主任警部モース11 カー・パーク5Bの謎
しばらくぶりで見るモース。あまりにもこんがらかっていて、何が何だかわかりましぇん。と言うか、イギリスの家庭ってこんなに乱れているんですか?まともな家庭生活、夫婦生活送っているのはルイスだけなんじゃないかって思えてくる。ルイスの奥さんが出てくるわけじゃないけど。まずギフォードという男の絞殺死体が駐車場で見つかる。彼は建築家で、離婚して今は独身。独占欲が強く、女性に拒絶されるとカセットテープや写真で脅しにかかる卑劣なやつ。あるいは事務所の受付ジャニスには暴言を吐いてさんざんいじめる。旅先で彼に引っかかったのがローズマリー(メル・マーティン)。しかし彼女にはアリバイが。彼女の夫ジョージ(ジョージ・アーヴィング)はカセットテープや写真の存在を知っていて、ローズマリーをつけ回す。そのうちギフォードの共同経営者ピアースが自殺。彼は詐欺まがいの方法で得た金で絵画を収集。不正をギフォードに知られ、殺したのか。しかしギフォード自身脛に傷持つ身だったらしいが。ピアースの妻が何度も完璧な家庭だったのに・・とくり返すが、ピアースはジャニスに片想いしていて、絵画を売った金を死の前に彼女に届ける。ジョージは酒のせいで肝臓を悪くし、よくて九ヶ月の命。病気のせいでローズマリーは欲求不満になり、ギフォードと浮気する。ギフォードとうまくいかなくなると、会社の上司マンローと浮気。それを隠すため、職場ではわざとマンローに突っかかり、険悪な仲に見せる。こんなねじくれた連中ばかりの中で、輝くばかりに正常なのがルイス。彼を見ているとホッとする。この世もまだ捨てたものじゃない。泣きじゃくるジャニスから話を聞く時のやさしさ、あったかさ。ジョージに頭を殴られるという気の毒なシーンも。モースには何度も石頭と言われていたけど。ビールが食事という不健康なモースに対し、彼はちゃんとパンに具をはさんで食べる。でも食べる時はもっと早くしなきゃダメじゃないの。ボケッとしてるから食べかけをゴミ箱へ捨てるはめになる。ここはバツ。食べ物を粗末にしてはいけません!それにしてもジョージはローズマリーのことをどう思っているのかな。ギフォード殺しの時妻を尾行していて、マンローも一緒なのに気づいたのか。モースは検視のラッセル(アマンダ・ヒルウッド)に気がある。例によってモース好みのややいかつい感じの、美人と言うよりは知的なタイプ。
主任警部モース12 邪悪の蛇
別々の事件に思えたものが、実は一つの事件だったというのはよくある。今回は逆で、一つの事件に思えたけど実は別々の事件だったと。夜で雨が降っていて、同年輩の男二人が歩いている。途中学寮長マシューが忘れ物を取りに帰る。その間にディア博士は襲われたらしく、倒れている。そばにいた若者は戻ってきたマシューを突き飛ばして逃げる。病院に収容されたディアはまもなく死亡。心臓発作が原因らしいが、逃げた若者ミックの手には血がついていたようだし、よくわからん。ディアはたぶんマシューと間違われたのだろう。彼はその晩討論会に出ることになっていた。人前に出ることが嫌いで、興奮するのが体によくない(心臓の病気で余命わずか)にもかかわらず出席を決意したのだから、よほど重要な発表だったはず。原稿は書かない主義だったから、居室を捜しても何もない。実は予行演習でカセットに吹き込んでいたが、それはジェイクが隠してしまう。ジェイクはモースとは古い知り合いで、今はアメリカにいる。オックスフォードには短期間しかいない。ジェイクのところでモースはミックを見かけるが、その時は気づかない。彼は守衛に目撃されていたが、似顔絵を作った気配もなし。ジェイクとミックの関係はあまりはっきりしない。ミックがつかまると、ジェイクはテープを持ったままアメリカへ逃げ帰ってしまう。ミックは口を閉ざしているが、病気の母親が死ぬとやっと話し出す。マシューはやり手で、カレッジの財政を豊かにしたが、投資先の会社が開発した肥料には問題があった。肥料としては完璧なのだが、発ガン性があるのだ。ミックはそれに気づき、ディアに頼んで公にしてもらおうとしたが、直前になって止めるはめに。以前金に困ってポルノ雑誌に出たのを、母親に知らせると脅されたのだ。ただ、ディアに頼もうとした時には彼はすでに倒れていて。マシューを突き飛ばしたのはパニクったため。家も焼かれ、命の危険も感じているが、モースは知らん顔。テープを送り返すというジェイクの申し出も断る。今ストレンジは不在で、レニー警視正がボスだが、権力に弱く、ことなかれ主義。モースの要求はなかなか通らないのだが、それにしても彼には熱意が感じられない。
邪悪の蛇2
見ている我々が期待するのは、マシューの姪で、暴露記事が売り物のシルヴィアである。彼女を登場させたのはこのために違いない。ところが・・。マシューの妻ブランチはピアノ教師。娘のイモジェンはロンと結婚。ロンは厩舎で働いている。シルヴィアは両親をなくし、マシューのところで育てられたが、そのうち家を出てしまった。逮捕歴もある。マシューのところにはいやがらせの小包が届き、ブランチを悩ませている。ディアが襲われたのはマシューと間違われてだから、この小包もミックの仕業と思われる。しかし彼は小包のことなど何も知らない。そのうちマシューが子供時代のシルヴィアに、最近では庭師フィルの娘アマンダに手を出していたことがわかる。小包はシルヴィアの仕業で、ディアを(間違って)襲ったのはフィルだった。そして今度はマシューをシャベルで殺す。ブランチは絶望と後悔で自殺を図る。彼女は夫のおぞましい行為を知っていながら見て見ぬフリをし、体面を取り繕っていた。イモジェンも知っていて、精神を病んだが、今の彼女には保護してくれるロンがいる。ブランチはモースに説得されて思いとどまる。彼女には夫の罪を公にする義務がある。このように、最初は大企業の秘密隠蔽がメインと思わせて、いつの間にかマシューの少女趣味に落ち着く。シルヴィアがマシューと大企業の癒着を暴いてくれるだろうという期待ははずれ、そっちの方はうやむやになる。モースからしてミックの今後に無関心。放火もうやむやにするんだろうな。シルヴィアの復讐はマシューの死で遂げられたわけだが、フィルの犯行を止められなかったのも事実。何だか見ていて空しくなる。ルイスだけは精力的に動き回っていて、それだけが救い。ミックはアメリカへ行って新規まき直ししてください。ジェイクが面倒見てくれるでしょ。ジェイク役はトム・ウィルキンソン、シルヴィア役はシェリル・キャンベル。マシュー役ジョフリー・パーマーは「パディントン」に出ていたらしい。ブランチ役バーバラ・リー・ハントは「フレンジー」の被害者役。だいぶ太ったが、顔立ちでわかる。フィル役イアン・ブリンブルはヒクソン版「ミス・マープル」に何度か出ている。スラック警部の部下のレイク。スラックとは対照的にいつもニヤニヤしている人。
主任警部モース13 ラドフォード家の遺産
主任警部モース14 死を呼ぶドライヴ
今回もモースは思い込みで暴走。正式な手続きも踏まず、あれじゃあ証拠が出たって無効にされかねない。まずジャッキーという女性が殺される。手口は少し前のモーリーンの時と同じなので、同一犯と思われる。独身で一人暮らしという共通点はあるが、他の接点はなさそう。そのうち二人がボイントンの店から車を買ったことがわかる。隣りに教習所があり、受講者は教習に使ったのと同じ車を買うことが多いとかで、ボイントンの店とは持ちつ持たれつの関係。教官のウィティカーは評判がよく、ルイスの妻ヴァルも習ったし、暴走族の矯正にも協力してもらっている。モースはボイントンを一目見て嫌いになる。口がうまくて女好き、ジャッキーの家にあったのと同じ葉巻を吸っている。ジャッキーの件を通報したのは隣人のアンジーだが、ボイントンはしつこく秘密を守るよう念を押す。しつこすぎてあれじゃあ逆効果・・と思っていたら、案の定アンジーが出頭してくる。実は彼女はマリファナを栽培していて、ボイントンはジャッキーとのことを黙っていてくれないとばらすぞ・・と、脅していたのだった。ジャッキーもモーリーンも知らないと嘘をついていたこと、アンジーへの脅しもばれて、モースはボイントンを逮捕。ジャッキーの恋人ティムによると、彼女は妊娠していたらしい。ティムは自分の子だと思っていて悲しむが、もしかしたらボイントンの子供かも。DNA検査の結果も出ていないのにモースは暴走。ボイントンの車を解体したりするが、何も出ない。ストレンジが怒ってモースを叱責するが、彼はボイントンが犯人だと譲らない。モースは教習所へ通うと言い出し、ウィティカーの講習を受ける。その間自分の車はボイントンの店の前にこれ見よがしにとめていやがらせ。公訴局からの苦情でボイントンが釈放されると、憤慨したティムは店に押しかけ、車にガソリンをまき、ボイントンに暴行し、火をつけようとする。幸い大事には至らなかったが、ボイントンは入院。ティムは逮捕されたが、あの後どうなったのか。車も何台もだめになったし、誰が弁償するのか。
死を呼ぶドライヴ2
今回ヤードから訓練所の教官メイトランドが来る。最初はモースに反感持つが、そのうち協力するようになる。ボイントンの入院をいいことに、モースは令状も取らず店を捜索。しかし出てきたのは脱税の疑いくらいだ。もっと視点を変えてみようということになって、別の被害者はいないかと調べて浮かび上がったのがフィリッパ。五年前重傷を負いながらも生き延びたが、今でも怖くて閉じこもってる。モースが訪ねても居留守を使う。ルイスはモースのやり方に批判的。フィリッパの事件はちゃんと調べれば犯人ジェリーが逮捕され、服役中とわかったはず。しかしモースは信じない。たぶん事件を担当したバッテンが取引してウソの自白をさせたのだろう。ストレンジもバッテンならやりかねないと思ったようだが、このバッテン・・他の回でも出てる?そのうちポーラという女性が殺される。ボイントン役パトリック・マラハイドは冷たい感じの二枚目だが、こういういやなやつの役が多い。「マン・オブ・ノー・インポータンス」でもいやみったらしい上司をやってた。ただ、今回は自分が播いた種とは言え、ボイントンが気の毒に思えてくる。モースのやり方はあまりにもひどすぎる。冒頭渋滞でいらつき、閉店したのに車の修理をさせる。令状もなしに引っかき回し、証拠もないのに逮捕する。ボイントンを犯人と決めつけ、いやがらせや脅し。彼が入院しても何とも思わない。いきなりフィリッパを訪ね、ルイスに無神経だと呆れられる。心に傷を負った女性が、彼みたいな凶悪な人相した男に会うわけがない。メイトランドが彼を手伝うのも変。教官ならちゃんとした手続き重視するはず。モースがウィティカーが犯人と気づいたのも偶然だ。ティム役はクリストファー・フルフォード。「D-TOX」に出ていた人だ。まだ若い。刑事のデイデン役の人は「魔笛」にも出ている。デヴィッド・ハウという人で、顔が長いが、モンキーズのマイクとピーターをミックスしたような感じ。こういう若いのが出ていると、目の保養になるな。怒りっぽいギョロ目のじっちゃん見てたっておもしろくも何ともない。
主任警部モース15 魔笛~メソニック・ミステリー
今回はモースがはめられてピンチに陥るが、彼のことは気の毒とも思わない。みんな自分が播いた種だ。気になるのはルイス。彼はいつも清い立場にいる。不思議なほど。合唱団で「魔笛」をやる。モースは団員仲間のベリルを乗せてリハーサルへ向かうが、運転が乱暴なので、彼女は怖い思いをする。帰りは女友達に乗せてもらおう。彼女は二度離婚し、今は男はもうこりごりという心境。モースの方は何とかベリルを落とそうとやっきになってる。彼には女性の微妙な心理なんて理解できない。しばらく誰とも特別な間柄になりたくないなんてそんなこと思うはずがない。魅力的な男性(自分)に会えばたちまち考えは変わるはず。自分の車に乗りたくないなんてそんなことあるはずがない。乱暴な運転なんてしてない。ちょっと急いだだけ。それだって彼女が遅刻魔で、リハーサルに遅れそうになったから。他の人の車で帰るのもありえない。自分と同じ方向なんだから送っていく。女性は彼の強引さ、真剣さが怖い。もうちょっとワンクッション置いた関係でいたい。今のベリルは彼の気持ちを受け止めきれない。彼を傷つけないよう精いっぱいソフトな言い方するけど、モースには通じない。リハーサルの直前電話で呼び出されたベリルは殺されてしまう。モースはそばにあったナイフを手に持っているところを、みんなに見られてしまう。凶器にしては血がついてなくて不自然だ。ベリルを呼び出した電話のこともスルー。自分は警部なんだから殺人なんかするはずない・・それで通ると思ってる。自分が容疑者なのに、自分で捜査する気でいる。もちろんそれは無理。担当はボトムリーで、モースは彼を嫌っている。ボトムリーがフリーメイソンってことなのかな。ロッジがどうのと意味がよくわからない。題名の「メソニック」もメイソンから来ているのだろうか。辞書で調べると「秘密共済組合の」という意味になってる。モースは拘束はされないものの、停職扱い。ボトムリーの部下が休暇か何かで、ルイスがつくことに。ボトムリーはルイスからモースの情報聞きたいし、モースはボトムリーの捜査の進み具合を知りたい。ルイスは微妙な立場だが、もちろんモース寄り。とは言え、もしこれが自分だったらモースに大目玉食らっていただろうと思わずにはいられない。人に厳しく、自分に甘いのがモースだ!
魔笛~メソニック・ミステリー2
モースがベリルを困らせていたとか、そういう証言は不利だけど、モース自身にはそういう意識はない。まだ彼女とは深い仲にはなっておらず、だから彼女の家からブリーフだの飲みかけのワインのビンだの写真が発見されたのにはびっくりする。どうやら自分ははめられたようだ。誰かが自分のことを調べ上げてる。昔の仲間で、今は退職して牧師になってるマクナットの死体がモースの家で見つかり、とうとう彼は拘束される。その前に、彼が以前逮捕したやつの誰かが復讐しているのだとなって、浮かび上がったのが天才詐欺師のド・フリース。今はスウェーデンで服役中のはずだが・・。ところがルイスが調べると死亡したことになっていた。でもコンピューター・ファイルの上ではとか、データの上ではというのはあまり信用できない。後でやっぱりハッキング、データ改ざんとなる。また、ルイスがモースを弁護するのに「機械音痴」を強調するのは笑える。手の込んだ細工をすればするほどモースにはこんな器用なことはできないとなるわけだが、ボトムリーは共犯者がいるのだと思っている。そうなると疑われるのはルイスで。でもあまり深く掘り下げられずスルー。ブリーフが本当にモースのものだったのかとかそういうのもわからない。と言うか、脱いだままにしておくか?そんなに何でもド・フリースが先回りして細工できるかという気もするが、天才的だからということで片づけられる。途中でマリオンという女性が出てくる。彼女はベリルと知り合いで、モースにも好意的。ド・フリースの被害者でもある。そうなるとモースは早速誘いの言葉をかける。何てマメなやつなんだ、何て勉強しないやつなんだ。ベリルもマクナットもモースと親しいというだけで殺された。そんな時でもやっぱり女性と親しくなりたいのか。実はこのマリオン・・ド・フリースの共犯者。でもそれが明らかになってもモースは信じない。被害者である彼女が協力するはずがない、好感の持てる女性が悪人のはずがない。並はずれた推理力の持ち主モースはまた勘違いも多い。マリオンと逃げようとしたド・フリースを邪魔したのはボトムリー。でも何で居場所がわかったのかな。まあわりとおもしろかったけど、説明不足の部分が多いのは残念。ボトムリー役の人は目がギョロッとしてるけど、目が細くて小さければプーチン大統領風味。あまり憎たらしく思えないのはモースが欠点だらけのせいもある。
主任警部モース16 メアリー・ラプスレイに起こったこと
まずヒリアンという男性の功績をたたえるパーティがあって、モースも出席する。ヒリアンは以前モースの上司で、その後ロンドン警視庁へ。モースの同僚ドーソンも彼についてロンドンへ。ドーソン役ケネス・コリーは「ポアロ」の「ダベンハイム失そう事件」に出ていた人だ。目が鋭く、一度見たら忘れられない顔立ち。モースは彼とは考え方が違うので、仲が悪いとまではいかないが、ややよそよそしい関係。パーティが終わり、酔って寝てしまったヒリアンを、ドーソンと妻キャサリンが家まで送り届ける。夫妻が去った後、男が侵入し、目を覚ましたヒリアンともみ合いになる。ヒリアンは頭を打ってそのまま死亡。賊は彼のファイルをあさっていた。翌日、モースもドーソンもヒリアンの死を知って驚く。元警官が殺されたとあって、署の空気もいつもと違う。ドーソンも協力することに。容疑者として浮かび上がったのが、書店をやってるレッドパス。車が目撃されているし、ヒリアンの新聞記事の切り抜き持っていたし、家のまわりに残された靴跡は彼のものだった。彼は犯行を否定するが、言ってることがウソっぽい。また、モースには彼に見覚えがあるような気がするのだ。レッドパスの娘バーバラが乗り込んできて、父は無実と騒ぎ立て、モースに食ってかかったりする。ヒリアンは本を書こうとしていて、それを手伝っていたのが作家のメイジャーズ。彼によるとヒリアンは事件簿を作っていて、中には解決できなかったものも。それ・・失敗例を本に載せるのに反対したメイジャーズと口論したらしいが、その1章がなくなっている。その事件は8歳の少女メアリーがナイフで殺されたもので、発見したのはモース。容疑者とされたのがレッドパス・・本名ブライアーズ。ヒリアンとドーソンの取り調べは暴力的なものだったが、結局は迷宮入り。バーバラとメアリーは親友で、当時バーバラは流感にかかり、ブライアーズが看病していた。ヒリアンが本の中でこの事件を取り上げ、蒸し返されることを恐れた犯人が家に侵入し、資料をあさっていてヒリアンに出くわし・・。モースもルイスもレッドパスを疑っているが、ドーソンの態度にはおかしなところが。
メアリー・ラプスレイに起こったこと2
レッドパスを見て驚くが、彼を疑っているようには見えないのが妙だ。レッドパス役はオリヴァー・フォード・デイヴィス。「ジョニー・イングリッシュ」や「忘られぬ死」、最近では「ミス・マープル」の「カリブ海の秘密」のパルグレイブ少佐やってた人。若い頃はこういう顔してたのね。下唇がなくて、あごのあたりがぽよぽよしている。その後レッドパスは自殺を図るが、発見が早かったせいで助かる。バーバラの怒りはつのり、ルイスは彼女に腹を立てる。自殺を図ったのは犯行を認めたも同然・・と思ってる。モースもレッドパスを疑っているが、真実を突き止めたい。バーバラとケンカしてたって事態は改善しない。いちおうメイジャーズもヒリアンの死によって利益・・著作権料とか・・を受けるので動機はあるが、確実なアリバイがあるので、容疑者からははずれる。モースはバーバラに休戦を申し出る。話しているうちにバーバラも心がほぐれ、父娘がつらい日々を送ったことがわかる。図書館の仕事を失い、ロンドンへ移った後も仕事はすぐクビになってしまう。それと無言電話。五年ほどたってやっといやがらせはやんだが、それでもいつ再開するかと心配だった。で、やっと大丈夫らしいとなって、名前を変え、書店主になった。ところがヒリアンが本を書くという記事のせいで、不安になる。ヒリアンの家のまわりをうろついたのは確かだが、結局は会ってない。再び犯人扱いされ、拘束され、絶望したのだ。一方ルイスはテレンスという青年に話を聞きに行く。彼は今ヒリアンの家で塀を作っている。態度がややおかしいが、失読症で人付き合いが苦手らしい。小鳥をたくさん飼い、絵を描く。ルイスはその絵の才能に感心する。テレンス役はクリストファー・エクルストンなので、この後どうなるかは予想がつく。珍しく髪がやや長い。まだ若く、肌がピンクで、やや女性っぽく見える。人付き合いが苦手で小鳥好き・・ってのは「バーディ」みたいだな。さて、メアリーの事件から五年たって、犯人の日記らしきものが現われた。手書きではなくタイプなのが日記にしてはおかしい。しかも三種類のタイプライターが使われているらしい。当時ヒリアンもモースもニセモノだと思って重視しなかった。五年もたってから警察に送ってくるなんておかしい。
メアリー・ラプスレイに起こったこと3
しかしドーソンは、これこそ手がかりと強調する。彼は日記は本物と思っているようだ。モースが気になっていることの一つは、当時のテレンスの父親ジョンの証言と、レッドパスの証言が食い違っていること。メアリー殺しの凶器に使われたナイフをなくした当日、レッドパスが父子に会ったと言ってるのに対し、ジョンは否定。ジョンが仕事をやめ、その後蒸発してしまったことも気になる。もう一つは、メアリーの父親が誰なのかということ。メアリーは母親が病死した後、祖母に育てられていた。今は老人ホームにいる祖母を訪ね、話を聞くが、彼女も父親のことは知らない。発病するまでは会っていたということなので、行きずりの関係ではなく、たぶん相手は既婚者だったのだろう。古い写真からモースは二つの手がかりを見つける。男物の上着のネームと、何かのバッジだ。ジョンの方は雇用局の記録をたどったが、五年後に途切れていた。しかし日記を書いたのは彼らしいということはわかった。彼はテレンスを殴ったり、神経症と称して病院に入れたりしていた。母親はいつもおどおどしていて、何かにおびえ、隠し事があるようだ。予想を裏切って欲しいなあと思うが、前にも書いたようにエクルストンなので、予想通りになる。テレンスは人付き合いが苦手で学校でバカにされていたけど、その彼でも女の子には興味はあった。でもメアリーに騒がれてパニックになり、ナイフで刺してしまった。彼は失読症なので、何でも書き留めておくよう言われていて、このことも書いておいた。それをジョンが読んでしまう。両親は彼を守るため、病院へ入れてしまう。テレンスが書いた文章をタイプし、その中で死をほのめかす。犯人死亡ということで、このまま迷宮入りになって欲しい。テレンスが何かしゃべっても疑われないようにしたい。一方ドーソンは分析に分析を重ね、ついにジョンに行き着く。見つけ出したジョンはテレンスのことは話さず、黙って殺される。ところで、ドーソンがこんなにも犯人逮捕に執念を燃やし、警官でありながら殺人を犯したのには理由があった。
メアリー・ラプスレイに起こったこと4
メアリーは彼の娘だったのだ。しかもメアリーを発見したのはモース。そのせいで彼は父親として娘との最後の時を過ごせなかった。すぐ搬送されて解剖ということになったのが無念でならない。その無念さが犯人への怒りに。だからレッドパス・・ブライアーズへの取り調べは暴力的なものになったのだ。釈放された後もずっといやがらせし続ける。ところが五年後、例の日記が舞い込み、自分が勘違いしていたことに気づく。いや、ジョンが犯人というのも勘違いなんだけどさ。まさか子供が犯人とはいくら彼でも思わない。ジョンも黙ってるし。で、ジョンは行方知れずとなる。今回レッドパスへのドーソンの態度がおかしかったのは、彼に迷惑をかけたという思いがあったせいか。それにしても・・テレンスがメアリーを殺した時はまだ幼かったはずだ。彼がいくつなのかは不明だが、この時のエクルストンは26か27。テレンスも同じとすると、事件が起きた18年前には8歳か9歳。つまりメアリーと変わらないわけだ。つかまったとしても重罪にはならない。それでも両親は我が子を守ろうと警察には黙っていた。親として当然の気持ち・・でもそのせいでレッドパスやバーバラは人生を狂わされてしまった。ジョンの妻はずっとびくびくしながら暮らしている。メアリーの祖母を定期的に訪ねているのは、少しでも罪滅ぼしをしたいからか。しかし18年たってまた事件が起きてしまう。ヒリアンとメイジャーズが口論しているのをテレンスが聞き、メアリーの事件が蒸し返されるのではと不安になる。一度はジョンの仕業となったメアリー殺しは、レッドパスの証言で引っくり返る。あの日、ジョンは流感で寝込んでいた。殺人などできるはずがない。ドーソンは怒りに目がくらみ、見当違いの殺人をしたのだ。ドーソンの犯行を知ったキャサリンはショックを受ける。でも一番ショックだったのは、彼がメアリーと母親のことを「最愛の二人を失った」と言ったことだろうな。いくら本音だとしても、そんな言い方されたのでは妻の立場がない。それでなくても子供ができなくて夫を不幸にしているのは自分のせい・・と、申し訳なく思って暮らしてきたのに・・。私はこのキャサリンが一番気の毒に思えた。まあ今度こそレッドパス父娘には幸せになって欲しいです。
主任警部モース17 ファット・チャンス
主任警部モース18 誰がハリー・フィールドを殺したのか?
主任警部モース19 ギリシャ人の贈り物
主任警部モース20 約束の地