狼の烙印

狼の烙印

おや?ルー・ダイアモンド・フィリップスが監督?てっきりアクション物だと思ったら違った。狼も烙印も何のこっちゃという感じ。要するに「自分捜し」。医師のジェシー(フィリップス)は働き詰めで疲れきっている。眠ると決まって悪夢を見る。上司からは二週間の休暇を言い渡される。誕生パーティのプレゼントの中にインディアンのお守りと生母ドーンからの「話があるので会いたい」という手紙が。彼は4歳の時今の両親に引き取られたのだった。故郷へ帰ってみると家は焼け、母は死んだとのこと。警察でこっそり写真を見ると、煙を吸い込んで死んだはずなのに銃のあとがある。警部達はもうかたづいたこととしたいらしい。調べ回るジェシーを脅し、果ては袋だたきにして放置する。ひん死の彼を救ったのは呪医の祖父やいとこ、居留地で店をやってるジョリーン達だった。この頃のフィリップスは髪が長く、美形である。自分の美しさに酔っているようなところがある。自分を念入りに美しくうつすことよりもっと他にやることがあるはずだが。モタモタしていて、もうちょっとスピード上げてくれ・・と思う。出生の秘密と母の死の理由・・これ(個人的なこと)しかないので映画が持たない。悪夢は中途はんぱだし、インディアンの呪術や伝統もありきたり。子供の頃の記憶にある、母親に暴力をふるう父親は顔を見せないが、どうせ警部だろうと予想がつく。そうなるとますます興味をつなぐものがない。途中アリソンという女性と知り合う。彼女は大いにその気だが、ジェシーは思いとどまる。後で彼女は警部の娘とわかるから、何もなくて正解だったのだ。ラストでは今度は美しい異母兄というスタンス。まだ自分の美しさに酔ってるぞオイ。金持ちのユダヤ人夫婦に育てられ、ロスでの合理的な生活に慣れ、インディアンの伝統には無関心だったジェシーも、今回の旅で考えが変わる。モタモタしていて出来の悪い映画だが、後味はいい。出演者では養母リア役のメリンダ・ディロンがうまかった。引き取って以来、いつ実母のところへ帰ってしまうか心配のし通し。少し大きくなると今度は実の親に捨てられたという意識から荒れて心配させる。すっかり大人になった今も、彼がいなくなったら生きてはいけない・・と思うほど愛している。ジェシーの方でもわかっていて、ジョリーンに引かれつつもちゃんと養父母の元へ戻ってくるので、ホッとした。