アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
何やらトンデモ映画らしいということしかわからずに見た。見たら・・やっぱりかなりのトンデモ映画でした。でも私はジョシュ・ハートネットが見られればいいんだも~ん。いきなりイライアス・コーティーズが出てきたのにはびっくりした。私の(←?)ジョシュをバットでさんざん打ちすえ、おまけに腕に噛みつく。腕の外側って注射を打ったりまあそれなりに痛みは経験するけど、内側の方はね、未知の領域。痛いだろうなあ。シャツを引き裂いたりして何じゃこりゃ。見ているお客が喜ぶ・・もとい、誤解するじゃないか!そして二年後・・。この後も過去と現在がやたら入りまじる。今回のジョシュはヒゲがあっていやなんだけど・・何で涼しいお顔をヒゲで汚すのよん・・現在か過去かの区別にはなる。ヒゲがあるのが現在。クライン(ジョシュ)は刑事だったが、精神を病んで退職。24人も殺したハスフォード(コーティーズ)を追っているうちに、彼に同化してしまったのだ。彼を理解するには、つかまえるには彼と同じ考え方を・・なんて努めているうちに。今は探偵をやっている。ある日、世界最大の製薬系大企業の人物から、息子シタオ(木村拓哉氏)を捜して欲しいという依頼を受ける。ミンダナオで孤児の面倒を見ていたらしいが、行方がわからなくなった。クラインは彼の前に依頼を受けていた探偵ヴァーガスと接触するべくミンダナオへ。ヴァーガスの話ではシタオは七ヶ月前に殺され、森に埋められたと。孤児の面倒を見るため、父親に送金を頼んだりしていたが、そのうち現地の金持ちに寄付を強要。そりゃ始末されるわな。殺された時の目撃者がいる一方、たぶん遺体が見つからないためだと思うが、ヴァーガスは依頼主に最終的な報告はしなかった。その後香港で生きてるかも・・となる。香港にある依頼主の両親の墓に花が供えられていたとか何とか。ちなみに私はシタオは日本人と思い込んでいたが、ヴァーガスの報告書の姓のところにはCHENとある。以後舞台はずっと香港。ここで出てくるのがイ・ビョンホン扮するドンポ。彼はギャングのボスか、マフィアか。クラインは友人のメンジー刑事(ショーン・ユー)と久しぶりに再会。アメリカで刑事やってたクラインと、香港の刑事メンジーがなぜ知り合いなのかは不明。実はこの時シタオはクラインのすぐそばにいたのだが、彼は気づかない。離れたところからとは言え顔も見ているのに。
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン2
ドンポにはリリという恋人がいるが、このリリがどうにも魅力がないので、見ている人・・特に男性は失望する。香港映画にはこういう人工的な感じの・・ヘアスタイルとか化粧がけばくて、やせてパサパサしているけど胸はある・・みたいな女優さんがよく出てくる。まあこの映画はフランス映画で、リリ役のトラン・ヌー・イエン・ケーはベトナム人らしいが。このタイプが向こうでは美人なのだろうが、見ていて物足りない。女性客はキムタク様、ビョン様、ジョシュ様で、彼らさえうつっていればたいていのことは見逃してくれるけど、ヤローどもはそうはいかない。何でこんなのが、しかも一人しか出てこないんだよ~と言うことになる。さて、ドンポの方は妙なことになってる。部下のミフーがいきなり反旗を翻し、誰だかわからんけどメガネのオッサンを殺し、リリを人質にし、ドンポの金を奪って逃走する。ミフーのことは気が短いという説明しかされず、なぜこんなことしたのかは不明。わざわざ発砲してドンポ達に自分の行動知らせるなど、意味不明。ミフーを追った部下は彼に致命傷を負わせるが、なぜかドンポに殺される。ノコノコ殺されに戻るか?ミフーはシタオのところへ来るが、さすがにこの状態じゃ治せない。シタオは掘っ立て小屋に住んでいる。彼には不思議な能力があって、傷を治すことができる。ミフーはそれを知ってて彼のところへ行ったのか、それとも偶然?シタオはその後何日かかけてリリが麻薬の禁断症状を克服するまで世話をする。たぶん多くの女性ファンは、私もお世話されたいッ!と、うらやましく思ったことだろう。クラインはその頃やっと自分がシタオとニアミスしていたことに気づく。警察にはシタオの体についていたたくさんの傷をうつした写真があったが、顔をうつしたものはなかった。ウッソー!!さて・・この頃になると、トンデモ映画の名に恥じず、ある意味楽しくなってくる。作り手はあくまで真面目に作っているのだが、それにしては??なのだ。まず、つながりが悪い。何でこのシーンがはさまれるの?何でこのシーンの後にこのシーンが来るの?メンジーは何でミフーのいきさつを知ってるの?実を言うと私、ミフーはメンジーが送り込んだ潜入刑事かな?なんて一瞬思ったりしたのよ。トイレに・・と席をはずして、メンジーに報告入れるのかと。そしたら全然違ったんだけど。
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン3
何でドンポはシタオの写真持ってるの?それに・・何でみんなしてやたら上半身裸になるの?そりゃ下半身裸になるわけにいかないからだけど、ジョシュまで負けずにパンツ一丁。もう笑うしかない。ビョン様の方は明らかにオバサマファン向け大サービス。何やらそれらしき音楽が流れ、愁いをおびた表情のビョン様がうつる。これで横っちょに歌詞が出ればカラオケだ!オバサマ達はうっとりと見惚れ、ヤローどもは尻がむずがゆくなって座ったままモゾモゾする。もっともドンポに関しては、見ていて気分が悪くなるような無意味に残酷なシーンも出てくるので、オバサマ達もとまどったことだろう。いくらビョン様でも・・いくら神のごとき美しい肉体美でも・・こんな残酷なの見たくないッ!途中でびっくりするようなシーンが出てくる。シタオは撃たれて死んだんだけど、なぜか生き返った。たぶん、埋められたところから這い出してきたのだろうけど、目にも口にも髪にもウジ、ウジ、ウジ~!!首にはヒルも吸いついているぞ!うわ~ん、よくやったわねえ、こんなシーン。私は木村氏はそんなに好きじゃないけど・・タイムスリップした信長やったのを見たくらいであとは全然だけど・・でも、今回はよかったよ、がんばってた。セリフはほとんどがヴァッとかギャッとか、痛みに耐える時の声ばっかりで、それもまた大変だったね。欲を言えば、シタオくらいはヒゲなしでいて欲しかった。みんなしてむさくるしい感じなんだもん。這い出してきた時のシタオはヒゲなし。横たわるシタオ。降り始める雨。だから「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」なのかな。クラインはハスフォードの時みたいに、シタオの写真見て同化しようとするんだけど、効果はなかったみたい。ここも悪いけど笑えるシーン。”どうか”してるぜって感じ?後遺症に悩むクラインは、「レッド・ドラゴン」のグレアムをほうふつとさせる。ハスフォードは自称芸術家。人体使って奇妙な作品作る。これがまた作り手の意欲感じさせる気持ち悪さで・・。まあ「エイリアン」思い出させるような造形で、私には猟奇的というよりSF的に見えたけど。犠牲者達は、生きながら切断されたのだろう。で、ハスフォードは彼らの苦痛が美しいんだと思っている。キリストの受難の完成を目指したとか何とか。
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン4
で、彼はわざとクラインに撃ち殺してもらう。こういうのってよくある。「サスペクト・ゼロ」とかさ。ある人物を自分の後継者、同類と勝手に決め、自分は苦悩から解放されるけど、その人物は苦悩をしょわされ続ける。クラインはなぜかハスフォードの首を切断する。日本の戦国武将みたいだな。その後彼は精神病院へ。・・ネットで調べても、コーティーズのこと書いてる人ほとんどいない。みんな三大美形に・・あるいはショーン・ユーを加えて四大美形に気を取られている。でも・・コーティーズのこと忘れないでくんなまし。そりゃあぶらっこくて異常だけど、彼だって昔は髪もあってステキだったのよ。「ゴッド・アーミー」をぜひ見てください。演技だって真に迫っていたでしょ?皆さん思いませんでした?クラインとハスフォードを主人公にしたサイコサスペンス見たかったって。もちろん他の監督で・・。さて、リリはクスリが抜け、そうなるとドンポが恋しい。で、帰るけど、また抜け出してシタオのところへ。たぶんお礼をしたかったんだろうけど、そこで見たのはシタオに助けを求める人、人、人。ここはけっこう怖い。大人しく順番待ちをしているとは言え、一人を治すだけでフラフラ。シタオが何を考えているかはよくわからない。人々を追っ払ったリリがシタオに添い寝しているのを見たドンポは・・。普通裏切ったなとか言ってリリを殺すはずだが、怒りはシタオに向けられる。撃たれ、板に釘で手のひらを打ちつけられ。こらこらリリさんよ、ちゃんとシタオを助けんかい。命の恩人なんだから体張って助けろよ、何失神してるんだよ。後で何事もなかったように赤いドレスひらひらさせてドンポの愛人に戻った彼女には呆れた。見ている人も彼女の行動には混乱するけど、作り手も混乱しているんだろうなあ。このシーンでは嫁・・いや、リリを美しくエロティックに、このシーンではエロティックに美しく。何か都合よくリリをそのシーンに合わせていると言うか。だからキャラが混乱する。はっきりしないと言えばラストもそうだ。たぶんこの映画で一番印象的なのは、生き返ったシタオが雨に濡れるところと、まるで磔にされたような彼にクラインがかける言葉。まだ生きていたシタオに、「父上の遣いで来た」と言う。その、ファーザーという言葉を、シタオは神のことだと思ったはずなのだ。
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン5
磔状態にされ、「ファーザー!」と叫んだけど、あれは自分の父親のことではあるまい。彼はやっとお迎えが来た、これで死ねると思ったはず。なぜクラインの言葉を聞いたシタオが心安らかに昇天するというふうにしなかったのか。そうすれば観客はみんな納得し、ホッとしたはずだ。あの状態で終わられたのでは、クラインはともかくシタオもドンポも状況は変わらず、何も解決していない。リリだって赤いドレスひらひらで終わるのではなく、シタオ殺害(結局死んではいないけど)を警察に通報するとか行動起こして欲しかった。ヒロインらしい行動して欲しかった。あのままじゃ遠からずまた麻薬に溺れるだろう。メンジーは後半あまり出てこない。殺し屋に襲われるが、その時に顔を腫らしているのはなぜなのか。なぜ入院しているのか。途中で出てくる女性は誰なのか。私最初はてっきりこの女性リリだと思ってた。ドンポの愛人になる前はメンジーと・・。でも違った。顔はよく似ているけど。それにこれは回想ではなく現在の出来事。殺し屋は自殺に見せかけようと思っていたらしい。だからメンジーの銃で撃とうとする。ところが不発。おかげでメンジーは反撃して殺し屋を倒すことができた。不発だなんて都合よすぎる?いやいや、その前の女性とのシーンで、銃から弾を抜いて見せていた。だから一発目は入っていなかった・・そういうことになるんだと思う。でも、殺し屋との件で別にメンジーはケガはしていない。だから次のシーンで入院しているのはわけがわからない。本来ならメンジーはもっと出番が多かったのではないか。他の三人と同様彼も地獄を見た過去があるのではないか。何らかの理由でそれがカットされたため、つなぎが悪くなったのではないか。・・とまああれこれツッコミどころはあるのだが、私はこの映画けっこう気に入った。ビョン様はイメージビデオ、プロモーションビデオ、カラオケビデオ・・何でもいいけど、あまりにもキャラがうすっぺらで残念だった。いつもなら白人、黒人に囲まれて、その不思議な若々しさ、爽やかさが際立つんだけど、今回はそうじゃなかった。その代わりジョシュのういういしさ、すがすがしさが印象に残った。木村氏もヒゲなしならジョシュと美しさを競ったことだろう。