アマデウス
こういう名作・傑作って私はあんまり見ない。迷作・血作専門なもんで。それと長いし・・。でも、モーツァルトが出てくる。ベートーヴェンはあってもモーツァルトは珍しいでしょ。レオナルド・ダ・ヴィンチは多いけどラファエロは珍しいのと同じで(←?)。今は精神病院にいる老サリエリ。神父が来て懺悔を勧めるけど、懺悔と言うより思い出話。努力の末宮廷作曲家となったサリエリ。ウィーンのヨーゼフ2世の王宮。このヨーゼフ2世はマリー・アントワネットの兄らしい。一方ザルツブルクからやって来たのがモーツァルト。幼い頃から天才ぶりを発揮してきたが、好色で下品な若者。サリエリ達とは水と油だが、何しろ音楽的には卓越しているもので。音楽のためにはと禁欲的に生きてきたサリエリは、能力の差に愕然とする。もう神に祈るなんてや~めた。あんな男が神に愛されているなんてやってられな~い。何しろモーツァルトが譜面を書く時にはもうすべてが完璧に出来上がっているのだ。だから書き直しはゼロ。信じられな~い。でもそんなモーツァルトだが、金遣いが荒く、入ってきたお金は右から左へ。大家の娘で妻となったコンスタンツェもやりくりに悩まされる。いくら曲を書いても大したお金にはならない。生前は認められず死んでからやっと・・というのはよくあるけど、彼は違う。小さい頃からあれだけ天才ぶりを発揮していたのだから、さぞ裕福で安定した暮らしを・・と漠然と想像していたけど違うのね。もう少し謙虚で、まわりともうまくやるようなタイプだったらよかったのだろうけど、天才で自信家。この映画ではサリエリ役F・マーリー・エイブラハムがアカデミー賞とったけど、モーツァルト役トム・ハルスもノミネートされていたのね。知らない人だけど私は彼の方に目が行った。顔立ちはコリン・ファレルに似ている。最初のうちは汚らしくていやなやつに見えるんだけど、そのうちだんだんかわいそうに思えてくる。いくら天才でも体の方は不死身じゃない。仕事に追いまくられ、疲労困憊。とうとう力尽きて死んでしまう。コンスタンツェは彼を愛しているけど、理解はしていない。理解できたのはサリエリだけ。葬儀のシーンにはびっくり。棺に入れて運ぶけど、なかみ(死体)だけ穴に落として、棺は持ち帰る。あら・・使い回すんだ。穴の中には他の死体も?いっぱいになったら土をかけるのかしら。それくらいお金がないってことなのかしら。モーツァルトの次に印象に残ったのはヨーゼフ2世役ジェフリー・ジョーンズ。変わった顔立ちで無表情。これから笑い出すのか怒り出すのかわからなくて、そこがスリリング。エイブラハムには悪いけどこっちの二人の方が断然よかったな。