最強のふたり(2011)
2011年ということはもう10年以上たつのか。けっこう話題になってた気が・・。数年前ヒラリー・スワンク主演で似たようなのがあって、映画館でもかかったけど、見に行かなかったな。実話をもとにしているらしく、ラストでチラリと本人達がうつる。ドリス(オマール・シー)がフィリップ(フランソワ・クリューゼ)の介護の面接を受けたのは、失業手当が目当て。採用されるなんて思っちゃいない。ところがなぜかフィリップは彼を一ヶ月試しに雇う気に。他の応募者と違い、資格も経験もなく、後でわかるが前科がある。教養はないし、礼儀も知らないが、それだけにフィリップの境遇に同情もしない。どうやらフィリップは同情や特別扱いされることにうんざりしていたようで。彼はパラグライダーの事故で首から下は動かない。愛する妻には先立たれ、養女のエリザは反抗期。親類はたぶん彼にはあまり長生きして欲しくない。何しろとんでもないほどの金持ちなのだ。一方ドリスは若くて健康だが、家族関係は複雑。仕事がないのか続かないのか、そんな彼を叔母でもある養母は𠮟りつけ、家から追い出す。その彼に与えられた個室はびっくりするほどゴージャス。ぶつくさ文句を垂れながらも仕事を覚えていき、上流社会に慣れるのではなく、まわりを自分のペースに巻き込む。いろんなエピソードの中にはやり過ぎなのでは・・と思うものも。似たような映画に「最高の人生の見つけ方」があったけど、あれも片方は大金持ちだった。両方貧しい境遇じゃ映画にならないのだ。金持ちと貧乏、健康と不具、黒人と白人、一人と大家族・・比較してみせることによって映画が成り立つ。途中で文通相手のエレオノールと会うはずが行き違いになって、このまま終わるのかなと思ったら、ラスト、二人が会うようドリスがお膳立て。うまい持って行き方。観客は安心し、気分よく帰れる。私がこの映画で一番印象に残ったのは養母。夫はいないらしく大家族を支えるためビルの清掃の仕事。疲れきって帰って来る毎日。働かずのほほんとしているドリスを叱りつけ、追い出すのもわかるわかる。
THE UPSIDE/最強のふたり(2017)
前科者のデルは妻ラトリスや息子アンソニーにも見放されている。職もなく、住むところもなく・・ところがひょんなことから大金持ちフィリップの介護をすることに。採用されるなんて思ってもいなかった。介護のことなんて何も知らない。フィリップは愛する妻ジェニーがガンに侵され、元気づけようとハングライダーに挑戦。天候が悪く、普通なら思いとどまるが、彼は無理を承知で挑むタイプ。その結果妻は死に、自分は首から下が麻痺の障害者に。いざという時は緊急措置をしないようにと明言してある。さて、デルにとっては夢のような・・自分とは縁のないことばかりの世界だ。豪華なペントハウス、何台もの高級車、高価な絵や初版本、オペラ鑑賞。しかしフィリップは食事も排せつも人の手を借りなければならない。自分の体を支えることもできない。そんな彼がデルと出会ったことで・・。まあお互いの人生が変わっていくわけだけど・・どうなんですかね、こういうの。感動できるんですかね。今のフィリップは気の毒ですか?心の中にはもちろんモヤモヤが渦巻いているけど、表向きは彼なりの生活構築している。そこへデルが土足でドカドカ踏み込んでくる。追いつめられているくせに「掃除人はいやだ」などとのたまう。何言ってんの?選り好みしてる場合じゃないでしょ・・と、ここでもう彼のこと嫌いになる。本をくすねてアンソニーの誕生日プレゼントにする。自然に何のためらいもなく盗んじゃうんだ。きっと彼が悪いんじゃなくて、本がそこにあるからいけないんだろう。文通をしてほんのりした気持ちでいるのに「電話しろ」。ああもう何で怒らないのフィリップ?何で好き勝手させとくの?ところでオリジナルでは文通相手と対面するところで終わりじゃなかったっけ?でもこちらでは相手のリリーが「やっぱり無理」となる。あれれ?と思ったけど考えてみりゃこちらにはニコール・キッドマン扮するイヴォンヌが出ている。リリーと結ばれたんじゃ彼女出してきた意味がない。そう思っていたらラスト、やっぱりそうなりました。今回のキッドマンはすごくよかった。冷たそうに見えて実は内気で温かい献身的なタイプ。見ている間ずっと、デルの行動に悪寒がしっぱなしだったけど、イヴォンヌだけはよかった。フィリップ役は「トランボ」などのブライアン・クランストン、デルがケヴィン・ハート、リリーが「ゴーストシップ」などのジュリアナ・マルグリーズ。他にティト・ドノヴァンが出ていた。