モルグ街の殺人

モルグ街の殺人(1932)

1845年のパリだが、みんな英語しゃべる。見世物小屋でミラクル博士(ベラ・ルゴシ)のショーを見るピエールとカミーユのカップル。出し物は猿人エリックで、ゴリラらしいが、チンパンジーに見える。不可解な殺人が起き、犯人はオランウータンだったというのが原作だが、映画は推理もへったくれもなし。ゴリラに目をつけられた美女の運命やいかにという、ただそれだけ。ピエールは医学生で、友人ポールと同居している。業はそっちのけで、探偵業に夢中。また女の死体が川から上がった。今週で三人目だ。ピエールの調べでは死因は水死ではなく、血液中に共通して異物がある。ミラクルは人間とゴリラの間に新しい種を・・と実験しているが、失敗続き。もちろん人間とゴリラの間にと言っても、ゴリラの血を注射するくらいで、○✕△はありませんよ。失敗するのは売春婦とか血が汚れているせいで、要するに処女でないとだめってことだろう。何となく吸血鬼っぽい。カミーユを誘い出そうとするが警戒した彼女に断られる。そりゃ相手が眉毛のつながったオッサンじゃあねえ。エリックはやすやすとアパートに侵入。その頃ピエールは例の異物がゴリラの血と突き止める。カミーユのアパートに駆けつけるが彼女も母親もいない。その後警察の取り調べとなるが、当時はこんな感じだったのかね。ピエールはやきもきするけど、警視総監が来るまでは何も始まらない。その後証人達の聞き取り。悲鳴の他に何か聞こえたらしいが、イタリア語だデンマーク語だドイツ語だと証言はまちまち。逆に言うとこれが一つのヒントなんだけどね。でもさすがにゴリラの声だとは誰も思わない。やっとピエールの番になるけど、ゴリラやミラクルのこと話しても信じてもらえず、そのうち容疑者扱い。でも母親の死体が煙突に押し込まれているとわかり、ゴリラの毛も見つかって容疑が晴れる。その頃ミラクルは今度は完璧と喜んでいて。しかしなぜかエリックは彼を殺し、警察に追われ、カミーユ抱えて逃げ回る。何だかキングコング風味。あっさり墜落して死に、ピエールとカミーユは抱き合ってハッピーエンド。母親はハッピーじゃないけどね。カミーユ役はシドニー・フォックス、ピエールがレオン・エイムズ。しかしルゴシもこんな役じゃ情けなかったのでは?見ている私は情けなかったよ。