博士と狂人

博士と狂人

これは毎日新聞の映画批評を読んでいたので興味があった。メル・ギブソンとショーン・ペンの共演。二人ともヒゲボーボー。1872年のロンドン。アメリカ人の元軍医マクナー(ペン)はメレットという男性を人違いで殺してしまう。マクナーはライリーという男が自分を殺しにくるという妄想に取りつかれていた。夫を目の前で殺され、六人の子供を抱えて未亡人になったイライザ(ナタリー・ドーマー)。これからどうやって子供達を食べさせていけばいいのか。おまけにマクナーは絞首刑を免れ、精神病院へ。一方オックスフォード大学出版部は大辞典の編纂に取り組んでいたが、なかなか進まない。そこへ名乗りをあげたのが独学で言語学者となったマレー(ギブソン)。しかしやはり作業は進まない。そこへ救世主のごとく現われたのがマクナー。本の中から引用文を捜している間は、何とか妄想から離れていられる。マクナーを憎んでいたイライザの心も少しずつほぐれ、愛情さえ芽生える。編纂の苦労と、殺人を犯してしまったという苦悩、それらが交互に描かれるが、やはり後者に比重かかっちゃうな。そのうちマクナーは、愛さえも殺された夫に対して申し訳ないと悩み始め、自分を傷つけ、ほとんど拷問に近い院長の治療によって廃人のようになってしまう。マレーの方は解任のピンチに。そのうち見ていてもよくわからなくなってくる。仕事にのめり込むマレーに、そのうちあいそつかすのではと思えた妻エイダ(ジェニファー・イーリー)が夫のために一肌脱いだりする。完成するまで70年もかかったほどの難事業なので、映画もスッキリ解決して終わりとはならない。何かいろいろ積み残したという感じで終わる。結局イライザはどうなった?アメリカへ帰ってからのマクナーの協力はなし?驚いたことに出版局長ジェル役でローレンス・フォックスが出ていた。憎まれ役だけど見ることができてうれしい。おまけにマレーと一緒に働くヘンリー役がヨアン・グリフィズ!ひょ~久しぶり!もうヒゲのオッサンコンビなんかどうでもよくなる。他にスティーヴ・クーガン、エディ・マーサン。全体としてはマクナーの苦悩に比重かかり過ぎて、辞典の方がお留守になってしまった印象。こっちの方がメインだと思うが。