見出された時-「失われた時を求めて」より-

見出された時-「失われた時を求めて」より-

日比谷シャンテシネ。入れ替え制だがぎっしりという感じに席が埋まっていたのにはびっくりした。満員ではないんだけど、いつも人数を数えているこちとらとしてはこんなの久しぶり。客もいわゆるハイソなオバサマ方が多くて、中には着物姿の人も!これってプルーストのせいなのか。いややっぱりカトリーヌ・ドヌーヴのせいだろうな。50代後半で(←この感想を書いた当時)、あの美しさ、あの貫禄。いいお手本になるもの。さて内容だが、さっぱりわからないとか、わからないで長いのは苦痛・退屈という感想をネット上で見ていたから、理解しようなんて思わないで今そこで起きていること、話されていることをそのまま受け入れよう、また一回しか見られないのだから字幕に気を取られてヴァンサン・ペレーズを見逃すことのないようにしようという感じで見ていた。顔ぶれはよくこんなに集めたなという感じ。パスカル・グレゴリーやジョン・マルコヴィッチなどに囲まれるとペレーズはどうしても影が薄くなる。彼が演じるモレルは二人に愛されるという役どころだが、そういうはっきりしたシーンがないため、どうも印象薄くなる。女性に平手打ちされるシーンがあるが、結局誰の恋人なの?シャルリュス男爵(マルコヴィッチ)に関係を復活するよう言い寄られて断るシーンはあるが、あとはどうもはっきりしない。主人公のマルセルが脱走兵の疑いをかけられてピンチに陥ったモレルに、男爵の庇護を受けろ、彼は誠実な人だと勧めるシーンがあるが、これもおかしなことだ。男爵はマゾで、その彼の姿をマルセルは怪しげなホテルで覗き見しているのだ。そんな変態を誠実な人なんて言うか?親切なフリをしているが、マルセルはどうもモレルのことが好きではないらしい。恋人だった女性に「あなたにとってモレルのことはタブーなのね」などと言われたり。ただなぜ彼がモレルを嫌っているのかの説明はなし。万事こんな具合で、皆何を考えているのかはっきりしない上に、セリフで名前が出ても誰のことかわからないから、本当に何が何やらなのである。終わってエレベーターの中で「こんなに長くなくてもいいのにね」なんて話してる人がいたが、皆チンプンカンプンのまま帰途についたことだろう(私も含めて)。

見出された時「失われた時を求めて」より2

これを書いたのは2001年。ブログに書く時はなるべくもう一度見て内容確かめるようにしているが、この映画はテレビでやってくれない。やっていれば録画しているはず。原作は読んでない。わざわざシャンテシネまで行ったのはペレーズが出ているから。そもそもはWOWOWでうっかり「ダークシティ」を見てしまったことがきっかけ。アレックス・プロヤス→「クロウ/飛翔伝説」→「ザ・クロウ」→ペレーズに一目ぼれという図式。そのちょっと前までニコラス・ケイジにはまっていたのに、ペレーズとルーファスに心変わり。すみません、浮気性で・・。さて、シャンテなんか行くのは初めてで、あたしゃどうもこういう映画館は居心地悪いです。シネパトスあたりで一番後ろの席に座ってお客の人数数えてる方が性に合ってる。あそこは着物で着飾ったオバサマなどまずいない。映画は・・どうも退屈で仕方がない。パンフを買ってあったので読み返したら、パスカル・グレゴリー扮するサンルーが肉を食べるとか書いてあって、そうそうそんなシーンあったなと思い出す。肉を食べながらペチャクチャとしゃべり、精力的と言うか強烈なキャラ。鼻の下にヒゲのあるアンチャン、マルセルが主人公らしいが、これほど存在感のない主人公も珍しい。何で出てくるのかわからん。よく主役には何のイメージも定着していない無名の俳優を・・となって、「ダークシティ」のルーファスもそうなんだけど、知らない人が出てきたりする。このマルチェッロ・マッツァレッラ・・丸っこくて真っ青なモッツアレラチーズみたいな名前のアンチャンもそう。ナレーションはなぜかパトリス・ェロー。アンチャンはイタリア人なのでフランス語が苦手なのかな。他にドヌーヴの息子クリスチャン・ヴァディム、娘のキアラ・マストロヤンニ、エマニュエル・ベアール、メルヴィ・プポー。マリーフランス・ピジェは「ブロンテ姉妹」でグレゴリーと共演している。ピジェがシャーロット、グレゴリーがブランウェル。お目当てのペレーズは鼻の下にチョコンとヒゲがあって、貧相な感じ。一番初めに見たのが「ザ・クロウ」だったから・・アクション物だから筋肉ついてたわけで。モレルはあまり善人とは言えず、そこも期待はずれ。というわけで、パンフ読んでそういうキャラなんだとわかっていても、主人公にはストーリーを引っ張っていく力強さが欲しいと、ないものねだりしたくなる映画でした。