ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

これは新聞で見た時から気になっていた。ポアロばりの頭脳勝負の名探偵。原作はないの?先頃亡くなったクリストファー・プラマーが元気なとこ見せる。ミステリー作家ハーラン(プラマー)は、85歳の誕生日の翌朝、死んでいるのが発見された。ナイフで喉をかき切っているから、自殺としか思えない。彼の世話をしていたのが看護師のマルタ。どこかで見たような・・「エクスポーズ」や「ブレードランナー2049」のアナ・デ・アルマスだ。目がパッチリとかわいい。ハーランの長女リンダがジャミー・リー・カーティス。夫のリチャードは「コールド・バレット」で見たばかりのドン・ジョンソン。夫妻の息子ランサム(クリス・エヴァンス)はドラ息子。長男ニールは故人で、未亡人ジョニがトニ・コレット。娘のメグはマルタと仲がいい。次男ウォルトはハーランの著作の出版担当。ウォルト役マイケル・シャノンは「エジソンズ・ゲーム」で見たばかり。妻がドナで、息子がジェイコブ。他にハーランの母親で、いったいいくつになるのか不明のグレート・ナナと、家政婦のフランがいる。最初のうちはえ~とこれが誰で、あれが誰で状態。屋敷内のインテリア・・特に本棚に興味しんしん。テレビの「ハンニバル」みたい・・とかさ。ハーランの死から一週間たって、また一同が集められ、聴取が行なわれる。エリオット警部補と、ややミーハーっぽい巡査のワグナー。ワグナー役ノア・セガンはどこかで見たような。「悪魔と天使」や「BRICK ブリック」に出ていたらしい。「BRICK」と言えば、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演だけど、その彼がこの映画にカメオ出演しているのだそうな。え~出てたっけ?覚えがない。マルタの母だか妹だかが見ているDVDの映画に出ている。ただし声の出演のみ・・何だ、それじゃわかりまひぇんがな。さて、いつの間にかエリオット、ワグナー以外にも男が一人。これが有名な探偵ブノワ・ブラン。私は007には全く興味がないけど、ダニエル・クレイグは好きで、それでこの映画見たかったんだけど、登場した彼はあんまりカッコいいとは言えない。着込んでいるせいかちょっと太って見える。うっすらヒゲが生えている。石みたいなブルーの目が目立つ。普通透き通っていてきれい・・となるけど、ここではなぜか透き通っていなくて石みたいで。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密2

全体的に老けた感じで・・あ、でも「ドリームハウス」見たばかりで、あそこでのクレイグ期待しちゃうからいけないんだよな。八年くらいたってるんだから老けてあたりまえ。ところで・・ブノワ・ブランという名前・・フランス人ぽいな。ポアロはベルギー人だったけど、あれの向こうを張ってフランス人とか?あっちはオシャレで美食家だけど、ブノワはコート着込んでるだけだしヒゲは伸びてるし。あっちは自分の頭脳に絶対の自信持っていて、例えばじゅうたんに這いつくばってドロのかけら捜すなんて行為しなさそう(服汚れるし)。でも、ブランはやる。同じ頭脳派でもポアロとは違うんだって感じで、そこが見ていてムフフだった。つまり作り手の対抗意識と言うかそういうのがチラチラ。聴取ではみんなそれぞれウソをつく。例えばリチャードは浮気していることがハーランにバレていた。ウォルトは出版担当からはずす・・つまりクビになったし、ジョニはメグの学費として金を二重取りしていたのがバレ、援助の打ち切りを宣告された。ランサムもハーランと衝突し、遺産相続からはずされたらしい。彼はこの聴取は受けなかった。ハーランの死亡時刻よりもずっと前に屋敷を出ているので、容疑はかけられていないようで。エリオットは自殺で問題ないと思っている。再度聴取をしたのはブランの要請があったから。彼はけっこう有名なので、無視するわけにもいかなかったのか。だから何もめぼしい新事実が出てこず、ブランにも(殺人だったとして)犯人の目星がつかないことに失望する。ブランはリチャード達がウソをついていることはわかったけど、殺人の動機としては弱いと思っている。そもそも彼が調査に乗り出したのは、匿名の人物に依頼されたから。金と新聞記事が送られてきたのだ。いったい依頼人は誰なのか。次にマルタの聴取。ここで見ている者はびっくりする。何があったのか早々にバラしてしまうのだ。見ている者はハーランは自殺なのか他殺なのか、他殺だとして犯人は誰なのか最後の最後にブランによって明らかにされるのだと思っている。しかしハーランが自殺したのをはっきり見せるのである。これにはオヨヨ。もちろん最初からその気だったわけではない。ハーランは家族に関し、気にかかっていたことに区切りをつけたと思っている。後でわかるが彼は遺言書も書き換えていた。要するに身辺整理はすんでいた。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密3

いつものように寝る前にマルタに注射をしてもらうが、そこで彼女は薬を取り違えたことに気づく。慣れたこととは言え、この時の彼女がよそ見をしているのが気になったが、案の定・・。あわてて解毒剤を捜すが見つからない。ここでわかるのは、彼女は決して故意に間違えたのではないことと、誰か解毒剤を隠した者がいること。ハーランは冷静で、マルタがこれから取るべき行動を指示する。そして自ら命を絶つ。モルヒネを致死量打たれたにしては何の症状も出ていない・・と、見ている者はいぶかるが、とにかくこうしてハーランは自殺。この一連の出来事を、ブランがコインをほうって、受け止めるまでの一瞬の間にマルタは回想する。あたしゃてっきりブランがコイン使ってマルタに催眠術かけたのだと思ったけど、違いました。彼女が事実を隠すのはハーランの遺志だからだ。彼女の母親は不法入国者で、マルタが罪に問われると一家離散になりかねない。それに薬を間違えたのはわざとじゃないんだし。この時点でマルタは疑われていない。家族と違い、彼女はハーランの死で利益を受けない。ところが遺言では財産のほとんどが彼女のものに。恐慌をきたす家族達。「犬神家の一族」状態。そんな時マルタを連れ出したのがランサム。彼女は一人では問題を抱えきれず、ランサムにすべてを打ち明けてしまう。彼女にはウソをつくと嘔吐してしまうという癖があり、ランサムもそれを知っていて、事実を話すしかない状況へ持っていったのだ。エヴァンスはざっくりと暖かそうなセーターを着込んでいて、瞳の一部がグリーンで・・きれいだな。でもランサムは信用できるのかな。ドラ息子・・でも意外と根は純粋だったりして。マルタを助けてくれるのかも。年齢的にもちょうどいいし、ラストでくっついたって不思議じゃない。とは言え打ち明ける相手はブランの方がよかったんじゃないの?この映画、ブランが主人公だと思って見ているわけだが、そのうちマルタが主人公なのでは・・と思えてくる。ここは意外だった。あれこれあるけど、実はブランは早い時期にマルタのウソを見抜いていたことがわかる。結局彼女が莫大な遺産をどうするのかははっきりしないまま終わる。まあ・・ホント見ていて楽しかった。続編も企画されているようだが、何年先になるか。辛抱強く待つことにしよう。