バニー・レークは行方不明

バニー・レークは行方不明

この映画は大昔テレビで見て以来だ。詳しいことは覚えていなかったけど、ヒロインが時間稼ぎで、犯人相手にいろんな駆け引き・・命令したりなだめたり・・そこだけは覚えてた。子供ごころにも変なシーンだなあ・・と。WOWOWでやったのを録画し、途中まで見たが、つまらないので中断。今回改めて全部見た。原作も読んだが、内容はシンプル。娘がいなくなり、必死で捜す未婚の母。引越したばかりで知人がおらず、本当は子供なんかいないのでは?と思われてしまう恐怖。親切な人より冷たい人が多く、同情どころか無責任な親だと非難される。ラスト、娘が見つかる頃にはヒロインの神経はずたずた。たぶん半分頭おかしくなってる。映画はかなり変更されている。ヒロインの名前はブランチからアンへ。舞台はニューヨークからロンドンへ。助けてくれるニューハウスの職業は精神科医から警視へ。犯人も違う。兄スティーヴンは映画だけ。娘がいなくなった恐怖がメインのはずだが、映画はスティーヴンのアンに対する異常な愛、独占欲も描く。こういうので水増ししないと持たないと思ったのか。キャストはアンがキャロル・リンレー、スティーヴンがケア・デュリア、ニューハウスがローレンス・オリヴィエ、ウィルソンがノエル・カワード、他にクライヴ・レヴィル、アンナ・マッセイと、非常に豪華。白黒映画だが、オープニングは凝っているし、ブランコのシーンとか印象的。テレビにグループサウンズ(ゾンビーズらしい)がうつるのがいかにも1960年代風。家具付きのせいもあるが、引越しがあれだけの荷物ですんでしまうのか・・と妙なことに感心したり。まだ若いデュリアの繊細な美しさも見どころ。その一方で、正体あらわしたスティーヴンが、バニーを殺そうとネクタイを準備するシーンが何度も。かくれんぼに目隠し鬼にトランポリン、ブランコ。当時はともかく今の人には冗長。カワードの変態ぶりもいらん!原作の最後の方は、読んでも意味がよくわからない。ニューハウスとブランチは恋に落ちたらしいが。映画はリンレーとオリヴィエだから、親子ほども年齢が違う。したがって恋には落ちない。ラストシーンにはびっくりだ。スティーヴンがつかまり、アンはバニーをしっかり抱きしめ、その場を去る。駆けつけてくれた、助けてくれた、温かい言葉かけてくれたニューハウスにお礼言いません!なぜ?なぜ~ッ!「フライトプラン」のカイルに呆れているバヤイではなかったのね。40年も前に・・お礼言わない母親がすでに!