散歩する侵略者

散歩する侵略者

冒頭、女子高生あきらが出てきて、ハデな交通事故のシーンも。医者に見てもらっている真治(松田龍平氏)。何らかのショック、一時的なものと言われたけど、妻の鳴海(長澤まさみさん)は心配すると言うより怒っている。どうやら真治は浮気していたらしい。週刊ワールドの桜井(長谷川博己氏)はバラバラ殺人事件の取材中天野という少年と出会う。あきら、真治、天野の三人は宇宙人に体を乗っ取られている。後でわかるが、本人は眠った状態らしい。宇宙人の目的は地球侵略、人類滅亡。その前に人類の情報集めようと、家族や仕事と言った概念を相手から引き出す。すると相手はその概念が抜け落ちてしまい、ある者はうつろになり、ある者は生き生きし始める。いちいちこんなことしていたのでは時間かかるじゃん・・と思うが、なぜか病院そうした患者(←?)でいっぱいで、騒動になっていたりする。天野は桜井を、真治は鳴海をガイドにする。ガイドには手を出さない。それにしても桜井は何で聞かないのかな。どこから来たのか、本当はどんな形をしているのか。いやこれはそういうことをほじくる映画じゃないので・・って言われそうだが。宇宙人にもいろいろな性格があるらしく、真治は大人しいし天野はちょっと生意気、あきらは何人も殺すなど過激。殺しを見た時点でこりゃいかんと普通は思うはずだが、桜井はそうならない。独占取材に釣られて協力することにしたのに、写真一枚、メモ一つ取っていないといういいかげんさ。鳴海の方は真治の分まで働かなければならず、キリキリしている。仕事をエサにセクハラまがいのことされてもじっとがまん。三人が出会って、通信機が完成すれば、いよいよ侵略の始まりだ。何かが起きていることは政府も気づいているし、自衛隊も動く。でももちろんその描写は一本筋が通っているわけでも説得力があるわけでもない。こういう描写しかできないのか・・と、歯がゆい。最後は愛です。鳴海の真治への愛が、侵略すら阻止する。一番最初にこの概念を取り込んでいればねえ・・。言葉ではなく概念というのは確かにユニーク。言葉って一定しないし、あいまいだし、省略されるし。でも、概念だってその人によって全然違う気もするが・・。出演は他に笹野高史氏、東出昌大氏、小泉今日子さんなどにぎやか。

予兆 散歩する侵略者 劇場版

「散歩する侵略者」のスピンオフ作品。あっちでああいうことが起きている頃、こっちではこういうことが起きていた・・みたいな。悦子(夏帆)は仕事仲間のみゆきから、家に幽霊がいるから泊めてくれと言われる。実の父におびえるなど様子がおかしいので、夫の辰雄(染谷将太氏)が働く病院へ連れていく。そこで出会った新任の外科医真壁(東出昌大氏)に違和感を覚えるが、辰雄の様子もおかしい。そのうち真壁が概念を集めている宇宙人で、辰雄はガイドをやらされていることがわかってくる。妙なことがあちこちで起こっているが、大半の人は何も気づいておらず、何と言うか描写も散発的。悦子には真壁・・宇宙人の能力が通じず、そういう特殊な人間もいるのだと驚かれる。もうすぐ侵略が始まるが、悦子は貴重なサンプルとして生かしておかれるだろう。2時間以上あってわりと静かに展開するので、スピード感やハラハラ感はなし。じわじわと怖さが心にみ入っていくのを狙っているのだろう。みゆきのケースは普通なら父親の虐待を疑うところだ。また、大病院の医師があんなに暇そうなわけないじゃん・・とも思う。悦子達の住むアパートもずいぶんしゃれた感じだ。みゆきを診察した心療内科の小森はどう見たってガイドっぽい。真壁が暴走しているらしいとどこかへ電話していから。その後現われた西崎(大杉漣氏)はたぶん見ている人全員宇宙人のボス・・と思ったことだろう。ところが彼は厚生労働省の役人か何かで、つかまえた真壁に、侵略ではなく人類との共存を頼むのである。彼らの能力の通じない悦子を交渉人に、それでもだめならと拳銃を渡す。んなアホな!腕の痛みががまんできない辰雄は病院から痛み止め・・たぶんモルヒネ・・を持ち出す。んなアホな!人々が次々に倒れるシーンは見どころだが、私は「サロゲート」でのシーンが印象に残っているもんで。悦子がなぜ特別なのかは不明。終始ジト~ッとした感じなので、自分から真壁へ積極的に近づいていく葉子の方が印象に残る。真壁は概念を集めているうちに、もっともっととエスカレートする。東出氏は長身で、染谷氏は小柄。そのまま二人の力関係を表わしているようだった。お定まりの愛はすべてに勝つで終わるのかと思ったら侵略開始。緊急避難が呼びかけられていたけど、どこへ逃げろっての?