ヘル・フライト -乗客消失-

ヘル・フライト -乗客消失-

いや~おもしろかったです。こういうバカバカしいのに出て真面目に演技しているマイケル・パレ君がいいですな。彼も60代に突入して、シワは増えたしどうやらおなかもポッコリ出ていそう。でもいいんです、無理して若作りするよりは。ファルコン航空のロンドン直行便。冒頭キャビンアテンダント(以下CA)のリン(シャネル・ライアン)の顔がうつった時点で、あちゃ~となる。B級C級・・いやD級映画ともなればこういうケバくてシワの多いオバサンしか持ってこれないんですね。いいですいいですわかってますから。このリンはいつもニヤニヤしてる感じで、意地が悪そう。もう一人のエリン(サディー・カッツ)も目のまわりが黒ずんでいてシワがあって、でも彼女の方が若いんだろうな。二人して営業用スマイルで搭乗客をお出迎え。顔なじみのもいるし、いやらしい目つきで見る者も。目立つ客としてはヒゲでデブですぐヒワイなこと言うオッサンのスモーキー、ブリーフケースを後生大事に抱えているシムズ、後に医者とわかるターバン巻いてるシンなど。中に新婚カップルがいるが、夫のマークはさかりのついた犬みたいで、妻のペニーも呆れるほど。はあ~こういうやつって真っ先に犠牲者になりそう。アダム(パレ君)は航空保安官。隣りの色黒のエキゾチックな顔立ちのロシェル(クリスタル・サントス)は職業ははっきりしないが、インテリなのは確か。アダムのことも警官と見破るほど鋭い。機長がフランクで、副機長がデヴィッド。彼はエリンと別れたばかり。リンはすぐ男に色目を使うタイプで、アダムに片思いしているエリンは彼にまで手を出すのではと心配している。したがってとげとげしいやり取りとなるが、今はケンカしてる時じゃない、仕事に集中となる。ここらへんの切り替えがリアルでいい。シムズにブリーフケースを荷物入れに入れるよう説得するのに手間取ったが、やっと離陸。しばらくたった頃、イチャイチャしていたマークが突然消えてしまう。照明がチカチカして消え、ついた時にはいなくなっていた。パニクるペニー。たぶん見ている人は全然マークのことなんか心配しない。よかったじゃないのペニー、あんな色ボケのアホが亭主じゃこの先どうなったか・・と彼の消失を歓迎する。あるいは「フライトプラン」かよ・・と思う。

ヘル・フライト -乗客消失-2

いちおうアダムやCA達が機内をくまなく調べるが見つからない。貨物室は封鎖されてるから調べない。そうだよね、また別にセット用意するの金かかるもんね。はいはいわかってます。アダムは機長に引き返すよう言うが、拒否される。彼は事態を軽く考えている。ウム、この機長もそのうち消えるな。こういう映画って機長以外の誰かが操縦して着陸するものと相場が決まっている。シンのおかげで落ち着いたペニーは、マークが消える時、誰かがいたような気がしたと話す。このペニー役の人は目のまわりのシワが目立つが、なかなかきれい。そのうちシムズの隣りのチェイスが消える。その瞬間をエリンが目撃。本当に人間が消えてしまうことが明らかになる。案の定機長も消える。デヴィッドもさすがに事態を飲み込み、自分が消えた時のためにアダムに着陸の方法を教える。たぶん早い段階で見ている人はロシェルを疑い始める。死や悪霊を持ち出すのがいかにもな感じ。アダムは何が起きても冷静なロシェルを信頼し始めるが、これは見ている我々の彼女への疑いをそらす、作り手の姑息な手段。まああまりにも異常なことが起きているので、アダムにもどうしていいかわからず、ロシェルを頼りたくなる気持ちはわかる。藁にもすがる思いってやつだ。CA達は恐怖におののきながらも乗客をなだめて回る。リンは涙でマスカラが流れ落ち、ひどい顔だ。さっきはケンカしていた二人だが、慰め合い、励まし合う。ここらへんもなかなかよろしい。シムズのブリーフケースのなかみを怪しんだアダムが調べようとしてもめていた時、シムズが消えてしまう。ケースの中には本と十字架像、儀式用の短剣が入っていた。本は手書きで、”教皇ホノリウスの奥義書”・・つまり魔術書だった。で、もう一人一人は面倒だとばかりにペニーを含め、乗客のほとんどが消えてしまう。はい、お疲れ様でした~お帰りはこちら(ゾロゾロ)。そのうちパレ君まで消えたりして(きゃはは)。残ったのはアダム、ロシェル、エリン、リン、シン、スモーキー、デヴィッド。この時シンがウロウロしているアダムを怪しいと言い出すが、ロシェルもアダムがシムズに触れた時消えたと同調する。そう言うアンタが一番怪しいわい!まあ彼女の言う通り実はアダムが犯人・・悪霊でしたとなればどんでん返しもいいとこで少しは見ごたえのある映画になったかも(かもですよ)。

ヘル・フライト -乗客消失-3

スモーキーはシンを疑うが、こりゃあからさまに人種差別。アダムは何とか打開策は・・と本に夢中。古英語やゲルマン語で書かれているのに何で読めるのか不思議だが、あまりほじくっちゃいけない。教皇ホノリン(←?)はコロンゾンという悪霊を召喚していたとか何とか。都合のいいことにスモーキーは黒魔術のこと少し知っていて・・ほら、あらゆる種類の女性と付き合ったから・・コロリン(←?)のことも知ってるわけよ。コロコロ(←?)は心を操る、女や鳥に姿を変える・・ほらほら女だってよ。スモーキーに誰も信じるなとクギをさされたのに、冷静だからというだけでロシェルを信頼し続けるアダム。まあここらへんはアダムがアホと言うより、気づかぬうちにいいように心を操られているんでしょう。悪魔ばらいが始まり、アダムがエクソシストになり・・もう機内は照明チカチカでカメラは揺れるし。まあそれはいいんだけど正体あらわしたロシェルがねえ・・あまりにもしょぼいんですわ。ものすごいCGでドピャーッとか、ピカーッとかやれとは言いませんよ。お金がないんだから。でもねえもうちょっと何とかならなかったんでしょうか。あ、いいんですいいんですもう終わったことですし。何とか無事着陸させたアダムは「ざま見ろ」と一言。よかったねえ、でもこの後どう説明するんでしょうか。ここらへんちょっと「ランゴリアーズ」思い出す。結局助かったのはアダムとリン・・スモーキーはどうなったんだっけ?まあいいや。シムズがなぜ魔術書持ってたのかは不明。悪霊も、ただ飛行機を墜落させたんじゃつまんないというので、時間かけて一人ずつ消していき、人々を怖がらせて楽しんでいたのだろう。悪魔ばらいで追い払われたけど、いなくなったわけじゃない。ちゃんとラスト顔を出す。私は儀式が成功した時点で乗客達が戻ってきてもかまわなかったと思う。その方が後味がいい。特にエリンが気の毒で。あるいは着陸したものの、そこは・・というバッドエンドでもいい。管制塔とのやり取りが全然なくて変だと思いませんでした?途中で星が消えるシーンあったし、あそこで魔界へ突入したのよ。・・てなわけでツッコミどころ満載の楽しいアホ映画でした。他の人にはお勧めしません!パレファン限定です!シワシワで少し太ったけど、きれいな青い目は健在でした。これからもがんばってね!