ルイス警部8

オックスフォードミステリ― ルイス警部

ルイス警部8の1銃弾の行方

ケヴィン・ウェイトリーの後、ローレンス・フォックスと出たので、それでやっと安心しました。ハサウェイの出ていない「ルイス」なんて!前回彼が教会の祭壇にひざまずくシーンがあって、もうこれってハサウェイファンを狙い撃ちにしてるとしか思えなかった。辞表を出して聖職者になった彼がルイスと組むのもいいなあなんて妄想したのは私だけではありますまい!「ハサウェイ神父の事件簿」とか(ウキャ!)。狩猟小屋が放火され、捜査しているハサウェイ。今は警部で、部下は長続きしないようだ。新しく来たのが刑事のマドックス(アンジェラ・グリフィン)。後でわかるが彼女も異動願い出してて。ハサウェイはさらに髪が短くなり、お坊さんみたい。何でも一人で抱え込み、疲れている彼を心配し、イノセントはルイスを復帰させる。ルイスだってのんびりした生活よりキビキビ動き回る方がいい。でもローラは危険なことはして欲しくない。小屋のあった土地の持ち主はトムとアリステア。脳外科医のアリステアは至近距離から撃たれて死亡。少し前トムと口論してるのが目撃されていて。トムは金に困っていて、アリステアが死ねば保険金が入る。土地は元々ジリアンの亡夫のものだが、売却をめぐり、彼女は二人を恨んでいる。ジリアンの娘ロレインは看護師だが、アリステアのやり方には批判的。以前彼は酔った状態で手術をし、そのため患者は植物人間に。同僚サイモンが告発したが、トムが偽証して無罪に。患者ナビールの両親、アイシャとリズワンはアリステアを恨んでいる。無罪になったため賠償金も出ない。夫婦は離婚しているが、ナビールの世話のためには一緒にいなければならない。出てくる人がみんな不幸で、ドツボにはまっている。特にアイシャとリズワンは息子の安楽死を考えるほど追いつめられている。途中でトムが殺され、リズワンは自殺。自殺では保険金が出ないので、アイシャはロレインに手伝ってもらって他殺に見せかけようとしたりする。アリステアの妻エリカは、ナビールの手術はサイモンが尻込みしたせいでアリステアが執刀。彼は酒を飲んでおらず、たとえ飲んでいたとしても彼が執刀したからナビールは命だけは助かったのだと。ロレインとエリカでは言い分が異なるが、どちらにせよアイシャが置かれた絶望的な状況には変わりがない。

ルイス警部8の2ネメアの獅子

今回は途中でわけがわからなくなる。いつものことだが関係ないものがまじる。しかも二つも!クロエとローズは同居しているが、クロエのところへ恋人ハリソンが来ているのがローズには気に食わない。彼女の方は恋人から別れを切り出されたからだ。そのローズがジョギング中に殺される。彼女の恋人は天体物理学の教授フェリックスで、妻フィリッパも教授。彼はローズにひき殺されそうになるなど恨まれていたが、警察には届け出なかった。学生に手を出していることがバレるとまずいからだ。匿名の通報があったが、これは後でフィリッパの姉ジェニーがしたのだとわかる。彼女の夫ポールは検眼医。娘のタビーは遺伝的な血液疾患があり、ドナーが見つからないと10代後半で死んでしまうらしい。ちなみにローズはこのタビーの家庭教師をしていた。そのうちジェニーは何度目かの体外受精が実って妊娠し、みんな喜ぶ。と言うのも、生まれた赤ん坊がドナーになれるから。とは言えフェリックスとジェニーの間には何かありそう。フィリッパも夫の浮気は知っているが、別れる気はない。そのうちフェリックスが殺され、さらにはクロエも殺される。カレッジには最近発見された戯曲の翻訳で有名になったフラクスモアがいる。ローズはこの戯曲がニセモノと見抜いたために殺されたのか。後でフラクスモアは古本絡みの詐欺で服役したこともあるライナスとわかる。身元保証人も博士号もウソ。結局カレッジを追われるが、カレッジ側にはよく調べもしないで雇ったという負い目があるから、訴えたりはなし。ハリソンはコカイン取引に関係しており、フェリックスは常連。暴行などの前科もあるので疑われるが、結局殺人に関してはシロ。彼によればフェリックスは父親になると言っていたらしい。ハリソンはローズが妊娠したのだと思い込んだが、検視の結果ではしていない。となればジェニーですわな。こらルイス達はよ気づけ!二組の夫婦には複雑な事情があった。ポールはジェニーがフェリックスと浮気したのを知っているが、仕事にかまけていた自分が悪いのだし、ジェニーの方もすぐ目が覚めた。タビーの病気がわかっていろいろ調べていた時、フェリックスが父親だと知ったが、自分の子のように愛している。

ネメアの獅子2

問題はタビーの病気を治すには次に生まれてくる子の父親もフェリックスでなければならないこと。言い換えると、ジェニーが妊娠するまではフェリックスには生きていてもらわなければ困るのだ。それなのにローズはフラれた腹いせにフェリックスを殺しかねない。冒頭フェリックスが誰かに「困ったことが」と電話していたが、相手はジェニーか。それで彼女はフェリックスの安全のためローズが逮捕されるよう警察に通報したと。しかし警察が動く前に、あせったポールがローズを殺してしまった。次のフェリックスはなかば事故だった。ジェニーも子供二人も自分のものとか言われてカッとなってしまった。彼を見かけて犯行に気づいたクロエは、2万ポンド出せと脅してきた。いや~皆さん、揃いも揃ってバカですな~。特にクロエ、何でそういうふうに持っていくんですか。これじゃ殺してくださいって言ってるようなもの。体外受精の費用のため、金に困っているポールを追い込んでどうする。そのポールも、フェリックスが何を言おうと、ジェニーには彼になびく気はないってことくらいわかるでしょうに。何でもっと信じてあげないの?それに妊娠したと言っても途中で流産するかもしれないし、死産かもしれない。赤ん坊が無事生まれるまではどんなことがあってもフェリックスには手を出さないのが普通なのでは?検眼医のくせに全然まわりが見えなくなってる彼が気の毒。ところでハサウェイは何となくフィリッパに惹かれている感じだったな。美人だし知的だし、不実な夫だけど愛していて、別れることは自分の一部を失うようなもの・・と思っている。演じているアンドレア・ロウはミシェル・ファイファーミーシャ・バートンをミックスしたような感じ。フェリックス役ジョン・ライトは「新米刑事モース」の1話目に出ていたようだ。目の色とか違うけどブレンドン・ブーンにびっくりするほどよく似ている。まあブーンは大学教授ってタイプじゃないけど。あと、ベネディクト・カンバーバッチにも似ている。前回異動願いを出していたマドックスだが、そんなことすっかり忘れたかのように仕事してるので、イノセントも一安心。マドックスったらルイスとハサウェイのこと”お笑いコンビ”なんて言ってましたな。

ルイス警部8の3善悪の彼岸

ローリーは三人の警官を殺害し、サイコパスということで医療刑務所に入って13年たつ。一貫して無実を訴え、何度も控訴しているが、ルイスにしてみれば彼が無実だなんてちゃんちゃらおかしい。ローリーを逮捕したのは彼。ところが今回はDNA検査にミスがあったとか、被告に有利な書類がどこかにまぎれ込んでいたのが出てきたりとかする。書類の件はルイスは大したことじゃないと思っている。当時の彼が真実よりもローリーが犯人に決まっているという思い込みで動いていたことを表わす。同じ警官が殺されたということで感情的になっていた。塔から飛び降り自殺がありそうという通報で向かった警官マークが、ハンマーのようなもので殺される。2001年に起きた警官殺しのうちの、最初の被害者チャドウィックの時と同じ手口。当時ローリーはその塔で屋根の葺き替えの仕事をしていた。今回の件は模倣犯によるものか、共犯者か。それとも全く別の真犯人がいるのか。ローリーのような犯罪者には決まって信奉者が出てくる。いつも彼のそばにいる看護師は影響を受けやすい。ローリーに操られ、マークを殺したとしてもおかしくない、いかにもそんなふうに描写される。裁判で精神鑑定をしたローク博士はローリーを研究対象にしている。彼女は彼が無罪放免になって出てくることを危惧している。ただ、自分の説の正しさを証明するためなら殺人も犯しかねないような感じもする。図書館で製本やってるパメラはローリーのえん罪を信じている。彼女は彼のためなら何でもするだろう。面会人の中には哲学講師ウォードがいる。彼は二度面会したと話すが、刑務所の記録では二ヶ月の間に17回も来ている。何でウソを?それに彼はなぜか顔を腫らしていて。後でわかるがウォードを殴ったのは看護師。残りの15回面会に来ていたのは学生のルーク。彼はよくいる頭でっかちのオタク。他にジャーナリストのブレインがまわりをウロウロする。ローリーは彼に自伝を書かせるつもりらしい。そのうちマドックスがニセのメール呼び出され、頭に重傷を負って昏睡状態に。悲歎にくれる夫フランクにブレインが親切ヅラして近づいたりする。

善悪の彼岸2

とうとうローリーは釈放され、自宅へ。空っぽになった居室でたたずむ看護師。その後ろ姿をいわくありげにうつし出す。ずっとローリーを待っていたパメラの期待は裏切られる。家に入れてもらえない。彼にとっては利用できるものは利用し、用がすめばサヨナラなのだ。相手がどう思おうが気にしない。心のない彼は相手に心があること気づかない。今彼が考えていることはルイスへの復讐。その彼があっさり殺される。ハンマーを使った同じ手口だ。ハサウェイにはルイスを疑う気持ちが全くないと言えばウソになる。でも見てる方はたぶん・・と思い始める。その前にロークが疑われる。ウォードも怪しいが、彼には悲しい過去があった。チャドウィックは実は恋人だった。チャドウィックは既婚者だったし、警官がゲイだとばれるとまずいから、秘密の関係だった。ロークにローリーに会うよう提案されたのは皮肉なことだった。そのうち今度はトニーが疑われる。しかし彼も結局は行動は起こさなかった。普通の人は・・ウォードにしろトニーにしろ・・ローリーを恨んだとしても殺したりはしない。恐怖心の方が先に立つからだ。さて、捜査に行き詰まった時には原点に戻ってみるのが一番だ。ローリーの家を調べ始めるが、何か目当てがあるわけではない。それでもパメラからの葉書が見つかった。日付は2000年。ん?彼女とはローリーが逮捕されてからの関係じゃなかったのか。と言うわけで今回の事件の犯人はパメラ。彼女には自分は他の人とは違うとう自負があった。自分はローリーとは対等。前の三件は彼の犯行だけど、自分にだって彼と同じようにやすやすと事件を起こせることを見せてやった。二人の関係は終わっていないことを示してやった。それなのに彼に拒絶された。あんなに尽くしたのに、お金も使ったのに。たぶんローリーにはなぜ彼女が彼を殺すのか理解できなかっただろうな。というわけでイノセントやルイスは13年前にローリーをつかまえたのは誤認逮捕じゃなかったと安堵する。たぶんパメラがローリーを始末してくれて、面倒が省けたとうれしかったと思うよ。マードックも昏睡から覚めたしよかったねトニー。