悪党に粛清を
19世紀半ば、デンマークはドイツと戦争をし、敗れる。アメリカへ来て七年、ジョン(マッツ・ミケルセン)はやっと妻子を呼び寄せることができ、駅で再会。美しい妻、10歳になった息子。兄のピーターはたぶん気をきかせたのだろう、一晩町に泊まると言う。駅馬車に乗り込んできた二人組。どうやら刑務所から出てきたばかりのようだ。どうもこういう映画は文章にするのも気が滅入る。理不尽と言うか神も仏もないと言うか。ジョンは妻子を殺され、二人組を殺す。夢も希望もなくなり、土地を売って離れようとするが、町を牛耳るデラルーにつかまる。二人組の一人はデラルーの弟だった。弟が何をしたかは関係ないのだ。彼は犯人を見つけろと保安官を脅し、見せしめのために町の人を三人殺す。老婆や足の悪い男が生贄として差し出され、それでは足りないともう一人撃ち殺す。ジョンはピーターに助けられるが、その兄も殺される。後半は復讐の鬼となったジョンが、ほとんど一人でデラルー一味に立ち向かう。祖母を殺されたまだ16にもなっていない孫が果敢に行動起こすが殺される。せめて彼には助かって欲しかったが、この映画は救いがない。戦っているうちにたぶんジョンは戦争中の自分、兵士だった自分に戻っていくのを感じたと思う。アメリカへ来て土地を手に入れ、家を建てるには苦労したと思うけど、戦争中の方がもっと苦しかったと思う。何としてでも生き残るという目標がはっきりあったと思う。そういう自分に戻って次々に敵を倒す。終わった時にはそれまでの自分・・映画の最初の頃のちょっと煮えきらない感じの、行動の遅いジョン・・とは明らかに違っている。そうでなければあの弟の妻であるマデリンと一緒に町を出るなんてありえない。本来なら復讐を終え、兄を弔った後、一人でどこへともなく去っていくのが彼のキャラのはず。マデリンは先住民に舌を切られたとかで話すことができない。デラルーと関係し、信用させたかと思うと金庫の金を盗んで逃げようとし、つかまる。とどめを刺したのはジョンだが、最初にデラルーを撃ったのは彼女。何を考えているのかよくわからない女で、妻とは正反対のタイプ。デラルー役はジェフリー・ディーン・モーガン。「ノー・エスケープ 自由への国境」に出ていた人だ。マデリン役はエヴァ・グリーン。市長兼葬儀屋がジョナサン・プライス。ジョンは彼も撃ち殺しちゃったのね。保安官兼神父が「プライミーバル」のダグラス・ヘンシュオール。もっと彼が早く行動を起こしていればねえ。と言うわけでミケルセンが健さんにしか見えなかった作品。耐えて耐えて最後に爆発斬り込み殴り込み(と言ってもヤクザ映画はほとんど見たことないので想像ですが)。