暗殺者の家
これは前に一度見たことがある。輸入盤ビデオだったかもしれない。大昔のことなので記憶はおぼろ。ピーター・ローレのファンになったからだが、そう言えばなぜファンになったんだっけ(←?)。当時入手できたのは「絹の靴下」くらい。「暗殺」の方は内容よくわからず、あまりおもしろくなかった。まあ輸入盤で字幕なしなら当然だが。今回見たのは500円のDVD。サンモリッツでのジャンプ大会。少女が犬を追ってコースに飛び出したため、選手のルイは転倒してしまう。とばっちりを受けた観客の中にローレ。彼アボットはルイを見て一瞬表情を変えるが、すぐまた笑顔に。もう出てきたとたん、見る人の目を引きつける強い個性。小柄でまんまるの顔。大きな目も丸い。体も丸い。イギリスから来ているボブとジルのローレンス夫妻。例の少女は娘のベティ。ジルはクレー射撃の選手らしいが、こちらもベティが邪魔したためレヴィンに負けてしまう。一家はここへ来てからルイと親しくなったらしい。その夜舞踏会でジルと踊っていたルイは狙撃されて死んでしまう。彼の遺した謎めいた言葉。それに従ってボブがルイの部屋で見つけたメモ。騒ぎのどさくさでベティは誘拐され、ボブに脅迫状が届く。イギリスへ戻ると外務省のギブソンが訪ねてくる。実はルイは特務員で、ルーバという外交官の暗殺計画を探っていたらしい。もし暗殺されると戦争が起きかねないとギブソンに言われても、夫妻にとっては娘の命の方が大事。協力は断る。この後ボブはメモを手がかりにベティがとらわれている暗殺組織のアジトへ。ボブ役はレスリー・バンクス。「巌窟の野獣」でジョス役やってたらしい。どちらかと言うと悪役顔。ジル役はエドナ・ベスト。目が小さく、細い眉が印象的。オッタヴィア・ピッコロとかグリニス・オコナーに似ている。金髪なので、目の小さいメグ・ライアンという感じもする。レヴィン役フランク・ヴォスパーはジョージ・サンダースとボブ・ホープをミックスしたような感じ。ルイ役はピエール・フレネー、ベティ役はノヴァ・ピルビーム。しかし彼らが束になってかかってきても、ローレの個性には負ける。あ、アグネス役シシリー・オーツは相当な個性の持ち主だけど。アボットとはどういう関係なんだろ。話を戻してアボットはたいていは機嫌よく笑っているけど、時々顔から表情をなくす。ごていねいに顔をアップでうつす。カメレオンとかそっち系の飛び出た目が強調される。にらみつけたり半分まぶたが下がっていたりいろいろ。
暗殺者の家2
「知りすぎていた男」の方はまだ見ていない。そのうちまたNHKBSでやるかな。あっちはカラーだし、こっちより時間も長いのだろう。こっちは75分と短く、いつの間にかサンモリッツからロンドンに舞台が移っていたりする。アボットをボスとする国際的な暗殺組織のことも説明されない。政治的なものなのか、単に金が目的なのか。金が目的だとして、どこの国から依頼されて動いているのか。ボブの職業も説明されていなかったようだし。たぶん陰謀に巻き込まれ、娘を誘拐されるという職業なのだろう!ところどころギャグめいたシーンがはさまれ、娘を誘拐されているという焦燥感や緊迫感は薄め。歯医者のところで、狙撃したのはレヴィンとあっさり明かされる。射撃の腕を買われ、雇われていたのだ。でも、同じ狙撃をするならもっと人のいない・・ルイが一人でいる時を狙えばよかったのに。そうすりゃジルに伝言することもできず、暗殺計画が漏れることもなかった。あれこれあってジルはロイヤル・アルバート・ホールへ。よく当日券があったね。ルーバも来ていて、レヴィンは演奏中に彼を狙撃するつもり。ルーバを助けるか、ベティの命を助けるかジルは判断を迫られる。そのわりにはあまりハラハラもドキドキもしない。上に書いたようにジルは金髪なのでメグ・ライアンにもちょっと似ているなあなんて思ってる。その後は警官隊と組織の連中との銃撃戦。これがけっこう長い。モノクロ映画なので、何がどうなってるのかよくわからないことも多い。おまけに夜だし。撃ち合いになれば立てこもってる方がやがて不利になる。人数も少ないし、弾もなくなってくる。その頃になってやっとベティを人質に・・なんて言い出すが、彼らが銃撃戦に夢中になっている間にボブはベティを連れて逃げようと行動を起こしていた。この時の、ベティが屋根の上でレヴィンに追われているところは、何となく「メトロポリス」思い出した。レヴィンを撃ち殺したのはジル。そう言えば彼女はクレー射撃の選手だった。あの時だってベティが邪魔しなきゃレヴィンに勝ってた(たぶん)。もちろん映画はハッピーエンドで終わるけど、私としてはアボットにはしぶとく生き残って欲しかった。アジトは礼拝堂にあり、いざという時の脱出口の一つや二つあってもちっとも不思議じゃない。どうもこの暗殺組織・・ややお間抜けな印象ぬぐえない。と言うわけで数十年ぶりに見たこの作品。出来はまあまあでした。ローレの強烈な存在感のせいで、他の出演者はカゲが薄くなっており、それがいいんだか悪いんだか。ま、私はローレファンですから彼以外はどうでもいいんですけどね。