ドミノ(2023)
オースティン警察の刑事ローク(ベン・アフレック)は、公園でちょっと目を離したスキに娘ミニーを誘拐されてしまう。容疑者の若者ライルには記憶がなく、ミニーの生死は不明のまま。四年後何とか仕事に復帰。事件が元で妻ヴィヴィアンは去り、ずっと自分を責め続けている彼が正気を保つには仕事をするしかない。そんな時警察に寄せられた匿名の通報・・これからオースティン銀行で強奪が起きる、目当ては貸し金庫で番号は23。張り込んでいると一人の男が謎めいた行動を取る。どうやら彼は一瞬で相手をコントロールできるようなのだ。あれこれあるが、ん?なぜロークは貸し金庫のなかみを見ることができたんだっけ?警察だと名乗ってなかったようだが。二回目見たらいつの間にか鍵を手に入れていて。金庫の中には写真が一枚。何とミニーの写真で、”レブ・デルレーンを見つけろ”と書いてある。人名のようだが。ロークが追いつめた謎の男はビルの屋上から身を投げたが、下を見ても何もない。ん?SF映画かよ。あれ?貸し金庫の借主が誰だか調べてないぞ。相棒ニックスによると例のタレコミはダイアナというややいかがわしい過去のある霊能者。彼女の話で明らかになったのは・・ヒプノティック・・これって原題だな。人をあっという間に操り、実在しない世界へ入り込ませる能力。脳のハッキング。それができる者を集め、訓練する政府の秘密機関があるらしい。あの男デルレーンは史上最強のパワーの持ち主。ダイアナにも能力はあるが、彼とは比べものにならないようで。そのうちニックスが操られ、ダイアナを殺そうとする。ロークは事態をなかなか受け入れられずためらっているが、ダイアナがあっさりニックスを撃ち殺す。命じられたことをやり遂げるまでやめないニックスはすでに死人のようなもの。ここらへんはゾンビ映画見ているよう。結局ロークは殺人犯としてダイアナと共に指名手配され、逃げ回るはめに。ロークにはダイアナの能力は通じないが、強い精神的トラウマ・・ミニーの失踪・・があるせいらしい。二人はメキシコへ逃げる。国境警備員に気づかれても、ダイアナがちょっと話しかけただけでもう平気。いや、便利な能力ですな。
ドミノ2
最初に訪ねたのはダイアナの訓練士だったジェレマイア。演じているのはジャッキー・アール・ヘイリーだが、出番これだけ?もったいない。ここで明らかになるのは、デルレーンがジェレマイアになりすましていたこと。つまり、目に見えているものが事実とは限らないこと。ダイアナでさえ見抜けない。この後何度も事態が引っくり返る。まわりがゆがんで見えるなどありえない景色になったりするが、それも構築世界での話だから。仮想空間みたいなものかな?「インセプション」みたいだな・・と思うが、あそこまでダイナミックではない。その方がいいけどね。事態についていけなくてウロウロしている感じのロークだが、実は彼にもヒプノティックの能力が・・となるのはお約束。最初にデルレーンを見た時「見覚えが」と言ってたし、過去一緒だった時期があるのだ。記憶を失っていたけど少しずつ・・。記憶を消すとか戻すとかアフレックが出ていた「ペイチェック」を思い出す。こうなると何でもありですな。都合よすぎとも言う。そして次々に明かされる衝撃の事実!ロークは警察に入って12年。その前は海兵隊。ヴィヴィアンと結婚し、生まれたのがミニー。スマホには家族の歴史とも言える写真・・幸せだった頃の・・が残されている。ところが・・ダイアナの知り合いリヴァーがデータベースに侵入して調べたら、何とヴィヴィアンは機関のエージェントだった!うっそ~ショック~妻は正体を偽っていたの?その後でまた引っくり返る。ダイアナがヴィヴィアンだった!まあよく「目が曇る」という言い方するけど、そんなふうな状態ですな。操られ、目が曇らされ、実際は違うのにこれが現実だと思い込む。目が腫れると・・じゃない、晴れると真実に気づく。ロークもヴィヴィアンもヒプノティック。二人の間に生まれたミニーはとんでもない能力の持ち主。あのデルレーンよりも。訓練し、能力を磨けば強力な人間兵器に。こういう能力を世の中に役立てたいと思っていたのに・・。事態を危惧したロークはミニーを隠し、自分の記憶も消してしまった(どうやって?)。結局娘の誘拐も、セラピーを受けていることも、刑事であることも、ニックスのことも、銀行の件も、メキシコへ逃げたこともぜ~んぶ構築世界でのこと。デルレーン達はロークの記憶を取り戻すため、もう12回も芝居している。
ドミノ3
え~と四年の間に12回?それとも六週間の間に12回?機関につかまるまでの残りの三年ウンヶ月は何してたんだ?ああやってみんなして見守っていたということは、ダイアナとの○○も見られていたってこと?で、13回目。ヴィヴィアンはすっかり向こう側の人間に見えたけど、それもロークによってそう仕向けられていたようで。つまり彼は将来を見越していろいろ手を打っていたようなのだ。ヴィヴィアンは本当は娘を愛しているから、きっかけさえあれば自分を取り戻す。ロークがミニーを預けていたのは里親夫婦。おいおい、ロークを調べれば里親に育てられたことくらいわかるだろうに。そこにミニーがいないか調べるはずだが。四年ぶりに会うミニーはすっかり成長している。四年前はまだ幼すぎてその時期ではなかった。こうやって機関の連中を勢揃いさせ、一気につぶそうという計画。ところでロークが完全に記憶を取り戻したきっかけって何だっけ?ミニー役の子はかわいい。四年前も今も。髪も目も黒く、どう見てもラテン系。だからスマホでの家族三人の写真には違和感あった。うつっているヴィヴィアンは金髪だし。ダイアナのヴィヴィアンの娘なら違和感なし。ダイアナ役はアリシー・ブラガ。「アイ・アム・レジェンド」や「プレデターズ」に出ていた人。今作ではどことなくマーク・ダカスコスに似ていて。デルレーン役はウィリアム・フィクトナー。はまり役。いつもせっかく出てきたのに軽い役だったりしてもったいなかったりするのだけど、今作では重要な役。謎めいていて何を考えているのかわからなくて体温低そうで。エンドクレジットの途中でまたまた引っくり返る。死んだはずのデルレーンだが実は・・。あらまあ・・「2」も作る気なんだわ。やめときゃいいのに。きっと子供がメインになるんだわ。「スパイキッズ」みたいに。そりゃ今作ではミニーの能力は十分発揮されてないし、ロークと言えばクライマックスではほとんど何もしてなかったように見えるし。まだ説明されてないこといっぱいあるし。機関のこととか。というわけでまあまあおもしろかったです。一番いいのは90分台という短さ。でも結局二回見て不明なところ確認するはめになったけどさ。