犯人に告ぐ
原作はまだ読んでない。原作の巻島は57歳らしいが、こちらはだいぶ若い。まあ私が見る気になったのも、巻島役が豊川悦司氏だったからで。2000年の12月に起きた幼児誘拐事件。警視庁と神奈川県警の連携はうまくいってるとは言えず、結局男児は殺され、責任を取らされた巻島は足柄署へ。捜査の最中、妻の園子(松田美由紀さん)は難産で死にかける。てっきり父子家庭に・・と思ったら園子は生き延び、息子の一平との三人暮らしは順調。検挙率はいいし、部下ともうまくいってる。その彼に古巣から声がかかる。BADMANと名乗る男による連続幼児殺人事件。今の巻島は六年前とは違う。あの時は手柄を立てたくてあせっていた。犯人はまだつかまっていないが、目星をつけた男にはずっと監視をつけている。この映画では事件は二つ起きるが、犯人は別々。六年前の方は描写がややあいまいで、犯人が途中で自殺してしまうなどあっけない。事件のことより、印象に残るのは警察の縄張り意識、足の引っ張り合い、証拠の捏造、責任の押し付け合いなど。マスコミの方も負けてはいない。正義の味方ヅラをして攻撃する。巻島はニュース番組に出るはめになるが、事前の打ち合わせとは違い、犯人に直接呼びかけ、挑発する。困惑していた局側も、高視聴率につながったため喜ぶ。他の局のキャスターも、彼を自分の番組へ出そうと手を回す。出せないとなると、今度は六年前の失態をほじくり出す。巻島の立場は、失敗したらすべての責任を負わされ、見捨てられるというもの。同僚達でさえ、テレビで呼びかけたために増えた雑用(ニセ情報、いたずらなど)に追われ、不満を巻島にぶつける。事件解決のため一丸となって・・とはなかなかいかないのだ。巻島と対照的なのが植草(小澤征悦氏)。エリートのボンボンだが、経験も実力もなく、できることはと言えば妬みそねみ裏工作。その彼さえ手玉に取るのがキャスターの未央子。視聴率のためなら何でもする。何かこんなのばっかで見ていていやになるが、これが現実なんだろう。大詰めという時に今度は一平が誘拐され・・。いや、巻島を恨むのは筋違いでしょう。あの時大丈夫だと言った?じゃあ大丈夫じゃないかもしれないとホントのこと言って欲しかった?んなわけないでしょ。巻島もなあ・・ナイフの後始末もせず犯人に背を向けてる時点で、ああなるって予想つく。油断しすぎ。これで彼が死んじゃったら身もふたもない結末になったけど、助かったようでホッ。意識が戻ったのを喜ぶ園子の様子が印象的。他の出演は石橋凌氏、笹野高史氏、柄本佑氏。