禁じられた遊び(2023)
「ある閉ざされた雪の山荘で」に出ていた重岡大毅氏が出ているらしいので、見てみた。伊原直人(重岡氏)はマイホームを手に入れ、妻の美雪(ファーストサマーウィカさん)、息子の春翔と三人で幸せな日々を送っている。ある日春翔はトカゲの尻尾を見つける。直人が土に埋めて呪文を唱えれば、尻尾からトカゲが生えてくるなどとウソを吹き込んだのがそもそもの始まり。春翔はすっかり本気にしてしまった。ある日美雪と春翔はひき逃げ事故にあい、美雪は即死、春翔も駆けつけた直人の目の前で死亡宣告。ところが雷が鳴り、春翔は奇跡的に息を吹き返す。テレビのニュースで事故を知った比呂子(橋本環奈さん)は、美雪の葬式に顔を出す。実は七年前、彼女は直人と同じ職場にいて、彼にほのかな好意を抱いていた。彼はすでに結婚していたので遠くからながめるだけ。しかし上司に乱暴されそうになっていた比呂子を、直人は助けてくれた。それでますます彼が好きになったけど、なぜか気づいた美雪はものすごい悪意を送ってくるように。耳鳴りや妙な着信、果ては生霊まで。恐ろしくなった比呂子は会社をやめ、今日に至っている。今は映像ディレクター・・と言ってもカメラ片手に突撃取材の日々。さて、春翔は美雪の指を庭に埋め、一心に呪文を唱える。なぜか土も盛り上がってきて。見ていていくつか疑問に思うことはある。ひき逃げの犯人は出頭したようだが、美雪の怨念が向かうとすればまず自分の命を奪った犯人に対してなのでは?なぜそっちへ行かないで比呂子の方にばかり来るの?ただこれは後で、美雪の怨念だとばかり思っていたら実は・・となるので、なるほどそうかと納得がいく。春翔は母親が死んだとか、殺されたとかは思っていない。自分の祈りが通じて生き返ると思っている。だから犯人のことは何とも思っちゃいない。次に疑問なのは、直人はなぜトカゲの尻尾の件でウソをついたと春翔にちゃんと言わないのかということ。言ったって今の春翔は聞かないと思うけど、それでも普通は言うんじゃないの?あと、美雪の独占欲の強さに対し・・例えばひっきりなしにケータイにメールが来るとか・・直人はどう思っていたのかなとは思う。心の中で不安に思っても打ち消して、その日その日をやり過ごし、自分ではけっこう幸せだと思っていたのかな。途中で霊能者の大門(長谷川忍氏)とそのアシスタント、黒崎(猪塚健太氏)が出てくる。大門は問題も多いが、能力は本物らしい。すぐに比呂子に邪悪なものがついていることに気づく。
禁じられた遊び(2023)2
最初のうち比呂子はうさんくさい大門を信用せず、相談しようともしないが、そのうち気が変わる。大門は大柄でいかにも頼りになりそうだが、わりとあっさり自分の手には負えないとなる。取りつかれた大門は比呂子を襲うが、その大門を黒崎が刺し殺す。私いちおう思っていたのよ。実は黒崎の方がすごい能力の持ち主で、大門はお飾り的存在なのでは・・って。黒崎が比呂子の力強い助っ人になってくれるのではないかと。でも、だめでした。二人ともあっさり退場。何だよ~。でもこのコンビ、なかなかよかったけどね。二人して九字を切るところとか香港映画見てるみたいで。よくあるでしょ、大柄でうさんくさいのと、細くて美形のコンビ。さて、比呂子の仕事の仲間柏原(倉悠貴氏)は、最初はよくある無理な仕事取ってくるお調子者っぽい感じなのだけれど、だんだん頼りになりそうな存在に。大門に相談するよう背中を押してくれたのも彼だし、比呂子が考えてもみなかった、美雪の過去を探ることを思いついたのも彼。美雪は孤児で施設にいたけど、その頃から異常な能力の持ち主だったらしい。後でわかるが、彼女のその能力は母親から受け継いだもの。と言うことは春翔にも・・。見ている人は怪現象引き起こしているのは美雪の怨念だとばかり思っているけど、実は春翔が引き起こしていたのだ。美雪が生き返るのも・・。そう言えば大門は言っていたっけ。一度死んで生き返った者、生と死のはざまでどっちつかずでさまよっている人間が一番厄介だとか何とか。まあここらへんはうまくだまされました。一度死んだ人間って春翔のことだったんだ!全体的には「ペット・セメタリー」風味。人間にはやってはいけないことがある。いくら悲しくても。こういうのはハッピーエンドということはありえなくて、比呂子も直人を正常な生活へ引き戻すことはできない。そうそう、もう彼のことはあきらめて新しい一歩を踏み出すことですな。助けてもらおうと思っていない人には、どんな手段尽くしても無駄。共倒れになる前に・・。まあ柏原が無事だったのでホッ。この映画で一番まともな男は彼かも。橋本さんは目が大きくて生き生きしていてとてもよかったと思う。友人の麻那役は掘田真由さん。美人なので、彼女がヒロインだったら・・と思ってみたり。ファーストサマーウィカさんは大熱演。すごかったです。監督は中田秀夫氏。「”それ”がいる森」とか、この作品とかけなしている人多いけど、私は普通に楽しめた。