フレンジー

フレンジー

去年東京へ行った時偶然原作見つけた。そのすぐ後NHKBSでやった。私はヒッチコックの映画ってあんまり見てない。いいと思うのは「サイコ」くらいで、あとはあんまり・・。でもこの作品はわりとよくできている。ほぼ原作通りだが、原作の主眼である裁判シーン(実に長い!)はほぼ全部カット。そりゃそうだろう。こんなの延々見たくない。原作は途中でぷっつり切れて終わるが、映画はちゃんと落としまえつける。そりゃそうだろう。無実の男がさらに泥沼に・・なんていう結末誰が見たいかよッ!それにしてもブレイニー(ジョン・フィンチ)は運の悪い男だ。やることなすこと裏目に出る。酒場をクビになり、元妻ブレンダ(バーバラ・リー・ハント)のところへ行くが、翌日彼女は殺される。彼に好意持ってるバーバラ(アンナ・マッセイ)も殺され、今はやってるネクタイ殺人の犯人にされてしまう。親切な友人ラスク(バリー・フォスター)が犯人と知るが、つかまり、裁判にかけられ、終身刑に。こうなったらラスク殺してやる、もう失うものはない・・と脱走し、ラスクの部屋へ行ってみると・・。輝かしい軍歴のあるブレイニーだが、一般社会では落ちこぼれ。悪い人間ではないが何でも人のせいにするし、すぐ逆上し、どうにでもなれと思ってしまう。一方ブレンダは結婚相談所を開き、今では成功している。ここまで来るには苦労しただろうが、笑顔・忍耐・努力・・そして幸せなカップルを一組でも多くという誠意でがんばる。人生は不公平と不満ばかりのブレイニーとは違い、真面目にコツコツ。元夫を暖かく迎え、お金はあるの?と心配し、平気なフリをするブレイニーに気づかれないようポケットにお金を入れておく。その心遣いのせいで彼の容疑はいちだんと・・。映画としてはラスクが犯人とわかってるし、見かけも部屋の中も気持ち悪い。あの悪趣味な絵!ブレンダが殺されるシーンは・・できるだけ美しくうつそうってのが見え見えで・・そんな場合かよッ!わざとらしさや下品さは気に入らないが、ラストきちんとストンと落としてくれたので(真面目につつましく生きていたブレンダの仇討ってくれたので)許す。ブレンダの秘書モニカ役ジーン・マーシュは「謎の円盤UFO」にゲストで出ていた。原作だとモニカも犠牲になるが、映画は違う。映画での最後の犠牲者は・・誰?他に「オーメン」の乳母役ビリー・ホワイトロー。