めんたいぴりり

めんたいぴりり

明太子はおいしいけど食べるのは一年に一度あるかないかだな。食べるったってコンビニのおにぎりに入ってるかけらほどの量だけど。何しろ高いからね。海野家では毎食白いご飯に赤い明太子・・は~贅沢だな。有名な「ふくや」の創業者川原俊夫氏がモデルで、TVシリーズが先に作られたとか。俊之(博多華丸氏)は大陸で知った明太子の味が忘れられず、戦後博多で食料品店ふくのやを営むかたわら、明太子作りの研究にいそしむ。最初のうちは売れないが、そのうちぼつぼつ売れるように。そうなると他にも売る店が出てきて、従業員達は心配したりするが、俊之は気にしない。明太子と山笠のことで頭がいっぱい、困っている人をほうっておけない底抜けのお人好し。妻の千代子(富田靖子さん)、子供二人、お手伝いのミッチャンに従業員が三人、決して豊かではないけれど明るく元気に暮らす。とは言え戦時中の悲惨な記憶は時々頭をよぎるし、長男健一の同級生英子のどん底生活も現実だ。時には俊之自身落ち込んで、フラフラと海へ入り、自殺しかかったこともある。華丸氏はさっぱりとした坊主頭で、大きな目を剥く。もうそれだけで何とも言えない魅力、個性が出る。酔っぱらって屋台の客・・実は健一の担任の先生・・をくどこうとしてするりと逃げられてしまうところなど、演技もうまい。相方の博多大吉氏はスケソウダラの精で、卵の関係で(←?)メスということになり、お化粧をして出てくる。これがまたユニークでおもしろい。ただしエンドクレジット後のゴリけん氏とのやり取りはおもしろくなかったけど。私がいいなと思ったのは、千代子達の西鉄ライオンズ、特に稲尾投手への熱狂ぶりである。ラスト近くでその稲尾(高田延彦氏)が店に現われるのも楽しい。英子のエピソードでは見ている者の涙をさんざんしぼろうとするけど、私はねえ・・。英子が唇をふるわせる度に違和感を感じていましたな。かえって健一役の子の方がよかった。演技や表情が自然で。他の出演は柄本時生氏。田中健氏はどこに出ていたのかな。あと、この映画で話される博多弁がとてもよかった。味のある言葉だと思う。「2」はないの?