落下の解剖学
これは2時間半もあるし、カンヌで賞とったらしいし、え?アカデミー賞脚本賞も・・じゃあ途中で眠くなるだろうなあ・・ゲージツ的で。まあ見たのは殺人事件が起きるみたいだから。それなら少しは興味持ち続けられるかも。犬のスヌープとの散歩から戻ったダニエルが見つけたのは、転落死した父親サミュエル。彼は11歳で、事故がもとで視覚に障害がある。母親サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)はベストセラー作家。検視で死因に不審な点が・・。直接の死因は頭部の傷だが、落ちてできたものではない。自殺か他殺か事故死か。そのうちサンドラが起訴される。あとは長い長い法廷劇。サンドラはドイツ人でサミュエルはフランス人。ロンドンにいたけどサミュエルの故郷へ戻ってきた。彼は作家を目指していたけど、うまくいかず、気乗りのしない教師の仕事を続けるしかなかった。サンドラはフランス語が得意ではなく、英語の方がまだまし。こちらへ来ても友人もいない。夫婦仲が悪化したのはダニエルが事故にあったせい。責任は自分にあるとサミュエルは自分を責め、精神科に通う。家のことやダニエルの世話で自分の時間が持てない。書けないのはそのせい。しかしサンドラからすればそんなのは言い訳にすぎない。自分の方こそサミュエルに合わせてる。したくもない引越しもした。途中夫婦げんかの生々しい録音が証拠として流される。はあ~いつの間に?どうやら小説を書くためにサミュエルが録音していたようだ。たぶん聞いている女性の多くはこう思ったと思う。自由な時間ができても、アンタが書けないことに変わりはないと思うよ・・って。夫婦のセックスレス、サンドラのバイセクシャル、小説の原案の出どころまで次々に暴かれるが、それでいて決定的なことは不明なまま。ダニエルの証言によってサンドラは無罪を勝ち取るが、本当のところはどうだったのやら。私はそれよりもサンドラの弁護士ヴァンサンに目が行った。演じているスワン・アルローとかいう男優さん、ナタリー・ドーマーにそっくりじゃん!E.T.にも似ている・・かも。犬のスヌープがよかった。特にラスト、サンドラに寄り添ってくれるところ。サンドラがダニエルに寄り添うのが普通だと思うが、そうじゃないのが意味深。