ナイト・ウォッチャー
タイ・シェリダンは若いけど、ちょっと気になる存在だ。一癖も二癖もあるような役がはまる。今回はアスペルガー症候群・・コミュニケーション障害のある若者を演じる。少し前ならジェシー・アイゼンバーグあたりがやりそう。でも今はシェリダンなのだ。バート(シェリダン)は母親エセル(ヘレン・ハント)と二人暮らし。彼は障害があるとは言え、ホテルの夜間受付の仕事についてもう三年ほどになる。支配人は理解があり、親切。しかしバートは124号室に五台のカメラを取りつけ、盗撮をしている。と言っても彼なりの理由はある。客の様子を観察し、コミュニケーションの練習をしているのだ。ある晩遅く一人の女性客が来る。バートは最初別の部屋にしたが、思い直して124号室に変える。ジャックと交代し、家に帰るが、あの女性・・カレンは男ともめている。彼女はもう一つのケータイを見つけ、愛人の存在を知ったようだ。彼女が殺される・・と、バートはホテルへ駆けつけるが・・。タバコを吸いに外へ出ていたジャックは銃声を聞く。行ってみると帰ったはずのバートがいる。ベッドには女性の死体。バートが正直に話し、映像を見せれば、話はずいぶん違ったものになっていただろう。でも彼は財布を忘れたので戻ったなどとウソをつき、盗撮のことは黙っている。刑事エスペータ役はジョン・レグイザモ。カレンの夫ニックは、妻が何でホテルへと信じられない様子。バートをなぜつかまえないのかとエスペータに迫る。このニックが犯人なのは見え見え。すぐ解決する事件なのに、常人と異なる思考をするバートのせいで、回り道ばかり。たまげたことにニックはエスペータの同僚・・つまり刑事なのだそうな。私は映画を見る時はなるべく一人で、集中して見るようにしている。ダンナがウロウロしている時は、いなくなるまで待つ。そうやって注意深く見ているつもりだが、ニックが刑事だというのには気がつかなかった。また、バートが映像を見返し、男の腕に鳥の形のタトゥーがあるのに気づくのもわからなかった。後でアンドレアと一緒の男の腕にタトゥーがあるのがうつるが、私はあのタトゥーは何のために出してきたのかいなと、不思議に思っていたのであった。
ナイト・ウォッチャー2
事件後バートは他のホテルへ移る。仕事は同じだから支障はない。ある晩アンドレアという美女が来る。その後スーパーでばったり会って言葉をかわす。そうなるともう彼女のいる部屋にカメラを取りつけ、盗撮・・いや、コミュニケーションの練習をする。アンドレア役はアナ・デ・アルマス。本当にきれいな人で、チラッとヌードも見せる。ところでメモリーカードとやらを一つ回収し損ね、それがエスペータの手に渡ってしまう。これで盗撮がばれてしまったが、令状を取ってバートの部屋を捜索しても何も出てこない。それにしても硝煙反応の検査はしたのか。妻が殺された時一番疑われるのは夫じゃないのか。ニックを調べりゃ愛人がいるってわかるはず。何か全体的に手ぬるいな。エセルは息子に近づくなの一点張りだし、マスコミの描写もなし。互いに惹かれ合うバートとアンドレアを描くのに忙しく、肝腎の事件の方はスカスカ。そのうち、実は真犯人はアンドレアなのでは・・ニックが去った後彼女が現われ・・とか思ったりするが、そんな意外性もなし。彼女がバートに近づいたのはニックの差し金だろうが、そのわりには何もしていない。普通ならアナタナニカカクシテイルンジャナイノ?ソウダンニノルワヨとか何とか。彼女はバートが盗撮していたと知って死ぬほど驚く。映像を見せられたのは自分だけで、他の人は見てないことを確認する。彼が自分に惹かれていることはわかっているので、それを利用する。ただ、ニックとの仲は最近ではあまりうまくいってないようでもあるし、自分のやってることに嫌気がさしてもいる。だから(改心して)バートに協力するのかと思って見ていたが、メモリーカードを盗み、カレン殺しの凶器を残して姿を消す。愛する人に去られたバートはこの銃で自殺するのかな・・と、見ている人全部に思わせて・・。銃声を聞いた時はとうとうやっちまったか・・と思わせて・・。ラストは見ていてもよくわからなかったが、ネットで調べると、バートはアンドレアの正体もなぜ近づいてきたのかも、彼らが自分を犯人に仕立て上げようとしているのも全部お見通しだった・・そういうことらしい。カレン殺しの犯人とアンドレアが一緒にいるのを見て衝撃を受け、ついでに失恋もしたわけだが、その時点で彼女に対する見方が変わってしまった、私にはそんなふうに思えた。