愛のメモリー
1959年、不動産業者マイケルの屋敷では結婚10周年のパーティが開かれていた。妻エリザベスは美しく、娘エイミーはかわいい。仕事も順調で幸せの絶頂。ところが妻子が誘拐され、身代金50万ドルを要求してくる。現金を用意するはずがブリー警部の助言に従い、ニセ札を発信器つきのトランクに詰め、指示された場所に。これが裏目に出て、妻子を失うはめに。どう見たって警察の失態だが、「全力は尽くした」の一言でオワリ。これじゃたまったもんじゃない。時は流れて1975年。マイケルは共同経営者ロバートと共に商談でイタリア、フィレンツェへ。ここにはエリザベスと出会った教会もある。その思い出の場所で彼女そっくりの女性を見かける。あとをつけてみたり、話しかけてみたり。その女性サンドラは絵の修復の仕事をしている。一足先に帰っていたロバートは、結婚を考えているマイケルを、急ぎすぎだと忠告するが、マイケルは聞こうとしない。どうやら彼は自分のせいで妻子が殺されたと後悔し、精神科医の治療も受けていたらしい。ここらへんになるとロマンチックなムードからやや危ない感じになってくる。マイケルは精神に異常をきたしていて、サンドラに危機が迫るのではと思えてくる。いくら相手が金持ちでもかなり年上だし、自分が死んだ妻の身代わりなのは明らかだし、そういう相手と結婚しますかね。ところが悪夢の再来・・サンドラが誘拐され身代金の要求が・・。今度こそはちゃんと現金を用意し、トランクに詰め、指示通りに・・のはずが残されたトランクに詰められていたのはまたもやニセ札。ごていねいにトランクをすり替えるシーンを事前に見せてくれるので、黒幕がロバートだというのはバレバレ。マイケルは被害者の方でした。サンドラは実は娘エイミーで、ロバートにだまされ、ぺてんの片棒かつがされていたと。お金をケチって自分達を見捨てたと思い込まされていたエイミー。ええと・・でも別に実の娘ですと名乗り出た方がよかったんじゃないの?顔見りゃエリザベスの娘だってのは一目瞭然なんだし、結婚相手として近づいて体要求されたらどうすんの?娘の誘拐でもマイケルは金を惜しまないよ。まああちこちつじつまの合わないところがあって、ラストも一見父娘の再会となってハッピーエンドに見えるけど、マイケルアンタロバートを殺しちゃってますぜ・・となる。ロバートの言い分もわかるのよ。会社がジリ貧になったのはマイケルのせいだし、普段からあれこれ指図されて気に食わなかったし。マイケル役はクリフ・ロバートソン、エリザベスとサンドラがジェヌヴィエーヴ・ビジョルド、ロバートがジョン・リスゴー。監督はブライアン・デ・パルマ。ビジョルドがチャーミングでよかったけど、映画としては何じゃこりゃでしたな。