殺人鬼の存在証明
こりゃまた2時間以上もあるぞ。ロシア製だから当然か。90分やそこらじゃ短編映画・・なんちゃって。実在の殺人鬼をモデルにしているらしい。あくまでモデル・・だろうけど。1991年、イッサは新居を手に入れ、中佐に昇進。その祝いのパーティの途中事件が・・。この10年捜査中だった連続殺人事件。最後の犠牲者が出てから三年たってる。犯人はつかまえて裁判にかけ、終身刑の判決が出ている。また事件が起きたってことは誤認逮捕?こりゃ大変だ。妻のナディアは離婚を申請すると言い出す。こりゃまた早い対応・・と驚くが、それも無理ないのがだんだんわかってくる。この10年大変だったのはイッサだけではないのだ。被害者が生きて保護されたのは初めてで、彼女キラの証言をもとに容疑者の家に突入。つかまったのはワリタという気の弱そうな言語学者。キラはイッサに見覚えがあるらしい。姉の葬式に来ていたからだ。と言うことは彼女の姉も犠牲者か。36人も殺されたらしいから、そんな偶然があっても不思議じゃない。映画は1981年と1991年の間を行き来する。10年前、イッサはチェスプレイヤーという殺人鬼をつかまえたところ。続いて数年前から起きていた連続殺人事件も担当することになるが、それまでの捜査は彼から見るとかなりずさん。彼のやり方で進めていくことになるのだが、当時はシリアルキラーという言葉も浸透しておらず、捜査に必要な予算も、作戦案も却下され、それでいて結果は出せと上からは言われる。犯人が見つからないのなら、精神に問題のある者の中からテキトーに・・なんて無茶なこと平気で言ってくる。国民の警察への非難をかわせればそれでいいのだ。1984年頃、イッサはヴェラという女性と親しくなる。妹がいる・・ってことはキラの姉だな。ワリタもワリタだが、イッサにも問題ありそう。1981年の部分ではイワンという若い記録係がイッサと行動を共にする。こういう若いのがいれば、退屈な展開もがまんして見ていることができる。イワン役の人はジェレミー・レニエに似ているかな。デヴィッド・マッカラムにもちょこっと。彼は1991年の部分には出てこないが、どうしたんだろう。それにしてもみんなよくタバコ吸うなあ。体に悪いよ。さて、テキトーなの見繕って逮捕して裁判にかけ、上にも書いたけど終身刑にして一件落着・・としたけど、容疑者が目の前にいるのに新しい事件が起きたりする。コメディーかよ。年代があちこち飛ぶので頭の中がごちゃごちゃになってよくわからないのだが、イワンはワリタが犯人と確信している。
殺人鬼の存在証明2
囮の女性スベータを車に乗せたのがワリタ。途中車が泥にはまって動けなくなり、追跡していたイワンが助けるふりをしてトランクの中を見てみるとロープとかあって、怪しい。しかしイッサは取り合わず、イワンは警察をやめ、酒に溺れる。ところがスベータが殺されてしまったため、ある決意を固める。途中イワンは森の中で傷ついた動物を保護していた。後でわかるがフクロウの子供。餌をやったりして面倒を見、最後は森に返す。やさしい青年なのだ。何となく「世にも怪奇な物語」の1話目思い出す。その彼が変身する。髪を切り、銃を用意する。ところで施設に収容されているミロンという男が出てくる。自分というものがなく、誰かに興味持つとその行動をまねる。相手を殺してその人になりすます。まるで「テイキング・ライブス」みたいだ。重要なキャラなんだけど、そのうち彼が出ていたこと忘れてしまい、ミロンって誰だ?双子双子って何のことだ?と見ていて困惑したのは私だけ?画面が暗くて見えづらいのも困りものだ。灯火管制でも敷いてるのじゃないかってくらい暗い。他にも何かと言えば容疑者にビニール袋か何かかぶせて拷問するし、イッサは不倫してるし。薬剤師やってるナディアはイッサのコーヒーに毒入れるくらい精神的に追いつめられているし。さてイワンはワリタの家に忍び込み、殴って拘束し、子供時代や被害者全員のことを洗いざらいしゃべらせ、ビデオにとる。途中逃げようとしたワリタを射殺。ワリタは被害者全員のことを覚えていたが、ヴェラのことだけは知らなかった。見ている者全員はは~んと思う。その一方でそれだと反則だぞとも思う。それにしてもワリタは死んじゃったぞ。イワンは殺人犯になっちゃったぞ。と言うか、1991年に尋問受けているワリタは誰なんだ?こちとらミロンのことなんか完全に忘れてるから頭の中大混乱。イワンはまずキラに近づく。彼女は帰宅して台所で倒れている姉を見つけた。頭から血を流していて、驚いて近寄った時、後ろから頭を殴られ気を失ってしまった。でも一瞬仮面で顔を隠した男を見た。ヴェラの死体は森の中で見つかり、キラは強盗に襲われたということにされた。姉の死体のことを言っても取り合ってもらえなかった。しかも姉は妊娠していたという。彼女にここ数年愛人がいたことは知ってるが、誰なのかは聞いていない。姉の葬式でイッサを見たキラは、彼が犯人だと確信する。でもどうすればいいのか。彼女は台所でネクタイピンを拾っていたが、それを見たイワンはイッサのものだと気づく。ヴェラの死体を調べると他の犠牲者とは手口が違っている。第一ワリタはすでに自分の手で撃ち殺している。
殺人鬼の存在証明3
ただ、キラがイッサが犯人と訴え出たところで効果はない。自分がひねりつぶされたように、彼女も相手にはされない。個人的に復讐するしかないのだ。そこでミロンを施設から連れ出し、ワリタの家に監禁し、彼のビデオを見せ続ける。最後の犠牲者(ヴェラ)が出てから三年たってるという設定だから、三年かかってミロンを洗脳したのか。それにしても・・途中から何だか妙な方向・・復讐へ進んでいくのにはびっくりした。大量殺人の中に自分の犯罪もまぜとけというのはよくあることだし、犯人を追っている側が実は・・というのもよくある。でもその裏でそんな忍耐強い作戦が進行していたとは。あの仮面なんかホラーだし、ゾッとしちゃった(DVDカバーにも使われている)。でもキラは仮面持ってる手の方を見ていたらしいけど。で、今回の事件。ワリタを追いつめ、治療を条件にとうとう自白書にサインさせることに成功したイッサ。しかしワリタが実はミロンであることにようやく気づく。こりゃ面倒なことになるぞと思ったのか抵抗されたとかテキトーな理由つけて殺す。もちろん自分で自分を傷つけるなどそれらしく偽装して。同僚達は疑いもせず、やっと終わったと引き上げる。残ったイッサはガソリンか何かをまいて、ん?証拠隠滅?そこへ現われたのがイワンとキラ。今こそ真相を話させ、ビデオにとるのだ。他の・・ワリタが犯罪自白しているビデオと一緒に中央へ送るのだ。イッサはヴェラの死は事故だと言い出す。きっかけはヴェラが妻にばらすと言い出したこと。イッサは妻のことはどうでもいいが、子供とは離れたくない。ヴェラとは今までのように愛人関係でいたい。で、もめてるうちに頭を打って倒れ、そこへ帰ってきたのがキラ。実は死体を捨てるため森の中へ運んでいる途中、ヴェラは息を吹き返した。妊娠のこともその時言ったらしい。しかしイッサは・・。イワンの方もキラに隠していたことがあった。もう十分洗脳したと判断し、ミロンにわざとキラを襲わせたのだ。あらまあ。結局何ですな、殺人鬼の狂気がだんだんまわりの者も狂わせていくという、そういうことなのかな。と言うわけで、思ったより見ごたえはあったけど、複雑な構造のせいでわかりにくくなっているところもあり、果たしてこれでよかったのかなという気はする。もう一度見ろってこと?イッサ役はニコ・タヴァゼ、ワリタとミロン役はダニール・スピヴァコフスキ、イワンがエフゲニー・トゥカチュク。みんな知らない人だが、ヴェラ役ユーリヤ・スニギルは違う。「ダイ・ハード/ラスト・デイ」のイリーナ、「タイムリミット」のアリサ、「プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星」にも出ていた美女。