って暮らすわけですな。1558年、義輝は三好と和睦し、五年ぶりに京へ戻る。越前では十兵衛は義景の禄を受けず、浪人暮らし。子供達に読み書きを教える平穏な日々を送っている。熙子に子供ができたと聞かされ、大喜びする。義景に呼ばれ、義輝にあいさつに行くよう命じられる。本来なら義景が行かなければならないのだが、彼は面倒に巻き込まれるのがいやなのだ。献上する鷹を持って京へ上った十兵衛。三淵や藤孝に再会し、藤孝には書状での口添えの礼を言う。ただ二人とも表情が暗い。なぜかなと思ったら、義龍も上洛してきていたのだった。「次に会った時は首をはねる」・・そう言われたのが、道三の死んだ日。あれから二年たつ。また、義龍に関連し、妙なうわさが立っている。信長も上洛することになっていて、彼の命を義龍の刺客が狙っているというのだ。義輝には事態をおさめる力はなく・・京へ戻ったと言っても実権は三好が握っている。藤孝は久秀に相談するよう言う。十兵衛が彼に会うのは、三好が襲われた時の助太刀以来で、11年ぶりらしい。後で十兵衛は義輝に会うが、そっちは九年ぶり。何だか知らんがすごい勢いで月日がたっている。出演者の多くはいつも同じ着物着てるから、月日の経過を感じにくいのだ。久秀は義龍に会い、不穏な動きがあることをにおわせる。結局義龍が具体的にどうしようと思ってたかは不明。これじゃ題名に偽りありじゃん。信長のピンチ期待したのに。義龍は十兵衛を呼び出し、再度自分を助けろと言ってくる。表向きはみんな自分に従ってるけど、誰も信じられないというのが本音のようだ。孤独な義龍が気の毒。十兵衛が義龍についていたら、歴史はどう変わっていただろう。この二年後、義龍は病死してしまうが、もし長生きしてたら信長はどうなったことか。てなわけで義龍はもう出てこないのかな。さびしいな。こんなに十兵衛を必要としてくれた人他にいます?この後信長が義輝に謁見するが、ちょっとよくわからないムード。将軍には何の力もないとわかって、信長は失望したということなのかな。

麒麟がくる20 家康への文

1560年というと桶狭間の年だ。今川と織田との戦が近い。ここ駿府ではまだ駒と望月がウロウロしている。京の診療所(←?)はどうなったことやら。越前では寺で十兵衛が子供達を教えている。無事に赤ん坊は生まれたが、生活は苦しく、尾張から戻った左馬之助に食べさせる米もない。熙子は駒がくれた薬草を質に入れたら・・と言ったりする。後で十兵衛の居室がうつるが、後ろに本がいっぱい積んであるのに驚く。これを質に入れようとは思わんのか?米がないということは・・何を食べているのだろう。元信は元康と名前が変わり、もう初陣もすませた。祖母の源応尼(真野響子さん)と二人、今川での人質暮らしが続く。戦となるといつも矢面に立たされる。今川でも先鋒を任される。何にでも効いて、お守り代わりにもなる丸薬を作っている芳仁(ベンガル氏)という老人が出てきたりする。家康の薬好きはこれがきっかけか。と言うか、あからさまに時間稼ぎ。その後の義元と望月の会話も・・特に望月のしゃべりは、早送りしたくなる。義元は、元康の有能ぶりを認めつつも、織田に寝返ったら・・という不安は消えない。望月が保証してもダメ。ところで義元・・何をコチョコチョしてるのかと思ったら・・猫を抱いていたのでした。カワユイ~!!この度の戦には義元も直々におもむく。こっちは2万5千、向こうは3000あまり、負けるはずないもん!尾張ではどうしよどうしよと会議するけど、名案はなし。熱田には元康の母於大と、伯父の水野がいる。水野は尾張方らしい。この二人に会いにいくよう帰蝶に知恵をつけたのは十兵衛。於大はもう16年も元康に会っていない。でも手紙を書いて、今川にはつかないよう頼む。その手紙を届けるのは菊丸。母の手紙に驚く元康。でも難しいよね、どう立ち回るか。偉い人はこういう難しい決断迫られるから大変。元康役風間俊介氏はさっぱり顔でかわいい。20歳くらいかと思ったら違うのね。一方十兵衛は仕官を願い出るが、義景は公家をもてなすため蹴鞠やってるから明日にしてちょと言われ、怒る。でも以前仕官も金も断ったのアンタですぜ。

麒麟がくる21 決戦!桶狭間

「麒麟がくる」じゃなくて「麒麟がこない」日曜夜8時。いつまで続くのかニャ?義元の軍は沓掛城まで進軍。前回に続き菊丸と会っている元康。一週間も会っていたんですか?って違うがな。まあ歴史を変えるわけにはいかないので、元康は今川方のままです。ここで裏切ったって、織田が勝つとはとうてい思えないし、家臣やその家族が殺される。十兵衛は清須へ向かっている。左馬之助と一緒だが、十兵衛一人をうつすことが多く、不自然な感じ受ける。後で二騎で走ってるシーンもうつるけど、遠くからだから乗っているのは他の人かも。今回の左馬之助はいるのやらいないのやら妙でした。十兵衛自身ウロウロしているだけで、無理に信長と絡ませている感じ。どっちが主役やら。元康の説得は失敗に終わり、信長は籠城すると言い出す。しかしこれは今川への内通者もいることを考えてのウソ。今川軍は2万と言われているけど、あちこちに分散しているから実際は・・。それに義元が城から出てきているのはチャンスだ。信長は今まで内緒にしていた奇妙丸を帰蝶に引き合わせる。自分が死んだらこの子を育ててもらいたい。いつの間にか結婚して10年もたったらしい。帰蝶に子供ができないから当然こうなるんだけど、それにしても今までよくバレなかったね。十兵衛が清須へ着いたのは信長が出陣した後。信長は善照寺砦へ。ここらへんのシーンで佐久間信盛(金子ノブアキ氏)がうつるけど、いやにニヒルな表情してません?元康軍の働きで二つの砦が落ちるけど、疲労困憊しているのに今川の家老鵜殿が鳴海へ加勢に行けと言う。しかも義元が朝廷から三河守に任じられたと聞いて元康は・・。結局どんなに尽くしても三河が自分達に戻されることはないのだと悟って、桶狭間へ行けと言われた時は拒否する。今回は桶狭間の戦いそのものよりも、元康達の扱われ方、それに対する反抗などが印象に残った。戦の方はいろんな地名が出てきて、何が何だかわからなくなっちゃった。今回で義元退場です。一部兵士が食料や金目のものを漁る乱取りという行為を嫌うなど、そういう描かれ方はよかった。元康は今川軍敗退後16年ぶりに母との再会を果たすが、そのシーンはなし。あのさ、こういうシーンこそ出してくるべきでしょ?

22京よりの使者

23義輝、夏の終わりに

24将軍の器

麒麟がくる25 羽運ぶ蟻

ポケッとしてる間に再び放送が始まった。見てないのがたまっていく。義輝関係は後にしてと・・。覚慶は還俗し義昭に。しかし敦賀に留め置かれたままいたずらに月日がたっていく。このままでは義栄に先を越されてしまうと、藤孝はイライラ。義景には上洛する気はないらしい。一方信長は龍興を追放し、稲葉山城を手に入れ、美濃は平定される。伝吾からの文を読んだ牧は美濃へ戻る。伝吾や村の衆のおかげで館はいつ戻ってもいいように用意されていた。11年ぶりの帰郷、もう思い残すことはないと喜ぶ。それにしても義龍が生きていれば・・美濃が信長の手に落ちることもなかっただろうに。その代わりこうして戻れることもなかったが。十兵衛は信長に会う。彼に仕えることは断ったが、これからどうしようと迷っている信長には上洛を勧める。将軍が頂点にいて幕府がちゃんとしている・・それが十兵衛の理想らしい。越前へ戻ると義昭が来ていた。敦賀で待たされているだけなのにはあきあきしたらしい。ついこの間まで坊主だった自分に、将軍なんて無理と思っていたが、考えが変わったようだ。将軍になれば貧しい人々を救えるかも。しかしそれにはまわりの・・朝倉の助けが必要だと、十兵衛に取り持ちを頼む。彼のことを将軍の器ではないと思っていた十兵衛も彼を見直し、義景に会う。義景もようやく心を決める。摂津では三好らにかつがれた義栄が14代将軍に。ぐずぐずしてはいられない。・・久しぶりに見ると・・例えば「NCIS」の後にこれを見たりすると、まったり感が半端ない。向こうは洪水のような情報量だからね。それにしてもいつになったら十兵衛は信長に仕えるのかな。関係ないけど近くの保育園で最近「麒麟がくる」のテーマ曲が流れるようになった。園児がそれに合わせてドンドコドンドコと太鼓をたたくのだが、それが何回もくり返される。去年かおととしは確か「パプリカ」だったと思う。その何年か前は「天地人」のテーマだった。もう一日中ドンドコドンドコ。その騒音・・いや、演奏聞いていると、「早く見ろ」「早く書け」と尻をたたかれているような気分になる。

麒麟がくる26 三淵の奸計

足利義栄は将軍になったものの、重い病に悩まされており、摂津にとどまっていた。ネットで調べると腫物とある。朝廷では義栄推進派の関白近衛前久(本郷奏多氏)と二条晴良の間でネチネチとしたやり取りがかわされる。伊呂波は塀の崩れも直せずにいる朝廷の窮状を憂える。彼女は近衛家の縁者で、前久は弟のような存在らしい。ある日朝倉家の家老山崎が十兵衛を訪ねてくる。今まで気づかなかったけど(最近時間節約のためオープニングクレジット早送りしているもんで・・)演じているのは榎木孝明氏なのね。義景が烏帽子親となって義昭が元服し、宴が開かれるので十兵衛にも出て欲しいと。伊呂波も来ていると。朝倉家の中には上洛反対派もおり、山崎もそう。義景には将軍を支え、上洛を果たす・・つまり中央へ出ていくような器量はない。のほほんと風雅な暮らしを送りたいタイプ。十兵衛は一方では上杉や六角の情勢、あるいは朝倉の城下には戦に向けての雰囲気ゼロなことも調べ上げており、宴では事実を述べる。義景をわざとけしかけ怒らせ発奮させる方向へ持っていってるのかとも思ったがそうでもないらしい。彼自身迷っているのだが、その背中を押したのが伊呂波。それですぐ信長のところへ飛ぶ。彼は義景と違い、決断は早い。義昭は助けてくれるなら朝倉でも織田でもかまわない。義景は当然顔をつぶされたと怒るだろうから、その矛先をどう避けるかだ。この後義景の嫡男阿君丸が急死し、義景は上洛どころではなくなる。「三淵の奸計」という題名からすると、仕組んだのは彼か。上洛反対派の義鏡と密談していたから手を組んだのか。その場には山崎もいる。阿君丸の死はどう見ても毒殺だが、いくら上洛に反対とは言え、山崎が主君の嫡子毒殺の片棒をかつぐとは思えない。また、ああいう状況・・毒見役の侍女も死亡・・なら、義景は徹底的に真相を探らせるはずだが、いやにあっさりとしている。藤孝は自分にも6歳の子供がいると心を痛める。彼は兄の行動には無関係ってことだ。この出来事のせいで、義昭の動座も十兵衛が越前を離れることも障害はなくなった。彼はそのタイミングのよさに疑いを抱くはずだが・・。

麒麟がくる27 宗久の約束

義昭は美濃へ。信長は大量の捧げ物をするが、義昭が驚いたのは一千貫の銭。これがあれば多くの貧しい者が助かる・・はあ?戦のために用意したのであって、貧しい者のためじゃないんだけど・・と失望する信長。どうも武家の棟梁としてあおぐには義昭はヤワすぎる。十兵衛は僧だったのだからと弁解しきり。信長は上洛の妨げとなる三好や六角には浅井の協力をあおぐつもり。十兵衛には京へ行って朝廷の意向を探って欲しい。京には一足先に秀吉がもぐり込んでいる。十兵衛は伊呂波を通して朝廷に接触するつもりだったが、駒を通して今井宗久(陣内孝則氏)と会うことに。今まで近衛との関係があいまいだった伊呂波だが、赤ん坊の頃近衛の門前に捨てられていたのを拾われて育てられたのだと判明する。秀吉は、必ず約束を守ってくれると信長に心酔しており、懸命に奉公に励んでいる。今回強く印象に残るのは、十兵衛と秀吉の信長に対する温度差。義栄が病気ということもあり、今井は三好よりも織田の方が有利と踏んでいる。京へ鎧兜で来ないのなら織田方についてもよいというのが今井の申し出。すぐに美濃へ戻って伝えるが、柴田や稲葉など並みいる家来は猛反対。その場をおさめるため信長は義昭の名を出すが、もちろん血なまぐさいことは嫌いな義昭は大喜び。これで決まったが、信長はいきなり十兵衛に自分か義昭かこの場で決めろと言い出す。答は決まっております義昭様です、あら~空気の読めない十兵衛クン。信長はプライドもあるから表情には出さずにいるけど、内心では今度こそ自分になびいて・・もとい、仕えてくれると自信持ってたはず。だって全員反対していたし、本心を言えば自分も反対なのよ。それなのに折れて折れて折れまくって譲歩してあげたのよ。少しは感謝してくれたっていいじゃない。それをあなた涼しい顔で・・。きっとあの後信長は一人になった時を見計らって「じゅーべーのバカバカバカ~ん!!」と地団駄踏んだことでありましょう。今回は義昭と信長との意思のすれ違い、十兵衛と信長との意思のすれ違い、そこらへんがおもしろかったです。

麒麟がくる28 新しき幕府

1568年永禄11年ついに信長は上洛。三好達は追い払われ、義栄は病死。あわただしい中、十兵衛は松永と久しぶりに会う。十兵衛は今や将軍の奉公衆の一人だ。信長達は戦の後の評定の最中。松永をめぐっては三淵達は義輝の件で断じて許せない派。信長はそうでもない。見かねて義昭が松永を受け入れるようその場をまとめる。とにかく彼にとって信長は兄とも父とも思うくらいの大恩人。これには三淵も従う他ない。義昭は幕府の主要メンバーを、義輝の時とそのまま同じ位置に置きたい。その方がスムーズにことが運ぶからだが、十兵衛や藤孝は一新した方がいいと思っている。松永は信長の機嫌を取るために茶道具を進呈したが、読んだばかりの「教科書には載っていない!戦国時代の大誤解」に写真が出ていた九十九髪茄子に似ていたな。本では足利家家宝になっていたけど。松永は義景の様子が怪しいと十兵衛に忠告する。三好六角と手を結び、信長を狙っているらしい。義昭は正式に15代将軍となり、信長は一部の兵を残し美濃へ戻る。その三ヶ月後いきなり三好勢が義昭のいる本国寺を襲う。何とか二日ほどで撃退するが、後で藤孝は幕府の誰も気づかなかったのはおかしいと言い出す。それは十兵衛も感じている。長く続いた幕府は当然のことながら腐敗しており、不正や横領が横行している。そういう連中は三好勢に京に戻って欲しいのだ。この事件のため望月や駒がケガ人の手当てのため駆けつけ、十兵衛と久しぶりに再会する。また駒は義昭とも会う。ここらへんは微笑ましい。一方岐阜から駆けつけた信長は幕府の政所頭人摂津晴門(片岡鶴太郎氏)を叱り飛ばす。その上二ヶ月で義昭のための城を完成させろと言い出す。で、二条城築城が始まる。とにかく大急ぎで作らなければならないから、石垣のため墓石や石仏も使われたとか。ここでは運ばれてきた石仏を見て、十兵衛が複雑な表情を浮かべる。一方信長は子供の頃仏を引っくり返したが何の罰もあたらなかったというようなことを話す。今のところ信長と義昭との蜜月は続いているが、まわりでは反信長派・・義景や晴門がうごめき始める。ところで駒はいくつになったのかな。少しは老けメイクしないと不自然でしょ。

麒麟がくる29 摂津晴門の計略

信長の手段を選ばないやり方は、やり過ぎではと藤孝も眉をひそめる。調度品などを取られた寺社は、返納を願い出るが、お願いされた方の義昭も困り果てる。信長が作っているのは彼のための城なんだし。信長はいずれ岐阜へ帰るから、そうなったら少しずつ返すとか言い逃れをし、あとは晴門に任せる。もちろん晴門は寺社の差し出した金の一部を自分のポッポに入れる。もうそれがあたりまえになってる。義昭はいにしえの悲田院のようなものを作るのが夢と駒に話す。しかし何をするにも金が必要で。駒は丸薬をもっと作って売って・・と考える。そのうち女実業家になるのかしら駒ちゃんは。十兵衛はさきの関白近衛前久に会ってくれと伊呂波に頼まれる。彼は義輝の暗殺に関わったなどと晴良が言いふらしたため京にいられなくなった。晴良は晴門らとも手を組んでいるのか。前久は上杉輝虎とも話をしたとか。輝虎・・謙信は今回の大河には出てくるのかな?彼はさぞ(信長の代わりに)義昭を立て、上洛を果たしたかったことだろう。財力では織田に負けないし忠義心も人一倍。話を戻して、前久が去った後、伊呂波は十兵衛に朝廷の困窮ぶりを話す。十兵衛はたぶんそこまでは考えていなかったかも。前久に会ったことは秀吉も知っていた。彼は京奉行として十兵衛の動きにも目を光らせているらしい。さて幕府の連中にしろ公家にしろ、彼らの世界は長く続いてきたわけで、システムはでき上がっている。しかしあちこち腐敗し、ねじ曲げられているから非効率的でもある。一新すべき時期が来ているのだが、内部の誰もそれを望まない。また、信長は京に居続けるわけにもいかない。領国を留守にすれば必ず不穏な動きがある。したがって京の連中はあわてない。しばらくすればまた自分達の好き勝手ができる日々が戻ってくる。晴門はその中の親玉みたいなもので、それを強調するため、片岡氏の血走った眼玉を大うつしにする。こんなの見たくないですってば。十兵衛も彼らを相手にしていると、自分まで汚れてしまったような、悪い空気を吸ってしまったような、そんな感じになる。彼は伊呂波の案内で御所の土塀の崩れを見る。伊呂波は近衛家に拾われたものの、尼寺へやられるのがいやで飛び出したらしい。また、子供の頃出会った若い公家は今の帝なのだそうな。

麒麟がくる30 朝倉義景を討て

1569年十兵衛は左馬之助に留守を頼み、美濃へ向かおうとしていた。そこへ現われたのが秀吉。ねねに作らせた弁当を渡すため・・というのは口実で、次の戦があるのかと探りを入れてくる。普通の大河なら秀吉とねねのドタバタを入れて明るいムードにするところだが。今回の大河での秀吉は明るさの裏にややうさんくささを感じさせる、影のあるキャラにしてある。まあ彼が戦を望んでいるのはわかる。一番の出世のチャンスは戦で手柄を立てることだからだ。十兵衛は駒にも会う。彼女は丸薬を売って儲けた銭をせっせと義昭に運んでくる。ただ、問題はこの銭がちゃんと本来の目的のために使われるかどうかだ。今の幕府で金を預けても安心な人物って藤孝くらいだぞ!義昭と駒はこっそり外へ出てホタルを見に行ったりする。何日か後で蚊帳の中にホタルを放し、暗くなるのを待ったりする。そしてとうとう義昭が駒の手を握る。さて美濃へ戻った十兵衛は成長した奇妙丸・・後の信忠に会う。帰蝶にも何年ぶりかで会う。龍興が朝倉をそそのかしている、朝倉を討てと信長に言ったらしい。義龍が死んだので今は龍興を憎んでいるらしい。その信長は迷っている。戦には大義名分が必要だが、幕府も義昭も協力してくれなさそう。一人じゃ勝てない。で、十兵衛は将軍よりもっと偉い帝を持ち出す。信長が御所の土塀を直したのは別に下心があってやったことではないが、結局帝・・正親町天皇(坂東玉三郎氏)への拝謁がかなうこととなる。望月と碁を打ちながら話すシーンはあるが、信長の拝謁シーンではセリフなし。あらら肩透かし。信長は自分のことをよく知っていた勅命ももらったと興奮気味。思った通り幕府も義昭も動かない。追い打ちをかけるように晴門は阿君丸の毒殺は三淵の手配、毒を運んだのは自分のかつての家臣とばらす。呆然とする十兵衛。毒殺の件は悔いてはいないと三淵。十兵衛は何も言わなかったな。何でここらへんスルーしちゃうのかな。それともこれで嫌気がさして信長に鞍替えするのかな。ということでいよいよ信長出陣です。

麒麟がくる31 逃げよ信長

1570年永禄13年、信長は越前を目指し、出陣。家康らも参戦し、大軍に。若狭の国吉城では松永と再会。にぎやかな秀吉に松永も驚く。戦が始まるので秀吉はうれしくてたまらないのだろう。今回は秀吉の置かれた境遇も浮き彫りにされる。信長軍は早々と敦賀全域を手に入れる。背後は浅井に守らせて一気に朝倉攻めだ。家康は十兵衛に子供の頃の思い出を話す。薬草売りに化けた十兵衛に干し柿をもらって、時期を待つよう諭された。そう言えばその時一緒にいた菊丸はちっとも出てこないな。家康のものの考え方は、十兵衛にも共感できるものがある。そこへ現われた松永は、金ヶ崎城がいやに簡単に手に入ったのが気に入らない様子。越前では義景が長政の動くのを待っている。長政は信長の妹市が妻だから信長に背くのは本意ではないが、父久政は朝倉とのつながりを主張。久政は出てこないが隠居したとは言えまだ40代。意外と若いのだ。長政は父と愛する妻との板ばさみでつらかったことだろう。市と言うと岸恵子さんあたりを連想してしまうが、「太閤記」だったっけ?年がバレるね。長政の動きを知らせたのは左馬之助。誰に探らせたの?十兵衛から聞かされてもなかなか信じられない信長。十兵衛はすぐ逃げるよう説得する。ぐずぐずしていると朝倉と浅井のはさみ撃ちにあう。いくら大軍でも勝ち目はない。退き戦は十兵衛が引き受けるが、秀吉が殿(しんがり)を申し出る。手柄を立てて出世するチャンスだからね。リスクも当然。それはいいんだけど末妹がどうの芋がどうのと涙と鼻水まみれの打ち明け話。ウゲゲわざとらしい。それも長々と。とにかく何とか生き延びて京へ戻り、途中ではぐれた秀吉と妙覚寺で再会。無事を喜ぶが、秀吉は殿を務めたことを誰も信じてくれないと悔し泣き。それもこれも百姓出身だからで。頭にきた十兵衛は柴田達を一喝。一方信長が逃げ帰ったことで、晴門は留飲を下げる。義昭も信長のやり方には違和感感じ始めたようで。御所の塀や屋根の修繕より貧しい人や病気の人救うのが先なんじゃない?と思ってる。ただ彼の場合、理想は高くて尊いんだけど、細かいこと面倒なことは晴門にお任せなのだ。実行力に欠けると言うか。

麒麟がくる32 反撃の二百挺

1570年4月、十兵衛は信長より一足先に義昭に戦の報告。晴門にいやみを言われるが、十兵衛は(負けではなく)引き分けと主張。調子に乗ってポロッと口を滑らせた晴門。浅井の裏切りをとうに知っていたことがバレちゃった。十兵衛は、義昭も参陣していれば浅井も裏切ることはできなかったと主張。都で高みの見物しているとまで言われちゃった。それにしても毎週のように片岡氏のいやみったらしい、わざとらしい演技見るの、もううんざりなんですけどぉ。こっちまで顔ゆがみそう。京の館には熙子や二人の娘、伝吾も到着。母の牧が美濃を離れないのは残念だが、それでも幸せを噛みしめる。その後秀吉と堺へ。宗久から鉄砲を買いつけるのが目的だが、信長の要求300挺に対し、他の者に250挺約束したから無理と断られる。もちろん相手の名は明かしてくれない。秀吉は脅し文句を並べるが、効果なし。十兵衛も動じない。婉曲な方法で教えてくれるとわかっているからだ。案の定宗久は茶会があると言い出す。出席者のリストを見れば、買い手がわかる。また、宗久は茶会が始まるまでの時間を利用して、筒井順慶を紹介してくれる。ここらへんはなかなかスマートだ。駒も現われる。筒井とは丸薬を通して知り合いらしい。秀吉は席をはずすが(何で?)、駒が義昭の寵愛を受けていること、彼女を通して話が漏れるおそれがあることを十兵衛に警告する。筒井は大和が領国だが、松永と争っている。どんな古狸が現われるかと思ったら・・僧形の青年。演じている駿河太郎氏は笑福亭鶴瓶氏の息子なのだそうな。で、彼のかもし出す雰囲気が誠によろしいんですわ。自分まで汚くなったような気にさせられる晴門の毒気をさっと払ってくれました。松永を退けろというのではなく、自分も織田側の一員になりたいというのが筒井の要求。その代わり十兵衛は160挺でいいからと言っていたのを200挺に訂正。いや、抜け目がありませんな。で、200挺のおかげもあって、信長は姉川の戦に快勝。家康は武田の動きが気になる。裏では幕府が動いている。家康は義昭を信用していない様子。その後三好との戦には説教が効いたのか義昭も参陣。しかし本願寺、浅井、朝倉の加勢もあって・・信長クン、何をしょってるのかと思ったら仏像でした。

麒麟がくる33 比叡山に棲む魔物

あと少しで大河も終わってしまうというのに、まだこんなところでウロウロしている私。・・朝倉との戦はこう着状態。信長の配下柴田達は、比叡山延暦寺を攻めるのにはためらいがある様子。十兵衛は密かに山崎と文をやり取りしている。京ではいつまでたっても戦が終わらないと、義昭がイライラ。彼は戦で死人が出るのがいやなのだ。左馬之助と共に比叡山へおもむいた十兵衛。菊丸が門のあたりでウロウロ。久しぶりだネ。山崎を通じ、義景と会う十兵衛。義景にはぼんくらというイメージがあるが、「麒麟」ではさほどでもない。何と言っても朝倉という大家の頂点にいる人物だから、それなりの・・最低限の・・器量はあるというふうに描かれる。十兵衛は、今帰らないと雪になる、2万の兵で山で冬を越すのはとか何とか言って義景をつつくが、義景にだって意地はある。ついでに天台座主覚恕にも会う。演じているのは春風亭小朝氏。小朝氏と言えば「軍師官兵衛」で明智光秀やってたな。温厚な常識家でなかなかよかった。この覚恕は、正親町天皇の弟らしい。劣等感の塊で、兄を見返すために金や権力に執着する。だからその邪魔をする信長が憎くてたまらない。初めて出会った敵方の武将に、こんなこと・・胸のうちをさらけ出すなんてありえないと思うが。この覚恕は晴門とも通じていて、その密談を床下に潜む菊丸が聞いていたりする。今回は帝も望月に弟とのあれこれを打ち明ける。結局今回朝倉と信長を和睦させたのは帝?晴良が遣わされていたから。晴門のせいで、義昭の出る幕はなかった?京につかの間の平安が訪れるが、筒井と同席させられた松永が頭にきて、十兵衛に不満をぶちまける。いやホント今回はぶちまけ大会ですな。見ているこっちは松永なんかどうでもよくて、筒井が出てくれたのが単純にうれしい。演じている駿河氏は40過ぎてるけど、この頃の順慶は20過ぎたばっかなのよ。その年齢で戦国を生き抜くのは大変だったと思うな。しかも争う相手が海千山千の松永なんだから。この同席も晴門が仕組んだこと。こうやってあちこちで楽しそうに悪意、毒素をまき散らしている彼を見ていると、何で暗殺されないのかしら・・と思ってしまう。ラストは悪名高い比叡山の焼き討ち。最近読んだ本には、全山が炎に包まれ・・というのは誤ったイメージで、実際はボヤ程度だったと書いてあったが。

麒麟がくる34 焼討ちの代償

1571年9月、比叡山の殺戮は十兵衛の心に深い傷を残す。残念ながら(←?)覚恕は逃亡。信長はご機嫌で、十兵衛はほうびとして2万石の領地をもらう。正直者の彼は、女子供を見逃したことを信長に言う。以後は皆殺せと言う信長に、違和感を感じる。二条城では信長の所業を聞いた義昭が恐怖におそわれる。晴門は・・ここんとこ毎回晴門の・・鶴ちゃんのワンマンショーになってるな。晴門は織田との関わりを断てと迫る。ぼんくらの義昭には何も思いつかないが、晴門にはシナリオができている。筒井が松永と戦う時には、筒井に味方すること。織田は松永の味方するから自然幕府は織田と戦うことに。前回順慶が義昭の養女を妻にしたと言っていたから、順慶と義昭の関係は濃いのだ。順慶は駒と親しいが、まあ前回書いたように彼はかなり若いのだ。駒とは親子ほども年が違うはずで、親しいと言っても恋愛感情ではないのだ。何でこんなこと書いてるかと言うと、見ていてもあんまりおもしろくないからだ。それでつい思考があらぬ方向へ向かっちゃう。順慶からすると、松永は大和を荒らし回り、東大寺、興福寺、南都を焼き尽くした悪人なわけ。彼は大和を穏やかな国に戻したい。一方松永にも言い分はある。大和の国は切り取り次第と信長に言われてるし。十兵衛は何とか二人の間に和議を結ばせようと、堺の宗久の例のお茶会を利用して二人を会わせる。前回の晴門の企みと違って、今回の十兵衛は戦を何とかして避けたいと心を砕く。だからこそ順慶は十兵衛を信じて堺まで来た。一方の松永は、信長と義昭の関係は長くは持たないと見越している。いくら十兵衛が努力しても無駄なのだ。それに今の信長は義昭ではなく帝に心が向いている。しかし松永は十兵衛の顔を立てて、戦はやめると言ってくれた。その頃覚恕は甲斐にいて、信玄(石橋凌氏)を焚きつけていた。ところで十兵衛、いつの間にか嫡男十五郎をもうけていた。娘の岸とたまでは、たまの方が有名なので出番も多い。演じている子は目がパッチリしていてかわいい。

麒麟がくる35 義昭、まよいの中で

十兵衛は信長からもらった志賀に城・・坂本城を作るべく、図面とにらめっこ。しかしどうも表情はさえず、熙子も不思議に思う。そこへ秀吉が信長の命を受けてやってくる。ここでのやり取りでは、一般のイメージとは異なる秀吉が見られる。こういう腹黒い感じにするのは、ラストへ向けての伏線かね。こういう秀吉なら本能寺の変を知って、それっとばかりに十兵衛抹殺にかかる・・みたいな。秀吉は義昭や幕府を見限り、朝廷につこうとしている信長の考えは当然だと思っている。しかし十兵衛は幕府を立て直すべきという考えを捨てることがどうしてもできない。一方晴門は織田の力をそぐため、十兵衛を討とうと計略をめぐらす。望月のところで熙子は秀吉の母なかに会う。なかも望月の患者なのだ。ここでのなかは化粧が濃く、けたたましい。こういうキャラとして描かれるのは珍しい。ペラペラしゃべるなかのおかげで、熙子は十兵衛の悩みを知る。どうやら熙子や子供達は人質として京に留め置かれ、坂本城へは移れないようなのだ。義昭も機嫌が悪く、その言葉のはしから駒は十兵衛を討つ計画があるらしいのを知る。駒は金を持って伊呂波のところへ。こういう時頼れるのは彼女しかいない。本国寺の茶会に来た十兵衛は、藤孝から警告を受けて驚く。後でわかるが、伊呂波は藤孝へ話を持っていったらしい。やっぱ頼りになるな藤孝は。あごひげはうさんくさくていやだけど。ここでも十兵衛は義昭を説得するんだけど・・どんなことがあっても公方を守るみたいな・・プロポーズかよ。ただ、見てる方としては、何をどう言おうと義昭と信長の心は修復できないほど離れているわけで。停滞感が漂うばかり。晴門はとうとう・・「おのれ~」とか言っていたけどあの後どうなったの?追放されただけ?この後十兵衛は伊呂波の手引きで帝の側近三条西実澄に会う。書物に囲まれ、取っつきにくい感じのじいさん。演じているのは石橋蓮司氏。石橋氏はいくつになったのかな。えッ、79歳?もうそんなお年?昔から老けた感じなので、いつまでたっても変わんないという感じがする。

麒麟がくる36 訣別

いよいよ御所へ行くことになった十兵衛。実澄の供として、でも直々になんかお目にかかれるわけもなく。実澄ですら御簾越しなんだから。そのわりには望月とは差し向かいだったな。歌を詠む実澄の声に、十兵衛の表情がややゆるむ。彼は武芸だけでなく知識人でもあるから、こういう方面の雰囲気は快いのだろう。帝と言葉をかわすこともでき、信長がなぜ夢中になってるのか少しわかったような気もする。館へ戻ると秀吉、柴田、佐久間が来ていて。十兵衛のとりなしは長続きせず、松永と筒井の争いは激化している。秀吉は松永より浅井や朝倉を討つべきだと思っている。佐久間は比叡山で十兵衛が女子供を見逃したことを知っていた。ここで描かれるのは佐久間の穏やかさ、細かいことは苦手な柴田の単純さ、いかにも腹にイチモツありそうな秀吉の気味悪さ。一方義昭は兄の義輝が剣の達人だったことを気にして、剣術の稽古をし始める。たぶん近習は手かげんしているんだろうけど、相手を命じられた十兵衛にはそんなことできない。案の定義昭はみんなの見ている前で恥をかくことに。心の晴れない十兵衛は、熙子を坂本城へ連れていく。今回の十兵衛は熙子の膝枕とか、手をつないだりとか、いつになく仲良くしております。熙子達を人質として京に留め置くという義昭の要求はとうていのめない。1572年4月、幕府と織田とで松永と三好を討つことになるが、信長にはあまり熱意はない。義昭の方は兄の死は松永のせいと思ってる。一方甲斐では上洛の機会が来たと信玄が動く。その途中にいる徳川を打ち破る。それを知った十兵衛はもっと援軍を送れと信長をせっつくが・・。こういうのを見ていると、味方になったり敵になったり。勝ったり負けたり。和睦したと思うと約束破ったり。狭い日本の中でめまぐるしくやっていたことがわかる。裏切りがあたりまえの時代だからこそ、一つの義を通そうと空しい努力をし続ける武将が大河の主人公として取り上げられることとなる。度重なる説得も結局は無駄で、義昭は信玄の出陣に元気づけられ、とうとう織田と戦うことに。悲田院を・・とか言って駒がせっせと貢いだ大金は、鉄砲の購入資金にあてられるようです。

麒麟がくる37 信長公と蘭奢待

いつも思うんだけど義昭って必ず涙目になるよな。毎回毎回。そして充血している。演じている滝藤氏も大変だろうけど、見ているこっちも大変なのよ。ブルース・ウィリスじゃあるまいし‥とかさ、ウンザリしちゃう。信長討伐に乗り出したものの、頼みの武田軍はなぜか引き返しちゃう。不審がる町衆の中には菊丸も。彼はなぜか信玄の死を確信し、なぜか徳川ではなく十兵衛に知らせる。いや、もちろん家康にも知らせただろうけど、描かれるのは十兵衛の方。ただ、こんな重大なこと、裏も取らずに知らせます?あと彼は望月を訪ねる。と言うか駒に会うのが目的か。理由は不明だが。当てがはずれた義昭はあえなく敗れ、秀吉に引っ立てられる。身分の低い出の自分が将軍に命令するのだから、さぞ気分がよかっただろう。三淵も投降するが、すでに信長方についていた弟の藤孝を、裏切り者となじる。藤孝は時の流れが肝要とか言っていて、それは本能寺の変の後、十兵衛に味方してくれなかったのもそのためってことかね。あら三淵も涙目になってるぞ。結局義昭は宇治の枇杷庄というところへ。命は取られずにすんだけど、あっちこっちに書状を送るのはやめようとしない。駒が訪ねてきたけど、今更という感じ。一方信長は改元を思いつき、天正を選ぶ。おお、いよいよ天正ですな。カウントダウンの始まり。十兵衛は信玄が死んだらしいと信長に耳打ち。びっくりする信長クン。アンタの間者は何しとるねん。その後浅井、朝倉と再び戦。山崎は討ち死に、義景は義鏡の裏切りで斬りたくもない腹を斬るはめに。浅井、朝倉の滅亡でついに室町幕府は倒れる。調子に乗った信長は、天下一の名香蘭奢待を拝見したいと言い出す。今回の十兵衛はずっと鬱屈した表情で、言葉少な。新しい世を作ることを夢見てずっとやってきたけど、頂点となるべき将軍は追放され、幕府も倒れちゃったんだから、呆然としているわけ。お香どころじゃないだろッ!って感じ。香木が切り取られるのは足利義政以来110年ぶり。二つ切り取って、一つは帝にあげよ~っと。でも帝はそんなの贈られたってちっともうれしくないので、信長と仲の悪い毛利へ贈りましたとさ。坂本城へ来た三淵は、どことなく竹中半兵衛っぽかったな。同じ谷原章介氏だし。

麒麟がくる38 丹波攻略命令

1574年、坂本城では三淵がたまに花の生け方を教えたりしている。たまも岸も少し大きくなったかな。岐阜からの使いは、三淵に自害を迫るもの。彼は義昭と文をやり取りし、信長を討つ企てをしているというのがその理由。十兵衛は信長に直訴してでも・・と言うが、三淵は取り合わない。覚悟はできている。というわけで三淵も退場。介錯の人いなかったようだが大丈夫かね。その後河内での戦を終えて帰ってきた十兵衛を待っていたのは斉藤利三。春日局のおとっつぁんだな。彼は稲葉一鉄の家臣だが、馬のことで争って、草履を投げつけられたとか。顔に傷のようなものがあるのはそのせいか。「麒麟」では稲葉は悪く描かれている。ずるがしこくてすぐ裏切る。粗暴で品位のかけらもない。主君がぼんくらでも家臣として筋を通し、ついには自害に追い込まれた三淵とは対照的に、利三は主君に見切りをつけた。比叡山での十兵衛の行為・・女子供を見逃したこと・・を見て、彼の家臣になると決意。とは言えこのことは十兵衛の一存では決められない。稲葉はいちおう領地はちゃんとおさめているらしく(どういうやり方してるのかわかったものではないが)、信長は彼の機嫌を損ねたくないので、利三を返せと言う。返せば斬られるに決まっているので、十兵衛は反対する。ついでに秀吉の義昭に対する仕打ち、三淵を自害させたことをなじる。結局信長が折れるが、その代わり丹波攻略を命じる。丹波は反信長勢力が強く、またあれこれの理由で難しい国らしい。一方京では帝が譲位して上皇となる話が進んでいる。それとも関白二条晴良が勝手に話を進めているのか?新しい帝・・誠仁親王が即位するには大金がかかるが、それを信長に出させようという魂胆。十兵衛はまず丹波を見てみたいと伊呂波に頼む。伊呂波は丹波にいる近衛前久に会って欲しいと言う。丹波への案内人は菊丸。十兵衛はふとしたことから、例の信玄の死を知らせる文を書いたのが菊丸だと知る(が黙っている)。十兵衛は菊丸の正体って知ってるんだっけ?結局十兵衛の平和的なアプローチは無駄だったらしく、丹波との戦が始まる。

麒麟がくる39 本願寺を叩け

信長は畿内の掌握にかかるが、敵ばかり。中でも顕如を中心とする本願寺は難敵で、もう五年も手を焼いている。信長は右大将に任ぜられるが、戦の方が忙しく、朝廷でのしきたりとかあいさつとかちゃんとやってるヒマがない。今日も実澄が文句言ってきたので、自分は家督を信忠に譲り、そっちの方は任せるつもりだと言ってやる。戦の駆け引きには朝廷の威光はあんまり役に立たないってことかね。それでいて金ばっかりかかるのだから信長だってウンザリだわな。せっかく帝に贈った蘭奢待が毛利へ回ったのもおもしろくない。一方丹波に続き本願寺との戦で、十兵衛達は休む暇もない。おまけに十兵衛はケガをしているようだ。やってきた信長はあせりもあって機嫌が悪い。鎧なしで指揮するなど無茶なことをする。ここでは利三がまめまめしく仕えている。稲葉のもとにいた時と違って働きがいがあるのだろう。そのうち十兵衛は昏倒。仏罰を恐れる大坂の医者は見てくれず、京の館へ運ばれる。熙子は望月のところまで裸足で走り、引っ張ってくる。十兵衛は高熱が出て、神仏に頼るしか手立てはない状態。熙子は心臓でも悪いような感じだが、雨の中、お百度を踏む。とうとう倒れてしまったのを駒が見つける。岸はすでに嫁いでいるらしいが、駆けつけてきた。夜が明け、十兵衛は何とか持ち直す。数日後にはもう復帰。訪れた信長は早速本願寺攻略の話。それとは別に大和の守護を筒井にと言い出す。そんなことをすれば松永が黙っちゃいない。それを聞いていた秀吉が二人がだめなら自分がと言い出すが、信長に一蹴される。こんな火種をまくようなことはと十兵衛が止めても信長は聞かない。その一方で信長はたまが気に入ったらしく、嫁ぎ先を捜してやるとか安土城を見せてやるとか、何だかたまがいやにクローズアップされていて不自然。そう言えば帰蝶は全然出てこないな。一方三河では家康と正妻築山殿との間がうまくいっていない。信康の嫁は信長の娘だが、姫が生まれたところ。喜ぶ家康とは対照的に、築山殿は役に立たぬ嫁と毒のある言い方。また家康は菊丸に信長は安土城に夢中で三河のことなど忘れていると言われ、ゆーうつに。その頃熙子は病に伏すようになり、とうとう死んでしまう。まだ幼い十五郎がとってもかわいい。

麒麟がくる40 松永久秀の平蜘蛛

1577年、本願寺攻めの最中、突然松永が離脱してしまう。坂本城ではたまが駒に薬の調合を教わっている。熙子をなくし、岸は嫁ぎ、今の十兵衛にはたま(と十五郎)しかいない。駒は伊呂波からの文を十兵衛に渡す。出かけた先で出会ったのは実澄。その後小屋で松永と会う。松永と実澄は古い知り合いらしい。目つきの鋭い男が様子をうかがっているが、十兵衛は気がつかない。少し前にも謙信攻めの陣から秀吉が離脱した。総大将の柴田と衝突したからだ。十兵衛達はことをおさめるのにさんざん苦労した。それが今度は松永である。松永は寝返って本願寺につくと宣言し、十兵衛を驚かせる。本願寺は大和を彼に任せると言っているようで。もう心は決まっており、十兵衛の説得にも耳を貸さない。彼は茶道具平蜘蛛の釜を所有しているが、信長はこれが欲しくてたまらない。信長には意地でも渡したくない。どうせなら十兵衛に持っていてもらいたい。戦の結果が出るまでは伊呂波に預かってもらう。ここでの会話は、時として大声になり、見ていて首を傾げてしまう。アンタらそんな大声出したら外に漏れますぜ。秘密の会合のはずなのに全然用心していない。その後松永は信貴山城で挙兵。十兵衛の心は重い。織田方の総大将は信忠。もうジュニアの時代なんですな。佐久間が来て、信長が言うには命乞いして来たら許す代わりに茶道具を出させろと。でないと裏切り者として磔にすると。また、藤孝には息子忠興を紹介される。その後松永は集めた茶道具に火をつけ、ハデに自害。今回はちゃんと介錯いましたな。てっきり松永は平蜘蛛の釜もろともハデに爆死すると思っていたので、この流れ・・釜が十兵衛に渡るのには拍子抜け。戦の後十兵衛は久しぶりに帰蝶と会う。彼女は信長がだんだんわからなくなり、美濃の鷺山で暮らしてみようかなどと言い出す。対象が一つの国くらいの規模であった頃は彼女も信長にいろいろけしかけたりしていたけど、もうそんな時代じゃない。彼女にもどうしていいかわからないんでしょうな。さて信長に平蜘蛛の釜のことを聞かれた十兵衛は初めてウソをついてしまう。信長はたまを忠興に嫁がせろとも命じる。今回の十兵衛は何だか変だったな。

麒麟がくる41 月にのぼる者

ありゃ~ポケッとしてる間に終わっちゃったぞ。今年の大河は・・見てません。見てるヒマがない!備後にいる義昭は、飽きもせず方々の反信長勢力に文を送っている。十兵衛は丹波攻略に苦戦している。ただ、彼が他の武将と違うのは、敗者に対しても礼を忘れないこと。処刑する代わりに、領地の回復を指示する。まあこういう敵なら、負けた方も・・常識のある者なら・・抵抗やめますわな。彼らが頑強に抵抗していたのは、足利家に恩があるから。自邸へ戻った十兵衛が取り出したのは平蜘蛛の釜。どうも持っているのが気が重い。そこへ秀吉が来る。彼は播磨へ行く。それも総大将という出世ぶり。ただ、ここでの十兵衛と秀吉のやり取りは私には???でしたな。何で平蜘蛛の釜を見せるのか。松永と会った時様子をうかがっていた男に、実は十兵衛は気づいていた(あらま)。そいつは秀吉の異父弟であった(ありゃま)。秀吉の弟と言えば秀長かと思うが、彼ではなくて辰吾郎という出来損ないだった(あんれまあ)。二人の大熱演見ても、何がどうなってるのかわからないので、ただしらけるだけでしたな。ところで秀吉は、ちょうど屋敷に来ていた菊丸に気づく。秀吉の母親からいろいろ話を仕込んでいくのを怪しまれたのか。この後秀吉は部下に命じて辰吾郎をあっさり始末。同じ口が軽い性格でも母親の方は始末しないのか(おいおい)。十兵衛は菊丸に危険が迫っていると感じ、逃げるよう警告する。菊丸は今では三河のために働くより、駒と一緒にいられるここの暮らしの方がいいと思っている。とは言え自分のために駒や望月がトラブルに巻き込まれるのは避けたい。早速秀吉の配下に襲われるが、何とかかわして姿をくらます。十兵衛は釜を持って信長のところへ。ちょうど前久が来ていて、信長にこき使われていると自嘲する。十兵衛は釜を出して信長の様子を見るが、彼は十兵衛の心からの言葉にも心を動かされたふうはなく、十兵衛はいたく失望する。その後月見のため内裏へ。いつものことながら帝の言葉はありがたく、また考えさせられるもの。みんなして思っているのは、信長は変わってしまったということ。これからどうなるのか予測がつかない。帝はお歯黒してましたな。それにしても・・三河・・徳川とは敵対しているわけではない。何で菊丸を始末しようとするの?

麒麟がくる42 離れゆく心

今回あたりから十兵衛に向かって総攻撃が仕かけられる。「謀反を起こせ~」「信長を倒せ~」・・。まずは天正6年秋の荒木村重の謀反。黒田官兵衛の説得、尽力に関してはスルーされる。説得に行くのは十兵衛と秀吉。考えを変えない村重に対し、秀吉は愚か者呼ばわり。どこまでも彼を陰険なやつとして描く。十兵衛は村重に本心を聞く。丹波の国衆もそうだったが、村重も信長の義昭に対する仕打ちが許せない。すべてが義昭につながっていると気づいた十兵衛は、備後にいる彼に密かに会いに行く。ここでは義昭は毎日釣りをしている。反信長勢力はみんな毛利が彼を押し立てて上洛するのを待ち望んでいるが、毛利にその気がないのは義昭もわかっている。信長を説得するから京へ戻るよう十兵衛は頼むが、義昭は断る。兄義輝のようにお飾りにされたあげく、殺されるのがせきのやま。ここにいれば少なくとも殺される心配はない。京にいるのが十兵衛なら話は別だが・・。村重の息子村次に嫁いだ岸が離縁されて戻ってくる。村重の決意が固いことがわかる。信長は落城のおりには荒木の家中一同皆殺しにするつもり。十兵衛がいさめても聞かない。そんなおり、菊丸が密かにやってきて家康に会ってくれと十兵衛に頼む。今の家康は妻の築山殿と嫡男信康を殺すよう信長に迫られて苦悩している。武田への内通が事実だとしても、始末をつけるのは自分の仕事であって、信長に指図されるいわれはない。九鬼が毛利を打ち破ったとかで機嫌のいい信長に、十兵衛は信康の件を持ち出すが、信長はこの件で家康が自分をどう見てるのか試すのだと言い出す。このままでは荒木の二の舞といさめても聞かない。十兵衛を頼りにしていると言いつつ、帝に会った件を持ち出し、自分について何と言ったか話せと強いる。黙っている十兵衛を扇子で打擲する。信長にしてみれば、みんな自分にそむく・・と、おもしろくないのだ。そんな帝なら取り替えればいい、金があれば何でもできる・・と、そっちの方向へ行ってしまう。何を言っても通じない信長に失望し、額に受けた傷のことにも気づかず十兵衛が帰宅すると、駒がいて、義昭から文が来たと話し出す。麒麟がどうのと書いてあったと言う。帝、荒木、家康、義昭、麒麟・・ダメ押しですな。

麒麟がくる43 闇に光る樹


麒麟がくる44 本能寺の変